色が違って見えてしまうのはあたりまえ!?
例えばこんな経験ありませんか?
旅行先で見つけた晴れ渡った青空とコバルトブルーの海。いろいろカメラの設定を工夫して思ったとおりの色で写真を撮ることができました。ところが、帰ってからその写真をPCで見たらカメラの色となんだか違う。。
そこで、Photoshopなど画像編集ソフトで記憶に残っている色に近づけるように修正して、プリント。ところが、そのプリントも色が違う。。
いったいどの色が正しいの??
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写真を始めて、自分でプリントをするようになると、多くの人が色について壁に当たり困ってしまいます。
そこで必要になるのが”カラーマネジメント”の概念。
一概に、”赤”といっても、人によって想像する赤は”真紅のような赤”、”少しくすんだ赤”、”血の色”、”りんごの色”など、微妙に異なります。同じように、コンピューターの世界でも同じ”赤”という色は表示するモニタやプリンタによってさまざまなのです。これらの機器間で色が同じになるように上手くコントロールすることを、写真やDTPの世界では”カラーマネジメント”と言っています。
上記の問題もまさに”カラーマネジメント”の問題です。写真やデザインなど色を普段から扱う人以外は、カラーマネジメントをしていないので表示される機器ごとに色が違って見えてしまい困ったことになるのですね。
つまり、あなたのパソコンやプリンタに”カラーマネジメント”を導入すれば、パソコンのモニタで見たままの色で写真をプリントできることになります。
超初級カラーマネジメント入門
色が違って見える原因は”カラーマネジメント”をしていないことなんだから、さっそく”カラーマネジメント”を導入しよう!と思った方もいるかもしれません。
ところが、カラーマネジメントというのは結構専門的な知識が必要です。そして、専門的な機器が必要になるのでお金もかかる厄介者なのです。。
たとえば、モニタ一つとっても色々大変。まず、モニタによって表示できる色の範囲が異なります。安物のモニタだと”緑”は”ちょっとくすんだ緑”までしか表示できないのに、高級なモニタであれば”鮮やかな緑”まで表示できたりします。
同じ写真でも、安物と高級品で編集すれば表示できる色の範囲が違うのだから、結果は違ってきますよね。
さらに、高級モニタを使っていても正しく設定をしなければ、そのモニタで見えている色が実は違った色だった。。という事態にもなりかねません。
だから今回は思い切って、あまり難しいことは考えずにあなたのお家にある環境でもできる”なんちゃってカラーマネジメント”についてご紹介します!
キチンとカラーマネジメントをしている人が見たら怒られてしまうかもしれませんが、写真を始めた初心者にとってカラーマネジメントはあまりに敷居が高いので、だいぶ妥協しましたw
目標はモニタとプリンタの色が”なんとなく合う”ことです☆
専門的な内容は一切抜きにして説明してきます。
【カラーマネジメント入門】写真のプリントの色が合わない理由を簡単に説明してみよう
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古いモニターやノートPCをお使いの方はモニター選びから考えてみましょう
・写真編集向け液晶モニターを失敗せず選ぶためのポイント10選【レベル別おすすめ付き】
モニターキャリブレーターを使って正しくカラーマネジメントする方法の記事も書きました!
