旅行にどんなカメラを持っていきますか?
皆さんは旅行に行くときにどんなカメラを持って行きますか?
しっかり写真を撮りたいから一眼レフという方、いろんなレンズをお手軽に楽しめるミラーレスを持っていくという方、いやいや別に写真なんかスマホでいいよという方など、色んな方がいらっしゃるかと思います。
かくいう私はミラーレス派でした。一眼レフは旅行を楽しむにはちょっと重すぎますし、かといってスマホというのは少し味気ない。だから旅行に行くときはいつもミラーレスを持っていってました。
しかし今回普段あまり行かない海外旅行に行くことになり、持っていく荷物を極力減らそうとした結果、私が苦肉の策で選んだカメラはそう、コンパクトデジタルカメラ。
え?このスマホ時代にコンデジ?
そう思われる方も多いかと思います(私も最初はそう思ってました)が、このスマホ時代だからこそのコンデジという選択肢をあえてとってみたのです。先に言っておきますが、この選択は自分が想像していた以上に素晴らしい選択だったと思います。
旅行を最大限楽しみながら、いい写真を撮る。
このミッションの最大公約数をしっかりととることができるのはコンデジしかありえない…、そう今では思っています。今回のヨーロッパ旅行で実際にコンデジを使ってみて、スマホ時代における現在のコンデジが置かれるべき最適なポジションをしっかりと認識することができました。そして、やっぱりコンデジはスマホとは違う「本物のカメラ」なのだなということも再認識させられましたね。
ということで、今回は海外旅行に持っていってわかったコンパクトデジタルカメラのメリットについて皆さんにご紹介していきたいと思います。これを読んだらコンデジが一台、手元に欲しくなってしまうかもしれませんので気をつけてお読みください。
一眼レフでもミラーレスでもスマホでもなく、あえてコンデジという選択をした理由
普段旅行に持っていくFuji X-E2と、今回持って行ったRICOH GR2。
「え?カメラ持ってくの?」
旅行の一ヶ月前、私が準備していた持ち物を目にして妻が私に言いました。「そんな大きいカメラを持っていってどうするの?」と。
「一眼レフじゃなくて、ミラーレスだからそんなに大きくならないよ」とは言ったものの、ちらりとカメラバッグのほうを見ると、確かにちょっと荷物になりそうな感じは否めません。しぶしぶカバンの中に入っていたレンズを整理しながら「ズームレンズ一本持あれば十分か…」と思った矢先、妻の口から衝撃的な一言。
「スマホじゃダメなの?」
「いや、さすがにスマホはない!」と心の中で思いながらも、荷物削減を掲げた妻の気迫はすさまじく「スマホじゃダメです…」と思わず敬語で返答してしまう私でした。
大きなカメラは移動する旅行では不便である
私はこれまで旅行といえば国内ばかりで、海外旅行らしい旅行はしたことがありません。カメラは好きなのですが、意外と出不精でもあるのです。一方で妻は旅行が大好きで、連休を見つければ旅行に行き、一人でふらっと海外にも行ってしまうほど、いわば海外旅行のベテランでもあります。
つまり彼女が私にかけた言葉は海外旅行上級者としてのアドバイスでもあるわけで、家庭内のパワーバランスを抜きにしても聞かざるを得ない説得力がありました。
しかも、今回の旅行は鉄道を使ってのドイツ縦断旅行。スーツケースなどの荷物を持ちながら移動することが多いことが最初から予想されていたので、できるだけ荷物を少なくしたいという妻の考えはある意味とても合理的であったのです。もちろん、私としても移動することはある程度頭には入れていたので、ミラーレスに単焦点レンズとズームレンズを一本ずつを持っていけば良いかなと、軽く考えていました。
意外と大きいミラーレスとズームレンズ
しかし、妻からカメラの大きさを指摘され、改めてよく確認してみると確かにミラーレスでも結構な荷物になります。というか、カメラとレンズを首からぶら下げ、かつ手持ちのカバンとスーツケースを持ちながら頻繁に移動するということを想定するとやっぱりちょっと厳しい。2、3日くらいならなんとか大丈夫だけど、6日間という長期の旅行であることを考えると、やはりカメラは置いていったほうが無難なのかなと思ってしまったのです。
妻の合理的な説得に負けそうな私。しかし一方で「せっかくドイツに行くのにカメラがスマホだけなんて寂しすぎやしませんか」そんな思いも大きくありました。
「うーん…」
腕を組みながら、あれこれ頭の中で考えた結果、私は一つの決断をしました。
