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シーン別に撮る 写真のコツ

撮影の秋!秋ならではの風景を印象的に撮るための基礎知識とアイデア

投稿日: by 迎 崇

あの猛暑はどこへやら…気がつくとすっかり秋。 秋といえば食欲の秋、読書の秋、そして撮影の秋!ですね。秋の撮影の大定番といえば紅葉!ですが、他にも秋ならではの風景はたくさんあります。今回は撮影の秋を楽しむ定番の被写体と撮影のポイントについてご紹介します。
紅葉渡月橋

秋=紅葉だけじゃない

10月に入り、いよいよ紅葉の季節が近づいてきました。

今年の紅葉はどこで撮ろう?どうやって撮ろう?見頃はいつ...と、秋の気配を感じるとそわそわするのは私だけではないはず。でも、振り返ると毎年撮りに行く被写体が同じで、なんとなくマンネリ気味にもなっていませんか?

場所にもよりますが、本格的な紅葉シーズンまで少し時間があります。ということで紅葉撮影の準備もしつつ、身近にある秋ならではの被写体を探してみませんか。

コスモス(秋桜)の撮り方

秋を象徴する花の一つであるコスモスは10月に入ってもまだまだ楽しめます。

もう撮ったよーという方もいるかもしれませんが、ちょっと工夫するだけで一味違った印象に仕上がるので是非ご参考に!

ポイントはローアングル+露出補正

ローアングルで秋の空を入れる

ローアングルとはカメラを上に向けて撮影するアングルのこと。

花を撮るときは一般的に上から撮ることが多いかもしれませんが、下から見上げるようにして撮るイメージです。

コスモス露出補正

秋の高い空とのコラボ。

ローアングルで撮ることで画面に空が入りやすくなるのと、見上げることでコスモスの花がぐんぐんと空に向かって伸びていくような印象に仕上げることができます。

この作例は地面スレスレの高さから撮影。この位置でファインダーを覗くのは大変なのでライブビューを使っています。

コスモスローアングル

参考までにアイレベルで撮影したのがこちら。
コスモスアイレベルこれはこれで悪くありませんが、どこかで見たことがあるような定番のコスモス...。

ローアングル撮影とは印象が全く異なりますね。

水平アングル
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写真をやっている人のなかで良く誤解されている用語に「アングル」があります。よく「ローアングルで撮る」とかで使われるあれで別のタブで開く

露出補正で明るめに

極端に明るい露出補正をすることで柔らかい雰囲気を演出してみましょう。コスモス露出補正

思い切って露出補正を+1〜2にして明るくして撮ってみましょう

露出補正設定画面

ほとんどのカメラにこのような「+/-」のバーがあります。これが露出補正。

部分的に白飛びすることがありますが、気にしなくてOK!コスモスの花びらの透明感や爽やかさを表現することができます。位置によっては花の裏側から撮ることになりますが、裏側でも絵になるのもコスモスの特徴。薄くて淡い色の花びらだからこそ。

曇り空のときも露出補正で明るめに撮ることでグレーの空が白くなり、スタジオの白バックで撮影したような雰囲気に仕上げることができます。

夕日の逆光で秋らしさを演出する

秋は夕焼けが最も美しい季節。そんな夕日とコスモスを組み合わせて秋らしさを演出してみましょう。コスモス夕日順光

順光でアイレベルで撮影したコスモス。全体的に夕日の色に染まりつつあるのが分かります。

次に逆光で撮影してみると...

コスモス夕日逆光

太陽をコスモスの花びらと重なるように配置。柔らかな夕日に透けた花びら。

順光の作例とほぼ同じ時刻に撮影しました。順光→逆光でこんなにも印象が変わります。

夕日の逆光なので必然的にローアングルでの撮影になります。日中とは全く異なる印象に仕上げることができます。シルエット気味に撮影するなら露出補正を戻したり、マイナス方向に調整してみましょう。

コスモス日没

日没直前。焼けた空と相まって、どことなく切ない雰囲気に。

撮影時の注意

コスモスは背が高く茎が細いので風の影響を受けやすく、なかなかじっとしていてくれません。

そこで起こりやすいのが「被写体ブレ」です。

被写体ブレ

コスモスではないですが、風が吹くとこのように花がブレてしまいやすい

状況によって異なりますが、シャッタースピードは遅くとも1/250以上になるように設定しましょう。晴れた日中なら絞り優先モードでも遅くなることは少ないと思いますが、夕方など光が少ない状況では、撮影モードをS(Tv)シャッタースピード優先モードにして、コスモスがブレないようにシャッタースピードを調整しましょう

また、風で大きく動くとピント合わせがうまくできない場合があります。AFのモードをAF-CやAI-SERVOといった追従モードにすると、コスモスの花が動いてもピントを合わせ続けてくれます(設定方法は説明書を見てね)。

