Photoshop Lightroom 5 最速レビュー!
本日(6/10)、Adobe CreativeCloud (CC)の(サブ)ファミリーの一つとして、Photoshop Lightroom 5 (LR5)が発売されました!
以前からパブリックベータ版が配布されていましたが、ようやく製品版が出てきました。現在(6/10)のところ、最新のLR5が入手可能なのはダウンロード販売または、Adobe CreativeCloudメンバーとなっています。
店舗で買えるパッケージ版は6/21以降順次発売とのこと。
私はちょうどAdobe CreativeCloudに加入していたので、早速LR5をインストールしてみました。
LR4 ⇒ LR5への移行や新機能について簡単にレビューしてみたいと思います。製品版 LR5の最速(当社比)レビューですw
6/18 Adobe Photoshop CC(Creative Cloud)もリリースされました!
Photoshop CCのレビューはこちらをご覧下さい↓
フォトグラファーのためのAdobe Photoshop CC 最速レビュー![Creative Cloud] -その1-
Photoshop Lightroom について
まずはLightroomって何よ?という方の為に簡単にLRのご紹介をば。既に使っているかたは飛ばしてもらってもOKです。
Lightroomのスゴイところをまとめてみました!こちらもどうぞ☆
- ここまで出来る!!魔法の現像ソフト Lightroomのスゴイ使い方10選!
- Lightroomで実現する!写真管理を超高速化させる15のポイント!
新しくデビューしたLightroom mobileのレビューも公開しました!(14/04/12)
- 徹底解説!Lightroom mobileの使い方と活用方法をはじめから丁寧に!
Adobe Photoshop Lightroomというのは、Adobe社が提供するプロ向け画像編集ソフト Photoshop の親戚で、Photoshopの機能を継承しつつ、写真の現像、編集、管理に特化したソフトです。
『Lightroom = RAW現像ソフト』と思っている方が多いですがそうではありません。『Lightroom = RAW現像ソフト + 写真編集ソフト + 写真管理ソフト』です。
つまり、カメラからの写真の読み込み ⇒ 現像 ⇒ 調整 ⇒ 書き出し、プリント ⇒ 管理 までのワークフローを1本のソフトですべてカバー(しかも高いレベルで)してくれる超便利ソフト。「このソフトだけあれば他のソフトいりません!」そんなソフトです☆
特に、写真の管理はこのソフトの右に出るものはいないんじゃないかというほど素晴らしいです。ちゃんと使えば数万枚単位の写真の中からでも欲しい写真がすぐ見つけられます。
Adobeの回し者かよ!と疑われそうですが、ホントに便利なのでしょうがない。カメラを始めてそろそろ初心者は卒業かな?くらいのタイミングが来たら是非とも導入していただきたいなと思うソフトでございます。もうね、レンズを買おうかなぁと悩むくらいなら、とりあえずLRを買いなさいと声を大にして言いたいわけです。
ちなみにお値段は 通常の製品版で16,000円、他社の画像編集ソフトからの乗り換えなら9,600円、アカデミック版だと6,600円。プロが使えるクオリティのソフトでこれは安いです。
Adobe CreativeCloudメンバーなら、PhotoshopやIllustrator同様、追加料金なしでオンラインから直ぐにインストールできます。
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Lightroom5(LR5)の新機能など
ちょっとLightroomについて褒めすぎましたがw、LR5の新機能をみてみましょう。
今回の新機能は大きく5つです。順番にごく簡単にご紹介。
1.修復ブラシの高機能化
LR4にはスポット修正という主に写真のゴミ取りにつかう機能が付いていましたが、これが機能アップしました。Photoshopでしか出来なかったことがLightroomでも出来るように!
