センスが良くなくても大丈夫!
どうせ写真なんて美的センスがいい人が撮らないと良い写真にならない。。なんて思うかも知れませんが、そうとも限りません。
確かに芸術的なセンスがある人は、特に撮り方や構図を教えることなく素敵な写真をバシバシ撮る人もいますが、そうで無いごく普通の一般の方でもいくつかのポイントを押さえるだけできっと今までとは見違えるようなステキな写真を撮れるきっかけが掴めるはずです。
私も芸術的センスにはあまり自信がありません。。たぶん絵を描かせたら「絵心無い芸人」に近い出来映えになるはずです(笑)
今回はデジイチ初心者がもっと写真が上手くなりたい!と思ったときに試してみると良さそうなポイントを3つご紹介してみます。写真上達のポイントは3つに限りませんが、中でも私がオススメの方法を厳選して紹介してみます。
F値やシャッタースピードがどうの。。とかRAW現像がどうの。。といった技術的な事というよりは、心構え的な事を中心に書いてみます。
1.好きな写真を集めてみる
まずはじめに、良い写真、上手な写真とはいったい何か?そこをハッキリさせておきましょう。ここがハッキリしないとどこを目指して良いか分からなくなりますよね。
良い写真、上手な写真の定義は人それぞれですから、あなたのオリジナルのものでOKです。オススメの方法は好きな写真を50枚くらい集めてみることです。
これはフォトグラファーの黒川隆広氏が「美しい写真ライティング」という本のコラムで語っていたことなのですが、私もなるほどなぁと思いました。
写真を撮るのが上手になりたいという人に、僕がアドバイスするとしたら自分の好きな写真を100枚選んでみなさい、といいますね。
(中略)
そうすることによって自分が好きで良いと思う写真の共通点が見えてくるかも知れないし、何か傾向のようなものが分かってくるかもしれません。--- 美しい写真ライティング P14 より
いきなり100枚集めるのは大変かもしれないのでとりあえず50枚くらいでも良いと思います。好きな写真家さんや雑誌で見つけた良い写真、ネットで見つけた写真など、自分がいいな!って思うものをまずは50枚くらい集めます。
次がポイントで、50枚集まったら次の写真は50枚の中から入れ替えていくんです。50枚の中で好きな写真をどんどん凝縮させていくんですね。
そうすると今まで漠然と良い写真とか、上手な写真と考えていたものが目に見える形で具体化していきます。ゴールがハッキリしますよね。
スキャンしてフォルダにまとめるのも良いですが、出来ればプリントしたりスクラップして紙にまとめるのがオススメです。
↑すでに絶版となっているようで、かなりプレミアが付いているみたいですね。。買っておいて良かった。(内容は専門的なものなので、ブツ撮りをガッツリしない方はわざわざ買う必要無いと思います)
次は自分の写真を50枚集める
他の人が撮った写真を50枚集めたら、次は自分の撮ってきたお気に入りの写真を50枚集めてみましょう。上記と同じく、50枚を超えそうなら、その中で入れ替えをしてその50枚をギュッと凝縮していきます。
すると、自分の理想がギュッと詰まった写真と、自分の現在の状況がギュッとつまった写真が2つ出来て、痛いほどにその差がハッキリと分かるようになるはずです。
自分はどこを頑張れば良いか?がよく見える事になります。
後は、これから撮っていく写真を50枚の中からどんどん入れ替えて、理想の50枚に近づけていけるようになると良いですね。
出来ればプリントしよう
皆さんが撮った写真はほとんどデジタルなので、フォルダの中に50枚をまとめても良いかも知れません。(Lightroomを使っている人なら”コレクション”機能をつかってまとめるのがいいですね)
でも、こちらも出来たらプリントしてみるのがオススメです。良いプリンターを使う必要はありません。家庭用の1~2万円の複合機でも十分。紙にプリントしてみると画面で見るのとはまた違った角度から写真を見ることが出来るようになりますよ。
(参考)モニターとプリンターの色を合わせるのはこちらのエントリーがおすすめ
サイズは2L版くらいがオススメです。L版だと小さすぎて良く見ることが出来ないし、A4だと50枚プリントしてまとめるのが大変。。インク代もかかります。
その点、2L版だと程よいサイズでL版とはまったく違う迫力が出てきます。まとめるのも数百円で50枚入りのクリアファイルが買えるのでラクチンです。
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いきなり大変そうなことを書いてしまいましたが、かなり効果があると思います!
