どんな状況でもステキな桜を撮るっ!
日本人の最も好きなお花のひとつである桜ですが、盛りの時期が短いため良い条件で撮れるかどうかは運にも左右されます。条件の良い日ならどんな事をしてもいい感じに撮れてしまいますが、どんより曇っていたりすると急に撮影の難易度が上がってしまうのですね。
そこで今回はどんな状況でもステキな桜の写真を残せるようにいくつかのシーンに分けて桜の撮り方のポイントを紹介していきます。一眼レフやミラーレス向けの内容ではありますが、スマホや普通のカメラにも応用できる点も多くありますよ。
スッキリ良く晴れた日の撮り方
スッキリと良く晴れた日は最も桜を撮りやすいベストコンディションです。正直なところオート設定でシャッターを押しただけでもそれなりに良く撮れます(笑)
プラスαで写真を良くしたいなら次のポイントに気をつけてみましょう!
・風景モードで撮る
一眼レフやミラーレスにはピクチャースタイルやピクチャーコントロールといった写真の仕上がりに関する設定があります。ここを「風景」や「ビビッド」に設定すると写真にメリハリが出て青空と桜色のコントラストも良くなります。
晴れの日に限らず桜を撮るときにオススメの設定です。
左がピクチャースタイル「スタンダード」(初期設定)、右が「風景」
右の方が色もキレイでメリハリがありますね。
メーカーにより呼び名は様々ですのでご使用のカメラに応じて下記のような設定項目を探してみましょう。
ピクチャースタイルについては下記の記事も参考にどうぞ!
・C-PLフィルターを使ってみる
青空の色をもっと濃くしたり、空とお花のコントラストを高めたい場合はC-PLフィルターという特殊なフィルターを使うとより効果的です。
効果が得やすいのは順光(太陽を背にした状態)の時です。レンズに入ってくる光そのものを制御するので撮影後に彩度を調整するよりも高品位に写真を仕上げられます。
フィルターのお値段がやや高めなのが玉に瑕ですが、風景を良く撮る人なら持っていて損はありません。秋の紅葉シーズンにも活躍しますよ。C-PLフィルターに限らず、レンズのフィルター類は普通のお店よりAmazonが圧倒的に安い場合が多いです。
C-PLフィルターの使い方のコツなどは下記記事も参考にしてみてください!
曇りの日の撮り方
桜の撮影で最も難しいのが曇りの日だと思います。特にソメイヨシノはお花の色が薄いので曇ってしまうと空の色とお花の色が同化してしまいかなりどんよりしてしまいます。。
晴れの日に比べてかなり難しい撮影になりますがいくつかのポイントを押さえておきましょう。
・空は入れない、アップで撮る
どんより空と桜を絡めるのはかなり難しいため、曇りの日は割り切って「空を入れない」としてしまった方が良いかも知れません。
例えば、有名な桜でも曇りの日に普通に撮るとこんな残念な感じになります。。
曇りの日に空をたくさん入れてしまうと空の白い色に引っ張られてお花は暗くなるわ、色も単調でつまらなくなるわでどうしようもなくなります。
そんなときはなるべく空を入れずに、アップでお花のきれいな部分だけ狙ってみます。例えばこんな感じ。
背景の色が濃くなったのでお花が映えました。上の写真と同じ日に撮ったものです。この「背景の色」というのは非常に重要です。
背景の色を変えて撮影するのがポイント
曇り空を背景にすると良いことはないので、アップで撮りつつ背景の色を変えて撮影すると見栄えのする写真になってきます。
これも上の写真と同じ日に背景の色をガラッと変えて撮ってみたもの。
背景の緑色は芝生の緑色です。
これら3枚ま同じお天気の同じ日に撮った写真ですが、全然見た目が違いますよね。
・マゼンタを足して撮る
それでも全体を写したい場合はホワイトバランス(WB)補正でマゼンタ(M)を足して撮影してみると良いです。
カメラのホワイトバランスの設定には「ホワイトバランス補正」や「ホワイトバランス微調整」という項目があるのでそこでマゼンタ(M)側にホワイトバランスを調整します。
マゼンタを足すことでお花(特にソメイヨシノのような薄めの色の花)の色がハッキリしてきます。曇りの日に空を入れて撮影しても桜が満開状態ならこのくらいハッキリとお花の様子が分かるようになります。
副作用として、桜以外の部分も紫っぽくなってしまうので全体の色を見ながらほどほどに。1/3くらい(キヤノンならM+3)を目安に前後させてみましょう。
プラス補正も忘れずに!
曇りの日は空の白色に引っ張られて桜自体が暗く写ります。色を変えるだけでなく露出補正で明るめに撮っておくことも大事です。
ホワイトバランス補正は次の記事も参考にどうぞ!
・どうしてもダメならRAW現像!
とはいえ、マゼンタ足しで効果が得やすいのはお花の密度がいっぱいのかなり状態の良い桜の時です。普通の桜だとここまで劇的には変わらないかも知れません。
最終的にはRAW現像で救うしかない場合もあります。例えばこんな場面。
マゼンタも足して、明るめに撮っても左の状態までしか持って来られませんでした。。そこでAdobe LightroomでRAW現像をして調整したのが右の写真。
部分補正など使わず全体調整のスライダーをグリグリ調整するだけでもこんなに写真の印象が変わります。やや上級者向けですが、条件の悪い日はこのような後処理ありきの撮り方もアリだと思います。
Lightroomについては下記の記事がおすすめ!
