今年こそ上手に初日の出を捕える!
今回のテーマは初日の出の上手な撮り方。一年で最初のビックイベントをしっかり捕えるためのポイントやコツを7つに分けてご紹介します!刻一刻と変わる空の状況を読みながら素敵な新年を迎えてみましょう。
初日の出の撮影といえば、当然日の出の瞬間が最も大事な時ではありますが、その前の薄明の時間帯(Blue Hourと呼ばれる)も大変美しい瞬間です。本エントリーでは事前準備、場所の選定から当日の薄明~日の出まで時系列でポイントをご紹介していきます☆
1.初日の出撮影に必要な機材
必要な撮影機材はカメラ、レンズ、できれば三脚です。
カメラ
使うカメラは普通の物でも構いません。一眼レフでもミラーレスでも。なんならコンデジやiPhone(スマホ)でも良いです(この記事では一眼レフ、ミラーレス向けの内容を中心にお届けします)。ただ、日の出前はほとんど夜と同じですので暗い所で撮りやすい高感度に強いカメラが適しています。
最近のスマホ(特にiPhoneなどのハイエンド機種)は逆光にもかなり強くなっているので
レンズ
レンズも好みではありますが、買ったときに付いていた標準ズームがあればOK。もし望遠レンズを持っているなら望遠も持っていくことをおススメします。
「日の出→風景→広角レンズ」と考える人がいるかもしれませんが、広角だと太陽は豆粒くらいでしか写りません。。周りの広い風景とセットで撮れる場所ならば広角でも良いですが、周りがごちゃごちゃしている都市部や太陽を迫力あるように撮りたい方なら35mm判換算で100mm前後のやや望遠気味で撮るのもおススメです。
35mm換算で100mmというのは一般的な一眼レフやミラーレス(APS-Cセンサー)で70mm前後(1.5倍すると100mm)、オリンパスやパナソニックのマイクロフォーサーズ規格のカメラなら50mm(2倍すると100mm)になります。
iPhoneなどスマホのカメラは広角(28mm前後)なので×2~3まで拡大して撮影するのがおすすめです。
下の写真はエントリー一眼のEOS Kiss X9とWズームキットの望遠レンズで撮りました。これで35mm判換算400mmくらい。太陽をこのくらい大きく写したいならかなり望遠する必要があります。といってもキットレンズで撮れる範囲ですけどね。
35㎜換算って??という方はこちらのエントリーもご参照ください。
三脚(できれば)
日の出前は暗く、風景はある程度絞って(F8~F11くらい)撮ったほうが綺麗に撮れるのでできれば三脚を使ったほうが良いです。狙うアングルも大体決まっているので。待っている間、カメラを持たなくていいのでポケットで手を温められたりする利点も。
もちろんなくてもF値を小さくして、感度を上げて対応すれば手持ちでも十分取れます。夜景ですら手持ちで撮れちゃう時代ですから。ここ1〜2年に発売された新しいカメラならオートに設定してしっかり構えて撮るだけでもワリとキレイに撮れます。
また、人気スポットなんかだと三脚禁止だとか、禁止にはなっていなくても通路など明らかに迷惑だよな。。という場所もあるでしょうから、混んでいる場所に行かれる方は周りの状況を良く見て撮影しましょう。初日の出は写真を撮らない普通の人もたくさんいることを忘れてはなりません。
その他必要 or あったら便利な小物
予備の電池
寒いと電池の消耗がとても激しくなります。特に三脚でライブビューを多用しているとみるみる電池が減っていくことも。できれば予備の電池も用意しておきましょう。予備電池は胸ポケットなど使う直前まで暖かい所にしまっておくと持ちが良くなります。
スマホもバッテリーの消耗が速くなるのでモバイルバッテリーなど現地で充電できるものを持っていると安心ですね。
ライト類
夜明け前のブルーアワーを狙うなら現場に付くころは真っ暗でしょうから持っていきましょう。できればヘッドライトがおススメ。100均で売ってるようなペンライトでもあるとないとでは大違い。
スマホで撮影する人はスマホのライトを使うとカメラのセッティングができなくなるので別に用意しておく方が良いですよ!