2.”セットで撮る”と意識する
次はちょっと実用的な撮影時に気をつけるポイント。
写真を始めたばかりの頃は、被写体を見つけるとそれに夢中になって周りが見えなくなってしまうことが良くあります。でも、写真はメインの被写体だけでなく周りのものとセットで考えないといけません。
どんな美味しい料理でも、お見せの雰囲気がイマイチだと味もイマイチに感じてしまうことがあるように、写真だってメインの被写体が良くても、周りに映っているものがイマイチなら、写真もイマイチに感じてしまうかもしれません。
被写体を見つけたら、一度落ち着いて、周りに何があるか見渡してから ”どれとセットで撮ろうかな?”(場合によっては ”どれを省こうかな?")と考えてみると写真のバリエーションが増えてきます。
周りの雰囲気といっても、非常に様々なのでここでは一つだけ、「3分割構図」+「ナナメ」のセットをご紹介してみます。
「3分割構図」+「ナナメ」
三分割構図は聞いたことがかる人が多いと思いますが、写真界の鉄板構図。とりあえずこれで撮っておけばOKという万能構図です。
構図の入門編はこちら!
三分割構図とは、写真を撮るときに、上下左右を三分割して考えて、撮りたいものをその交点や線上に置くとスッキリ見えますよ!といった構図です。場合によっては縦横4分割した「4分割構図」としてもOKです。
まず、この構図を知らなかった方はとりあえず、この三分割構図を身につけましょう。
で、三分割構図を意識して撮っているのになんだか上手く見えない。。という人はそれにナナメをプラスしてみると動きがグッと出る写真になります。斜めの配置や線は無意識に目が行くことが多いんです。
三分割構図の安定感と対角構図の動きを両方使えるお得なセットです☆
二つの被写体を対角線に配置する
一番お手軽なのはこれでしょうか。一番撮りたいもの(主題)を見つけたら、セットで撮りたいもの(副題)を対角線になるように配置してみます。
三分割構図の右上と左下、左上と右下に配置するイメージです。
シャチ(主題)と親子のシルエット(副題)をナナメに配置しました。
同じのを2つ並べても良いですね。お花を撮影する場合はワリと鉄板なセットです。
対角線に配置しつつ、左下のお皿は細長かったので、お皿単体もナナメにしてみました。
猫の顔(主題)と手(副題)を別々に考えてナナメに配置してもいいですね。
周りの景色でナナメを作る
被写体が二つ無くても周りの景色でナナメを作っても良いです。
一般に消失点と呼ばれる道の先の部分を三分割構図の交点に置くと周りの景色がそこに吸い込まれるような感じになります。できるだけ広角で撮るのがポイント。
雨上がりの地面に映っている京都タワー。街頭の照り返しがナナメに入る場所を探しました。
影を使ってみるのもいいですね!
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いくつか例を挙げてみましたが、撮りたい!と感じたものだけを撮るので無く、プラスアルファのものをセットで絡めてあげると様々なバリエーションが作れます。
ただし、最初は3つ以上のものを絡めるのは難しいかも知れません。まずは”2つの被写体をシンプルにセットにする”と考えると良いでしょう。
構図の応用の仕方は以下の記事もおすすめです
3.一歩近づいて撮ってみる
最後のポイントは撮るときに”一歩近づいてみよう”ということです。
写真を始めたばかりのころは、カメラ(レンズの焦点距離)と被写体との距離感がなかなか掴めず、どのくらい離れて撮って良いか分からなくなることがあります。
そんなとき、多くの人はかなり控えめに被写体と大きめの距離をとって撮影することが多いです。写真教室などで一般の方と写真を撮るときも欲あるのですがこのパターンは非常に多いです。日本人の控えめな性格が影響しているのかも知れません。
まず近づいて、離れながら撮ってみる
数百メートルも先の被写体を撮るのであれば別ですが、数メートルの距離感の被写体を撮る場合は、一歩分近づくだけで写真の印象は大きく変わってきます。
例えば木を撮るとき。幹から1m離れて撮るのと、ぐっと近づいて20㎝の距離から撮るのでは全く写真のイメージが変わります。
ただ近づいただけでこんなにイメージが違ってきますが普通の人はここまで近づきません。。慣れないとなかなかここまで近づけないのです。