「よし!コンデジを持って行こう!」
コンデジであれば軽いし、手持ちのカバンにも入れられるので荷物にもならない。しかも、画質や機能などを考えるとスマホよりは楽しんで撮影できるだろう。そう考えるに至ったのです。
コンデジを持って行くと決断した私はすぐさまネットでリサーチを開始。機動性や画質、RAW撮影可能という一定の条件をクリアしたコンデジの中からRICOHのGR2を選択し、翌日にはGR2を手に入れ、妻の呆れた顔を見ることとなりました。
28mm(35mm換算)という広角の単焦点レンズはスナップでも使いやすい。
ちなみに今となってはこの時の決断は結果的に大正解であり「スマホ時代にコンデジは不要である」という私の中にあったコンデジの評価を改めることとなったのです。
コンパクトで軽い!全く苦にならない携帯性
ドイツに到着し、実際に使ってみた最初の感想は「なにこれ、めっちゃ軽い!!」です。
コンデジのメリットといえば、何よりも一番に上がってくるのはその携帯性。私が選んだGR2は11.7cm × 6.2cm × 3.4cmと手持ちのカバンに入れても全く気にならない大きさです。
しかも、重さはわずか251gと本当に軽い。普段の生活で一眼レフを使っている私としてはGR2は羽のような感覚で、持ち運んで移動するときに煩わしさを感じることは一切ありませんでした。実際、旅行中はずっとネックストラップをつけ首にかけて移動していたのですが、肩や首を痛めるようなこともなく(一眼レフでは何度か肩を痛めた経験あり)、今回は非常に快適に旅行を楽しむことができました。
また、これはコンデジというよりもGR2というカメラの特性かもしれませんが、起動するまでの時間が非常に短く、撮りたいなと思ったタイミングでストレスなくシャッターを押すことができたことも快適さを印象付ける一つの要因だと感じています。
可愛らしい車だったので思わずパシャり ローテンブルグにて
ドイツは観光地だけでなく、街中を歩いているだけでシャッターを押したくなる場面が多いです。そのため、面白そうな場所があればさっとカメラを構えてパシャパシャと一心不乱にシャッター押しまくっていました。やはり、スナップ撮影となるとコンデジの機動性がいかんなく発揮されます。撮影していてスナップとコンデジの相性の良さを再認識することとなりました。撮りたいと思った瞬間に、サッと取り出してすぐに撮影できるのはやはり魅力的です。
また街中ではなく、文化財などがある歴史的な建造物の中では壁や作品などを傷つけないようにするため、一眼レフをカバンの中に入れるよう指示されることが多々あります、場合によってはカバンすら受付に預けなければならない場所などもあり、これにはちょっと驚きでした。コンデジやスマホですとそういった指示はなかったので、一眼レフを持っていたら少々面倒な場面だったろうと思います。
ミュンヘンのレジデンツ
実際、上の写真にあるレジデンツでは一眼レフを持ってた人が何度かバッグにカメラを入れるよう指示され、めんどくさくなって途中からスマホで撮影しはじめる、なんて場面などを見かけました。やはり何度も出し入れするのは相当めんどくさいですよね。可哀想だなと思いながらも、思わず苦笑いして見てしまいました。
6日間で総歩行距離は約100km…やはり軽いカメラで正解だった
これは後日談ではありますが、帰国後調べてみると、今回の5泊6日の旅行の総歩行距離は約100km。つまり、平均して1日あたり20kmも歩いていたということになります(その割にはなぜか太って帰国しましたが…)。
確かに観光地や街中をグルグルと歩き回り「かなり歩いたなぁ」という感覚はありましたが、まさか20km/日も歩いていたとは…ちょっと驚きです。もし仮に一眼レフとズームレンズをぶら下げて同じように歩き回っていたら、おそらく肩か首が早い段階でやられていたと思います。
フルサイズの一眼レフであればレンズ込みで1.0~1.5kg、一眼レフよりも軽いとされるミラーレスでもレンズ込みであれば500~800gにはなります(私の持っているFuji XE-2と標準ズームで675gでした)。海外旅行に限らず、観光地を巡る旅行というのは自分が想定しているよりも歩き回ることが多いものです。最初はたくさんシャッターを切っていたのに、旅行後半では疲れてカメラすら持ってなかった…なんて経験ないですかね?そういう意味では、コンパクトで軽いコンデジの携帯性というのは、旅行を楽しむという面でも大きな魅力と言えるのではないでしょうか。
人に威圧感を与えない撮影ができる