レリーズ(できれば無線の)
レリーズとはカメラに接続してリモートでシャッターを切るアイテムです。無線のものもありますし、最近のカメラでWi-FiやBuluetoothに対応したものならスマホからでもシャッターが切れますね。
三脚を使うなら超おススメです。ポケットに手を入れたままシャッターを切れるのでとっても暖かいです^^ 特に無線タイプのレリーズなら完全にポケットの中からシャッターを操作できます。
(三脚使用で)レリーズがない場合はカメラの2秒タイマーを使うのも良いでしょう。
Bluetooth対応のワイヤレスレリーズはポケットに手を入れたまま切れるので寒い時期は結構おすすめ。
2.防寒はやり過ぎくらいがちょうどいい
当然ながら1月というのは1年でも最も寒い時期です。特に、普段早朝を出歩かない人にとっては、どんな寒さなのかなかなか想像できないでしょうからしっかり準備していきましょう。
屋外に1~2時間はいることになるので、やり過ぎくらいがちょうどいいです。普段のお出かけの格好にセーターを1枚プラスなんて甘い考えは止めましょう。泣きを見ます。。w
多少着ぶくれしてもいいから今持っている最大級の防寒をしていきましょう。カイロもペタペタと。お腹と腰の2か所に貼るとGood。意外と足元の防寒を忘れる方がいますが、靴下2枚履き+靴用カイロにすると安心です。
手袋もマストですが、ボタンを操作する関係で指先は出ていないと困ります。。とりあえずで済ますなら最近流行のスマホ操作できる手袋や、最悪軍手の指先を切ったものでもあると無いとでは大違い。私はモンベルのネオプレン フィッシンググローブを愛用しています。厚手のネオプレンゴム製で出来ているので暖かく、親指、人差し指、中指の先を出すことが出来るので細かなボタン操作も楽ちんです^^ (今も売ってるかな?)
最近ではカメラ用の冬用グローブもワリと種類が出てきましたよ。
その他必要 or あったら便利な小物
暖かい飲み物
寒さの中で飲む暖かい飲み物ほどおいしいものはありません。サーモスなど冷めない容器に入れて持っていくと良いですね。当然ながらペットボトルや缶は一瞬で冷たくなります(笑)
小さな椅子
待っている間ずーっと立っているのもしんどいものです。折りたたみの小さな椅子を持っていくと楽チンですね。
3.どこで撮るのが良いのか?
太陽は日本に住んでいる限り、一日一回必ず顔を出すので極端なことを言うならどこでも良いです(笑)
ただ、地平線や水平線近くから昇る日の出を見たいなら、日の出方向が開けている場所を選ぶと良いでしょう。太平洋側にお住まいの方なら海岸に出るのが手っ取り早いですが、南東方向が見える高台やその方向に大きな公園や川がある場所も良いと思います。
アプリを使えば自宅で撮影ポイントを探せる
そんなのわからないよ。。という方は「日の出、日の入り」というアプリが無料で使いやすいと思います。日付を指定したらGoogleマップに日出の方角を示してくれます。iPhonne、Androidに対応。月の出月の入りも表示してくれるので入れておくと結構便利。
パソコンの方は日の出・日の入り時刻・方角マップ というサイトで地図上で日の出方向を確認できます。
全国的に有名なスポットはかなりの混雑だと思いますので、そんなに気合入れなくてもいいやという方は近所で探してみるのも良いかも。
有料アプリならサン・サーベイヤーが最強
日出の方角を調べるだけなら無料の「日の出、日の入り」で十分ですが、より具体的に調べるなら「サン・サーベイヤー(Sun Surveyor)が最強だと思います。こちらは太陽、月それぞれの位置や満ち欠けについてGoogleマップやカメラと連動したAR表示、将来予測など何でも出来てしまいます。
ストリートビューと連動した表示を使うと街の中でも太陽が見えるかどうかの予測がある程度できます(完璧ではないと思うけど)。iOS版は1,220円と少々高価ですが普段から風景の写真撮る人なら払う価値は十分あるでしょう。Android版もあります。
近所なら前日などに下見をしておくと太陽が出る正確な方角を知ることが出来ますね。
4.できれば1時間前にはスタンバイを
日の出だけ見れればいいやという方なら、直前に行っても大丈夫ですが、写真を撮るならちょっと早めに行って日の出前からの空の色の移り変わりを撮りながら待っているのも良いかと思います。慣れない撮影はバタバタするでしょうし。