彼岸花(曼珠沙華:マンジュシャゲ)の撮り方

彼岸花は曼珠沙華とも呼ばれ、日の長さが短くなるにつれて咲く花。こちらも秋の象徴ですね。河川敷や道端などあちこちで自生している姿を見ることができます。

ポイントはローポジション+背景

ローポジションで彼岸花と目線を合わせる

彼岸花

彼岸花の特徴である長い「しべ」

ローポジションとはカメラの角度は水平のまま、高さを低くすること。彼岸花の真横から撮るイメージです。
真横から撮ることでしべの存在感が際立ち、繊細なディテールも表現しやすくなります。彼岸花

寄りだけでなく引きでも撮ってみましょう。鮮やかな緑色の茎とのコントラストも美しいですね。

背景を上手く使って鮮やかさを演出する

白、黄色もありますが、一般的な彼岸花は鮮やかな赤色(緋色)。

背景をうまく組み合わせることで強いコントラストが生まれ、彼岸花の鮮やかな赤やシルエットを際立たせることができます。
彼岸花彼岸花の後ろにあった大きな木を背景にして撮影。周りをよく見て背景が暗くなる場所がないか探してみましょう。

彼岸花

一枚目の作例では全ての彼岸花に光が当たっていましたが、こちらは木漏れ日が生み出す不規則な陰影が絶妙。彼岸花の撮影に限ったことではありませんが、常に光を意識してアングルを探っていきましょう。

雨が降った翌日を狙う

「雨後の彼岸花」と呼ばれる彼岸花。

乾燥状態が続いた後に雨が振ると、一斉に花が咲くという現象が由縁だそうです(タケノコみたい...)。なかなかタイミングに合わせて行くのは難しいかもしれませんが、雨の翌日は彼岸花についた水滴がキラキラと輝き、より神秘的に演出してくれます。

彼岸花雨上がり逆光位置で撮るとキラキラ感が出しやすくなります。

彼岸花雨上がり

倒れていた彼岸花。切ないけど美しい。

紅葉の撮り方

最後は大定番の紅葉です。早いところでは9月から、遅いところで12月ごろまで見れる紅葉。基本的には北から南にかけて紅葉前線が下りてきます。待ち遠しい!という方も多いのではないでしょうか。

紅葉の撮影も光の使い方がポイントになります。

逆光で透明感を表現する

逆光は目の前に太陽光がある状態のこと。

一般的に撮影に適さない光の状態と言われますが、実は紅葉との相性は抜群なんです。逆光を上手に使うと色付いた葉が光に透けることで、輝きや瑞々しさ、立体感を表現することができます。

鶴仙渓紅葉

曇り空でしたが、幾重にも重なった葉に空の光が透過し、空を背景に彩りを与えてくれました。

紅葉

こちらは色づき始めの紅葉。

色付きが進んでいる姿も美しいですが、個人的にはこの変わり目の瞬間も好きです。このように空に向かって写すのは背景の整理がしやすいのでオススメです。

見物客が多い場合でも映り込みを防ぐことができますし、特に晴れた日の青空は紅葉とのコントラストを表現しやすく絶好の背景になります。

紅葉逆光

中央に太陽を入れてアクセントに。広角レンズを使ったことで木々が中央上方の1点に集まる効果を作った。青空と木々とのバランスも考えよう

こちらは紅葉が終わりかけのタイミング。

一見すると鮮やかさが無いように見えますが、太陽の光が透過して色付きを終えた葉に輝きを見せてくれています。太陽の光芒がセンターに入るよう撮影位置を探りながら撮影。もう少し真上を向いても良かったのですが空間となる青空の面積が多くなりすぎるのでほどほどの角度で撮影しています。

広角(ズームレンズの広角側)で撮影するとパース効果を活かした表現ができます。上の作例も両端の木々が真ん中に集まっているように見えますよね。

広角レンズのパースについてはこちらのエントリもご参考に。

広角レンズ使いこなし
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種々ある交換レンズの中で最も使いこなしが難しい、苦手と思われているレンズの一つは恐らく超広角レンズでしょう。通常より広い別のタブで開く

順光で鮮やかさを表現する

逆光の反対は順光(じゅんこう)です。

被写体全体に光が当たるので明るくクッキリした写真を撮りやすい光の状態です。逆光と違って立体感が薄れる傾向がありますが、葉の形や色彩を鮮やかに表現することができます。

紅葉順光紅葉順光紅葉順光

C-PLフィルターを使って、より鮮やかに

C-PLフィルターはレンズの先端に付けることができる特殊なフィルターのこと。主に反射除去効果と色彩コントラスト効果があり、反射光を取り除くことで、被写体の色彩を鮮やかにしてくれます。

 

C-PLの意味を紐解くと難しくなるので割愛しますが、スポーツショップや釣具店などで偏光サングラスを見たことがある方もいらっしゃると思います。偏光サングラスは視界を暗くしてくれるだけではなく、ギラギラした反射光をカットして視界をクリアにしてくれるもの。

水面の反射なども取り除いてくれるので、釣りをする方はよく偏光サングラスをかけていますね。 カメラで使うC-PLフィルターも基本的には同じ効果が得られます。

C-PLフィルターについてはこちらのエントリも!