・i1 Display Proを使ってモニターキャリブレーションする方法と設定
準備するもの、作業環境、注意事項
必ず準備するもの
- Windows Vista以降のPC(デスクトップでもノートでも)
- 普通のインクジェットプリンター
- 写真用紙
これならすぐに揃いそうですね。特別なソフトも必要ありません☆
ちなみにMacの場合は(大抵のアプリで)OSレベルでカラーマネジメントシステム(CMS)が働いているので本エントリー中の「3,モニターの設定」を行えばOKです。使用するソフトに制限はありません*。
*Macを使う場合でもモニターの調整を行わない限り正しい色は表示されないので注意。また一部のアプリ(Windowsとのマルチプラットフォームになっているものなど)ではOSのカラマネがされないものもあるようです。Macを使うだけで解決というわけではありません。
写真やデザイン業界でMacが良く使われるのはこのような背景があるのですね。
・普通のインクジェットプリンター
プリンタは普通の家庭用インクジェットプリンタでかまいません。でもインクはできるだけ純正の物を使いたいです。インクが違うと当然色も違ってしまいますので。。どうしてもサードパーティー製を使いたいならエコリカなどそこそこ信頼できそうな物で。(私は基本的に純正しか使わないのでエコリカが正しい発色をするかどうかは分かりません。。)
*エプソンかキヤノンのプリンターが前提です。他のプリンターは分かりません。。
激安で売っている怪しいメーカーの詰め替えインクを使うのは止めましょう。正しいカラーマネジメントの知識を有して使いこなすならともかく、一般の方が使って色がおかしい。。といっても何が原因か分からなくなってしまうので。
また、激安インクは酷い物だと1ヶ月もしないうちに退色してしまうのでそもそも写真の印刷には向いていません。。
・純正写真用紙
写真用紙もできれば純正を使います。エプソンなら写真用紙<光沢>、または写真用紙エントリー<光沢>、キヤノンなら写真用紙・光沢あたりでしょうか。サイズは何でもOKですが、インクがもったいないのでL版~2L版あたりでいいでしょう。
用紙についても100均などで売ってる怪しいものは使わないほうがいいです。白い用紙といっても、実は紙ごとに”白”も微妙に異なっているので特にプリントに慣れない間は純正を使うのが安心です。
作業環境
作業する環境もある程度気を使う必要があります。
プリントは外光が変わると見える色が変わります。一方でディスプレイは自ら光を発するので、ほとんど色は変わりません。例えば、外の光が入る窓際などは時間帯によって外光の色が変化してしまうので、正しい色が分からなくなります。。作業するときは遮光カーテンなど、なるべく外の光が入らない工夫をして、常に同じ色の光で作業できる環境を作ります。
室内の照明にもちょっとだけ気を使います。作業する部屋の蛍光灯は昼白色(ちょっと温かみのある色、5500Kくらい)か昼光色(クールな色、6500Kくらい)のどちらかを使い、混ぜてはいけません。白熱球や蛍光灯の電球色(オレンジっぽい色)は写真を見るのには適していない照明なので注意します。
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また、作業を行う部屋やデスクトップの壁紙は派手な色を使うのは止めたほうがいいです。周りに派手な色がたくさんあると、それにつられて色が分からなくなってしまいます。。
”なんとなく合わせる”くらいならそこまで神経質になる必要はありませんが、真っ赤な壁紙の部屋なんかで作業するのは避けましょうw
注意事項!
これからご説明する内容はあくまでモニタとプリンタの色がぜんぜん合わない初心者向けの内容で、正しいカラーマネジメントではありません。色にこだわって編集、プリントしたい方は別途カラーマネジメントを勉強されたほうがいいです。(ページの最後におススメ書籍を紹介しました)
今回の目標はモニタとプリンタの色が”なんとなく合う”ことです。
色あわせ作業の流れ
今回の作業のポイントはプリンタの標準設定の色を基準にモニタの色を合わせましょうという点です。だからインクも用紙も純正をおススメしたのです。
基準の色が違ってしまうと何を頼りに色を設定したらいいのか分からなくなってしまいます。。
作業の流れ
作業の流れは以下の5ステップです。
1、モニターのプロファイルを設定をする。
2、プリンタの標準設定で写真をプリントする。
3、モニターの色の調整をする。
4、写真編集ソフトの設定をする。
5、プリントして確認する。
ちょっとややこしいかもしれませんが、この5ステップを踏めばきっと”なんとなく色が合う”はずです♪
では早速作業をはじめましょう!