また、有名スポットではなくとも日の出が見れるような場所は大抵人が集まってくると思いますので、ちょっと早めに出るのが良いですね。
クルマで出かけるならギリギリに行くと駐車場の確保も大変です。イベント撮影は余裕を持って動くのが吉です。
5.ブルーアワー(Blue Hour)も撮ってみる
個人的には日が昇ってからよりも、上ってくる前のゆっくりと空の色が変わっていくブルーアワーの時間帯が好きです。とても神秘的な時間です。
日の出1時間~30分前くらいの真っ暗に思える時でさえ、写真にするとうっすら地平線にオレンジ色の光が浮き上がってきます。
上の写真は日の出の45分くらい前でしょうか。街の明かりを見ればわかる通りまだ夜ですが、長時間露光をすると地平線に確かに太陽が近づいている様子が浮かび上がってきます。
この時間帯は朝よりも夜に近い明るさなので三脚の使用が望ましいですが、最近の一眼レフやミラーレスカメラなら手持ち撮影でも十分可能。スマホでもしっかりカメラを持って撮れば手持ちでもうっすら空のオレンジ色が出てくるはず。
ちなみに、雲が出ていてもきっちり朝焼けしてくれることもありますので、雲があっても諦めないことも大事。
ブルーアワーを撮るコツ
一眼レフミラーレスの人はいつも通りAv(A)モードで良いです。ブルーアワーの時間帯はまだ空が暗いので暗めに補正(マイナス補正)して撮った方がカッコよく撮れると思います。最新のカメラならオートでもキレイに撮れるはず。
スマホの人も手ブレしないようにしっかりカメラを固定して撮りましょう。こちらもちょっと暗めに補正した方がカッコ良くなるかも(機種にもよる)。
三脚を使う方ならF8~11くらいでISO100~400くらいにセット。手持ちで挑むならF値を一番小さく(F4〜5.6くらい)してISOはオートのままで良いです。
ブルーを強調するため寒色系のホワイトバランスがおススメ。上記はいずれも電球モードに近い条件で撮っています。
ホワイトバランスについてはこちらの記事を参考にしてください。
日の出30分くらい前になると肉眼でもうっすら地平線が色づいてくる様子が分かるので、手持ちでもなんとかなります。
30分前~日の出までの時間帯は空の明るさが物凄いスピードで目まぐるしく変わるので慣れていない方はカメラのAEブラケット機能を使って、-1.3EV、±0、+1.3EVの3枚くらいを撮っておきましょう。そうすれば失敗写真がかなり少なくなります。
暗くてピントが合わない人は遠くの町明かりや建物に合わせればOKです。
6.いよいよ日の出!焦らずに。。
日の出まで20分くらいになってくると肉眼でもはっきりわかるくらい周囲が明るくなってくるため期待が高まります。
高まる気持ちを押さえながら、ピントはちゃんとあっているか?設定は正しいか?メモリーカードや電池の残量はまだ残っているか?を確認しておきましょう。
初めての場所だと太陽が顔を出す正確な位置は分からないと思います。空の様子を見ながら焦らずに微調整してみましょう。サンサーベイヤーなど高機能アプリを持っていればスマホのカメラを空に向けると太陽の出てくる位置を教えてくれます。
条件によっては日出前にこのくらい空が真っ赤に染まることもあります。日出よりもキレイかも。胸が高鳴りますね。
初日の出を撮るコツ、設定
引き続きAv(A)モードで大丈夫です。自身が無ければPモードやオートでもOK。
マイナス補正は解除する
ブルーアワーのときは暗めに補正するのがおすすめでしたが、太陽が出ると逆光状態になり写真が実際より暗くなりがちなので補正を解除して仕切り直しましょう。
望遠で太陽を大きく撮るなら±0~プラス側にセットした方が良い結果が得られるかも。撮影しながら数枚ごとにちゃんとした明るさで撮れているか確認してみましょう。ミラーレスを使っている人は撮る段階でファインダーに結果が出ているので撮りやすいですね。
広角で景色と一緒に撮影するならブルーアワーと同じくマイナス側に暗く補正した方が雰囲気のある写真になりやすいと思います。地上は暗く潰れがちになりますが、シルエット気味の良い写真になりやすいです。
三脚派の方はF値も感度もそのままで大丈夫です。手持ちの方は周囲がだいぶ明るくなっているでしょうからF値も手振れしない程度に大きくする(F5.6~11くらい)と良いです。