雨の日の撮り方
基本的には曇りの日と同じ考え方でOKですが、雨の日ならではの要素もプラスしてみましょう。
・水滴に着目する
雨の日はお花に水滴がついているのでマクロレンズでギリギリまで寄ってみると雨の日を生かした写真になりますね。
水滴をここまで大きく撮影するためにはマクロレンズが必須です。
マクロ撮影は下記の記事も参考にどうぞ
・足下に着目する
雨の日は桜の花びらが地面に落ちてしまうことが多くなります。ですから上だけではなく足下に着目するのもおすすめです。足下なら曇り空も入らないですしね!
雨で落ちたばかりの花びらは状態も良いものが多いので色がキレイです。
タイミングが良ければこんな上も下も桜!みたいな場面になることも。雨だからといって諦めてしまうのはもったいないです。
水たまりもチャンス!
雨が降れば水たまりができ、水たまりができればそこに映り込みが発生します。
水たまりに映り込んだ世界を撮ってみるというのも面白いですよ。もちろん雨上がりの撮影でも有効です。
水たまりへの映り込みの詳細はこちらの記事へ!
人がたくさんいる時の撮り方
みんな大好きな桜ですからちょっと有名な場所では人が写ってしまうことは避けられません。。
・人を積極的に絡めて撮ってみる
人がたくさんいればどうやったって人は写ってしまいます。そんなときは人を絡めて撮ってみるのがおすすめ。写真に人が絡むことでグッと印象的になります。
人を絡めるときのポイントは望遠気味のレンズを使うこと。望遠レンズを使えば背景が写る範囲が狭まるため周りに人が多い状況でも撮りやすいです。100~200mmくらいがおすすめ。あまり望遠すぎて盗撮にならないように注意しましょう。
また、一般の人はこちらの思い通りにポーズをとってくれないので、ココだと思ったときにすぐにシャッターが押せる瞬発力は必要です。このあたりは普段からカメラの操作に慣れ、スナップなどで腕を磨いておく必要がありますね^^;
・ボカして背景の色にしてしまう
人が多いのなら人をボカして見えなくしてしまうのもアリです。
さらに一歩進めて、ただ見えなくするのではなくその場の雰囲気を表したり、カラフルな洋服を着ている人をボカして写真のアクセントにするというアイデアも使えます。何事も工夫ですね。
大きくボカすためには大口径ズームや単焦点レンズなどが便利。明るい単焦点レンズは1つ持っていると何かと重宝します。
キヤノンの旧撒き餌レンズと桜のコラボ記事はこちら!
・どうしてもダメなら消してしまうのもアリ
できることなら現場の雰囲気も絡めてそのまま撮っておきたいものですが、やっぱりどうしても人を入れると絵作りしにくいというシーンはあると思います。
そんなときは撮影後に人を消してしまうという手もあります。あくまで最終手段ですが。。
たとえばこの写真。京都の有名な場所で撮ったのですが平日の早朝に出かけても人がたくさんいました。どうしても引きで撮影しておきたかったのですが、残念ながら私の腕ではこの人たちをステキに生かせる構図が見つけられないためあとで消す作戦へ。
4~5人ほど写っています。この人たちに罪はないのですが消させてもらいましょう。Lightroomのスポット修正でなぞるだけです。(ただしすべて上手くいく保証はない)
人を消して、右の日陰の部分を調整しつつ全体整えるとこんな感じになるのですね。
だいぶスッキリしました!
studio9でやってるLightroomセミナーでよくこの写真を使うのですが上手くゆけばこのくらいキレイに消えます。
コンテストでは注意しましょう
個人的に作品作りするのであればいくら消そうが問題ないですが、写真コンテストに応募する場合はコンテストによっては元にあったものを消すのはNGみたいなものも多いです(厳格なところだとあとでRAW提出求められるとかも)。
その場合はきちんとそのコンテストにあったルールで応募しましょう。
夜桜(ライトアップ)の撮り方
暗くなってからライトアップされた桜も人気ですが、実はライトアップされた桜の撮影難易度は非常に高いです。。少しでも良い写真にするため以下のポイントに気をつけましょう。
・狙いはライトアップ直後
ライトアップされた桜の難しいところは、空は真っ暗なのに桜にはライトが照らされ明るくなっているからです。カメラは真っ黒なものと非常に明るいものを同時にキレイに撮るのは苦手なんですね。
ライトアップを弱めてくれとは言えないので、狙いは空の明るさがまだうっすら残っているようなライトアップ直後の時間帯です。これなら空と桜の明るさの差(輝度差)は少なくキレイに撮影することが可能!
・暗くなってしまったらシルエットで撮るのもアリ
スケジュールの都合で暗くなってしまってからしか撮れない場合は真っ暗な空をあまり入れずにアップで撮るなど、曇りの日と同じような狙い方で撮るのもいいでしょう。
また、やや上級編ですが明るい桜の部分に露出を合わせて周りの景色をシルエットにして表現するのも面白いです。撮影時はマイナス補正して桜の部分が白飛びしないよう注意して撮影します。
HDRで撮ってみてもOK
ちょっと上級者向きですが、夜の輝度差が大きな桜ならHDRという手法で撮影してみるのもアリです。HDRとは露出の違う複数の写真(大抵は3~5枚)を別々に撮影し、明るさのいいとこ取りをするように合成する手法です。
最近のカメラなら大抵HDR機能が入っていますし、Lightroomなどを使って後でHDR合成をすることもできます(後者のほうが詳しく調整出来る)。
例えば、下の写真は東京タワーと桜をHDRで合成してみました。明るい東京タワーと暗い桜の二つを両立できていますね。
・魔法の現像ソフト Lightroomならここまで出来る!18のスゴい機能をまとめたよ!
まとめ
ということで、様々なシーンでおすすめの撮り方をまとめてみました。
今年(2016年)は今週末がピークとなるところが多そうですが、あいにく全国的には曇りっぽい所が多そうです。ぜひ今回のポイントを思い出してステキな写真を残してみて下さいね!