1、モニタのプロファイルを設定する
まずはモニターの調整をします。
1-1.モニタのプロファイルを確認する
プロファイルというのは、”このモニタはこんな感じで色を表示できますよ!”という情報が書かれた身分証明書のようなものです。最初にも述べましたが、モニタが表示できる色は機種ごとに違うので、まずはモニタのプロファイルをOSに読み込ませる必要があるのです。
*Macはこの項目は通常やる必要はありませんが、別途外付けの広色域モニターを使っている人は誤ったプロファイルが当てられているかも。購入時にモニターに付属していたプロファイルを使うか別途キャリブレーターで正しいICCプロファイルを作りましょう(下記リンク参照)
- 【カラーマネジメント入門】写真のプリントの色が合わない理由を簡単に説明してみよう
まずはお使いのモニタにプロファイルが読み込んであるかどうか確認します。
スタート>コントロールパネル>ハードウェアとサウンド>ディスプレイ>解像度の調整>詳細設定>色の管理タブ と進んで、色の管理(M) をクリック。
シングルディスプレイで使用している場合は①しか出ません。デュアルで使用している場合は2つとも確認します。
デバイス(D) でお使いのモニタを選択して、「このデバイスに関連付けられたプロファイル(F)」の欄に何も表示されていなければ、お使いのモニタにはプロファイルが設定されていません。。
もし、****.ICMなどモニタの機種名が書いてあるICCプロファイルがあり「(既定)」と表示されていればOKです。
人によっては「sRGB display profile with display hardware configuration ...」と表示されている人がいるかもしれません。その場合はプロファイルがないものとして先に進んでください。
また、グラフィックカード(内臓グラフィック)の設定でモニターの色を変えている方は初期設定に戻しておきます。一応、設定値をメモしておくと上手くいかなかった時に元に戻れます。
1-2.プロファイルを設定する
前項でキチンとプロファイルが設定されていた方はこの項目は飛ばしてOKです。
デスクトップPCなど外付けモニタを使っている方はモニタに付属していたCDなどに「****.icm」や「****.icc」といったファイルがあるはずです。これをコピーして、C:WindowsSystem32spooldriverscolor の中にペーストします。
続いて、先ほどの「色の管理(M)」の項目で「このデバイスに自分の設定を使用する(U)」にチェックを入れ、「追加(A)」から先ほど保存したプロファイルを選択して、「既定のプロファイルに設定(S)」とし、閉じます。
これでプロファイルの設定は完了。
付属CDなんてない、****.icmなんて見つからない。。という方はもしかするとメーカーのHPでダウンロード出来るかもしれません。
それでも見つからない。。という方は仕方がないのでこの項目はスルーして次に行きましょう(残念ながら精度が落ちます。。)。
また、ノートPCをお使いの方は最初からモニタープロファイルなんて存在しない事がほとんどなので、スルーします。ノートPCのディスプレイは最初から”色なんて適当でいいじゃん”的な思想で作られているのです。。
1-3.代替プロファイルを設定する
(上記でプロファイルを設定できた方はこの項目は飛ばします)
ノートPCやプロファイルが見つからなかった方は、無いよりもマシ。ということで、代替プロファイルの設定をします。
スタート>コントロールパネル>ハードウェアとサウンド>ディスプレイ>色の調整 と進んで、画面の色調整をします。
が、色やコントラストは後で別途調整するので何も考えずに「次へ」を押し続けて完了させます。最後に出てくるClearTypeチューナーの設定は色には関係ないのでやってもやらなくてもOKです。
ここで色の調整をしてしまうと次項以降で正しく色が設定できないので何もいじってはいけません。
設定できたら、2-1の方法でプロファイルの確認をしてみましょう。
「このデバイスに自分の設定を使用する(U)」にチェックが入っていて、プロファイルの欄に「sRGB display profile with display hardware configuration ...(既定)」が表示されているはずです。
これでとりあえずのプロファイルが設定できました!
2.プリンタの標準設定で写真をプリントする
2-1.写真を用意する
用意する写真はどんなものでもかまいませんが、人物の写真、カラフルな雑貨や色鉛筆などの写真、青空に白い雲が写った写真の3つくらい用意するのがおススメ。自分で撮ったものでかまいませんし、色を見るだけなので上手に取れている必要もありません(ブレブレやノイズだらけの写真は止めたほうがいいかも)。