2.Uprightテクノロジー
写真の傾きや歪みをワンクリックで補正してくれる機能。以前のVerだと手動で設定したり、複雑なものはPhotoshopで別途修正しないと厳しかったですが、LR単体でワンクリックで出来るようになりました。
3.円形フィルター
LR4の段階フィルターの円形バージョンだと思っていただけるといいと思います。これも以前はPhotoshopでしか出来なかった。使い方次第で面白い効果が付けられそう。
4.スマートプレビュー
LR4まではカタログのプレビューは低解像度のJPEG(たぶん)が使われていましたが、今回から圧縮RAWを使えるようになりました。元画像がなくても、プレビューだけでかなりクオリティの高い画像を書き出すことが可能。個人的にはこれが今回のイチオシかと思います。
5.スライドショーのビデオサポート
今までは静止画からしかスライドショーを作れませんでしたが、今回からは動画も素材にできるそう。簡易動画編集ソフトにもなるって事かな?動画は今のところ別のソフトを使っているので、個人的にはあまり恩恵はなさそうですが、守備範囲は広がりました。
6. Lightroom mobileの対応 (Lr5.4より 14/04/12追記)
デスクトップのLightroomの中身をiPadなどのモバイル端末でも利用できるようになりました!下記にレビュー記事を書きましたのでご覧ください。
新しくデビューしたLightroom mobileのレビューも公開しました!(14/04/12)
- 徹底解説!Lightroom mobileの使い方と活用方法をはじめから丁寧に!
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LR3 ⇒ LR4へのバージョンアップに比べるとちょっと地味な感じがあるのは確か。使用感はLR4の時とほぼ変わりません。RAW現像エンジンはCameraRAW7 ⇒ CameraRAW8へとアップグレードしているので、細かなブラッシュアップは行われているでしょうが、基本性能が劇的に良くなった!みたいなことは今のところ感じていません(使用一日目ですし。。)。
どちらかというと、LR4のいい所はそのままに、さらに守備範囲を広げました!といった感じでしょうか。普通のLR4ユーザーなら、ちょっとアップグレード躊躇しちゃうかな?と思う気もしないでもないですが、純正進化なのでアップグレードしたほうが気持ちよく使えると思います^^
これまでと同じ流れなら、そのうちLR4ではRAW現像に対応するカメラのサポートも打ち止めとなるはずですし。。
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では、各新機能について1つずつ、もう少しつっこんでご紹介してみます!
インストール、LR4からの移行
まずはインストールとLR4からの移行について。LR4ユーザー的には、これまでのカタログ(財産)を無事に移行できるの?という事が心配かと思いますが、大丈夫。問題ないです。特に意識せずとも自動で移行できました。
また、LR5をインストールした後でも、LR4を起動することが出来ます!(2つ同時起動は出来なかった。。)
ちなみに私の作業環境はこんな感じです。⇒ システム更新時のLightroomカタログデータの復元メモ
ダウンロード
Adobe CreativeCloudメンバーの方は、通常通りAdobe Application Managerからダウンロード、インストールできます。オンラインストア経由の方は別途インストールガイドに従ってください。
インストールボタンを押して待つだけ。他のAdobe関連ソフトは終了しておきます(してなくても、終了しろと言われる)。
↑インストールが終わったら、起動ボタンをクリック。新しいLightroomのロゴが立ち上がります。結構カッコいいじゃん☆
カタログの移行
すると、自動的に既存のLRのカタログを読みに行ってカタログの移行を始めます。カタログの保存先を確認してアップグレードボタンをポチっと。保存先はLR4のカタログがある場所がデフォルトで表示されました。
7万枚くらいのカタログをが移行されるのに1時間ちょっとくらい。コーヒーでも飲みながらのんびり待ちましょう。残り時間が表示されないので、ホントに進んでいるのか不安になりますが大丈夫です。
新規にインストールする人はPCの中の写真を登録するウィザードが出るはずです。
カタログの移行が終わったらそれでおしまい。LR4と同じように使えます。とっても簡単です。
ちなみに、LR4のカタログはそのまま残ります(あとでLR4を起動できる)が、プレビューファイルはLR4 ⇒ LR5へと移るので、後でLR4を起動するとプレビューがスムーズに表示されず、ちょっとイライラしますw
起動後、CFから新規に写真を読み込みましたが特に変わったところは無く、今までどおり。保存先だけ、前回(LR4の時に)保存した場所を覚えていてくれなかったので手動で指定しました。
各種プリセットやラベル、キーワード(階層付き)も問題なくLR4から引き継げています♪
どこにも落とし穴はなさそうです☆
修復ブラシの高機能化
さて、それでは待望の新機能のご紹介。私自身もまだ使いこなしていないのでザックリといきますね。
LR4の修復ブラシは円形範囲しか指定できなかったので、センサーゴミやホコリなど、スポットで修正する用途向けでした。
LR5は修復したい場所を円形だけでなく、ブラシで描いて指定することができるようになりました。これまではPhotoshopでしか消せなかった、建物や人物など複雑な形状のものも1ステップで消せます。
巷で”Photoshopマジック”といわれる機能がLightroomでも出来るようになりました。消すものにもよりますが、かなり精度良く消せます。中に人が入ってるの??って思うくらい。
たとえばこのカップル。
この写真から右のカップルの男性を消してみましょう(悪意はありません。。)
スポット修正(○に→がついたやつ)を選択して、ブラシサイズを指定後、右の男性をぬりぬり。はみ出しながらざっくり塗るだけでOKです。”コピースタンプ”と”修復”の2つを選べますが、普通の被写体なら修復のほうが違和感なく仕上がります。
塗り終わって、マウスを放すと、自動的にコピー元の範囲を探して修復してくれます。すごいです。まさにPhotoshopマジック!