広角で景色と一緒に撮るならF値をF16やF22まで大きくして撮ってみるのも良いでしょう。スッキリ晴れた日なら上の写真の様に太陽からキラッとした光線(光条)が出てくれるはずです。
ホワイトバランスはオレンジを強調するように
ホワイトバランスは太陽光~曇りの暖色系に変更するとオレンジが強調され朝焼けな感じをより強調することができます。ただし、あまりに暖色にしてしまうと朝っぽさが失われてしまうかもしれません。朝らしさを出したいなら太陽光くらいの設定がいいかも。
スマホの場合もアプリに「色温度」「WB」などの項目があればそこで色を変えられます。フィルターのような機能で色を変えても良いでしょう(撮影後に色を補正することも出来るけどね)。
AEブラケットやHDR撮影をしてみよう
先ほども言った通り、この時間帯は露出が目まぐるしく変わるので一眼レフ、ミラーレスの人はAEブラケット撮影(露出ブラケット撮影)で保険を作っておくのがおススメ。明るさを変えた3~5枚の写真を連続で撮影できるようになるのであとからゆっくりベストな1枚を選べます。一眼レフやミラーレスならかならずこの機能が搭載されているはず。説明書をみてみましょう。
できればRAW+JPEGで撮影しておくとさらに安心です。
スマホの人はHDRをオンにしていると白飛びなど抑えられて良い結果になりやすいです。
ただし、ピントだけは後からどうしようもないので撮った画像を拡大してみたり、ライブビューを使ってちゃんとあっているか確認しておきましょう。
また、太陽を画面に入れると太陽の部分は必ず白とびします。ここはしょうがないのでそんなものだと思ってください。太陽の部分の白とびは諦めて、ほかの部分は白とびさせないように全体のバランスを見ながら適宜露出補正をすると良いです。
レンズの汚れにも注意!
レンズが汚れている状態で太陽を直接撮影すると、太陽光がホコリや指紋に反射して写真に写り込んでしまいます。撮影前はレンズの前玉(一番前)が汚れていないかどうかチェックしましょうね。レンズペンや使い捨てのクリーニングティッシュがあると便利です。
また、安価な保護フィルターを使用しているとフィルターに光が反射してゴーストやフレア(画質の低下)につながる場合があります。気になる場合は一時的に外しておくのも良いでしょう。
雲が出ていても諦めない
地平線、水平線に雲があると日の出予定時刻になっても太陽が顔を出さないことも良くあります。。そんな時はガッカリしないでしばらく待ってみましょう。10~15分後にひょっこり顔を出すこともあります。
7.日の出から1時間まではチャンスタイム!
無事日の出を撮影することが出来たら周りの人はゾロゾロと帰っていきますが、せっかくなので朝焼けの撮影をもう少し楽しんでみるのも良いです。
条件にもよりますが、太陽と反対の西の空に雲が出ていればその雲に太陽の光がが反射してとっても綺麗な朝焼けになることも。
まだ太陽が低く、空が暖かく色づいているので太陽と絡ませてスナップしてみるのも良いですね!周囲は明るくなっているので三脚なんて仕舞って元旦のスナップ初めをしてみましょう。
日の出から1時間くらいはチャンスタイムですが、特に日の出から30分くらいの間は何を撮っても3割増しくらいで良く見えるスーパーチャンスタイムです(笑)
日の出30分~1時間を過ぎると空の色も戻ってしまい普通の朝になってしいます。
まとめ:ちゃんと準備すれば誰でも撮れるよ
ということで、初日の出撮影のポイントとコツを当日の時系列に沿って7つにまとめてみました!
最も大事なのはカメラの設定よりも撮影ポイントの選定だったり、防寒などの事前の準備。そして早く現場に着くことです。
2020年現在、カメラの機能がかなり進化しているので、新しい一眼レフやミラーレスをお使いの方なら全部オートで攻めてもそれなりの初日の出がとれると思います。スマホも同様。今使ってるiPhone12 Pro Maxはかなりスゴいです。
プラスアルファで一歩進んだ写真が撮りたい人はここに紹介した方法で工夫して撮ってみて下さいね。
当日チャレンジされる方はしっかり防寒してお楽しみください
また、初日の出じゃなく普通の日の出撮影でも全く同じですから、もうちょっと暖かくなってきてからゆるーく日の出チャレンジしてみるのも良いかもしれません。
- 2014年の初日の出を微速度撮影と手持ちの二刀流で撮ってみた![動画付き]
・本記事の内容に加えタイムラプスにも触れた記事もアップしていますので良かったらチェックしてみてね