この時注意したいのはカメラの設定のsRGBモードで撮ったJPEG画像を使うこと。一眼レフやミラーレスカメラをお使いの方はカメラの設定項目に「色空間」や「カラースペース」という項目があると思いますが、必ずsRGBで撮ったものでプリントしてください。(RAWで撮っている方はsRGBのjpegで現像すること。良く分からない場合はsRGBのjpegで撮り直しましょう)
↑キヤノン EOS 7Dの設定画面
カメラの設定にそのような項目がない方、「sRGB?なにそれ、美味しいの?」という方はそのままで構いません。(カメラの標準設定がsRGBになっているはずです)
写真を自分で用意するのが面倒な人はstudio9内の写真をお使いいただいても構いません。studio9内の写真はほぼずべてsRGBで作成されています。(解像度が高くないのでL版サイズまでの印刷でお使いください)
インターネットで適当に探してきた写真の場合はsRGBの写真とは限らないので詳しくない方は避けたほうが無難です。
2-2.写真を開く
Windowsフォトビューアーか、Windowsフォトギャラリーで写真を開きます(以下すべてフォトビューアーで解説)。通常はダブルクリックすればOKですが、違うソフトが立ち上がってしまう人は、画像を右クリック>プログラムから開く>Windows フォト ビューアー で開きます。
正しい色が表示されない可能性があるので、詳しくない方は他のソフトで開かないこと(カラーマネジメントに対応したソフトで見ること)。
2-3.プリント設定をする
Windowsフォトビューアーの 印刷(P) からプリンタの設定をします。
使用するプリンタ、用紙サイズ、品質(自動か標準でOK)、用紙の種類 を自分の環境に合ったものに設定します。
例えば一昔前のEPSONの普及機 EP-702Aならこんな感じ。
2-4.プリンタの詳細設定をする
続いてプリンタの詳細設定に進みます。上図右下の「オプション」から「プリンターのプロパティ」に入って設定を行います。
エプソンのプリンタの場合は「基本設定」のタブの「色補正」の項目から、ユーザー設定>設定(E)>>ICM(I) を選択して閉じます。(お使いのプリンターの機種によって画面が若干違うと思います)
キヤノンのプリンタの場合は現在手元にプリンタがないので未検証なのですが、「基本設定」のタブの「色/濃度」の項目から、マニュアル調整(M)>設定(T)>マッチング>色補正(O)>ICM としておけば大丈夫だと思います。
MG3100の画面ならこんな感じ。
2-5.プリントする
上記の設定ですべての写真をプリントします。染料インクを使用している機種(写真印刷向けプリンタ以外のほぼずべてのプリンタ)はプリント直後は色が落ち着くまで待ちます。
最低でも1時間、できれば数時間~一晩は待ちたいところです。意外と知らない方が多いですが、良く見てるとホントに色や諧調が変わるんです。
顔料インクを使用しているプリンタ(一部の写真印刷向けのプリンタ)は数分で大体色が落ち着くので待たなくてもOKです。そんなプリンタ使ってる人はちゃんとカラーマネジメントしてると思いますが。。
この写真の色が今回の調整で使う基準の色になります!
これで色を調整する下準備が終わりました。
3、モニターの色の調整をする
いよいよ色の設定をします。
3-1.写真をモニタに表示する
まずは、最初にプリントした写真を同じく Windowsフォトビューアー でモニターに表示させます。モニターに表示された写真と先ほど印刷した写真の色をこれから合わせていくのです。
また、デスクトップの壁紙はこの時くらいは地味な色に変更します。白かグレーがおススメです。デスクトップで右クリック>個人設定 で変更できます。
今の時点で色が大体合っているのであればこの先の作業は不要です。もし全然違う(たいていの場合はモニタのほうが青いかな?)場合はこれから色の調整をします。
3-2.モニタのOSD設定で色の調整をする。
まず、モニタのOSD(オン・スクリーン・ディスプレイ)という調整機能を使って色を調整します。大抵はモニタの端っこにあるボタンで操作します。OSDはモニタのメーカー、機種によって調整できる項目が違うので、お手持ちの説明書にしたがって調整します。無くても直感的に作業できると思います。
↑LG W2442PAのOSDメニュー
↑DELL U2711のOSDメニュー
ノートPCをお使いの方は残念ながらOSDはほぼ100%使えないと思うのでこの項目は飛ばします。。
OSDの設定は各社様々なので、以下のフローにしたがって作業を進めていきましょう。
まずは、モニタの周りに先ほどプリントした写真を並べておきます。何もプリントしてない白い用紙もあるといいです。
■輝度、ガンマの調整
最初にモニターの輝度(明るさ)をざっくりと決めます。
太陽のマークのような項目が輝度の項目。白い用紙と比較して大体同じくらいの明るさになるようにしましょう。大抵の場合、初期設定では明るすぎるので初期設定の半分くらいか、場合によっては最大付近まで明るさを落とすことになると思います。
ガンマは良く分からなければそのままでも大丈夫。どうしても弄りたい場合はこちらのサイトを参考にするといいです。ちょっと専門的な内容が書いてありますが、ガンマ設定のチャートが載っています。ただし、所詮目視の設定だということを忘れてはいけません。気休め程度です^^;