これまでの経験上、近づきながら撮ろう!という意識だとなかなか近づくことが出来ない人が多いので、個人的には一度被写体がはみ出るくらいまで近づいて、離れながら撮ってみるのがオススメです。
撮って一歩近づくのでは無く、まず最初に一歩近づいてから撮影を始めるのが良いです。
*もちろん近づいて撮る写真がすべて良い訳ではありません。近づいた時と離れたときの景色を比較できるというのが大事なわけです。
アングルやポジションの考え方は以下の記事もおすすめです
ズームを封印してみる
もう一つのオススメはズームを封印することです。単焦点レンズを持っているならそれを使ってみるのが良いです。
個人的には写真の様々な楽しさを味わうためにはズームレンズを最初から持っておくのがいいかなと思っているのですが、ズームレンズには大きな副作用があります。それは一歩近づくかわりに、ズームして大きくしちゃうこと。
ズームせずに(広角のまま)一歩近づいて被写体を大きく写すのと、ズームして(広角⇒望遠)被写体を大きく写した結果は違います。
これも一概にどちらが正解というわけでは無いのですが、一般的には広角のまま近づいて撮った方が写真に迫力が出ることが多いです。
足を使えば左右の移動も
また、ズームだけで大きさを調整する時はその場を動きませんが、ズームを封印してしまえば足を使うので前後だけで無く左右にも自然に動けるようになりますよね。
2番目のポイントで「 ”セットで撮る”と意識する」とありましたが、左右に動くと2つの被写体の位置関係が調整しやすくなるため、構図を作りやすくなります。
焦点距離縛りで撮ってみる
初心者はまず単焦点を使いなさい!という人が多い理由の多くはここにあります。単焦点レンズを使えばズームが出来ないので足を使うしか無いからです。
でも、被写体やその場の状況によって最適な焦点距離は違いますし、人によって好きな焦点距離はバラバラです。
単焦点レンズを複数用意するのは金銭的にも大変だし、常に複数のレンズを持ち歩いて、交換しながら使うのは大変ですよね。。
ということで、私はどちらかというとズームレンズ推進派なのですが、そんなズームレンズをお使いの方にオススメなのは、ズームリングをテープで固定してしまう練習方法です。
強制的にズームできなくしてしまえば単焦点レンズと同じようにズームレンズを使え、被写体との距離感を掴んだり、足を使って構図を作るクセが付くようになります。本物の単焦点レンズほどF値は小さくなりませんが、構図的な事を考えればF値の大きさはさほど重要ではありません。
今日は35mm固定して撮ってみるとか、今週は50mmだけで撮る!のような縛りを設けて撮ってみるとかなり練習になるはずです。
ズームレンズでも被写体との距離感を感じることが出来るようになれば鬼に金棒ですね!
パーマセルかマスキングテープ
ズームリングを固定するのは普通のテープでも良いのですが、糊残りの多いものやあまりに接着力の強いものは避けた方が良さそうです。
オススメはパーマセルテープという主にスタジオや舞台で使われる紙テープ。手で簡単にちぎれて程よい粘着力で糊残りも少ないので1本持っていると何かと重宝します。
無い場合は最近流行のマスキングテープでもOK。これなら100均でも買えますね。
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一般的なキットレンズは18-55mmとかいうズーム域ですが、これなら24mm、35mm、50mmの3つの代表的な焦点距離を1本のレンズで試すことができます。
これで自分は50mmが好きかも!と思ったら、50mmの単焦点レンズの購入を検討してみても良いかも知れません。
まとめ:いつもと違った方法で写真を楽しんでみよう
ということで、写真を始めてから”もっと上手になりたい!”と思ったときにやってみると良い事を3つほど紹介してみました。
自分の写真がなんだかマンネリしてきたなぁという方は、いつもとは違った写真を見たり、撮影時にちょっと違った視点で撮ってみたり、ちょっと変わった撮影方法を試してみるとなにか光が見えてくるかもしれませんね。
冒頭でも書いてみましたが、まずは自分はどんな写真が撮りたいのかな?ということに目を向けてみると良いかと思います。
ぜひお試しあれ!
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