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なんということでしょう!
ざっくり塗っただけ。30秒もかかっていません。足元のレンガ、手すり、奥の港の様子、彼女との境界、どれをとってもパッと見違和感ないですよね。
よーく目を凝らすとなんとなく怪しい境界が見えますが、元の写真がなければ気づかないレベル。Lightroomの中に人が入っているのでは無いかと思ってしまいますw
さすがにこれほど大胆に消すことはあまり無いと思いますが、ちょっと画面に入ってしまった建物や電線、一般の人の顔が入ってしまってWEBにアップしにくい写真に使ってみるといいかもしれません。
Uprightテクノロジー
建物の写真を広角で撮ると歪んでしまいますよね。。光学的に補正するにはチルトシフトレンズという特殊レンズが必要なのですが、一般の人が使うには敷居が高すぎます。
そこで、歪み(パース)を消すには現像時にPhotoshopを使ってイロイロいじって補正をするわけですが、この機能を使うと慣れて無くても自動で補正してくれます。
たとえばこの画像、左のランドマークタワーや右の街灯など画面の両端のものが歪んでます。
そこで、レンズ補正の項目に追加されたUprightの自動をポチ。できるだけ自然な感じで水平、垂直方向の歪みを修正してくれるのです。
基本のレンズ補正と修正後に空白が出ないように「切り抜きを制限」をチェック。とりあえず自動を押してみました。
するとこんな感じ。左右の建物がかなり垂直になりましたね!
ただ、修正に伴って、画面の一部が切り取られることがあるため、パッツンパッツンで撮ってると修正後に微妙になるかもしれません。。
また、広角で撮る場合って、意識的に歪み(パース)を出したいときもあるので、必ずしも有効というわけではありません。将来的にUprightの適用度を%指定できたらステキだなぁ~と思います。
円形フィルター
LR4に搭載されていた段階フィルターは直線の効果しか与えられませんでしたが、円形フィルターを使うと、同じことを円で指定できます。
直線で使っていたときは、ハーフND的な用途でしか使うことがなかったですが、円形フィルタを使うと、現像の幅が広がりそうです☆
例えばこのあじさい写真
爽やかな感じになるようにLRで普通に現像してみました。でも晴れの日だったのでちょっと固め。もうちょっとふんわりさせたいなぁということで。。
円形フィルターでお花を囲います。初期設定では囲ったところ以外に効果が適用されます(マスク反転ボタンで逆にできます)。パラメータはこんな感じ。
コントラスト、明瞭度、彩度を大胆に下げてみました。フィルターで囲われているお花の部分は変化がありません。境界のボカし具合は”ぼかし”のスライダーで行います 。
こうすると、お花の部分の華やかさはそのままに、周囲を落ち着かせてしっとりとした感じになりました☆フィルターを複数設置することも可能です。
いままでの3種類の中では個人的に一番使えそうな機能です♪工夫次第でいろんなことに応用できそう。
Photoshopを普段から使い慣れている人にとって、修正ブラシや歪み補正はPhotoshopの方で作業したほうが手っ取り早い事が多いのですが、このフィルター機能はPhotoshopでマスクを新規で作らなくてもいいですし、通常の現像と同じ感覚でパラメータを調整できるのでLightroomの方が便利だなと思います☆
スマートプレビュー
これまでのLRはプレビューに低解像度のJPEG(たぶん)を使ってきましたが、今回から圧縮RAW形式のファイルを指定できるようになりました(スマートプレビュー)。
これによって、モバイル環境で外出先に元ファイルが無い状態でもかなり高品質なRAW現像および出力ができるようになっています。プロやハイアマチュアなどベビーユーザーにはかなり喜ばれる機能ではないかと思います。
圧縮RAWって聞きなれないかもしれませんが、正体はAdobeが提唱している共通のRAWファイルフォーマットのDNG(Digital Negative)です。
RAWファイルって、カメラメーカ各社が異なる規格(拡張子)で作っているのですが、それを統一してDNG(.dng)にしましょうよ!とずいぶん前からAdobe提唱しているのです。ただ、現状ではそれほどメリットがないため統一される気配が見られません。。