機種によってはガンマの設定項目が無いものもあります。
調整できたら次へ。
■OSDで画面の色温度を設定できる場合
機種によっては画面の色温度が設定できるものがあります。このタイプが一番楽チンです☆
色温度は部屋の照明にあわせて設定します。昼白色の蛍光灯を使っている場合は5000Kまたは5500K、昼光色の場合は6500Kに設定します。
↓<プリントの色と近くなる>
・OSDの色の設定は終了です。後の輝度の設定に進みます。
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↓<プリントの色とまだ隔たりがある>
・さらに続けてRGB(赤緑青)の個別設定をします。
機種によっては色温度とRGB設定両方の設定ができないものもあります(例えば写真のW2442PAは色温度を設定するとRGBが調節でず、どちらかを選ぶ必要があります)。この場合は、色温度の設定だけで妥協するか、色温度の設定をあきらめて、RGB設定だけを行います。
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↓<続けてRGB設定をする>
RGBの調節は多少慣れが必要です。ポイントはこんな感じ。光の三原色とその補色の関係を頭に入れていると上手くいくはず。
・画面が青い ⇒ B(青)を下げる
・画面が黄色い ⇒ Bを上げる or R(赤)、G(緑)を下げる
・画面が赤い ⇒ Rを下げる
・画面が緑 ⇒ Gを下げる
まず始めにデスクトップの壁紙を白くして、白い用紙と画面の白の色がざっくり同じになるようにしてみます。いきなり全部を合わせようとせず、気になる色から一色ずつ調整して近づけていきます。
”白”に近づいたらプリントした写真を見ながら微調整するといいでしょう。できるだけ初期設定から少ない調整量で合わせるように心がけます。
もし訳が分からなくなったら一度初期設定に戻し、気分転換して再挑戦します。また、最初に言ったように目視だけで完全に色を合わせることは不可能です。ある程度の所で妥協することも必要。
ある程度色が近くなったら終了です。後の輝度、コントラストの設定に進みます。
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↓<色温度とRGB設定両方の設定ができない>
色温度の設定だけで妥協するか、色温度の設定を諦めて、RGB設定だけを行います。
色温度の設定で妥協するなら、後の輝度、コントラストの設定に進みます。妥協できない方は次へ。
■OSDで色温度を設定できない場合、色温度の設定だけで妥協できなかった場合
仕方が無いのでRGBの設定だけで色を近づけます。
調整法は上記のとおり。先ほども言いましたが、今回の方法では完全に色を合わせることは不可能です。ある程度の妥協も必要です。
終わったら輝度、コントラストの調整へ。
■輝度、コントラストを調整
始めにざっくりと明るさを決めましたが、RGBをイロイロ弄っていると明るさが変わってしまうのでもう一度輝度を微調整します。
コントラストは初めてだったり自信がなければ、そのままでもOKです。
ギラギラした安物ディスプレイならば、コントラストをちょっと下げてやるといい結果が出るかもしれません。
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OSDでの調整は以上です!
ちょっと面倒だったかもしれませんが、これで写真とモニタの色がかなり近づいたはずです☆
3-3.グラフィックカードの設定で色の調整をする
OSDで調整が終わったら、グラフィックカード(内臓グラフィック)の設定で色を微調整します。もちろん、OSDだけで満足行く調整が出来れいればこの項目は飛ばしてもOKです。
グラフィックカードの調整はモニタの色を表示する能力を犠牲にするので、出来ることならOSDの設定でなるべく近い色にし、グラフィックカードでの設定は最小限にしたい所です。
また、OSDが無いノートPCの方は、この項目だけで色の調整をします。。
デスクトップで右クリックをすると、使用しているグラフィックカード(または内臓グラフィック)によって、次のようなメニューが出るはずです。
そのメニューに入って、色の管理項目へ進み、RGB個別に色を調整していきます。色温度の設定は無いはずです。
基本的には3-2.と同じ要領で、輝度⇒ガンマ⇒RGB⇒コントラスト の順番(必ずこの順番でなければいけないという訳ではないです)で調整していきます。
グラフィックカードを使った調整は大抵の場合、RGBそれぞれにガンマ、コントラストの項目があるのでより細かな設定ができます。
OSDと同じく、慣れないうちはコントラスト、ガンマの調整は飛ばしてもOK。
納得できる設定に行き着いたら設定を保存しておくか、メモを取っておきましょう。
これで色の調整はすべて終了です!