コンデジだからこその自然体 ケルンにて
サイズが小さいというのは、持ち運びだけでなく撮影にも影響することがあります。
一眼レフは意外と大きいのでレンズを向けられるとちょっとした威圧感があるんですよね。大抵の人は普段はカメラを向けられることに慣れていないので、顔がこわばってしまったり、意識してしまったりするなど自然な撮影ができないことが多いです。
一方でスマホになると話は別で、カメラを向けられていてもあまり意識させることなく撮影できるので不思議です。スマホはレンズを向けるだけですが、一眼レフだとカメラをしっかり構えて撮影するので、フレームに入ってなかったとしても、なんだか狙われている感じがして緊張してしまうのかもしれません。
では、コンデジはどうだったのかと言うと、これはスマホに近い感覚でした。街中で色々とカメラを向けてもフレンドリーというか、変に意識されずに撮影ができたと思います。これはコンデジで撮影するメリットとして想定していない部分でしたが、実際に撮影していてとても印象的でした。
RAWはスマホじゃダメなんです
今回私がコンデジを選ぶにあたって重視したポイントが、RAW撮影が可能かどうかということ。RAW撮影についてはここで説明すると長くなってしまうので省きますが、要は撮影後に編集しやすい画像として保存できかどうかということです。
少々曇りで暗かったがRAW現像でここまで明るくできる
アウアードゥルトの蚤の市と移動式遊園地
キレイな街並みや風景など、こだわって撮影したい写真なんかはJPEGよりもRAWで撮って、時間をかけて後でゆっくりと現像していくのも楽しいですよね。
実はスマホでもカメラアプリを使えばRAW撮影は可能なのですが、標準のカメラアプリやちょっと古い型ですとRAWでの撮影はできません(ちなみに私が持っているiphone5sは未対応)。また、スマホはセンサーサイズが小さいということもあり、編集時にノイズが乗りやすいというデメリットがあります(スマホでRAW撮影できるだけでも、かなりすごいことなんですけどね)。
それとRAWですと画像1枚あたり10MB超の容量を使うので、スマホを使ってがっつり撮影というのはちょっと厳しいかなというのが正直な感想です。現状、RAW撮影という点においてはスマホよりも明らかにコンデジの方に軍配が上がると言えます。
RAWで撮影した写真はLightroomで現像
ちなみに余談ではありますが、RAWで撮影した写真はLightroomなどのソフトを使って現像していきます。このサイト内の記事の中でも中原さんがLightroomをお勧めされていましたが、やっぱりすごく使いやすいですね。(現像しているときにLigthroom関連の記事をめちゃくちゃ読み漁りました笑)
下の写真は実際にRAWで撮影し、Lightroomで現像した写真です。結構暗めの写真だったのですが、うまく現像すればこんな感じで色が鮮明でキレイに現像することができます。
ヴィース教会にて
教会のようなちょっとうす暗い場所での撮影も、RAWで撮影しておけば現像の際にうまく編集することができます。RAW画像は現像の際に明るさなどを調整することも可能なので、カメラの設定を気にすることなくバンバン撮影することができ、本当に便利です(その代わり1枚あたりの容量は大きくなってしまいます)。旅行にコンデジを持っていく時はRAW撮影が可能かどうか、しっかりと確認しておくと良いですね。
スマホよりも高画質
RAWでの撮影の他に私がスマホよりもコンデジを推す大きな理由として、画質の高さが挙げられます。
最近のスマホの写真は本当にキレイで「正直コンデジいらなくない?」と思う場面も多く見られるのですが、そうは言ってもやはりそこはスマホ。SNSやブログなどに載せるだけであれば十分なレベルかと思いますが「滅多に行くことのない海外での思い出をキレイな写真で残しておきたい」という気持ちがあるのであれば、ある程度の大きさのセンサーを搭載したコンデジを持っていくに越したことはないかと思います。
コンデジといってもピンキリなのですが、画質を考えるなら1インチ以上のイメージセンサーを搭載したコンデジがおすすめです。
モノクロモードで撮影 ミュンヘンの街中から
先のRAWの話でも挙げましたが、スマホですと暗所での撮影は感度を高くする必要があり、どうしてもノイズが入りやすいのが難点です。コンデジであればF値を変えたりシャッタースピードを変えたりなど設定を変えながらの撮影が可能なので、高い画質を保ったまま写真に収めることができるのは大きいと思います。