が、このDNG形式、RAWファイルの圧縮やサイズ変更もサポートしているのです!詳しい仕組みは分かりませんが、おそらくRGBに変換される前のベイヤーデータを圧縮しているのかと。
スマートプレビュー機能では、この圧縮RAWの長辺2540pxのものをプレビュー用に用いているみたい。編集可能なプレビューといった感じ。
たとえば、モバイル(ノートPC)と外付けHDDで写真を管理している場合。今までなら、外出のたびに外付けHDDごと持ち歩かないといけませんでした。。
ところが、カタログとスマートプレビューは本体のHDDやSSDに保存、元のデータ(RAWデータ)は外付けHDDに保存。といった環境にすると、外出のたびに外付けHDDを持ち歩かなくても大丈夫。WEB用くらいの用途ならスマートプレビューから画像を書き出してもかなり高品質なものが得られます。
通常のRAW現像に適用できるパラメータは、スマートプレビューに対してもすべて適用できます(だってRAWデータだから)。帰宅後、外付けHDDを繋げば、外出先で行った現像を元のRAWファイルに適用して本番用データを出力することも可能。
完全に家でしかデータを扱わない人には恩恵があまりありませんが、モバイル環境で管理している方にはとってもいい機能かと思います。(スマートプレビューはオプションなので使わない設定にもできます。)
一番カンタンな使い方は、写真の読み込み時にスマートプレビューを作ってしまう方法。読み込み時の右側の設定メニューに「スマートプレビューを生成」という項目が地味に追加されています。
もちろん、読み込んだ後から、必要な分だけ生成することもできます。
ちなみに気になるスマートプレビューのサイズはこんな感じ。5D MarkIIのRAW+sJPEG25枚のデータを別途カタログに書き出してサイズをみてみました。通常のプレビュー解像度は1440px、画質中(カタログ設定より)、スマートプレビューは2540pxの圧縮RAW(.dng)です。
その結果、元データ(RAW+JPEG)25枚では728MB、通常プレビュー(1440px)サイズは10.4MB、スマートプレビュー(2540px, 圧縮RAW)は25.4MB。
さすがに通常のプレビューよりは大きくなりますが、元データから比べると約1/30のサイズです。びっくり。この1/30のデータでかなり高品位なRAW現像をできるんだから凄いことです。
Adobeはこの機能を足がかりに、もう一度RAWファイルフォーマットの世界統一を図るのではないかと勘ぐりたくなるくらいの機能(.dng自体は前からあったのですがね)。
ちなみに、この圧縮RAW(.dng)はスマートプレビューじゃなく通常の書き出しでも選択できるって知ってました?スマートプレビューは2540px固定ですが、通常書き出しの機能を使うとサイズを自由に変えた圧縮RAW(.dng)が生成可能です☆
恥ずかしながら私も最近知ったのですが、この機能かなり使えます。今度圧縮RAW特集をしてみたいと思ってます。
スライドショーのビデオサポート
これに関してはまだあまりテストしていないですが。。(汗
一応手元にあったEOS 7Dと5D MarkIIで撮ったFull HDの素材をいくつか選択して再生ボタンを押すと、動画スライドショーが出来ました!
編集機能があまりないので、本格的な映像製作には向いていないですが、手っ取り早く素材を繋げて一本の映像にしてしまいたいというような用途には向いていそうです^^
普段LRでスライドショーを良く出力する方は使ってみるといいかもしれません☆
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さて、そんなところで今回のAdobe Photoshop Lightroom 5の最速(当社比)レビューを終了したいと思います。
始めにも言いましたが、革新的な進歩というよりは、着実な進歩といった感じ。やや物足りなさは感じますが、いままでの良かったところを引き継いでいるため移行に伴うストレスはほぼゼロかと思います。
移行できる方はさっさと移行してしまいましょう☆
Adobeさんには今後マイナーアップデートでもう少し機能のブラッシュアップをお願いしたいなぁと思います。
ではでは。