どうでしょう、最初よりは色が近づきましたか?
4、写真編集ソフトの設定をする
色が大体合うようになったら普段使う編集ソフトの設定をします。
使用するソフトによってマチマチなので厄介ではあるのですが、代表的なソフトの設定をいくつかご紹介します。
普段編集に使うソフトはカラーマネジメントに対応したソフトを使う必要があります。カメラに付属していた各社純正のソフト(すべて確認したわけではないですが、さすがに対応しているはず。。)が初期投資なしで安心して使えるはず(正しく設定すれば)。
・PENTAX Digital Camera Utilityで色がおかしくなる?設定の注意などメモ
その他だとPhotoshopやPhotoshop Elements、LightroomなどAdobe社製のソフトがおススメ。Adobeのソフトは非常に優秀な独自のカラーマネジメントシステムを採用しているので、今後もっと色について詳しくなってきたら導入を検討するのもいいでしょう。とりあえず色にこだわりたいならAdobe社製のアプリケーションを使うべきです。
趣味レベルでPhotoshopを使うのは厳しいですが、ElementsやLightroomならもっと気軽に導入できるはずです。
*現在毎月1000円支払うことで、PhotoshopとLightroom(写真管理、RAW現像)が使い放題のプランがあります。これならかつて一般の人が手の出なかったPhotosopも使えますね。
-- 注意 --
ここでご紹介する設定はデジタルの世界では標準的なsRGBという色を扱う事を想定しています。
ちょっと少し詳しい方なら、"「AdobeRGB」という色で撮影したり編集するとキレイにプリントできるらしい。。" と考えている方もいるかもしれません。確かにAdobeRGBで撮影、編集した方が多くの色を扱えて仕上がりもキレイですが、これを扱うにはカラーマネジメントをもっと勉強する必要があります。
まずはsRGBをしっかり使えるところから始めましょう。
AdobeRGBについてはそのうち特集してみたいと思います☆
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関連記事を書きました!sRGBやAdobeRGBについてはこちらの記事をどうぞ!
- 【カラーマネジメント入門】写真のプリントの色が合わない理由を簡単に説明してみよう
Photoshop、Photoshop Elementsの設定
Photoshopの場合は特に設定を変更する必要はありません。初期設定のままで大丈夫なはず。編集(E)>カラー設定(G) から確認して次のようになっていればOK。
下のチェックボックスはチェックを入れておくと、画像に埋め込まれたプロファイル(身分証明書)がsRGBでは無い時に警告を出してくれます。
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Photoshop Elementsは手元にないのですが、ヘルプを見る感じだと、編集>カラー設定 から、「画面表示用に最適化」を選ぶといいはずです。この設定でsRGBを扱えます。
プリントまでするなら「プリント出力用に最適化」を選んでしまいがちですが、これはちょっと落とし穴。。この設定で編集し、プリントすると画像によっては色が違って見えるはずです。なぜならこのモードはAdobeRGBを扱うモードだから。もちろん、モニタよりキレイにプリントされる可能性はありますが、色を合わせるという観点ではおススメできません。このモードを使うときはちょっとカラーマネジメントを勉強してみましょう。
Lightroomの設定
Lightroomの場合はsRGBの画像を扱っているなら特に色の設定について考えなくても大丈夫です♪
RAW現像する場合はちょっとだけややこしい事になるのですが、長くなりそうなので止めときます。。(汗
まぁ、何も考えずにRAW現像する場合でも色が大きくずれる事は無いはずです。
Digital Photo Professional(DPP)の設定
キヤノンのRAW現像ソフト、DPPのカラー設定は ツール>環境設定>カラーマネジメントタブ からこんな感じで設定します。
作業用色空間の初期設定は、”あなたはどんな色を扱いたいですか?”という項目なので「sRGB」を選択。
カラーマッチング設定/表示用 は”あなたはどんな設定(プロファイル)でモニターに表示しますか?”という項目なので「OSの設定に従う」をチェックします。だって、手順1でモニタープロファイルの設定を済ませてありますからね。
印刷用プロファイルはとりあえず無視しておいても大丈夫です(^^;
GIMPの設定
フリーの高機能画像編集ソフトとして有名なGIMPもカラーマネジメントに対応しています。
いろんな理由で写真編集にはあまりおススメできないのですが、一応設定を書いておきますね。
編集>設定>カラーマネジメント から次のように設定します。
モニタープロファイルは「システムのモニタープロファイル使用を優先する 」にチェックを入れておけば大丈夫です。念のため手順1で設定したプロファイルを設定してもOK。
5、プリントして確認してみる
お疲れ様でした!