そういう意味では今回持って行ったGR2というカメラは高級コンデジというカテゴリーに入るだけのことはあり、APS-C(一眼レフやミラーレスで使われているサイズ)相当のセンサーを搭載しているということでかなり高画質の写真を撮影することが可能です。
また、レンズもコンデジとしては珍しい単焦点レンズですので、絞りを開放気味で撮影するとしっかりとボケが出ていい感じの写真になります。
絞り開放気味で撮影 ローテンブルグの店頭にて
ここまで撮影できるのであれば、旅行に持って行くカメラの選択肢として一眼レフの代わりにコンデジ、そしてスマホではなくコンデジというのもなんとなく納得できるのではないでしょうか。
ちなみにレンズに関してですが、今回のGR2のように単焦点レンズが搭載されているものもあれば、ものすごく高倍率にズームできるカメラもあります。搭載されているレンズや機能についてはカメラごとにそれぞれの特色がありますので、自分に合ったコンデジを選択すると良いかなと思います。
まとめ
スマホが普及してからというもの、コンデジを手に取る方というのは非常に少なくなったと思います。スマホも以前に比べかなり進化していて、SNSにアップしたり、ちょっとした写真であればスマホで十分対応できるようになってきました。しかも、アプリを使えばRAW撮影までできてしまうんだから、スマホの進化というのは凄まじいですよね。
ただ、だからといってコンデジがスマホに劣っているかというと、全くもってそういうわけではなく、やはりカメラとしてはコンデジの方が圧倒的に優秀だと言えます。それどころか、場面によっては一眼レフレベルでの撮影もコンデジで代用できてしまうのではないかと思えるほどの実力です。ちょっと言い過ぎかなと思うかもしれませんが、そこまでカメラとしての機能が高いのです。
また、誰が何と言っても、むちゃくちゃ軽くて本当に楽。
カバンの中に入れても全く苦にならないですし、撮影してみると結構な写真が撮れてしまうので「あれ?一眼レフっていつ使うの?」と思ってしまうほど。例えば家族や友人とちょっと遠出する時など「カメラを持って行くほどじゃないから、スマホでいいかぁ」なんて思ってた場面で、今後コンデジは大いに活躍するだろうなと思っています。
このスマホ時代にコンデジなんて必要ない。
そう考えている方も多いと思います。実際、私も思ってましたのでわかります。しかし、実際に使ってみると本当に便利でその画質の高さやカメラとしての機能の高さに驚きます。コンデジはスマホとは全く別次元の「本物のカメラ」ということに使ってみて初めて気づくことができるのです。「スマホでもいいか」と思う場面で想像以上の実力を発揮する、それがコンデジです。きちんとカメラとして撮影を楽しむことができる最小のデジタルカメラと言えるのではないでしょうか。
カメラが好きな方であれば特にですが、もし旅行に行くのであれば選択肢としてコンデジを入れておくのは大いにアリだと思います。今後の旅行の際にでも、是非参考にしてみてください。
おまけ:コンパクトだけどセンサーサイズの大きなコンデジ
studio9 中原より旅で活躍しそうなコンパクトだけどスマホよりもずっと高機能なおすすめコンデジをいくつか紹介しておきます。(記事を書いたのはライターの伊藤さんです)
リコー GR2 (APS-C相当)
今回の記事で使用した機種。一眼レフと同じ大きなセンサーを搭載し単焦点レンズという硬派な組み合わせでカメラ好きの人からの評価も高い。プライベートはこのカメラといった使い方をするプロカメラマンもいるほど。
ソニー Cyber-shot RX100シリーズ (1インチ)
一言で言えば「最強万能コンデジ」。1インチセンサーながら画質の評判も良く現在、第五世代が発売されているベストセラー。旧型も併売されているちょっと変わった販売方式。最新版はコンデジにしてはかなり高いけどAFの速さなども一眼レフ上級機種並の高性能。
ソニー SONY デジタルカメラ DSC-RX100 1.0型センサー F1.8レンズ搭載 ブラック Cyber-shot DSC-RX100
キヤノン PowerShot G9Xシリーズ (1インチ)
最新版はG9X MarkII。1インチセンサーでありながらソニーRX100より一回り小さい。画像エンジンは一眼レフと同じDGIC7が使われており、メニューや操作系もキヤノンの一眼レフに似ているのでメイン機がキヤノンならかなり使いやすいと思う。