C-PLフィルター効果
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青空をより青くする魔法のフィルターのC-PLフィルターですが、実はその効果は空を青くするだけではありません。むしろ「反射別のタブで開く

C-PLフィルターを使うときの注意点

付けただけでは効果が発揮できない

C-PLフィルターの中には偏光膜と呼ばれるシャッターのようなものがあり、フィルターをくるくる回すことで光の反射具合をコントロールすることができます。この調節がC-PLフィルター使いこなしのキモです。

C-PLフィルター効果

また、逆光やそもそも反射が少ない曇天時などでは効果は少なくなるため、付けただけでOKというフィルターではありません。

方効きに注意!

CPL片効き

1枚の写真のうち右側はC-PLフィルターの効果が出ていますが左側は出ていないため、左右バラバラの印象に

C-PLフィルターの効果はカメラを向けた方向に対して90度の位置に太陽があると効果が最大になります。太陽の位置や光の方向に注意しないと片効きというムラがある状態になることがあります。

C-PLフィルター効果

太陽を背にして撮るイメージ

特に広角レンズで広い範囲を写すときは画面の左右で太陽との角度が大きく変わるため注意が必要です。

効かせすぎに注意!

C-PLフィルターは空を青くするだけでなく水面の映り込みを消す(軽減する)効果もあります。特にC-PLフィルターを使い始めの時は、反射が消えるのが面白くてついつい効かせすぎになりがち。

結果、全く反射がないのっぺりした写真に…。効かせすぎは違和感がある写真になりがちです。 反射を消す→反射をコントロールするという考え方で使いましょう。

C-PLフィルター効果

本来は水面に淡い映り込みがありましたが、反射を完全に消してしまったため水面がのっぺりした単調な表情になってしまいました

マンネリ脱却のための紅葉撮り方アイデア

ザ・紅葉!な写真も良いのですが、マンネリになりがちです。ちょっと目線を変えるだけで印象的な一枚を撮ることができます。

望遠レンズで切り取る

望遠レンズを使えば良いと感じた部分をピンポイントに切り取る事ができます。大きなボケを作るのも簡単。

下の写真は背景のボケ効果を出しつつ奥行きも表現してみました。このように特定の葉を狙う場合は形や色づきの美しさも意識しながらモデルとなる葉を探しましょう。
紅葉もみじ

背景の色にも着目する

背景選びも重要なポイントです。

作例では紅葉の鮮やかな色をボカすことで主役を引き立て、単調にならないよう逆光で左上の部分に明るい空間を配置しました。また、葉の形自体は美しいわけではありませんが、葉に残る緑の部分と色付きのコントラストを表現したかったので、あえてこの葉を選びました
紅葉もみじ

水面も狙い目

池の水面に浮かんだ葉。湖や池など周辺の風景もじっくり探してみましょう。紅葉以外の要素を入れることで紅葉を引きたてて見せることができます。
紅葉水面

こちらは紅葉リフレクション。川の流れのエッジを穏やかにしたかったのでスローシャッターで撮影。直接写っていなくても「あっ、紅葉だな」と分かりますね。

紅葉リフレクション

光と影の対比を作る

日陰部分と組み合わせて明暗の対比、色の対比を意識して撮影しました。手前のシルエットそのものも美しい。

紅葉シルエット

こちらも影と組み合わせ。光の形が面白い。

紅葉シルエット

雨の日もおすすめです

雨の日はしっとりとした質感を表現しやすく、雨に濡れた葉が印象的に演出してくれます。

紅葉雨の日

雨や曇り空のときは光がフラット。柔らかい光が全体に回り込み、不要な影が出ずしっとり落ち着いた表情になります。

紅葉雨の日

紅葉ライトアップ撮影のポイント

紅葉の時期は各所でライトアップが行われます。

一般的にライトは下から上に向かって当てられるので、日中とは違った鮮やかな紅葉を楽しむことができます。

兼六園ライトアップ

兼六園ライトアップ

兼六園ライトアップ

4枚撮影したものをパノラマスティッチ

三枚目は兼六園の山崎山から撮影。別名、紅葉山(もみじやま)とも呼ばれるほど紅葉の美しさが楽しめる場所で個人的にお気に入りの場所です。

ライトアップを狙うときは出来るだけ早い時間がおすすめです。完全に空が暗くなってしまうとライトアップされた部分と空との明暗差が大きくなり、空の部分が真っ黒になってしまいます。

また、高画質で撮影したい場合は三脚を使ったほうが良いですが、場所によっては三脚が禁止されている場合があるので事前に確認しましょう。禁止されていなくても人の多い場所では使用を避けるなど配慮しましょう。

まとめ

なんだかんだと紅葉の作例が多くなってしまいました。。。

一年の中で最も色が増える秋。今回挙げたもの以外でもススキやコキアなど秋を感じさせてくれる被写体はたくさんあります。

今年はいつもよりちょっと工夫を加えてみて、自分らしい一枚を撮ってみましょう!

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この記事を書いた人
迎 崇 / 専属ライター
小学生の頃、写真が趣味だった祖父の影響で一眼レフカメラで写真を撮り始める。現在は商業写真撮影の傍ら、写真ワークショップやセミナー講師としても活動中。 金沢町家アートスペース「be金沢」館長 迎 崇のプロフィールページ

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