これですべての設定が終了です。実際にプリントして確認してみましょう。
プリントは手順2.で紹介した設定で行います。
PhotoshopやLightroomでプリントする場合は次のように、プリントのカラーマネジメントを「プリンターによるカラー管理」に設定します。
その上で、Photoshopなら「プリント設定」、Lightroomなら左側のカラムにある「用紙設定」からプロパティを選択し、手順2.のプリント設定でプリントします。
その他のソフトであれば、ファイル>印刷(P)>プロパティ から手順2.のプリント設定を行います。
今回紹介したソフトなら(正しく設定を行っていれば)、どんなソフトで画像を見ても同じ色に見えますし、手順2.の設定でプリントすればプリントの色もだいたいモニターと同じになっているはずです☆
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かなーーり長くなってしまいましたが、これであなたの写真を扱う環境は整いました!
思う存分編集、プリントを楽しんでください。
これでもモニターとプリントの色が全然合わない。。(全体的にかなり青いとか、色が地味ずぎる、派手すぎる)時は、どこかの設定が間違っているはずです。
もう一度よく設定を見直してみましょう。
もし行き詰ってしまったら、お気軽にご質問ください☆
もっとカラーマネジメントに詳しくなるには?
ここまで長いエントリーを最後まで読んだあなたなら、おそらくもっとカラーマネジメントについて知りたい!と思っているはずです(笑)
今回は「なんちゃってカラーマネジメント」と言うことで作業手順のみ淡々とご説明しましたが、もっとカラーマネジメントの全体像を知りたい方はこちらのエントリーを参照下さい。
追記:モニター選びも超重要!
今回はお手持ちのモニターをどうにか使って色を合わせる方法を紹介しましたが、モニターの性能が良くなければそれを超えて色を表示させることは当然出来ません。特にノートPCを使っている人は正しい色を表示できないと思ってもいいくらいです。
最近は性能の良いモニターがだいぶ安価になりましたので新しいモニターを買うという選択もアリだと思います。モニター選びも重要なポイントですよ。
記事にまとめたのでこちらも良かった見てみて下さい。
オススメ書籍
もっと勉強したい!という方には下記の書籍をおススメしておきます。
一冊目は玄光社の「基本から分かる!モニターとプリントの色あわせ」
二冊目は技術評論社の「写真の色補正・加工に強くなる ~レタッチ&カラーマネージメント知っておきたい97の知識と技」
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「基本から分かる!モニターとプリントの色あわせ」はあくまで、個人が趣味として写真を楽しむという前提で、モニタとプリントの色あわせに特化した実用的な本です。この手の本はデザイナーなど業界の人向けの内容が多いので、個人の趣味目線で書かれているのが嬉しいです。
カラーマネジメントについてはそれほど突っ込んだ内容は書かれていませんが、難しい言葉もあまり出てこないので、入門用には持って来い。カラーマネジメントはさっぱり。。という方の最初の一冊におススメです。
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「写真の色補正・加工に強くなる ~」はカラーマネジメントに限らず、色や写真を編集(レタッチ)する上での基本的な考え方が幅広く纏まっています。
初心者がいきなり読むのは苦労するかもしれませんが、最近写真の編集を始めたけど、トーンカーブとかコントラストとかそういう専門用語がイマイチ分からないんだよな。。という方にはおススメ。
よくあるPhotoshopのテクニック本ではなく、色やレタッチに対する基本的な考え方が良く書かれている良書です。一冊読んで理解できれば、かなりの応用力が付いているはずです。ただし、やはり使用するソフトはPhotoshopが中心なので、その点は注意したほうがいいかもしれません。
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本格的にカラーマネジメントをやり始めると、Photoshopを買って、高色域モニタを買って、キヤリブレーターを買って、顔料インクプリンタを買って。。と沼に嵌ってしまうかもしれませんので、その点はご注意ください(笑)