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写真のコツ 写真の考え方

構図上達に大事な「視線の誘導」を使えると写真はもっと上手くなる!

更新日: by 中原 一雄

写真で大事なのはとにかく構図!と聞いたことは多いと思いますが、三分割構図など定番構図を取り入れてもなんだか上手にならない、マンネリを感じてしまうという人も多いでしょう。それを解決する方法の一つが「視線の誘導」です。これを取り入れることで写真に動きが出て、ワクワクするような写真になります。今回は視線の誘導を取り入れるためのテクニックをしてみます!

構図と目線の関係

マンネリ構図には視線の誘導を意識してみよう

以前studio9でも紹介した基本の4構図【三分割構図、四分割構図、日の丸構図、対角構図】を使い、その型に当てはめることで写真の見栄えはグッと良くなります(まだの人はまずこれを読んでみて!)

四分割法
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同じ風景の写真を撮っても、上手な人が撮った写真は写真全体がスッと目に入ってきて安定感がありますよね。そのポイントは”構図別のタブで開く

でも、ただ平面的に撮りたいもの(主題)を型に当てはめるだけでは、なんとなく見栄えが良くなるだけで見る人の心動かすようなグッとくる写真にすることは難しいのが現実。。

見る人を惹き付けるような写真を撮るためには基本の構図以外に様々な要素を融合させる必要があり、いわゆるセンスのある人というのはそれを感覚でやってのけるわけですが、私のような凡人はそれをもう少し具体的に考える必要があります。

大事な要素はいくつもあるわけですが、中でも個人的に大事だと思っているのが写真を見たときに「視線の動き」を感じさせることが出来るか?ということです。上手だなぁと思う写真は一枚の写真を見たときに自然と視線が誘導されて動きや奥行き、広さを感じることができるものが多いと感じます。一方でイマイチかも。。と思う写真の多くは主題の1点に視点が固定されてしまい残りのスペースは何のために撮ったの?と感じる事が多いのです。

そこで今回は基本の4構図に加えて、さらに魅力ある写真を撮るために「視線の誘導」を起こさせるテクニック(というか考え方?)を紹介してみます。今回の内容は一眼カメラでもスマホでもすべてのカメラに適用することができるテクニックですよ!

被写体には向きがあるのです

今回のテクニック、一言でいえばシャッターを押す前に「被写体の向き」を考えてみましょうということです。

なんか構図がしっくりこないと感じている初心者はココをあまり意識して撮影していない事が多いのかもしれません。人間は写真を見たときに被写体の向きを無意識に感じ取り、そっちに視線が動きやすいのです。

というわけでここから被写体の向きを考えるとどんな良いことがあるのか、どうやって考えれば良いのかを具体的に紹介していきます。

とっても簡単な考え方なので明日からすぐ出来ると思いますよ!

三分割構図の余白はどっちに空ける?

まずは王道の三分割構図を考えてみます。

三分割構図 構図

中央を避けてオレンジ色の線の上や交点に被写体を配置するのが三分割構図

三分割構図では撮りたいもの(主題)を画面の1/3の位置に置き、残りの2/3を余白として使う事でシンプルで安定感のある写真を撮ることが出来るようになります。でもその主題は右側1/3に置くべきなのか、左側1/3に置くべきなのか迷うこともありますよね。

もし迷ったことがない人は構図のセンスを持っている人か、何にも考えずにシャッターを切っている人のどちらかです。たぶん。

たとえば、次の写真は教科書通りの三分割構図。構図の型だけに当てはめるなら猿は右側1/3でも、左側1/3でもどちらに置いても良い事になりますが、私は迷わず右側1/3に置きました。こっちに置いた方がしっくりくると思ったからです。

構図と目線の関係

ではなぜ私は猿を右側に置いたのかというのが今回の話の中身になっていきます。

そのキーワードが「被写体の向き」です。

ちなみに、今回の内容は「この写真で猿は右側に置くのが絶対!」と言いたい訳ではありません。こういう考え方を持っていると便利ですよということを伝えたいだけです。念のため。

人や動物は目線の先を空ける

向きを最も考えやすい被写体は人物や動物ですね。これらの被写体は基本的に目線の方向がその「向き」だと思えばOK。三分割構図なら目線の先を2/3の余白にすれば良いのです。

次の写真は鹿が左を向いているので、向きも左。だから鹿は右下1/3に配置し、左上2/3に大きな余白を作るのが良いはずですね。

構図と目線の関係

この場合はさらに左上が朝日で明るくなり暗→明へ視線が動くテクニックも含まれている

目線が右から左に自然に動くことで背景の山の様子もしっかり印象づける事ができます。

さっき出てきた猿も同じ法則。この場合目線はわりと正面ですが、体は左側を向いているので「被写体の向き」は左方向。だから左側にスペースを空けるのが自然に見えるワケです。

構図と目線の関係

向きを間違えるとなんか微妙になりやすい

ちなみに、目線を適当に考えて撮影するとこんな感じの微妙な写真になりがちです。

構図と目線の関係

背景の木が中央にありバランスが悪いというのもある。。

これもセオリー通り主題を右下1/3ぐらいに置いた3分割構図ですが主題の印象も薄いし、画面の広がりや奥行きも感じません。左側に余白があるのに関係ない右方向に目線が行ってしまいます。左側が完全に死んでる感じ。これ、左方向に目線が来ていたらずいぶん印象が違っていたと思います。まぁ我が子なんでどう撮ったって可愛いという目線以上に大事な要素がこの写真にはあるんですが(笑)

小さい子供を撮るときは撮影者とは別のパパママなどが気を引くことが多いですが立ち位置に注意しましょう。この場合はカメラの左側(もしくはカメラの後)に立つのがベストですね。複数人で撮る場合は構図を絡めた立ち位置の連携も大事です。

モノにだって向きはある

主題が人物や動物ではない場合はどうでしょうか。その場合も大抵のモノには向きがあるはずです。分かりやすいものだとこれは明らかに左向きですよね。

構図と目線の関係

もう写真の中に左の矢印が入っちゃってます(笑)だから左側に余白を空けて船が通るタイミングを待ちました。この標識、もし左側に持ってきていたらとても違和感ある写真になり、右側の余白が死んでいたに違いありません。

コップなどの容器は口が開いている方向を「向き」として考えるのが自然だと思います。場合によっては容器のラベルなどを向きとして考えることもできるでしょうか。

構図と目線の関係

窓を撮る場合はそこから光が差し込む方向を意識して構図を考えると目線が動きやすくなりますね。

構図と目線の関係

風向きは結構大事かも

次の写真は結構ありがちな微妙な写真。青空のビーチになびく旗が印象的だったので撮ってみたのですが、なんか微妙ですね。。

おそらく原因は風向き。画面右側に旗がなびいているので主題の向きは右側。でもスペースは反対の左側2/3に空いています。

構図と目線の関係

旗が逆に向いているせいで残り2/3の美しい青空の印象が非常に弱くなり目線が動きません。「なんで左側入れたの??」ってなるわけです。これ、風向きが逆だったらかなりステキな印象になってたと思います。

もしこの風向きで同じ場所から撮るなら、縦構図でこんな感じにまとめるのが良いかもしれませんね。

構図と目線の関係

上の写真を縦構図にトリミングしただけ。これなら旗の向きの先に2/3の余白が生まれます。実際に撮るならもう少し空を入れて広々撮りたいところ

大きな被写体の例外

ここまで紹介したのはあくまで一般的なもので、もちろん例外もあります。例えは長いものとか大きすぎるものです。

この場合は被写体の方向に余白を空けようと思っても物理的に空けることは出来ないというパターンですね。例えば電車とかは典型的な例だと思います。

主題のサイズが画面の半分以上ある場合は、その向きの先に大きな余白を入れることは出来ないわけです。

構図と目線の関係

主題をはみ出すように写して、むりやり2/3の空白を作る事はできますが、それだと違和感が出ちゃいます

次の象の写真もそうですね。顔をアップで撮ろうとしたらどうやったて目線の先に大きな余白は作れません。だからこれはこれで正解。

構図と目線の関係

大きな被写体はそもそも構図が限定されるからあまり問題にならない

上で紹介したような画面の半分以上を占めるような大きな被写体は主題を収めようとすると、余白の向きは1カ所に限定されてしまうので、撮影していて「これどっちに余白作るの?」と迷うことはないはず。

向きを考えた構図は作りやすいと言えるでしょう。

ただ、この場合は限られた余白にどうやって周囲の情報を含めていくのかとか、はみ出る被写体をどう収めるのかといった他の問題が生じますけどね。

あえてタブーを作って変化を出す

次の例外はあえてタブーを犯すというものでやや上級者向き。でもこれが成功すると写真に明確な意図を植え付けられるので結構印象の強い写真になります。

向きを意識しながら撮れるようになってきたらぜひチャレンジしてみましょう!

カウンターを置いてバランスをとる

一番作りやすいのは目線の反対側にカウンターとなるオブジェクトを配置して上げる事です。これにより画面のバランスがとれてきます。例えばこんな感じ。

構図と目線の関係

印象の薄くなりがちな右側の空に太陽を入れたのでバランスがとれている

目線の先を空けるルールに従えばこの車は右側に配置するべきですが、今回は太陽があったので車の先の空間は詰め、太陽をカウンターにしてバランスをとりました。車を左に向けたことで太陽に照らされた側面も見せる事ができましたね。

次の写真はもっと分かりやすいでしょうか。ブルーインパルスの写真です。

構図と目線の関係

これも飛行機をメインとして考えれば飛行機の先に空間を空けるべきですが、スモークを見せるために進行方向の先を詰めて、スモークをカウンターとしてバランスをとってます。まぁ、この場合はスモークを合わせて主題とも考えられるの1つ前の「大きな被写体の例外」と考えることもできますね。

影はとても使いやすい

「影」もカウンターに使いやすいです。こんな感じです。

構図と目線の関係

子供の目線を詰めて、反対に伸びる影をカウンターにしてバランスをとりました。人物の目線を詰めると「この人はここからどこに向かっていくのだろう?」というような意識を感じさせやすい効果もあります。

さらに、影をカウンターに使うと目線の先は必ず明るくなりストーリーを感じさせやすく、逆光~半逆光になるためドラマチックな印象を作りやすいです。誰でも簡単に使えるので覚えておくと良いでしょう。

模様で視線を誘導する

もう一つのテクニックは被写体の模様で視線誘導を強制することです。例えばこんな感じ。

構図と目線の関係

人物の進行方向に対して空間がとても小さくセオリー通りではありませんが、特に違和感はありません。左側の大きく空いたスペースがきちんと有効に働いているからです。

線を入れるとこんな感じ。

構図と目線の関係

地面の規則的な模様が主題に向かう視線を強制するので違和感がないのですね。人物の影もカウンターとしてある程度効いているというのもあるでしょう。これもこの人はどこに行くんだろうな?というイメージが強まっていますね。

こうやって主題の周りにある規則的な模様などを使って見る人の視線をコントロールしてあげるのも良いでしょう。

まとめ:視線を意識すると構図はもっと楽しくなる

ということで「視線の誘導」をテーマに構図のステップアップに必要なエッセンスを紹介してみました。ポイントをおさらいすると、

  • 撮影前に被写体の向きを考える
  • 被写体の向き(目線)の先に大きなスペースを作る
  • 大きな被写体はスペースがなくてもOK
  • あえて目線の先を詰めて他の要素でバランスをとる

ということですね。

後半の応用はすぐできる必要はありませんが、まずはシンプルな三分割構図を撮る時に「被写体はどっちを向いているのか」ということを考えてシャッターを押せると良いですね。

センスに自信のない人でも被写体の向きを意識して撮れば再現性の高い良い写真が撮れるようになると思いますよ!

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この記事を書いた人
中原 一雄 / カメラマン・中の人
普段はカメラマンとして活動しながらstudio9(すたじお・きゅう)の管理、運営をしています。「写真をもっと、あなたのそばに」をテーマに、カメラに使われるのではなく、カメラと友達になる方法を広めるために活動中のフォトグラファー。 中原 一雄のプロフィールページ

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