望遠レンズがあれば誰だって簡単に撮れます !
上記のような写真、天体望遠鏡がなければ撮れないと思っていませんか?
実はこの程度の月であれば入門モデル一眼レフのダブルズームキットがあれば簡単に撮れます。しかも手持ちで。三脚など必要ありません。
月は地球から見える天体では太陽についで明るいため、最も写真を撮りやすい天体です。月を撮るためのキチンとした設定をして撮れば、誰だって今日見えている月を撮ることが出来ちゃうんです。
そこで今回は、このページの内容だけで月の撮り方を完全マスターするための、完全保存版をお届けします!
月の撮影関連記事 - 皆既月食の撮り方まとめています!
この記事は月の一般撮影について網羅的に紹介しています。満月だけとか、皆既月食だけの撮影の場合は以下の個別記事のほうが読みやすいかもしれません。
・満月(スーパムーンやブルームーン)の撮り方はこちらにより簡単にまとめてます
・皆既月食の撮り方はこちらが詳しいです
・【保存版】星空を綺麗に撮る方法、撮影完全マニュアル!初級編
・実はそんなに難しくない、美しい星空を簡単に撮る方法![現像編]
・自動の比較明合成で簡単に星の軌跡の撮影をする方法![SiriusComp]
月を撮るのに必要なもの
月を撮るのに必要なものは、カメラと望遠レンズ。以上です。一眼レフでなくて高倍率ズームのコンデジなんかでも撮ることが可能です。
満月を撮るなら三脚も必要ありません。手持ちで十分なんです。(三日月などちょっと暗いものは三脚があったほうが安心かも)
望遠レンズはダブルズームキットに付いてきた普通の望遠ズームレンズでOK。高級なバズーカレンズは必ずしも必要ではありません。
ダブルズームキットの望遠レンズでも十分
月を撮るために必要なズームレンズは、最低でも35mm換算で200mm以上、できれば300mmは欲しい所です。これ以下でも写せない事はないですが、残念ながら上記のような大きな満月を写すのは厳しいです。
望遠が有利なので、センサーサイズが小さなエントリー機種の方が撮りやすかったりもします。
普通の一眼レフ、ミラーレスカメラ(APS-Cセンサー搭載タイプ)なら135mm以上(可能なら200mm以上)のレンズ。
オリンパス、パナソニックのミラーレスカメラ(マイクロフォーサーズ)であれば100mm以上(可能なら150mm以上)のレンズがおススメです。
”35mm換算”が良くわからない方はこちらのエントリーをご参照ください
たとえばEOS Kissシリーズ(APS-Cセンサー搭載タイプ)のダブルズームキットに付属する望遠レンズは55-250mmなので、35mm換算で約375mmと月を撮るには十分なレンズですね!
また、高倍率ズームのコンデジであれば光学15倍以上で、後に説明するマニュアルモードで撮影できるものならOKです(最近では超高倍率コンデジの一部には”月撮影モード”のような便利機能が付いているものも)。
キットの望遠ズームレンズより一歩高画質を求めるならタムロンの70-300mmなんかがコストパフォーマンスが高いです。手ぶれ補正の効きがすごい。
さらに望遠を求めるならシグマ、タムロンから150-600mmの超望遠ズームも出ています。ちょっと前なら一般人が手の届かなかった600mmがそこそこの値段で手に入る良い時代になりました。鳥や飛行機の撮影にも活躍しますね。
TAMRON 超望遠ズームレンズ SP 150-600mm F5-6.3 Di VC USD ニコン用 フルサイズ対応 A011N
私が作ったカメラバッグもおすすめです!
ちょっと宣伝ですが、超望遠レンズは大きくてなかなか普通のカメラバッグには収まらないんですよね。。私が監修したカメラバッグ、Endurance Ext IIなら普通サイズのバッグで150-600mmや200-600mmクラスの超望遠レンズも収まるようになっているのでおすすめですよ!
---
月を撮るために必要な機材はこれだけです。簡単そうでしょ?
月を撮る設定は世界共通いつでも同じ?
必要な機材がそろえば、後は正しく設定して撮るだけ。
なのですが、この設定が初めての方にはなかなか難しいはず。「月 撮影」なんかでググってもいろんな情報が出てくるのですが、結構怪しい情報もたくさんあって、気合でいろんな露出で撮ってみて、最適な一枚を!なんて書いてあることも。。
実際のところ、月を撮るのにそんなに試行錯誤して露出を探す必要はありません。月は世界中どこへ行っても、形(月齢)さえ同じであれば、決まった設定ですべて撮れます!
*厳密には大気の状態によっても少しは変動があるでしょうが、何倍も違うという事はないはずです。
そんなわけで、今日ここにまとめた設定をしさえすれば、あなたはいつどんな時でも月を簡単に撮ることが出来ます☆
月を撮る手順 7ステップ
月を撮る手順はぜんぶで7ステップ。順番にやっていけば誰でも撮れます。
1.月齢、月の出、月の入りを調べる
狙って撮る場合は月齢、月の出、月の入りを調べておきましょう。調べ方は簡単。PCからなら 国立天文台の暦計算室 なんかで調べておきます。
iPhoneをお使いならDianaというアプリが無料で使えて便利です。
他にも天体望遠鏡メーカーのVixenが出しているMoon Bookというアプリは上記Dianaより高性能でおすすめです(無料。Android版もあり)。ただ、ちょっと見づらいので手軽に月齢を調べるならDianaかなーといった感じ。
有料版はもっとすごい。超便利。
より高精度に情報を知りたいという方は有料ですがMoon Seekerがオススメです。月の出の時間の他、方角や特定の時間の月の位置を予測したり、iPhoneのカメラを向けると月の軌跡が出てきたりします。
追記:Sun Surveyorがだいぶ良さそう!
いままで上記のMoon Seekerを使ってきたのですが、最近調べてみると「Sun Surveyor」というアプリがかなり良い感じです。
月や太陽の出る時間、入りの時間、薄明の時間はもちろん、緯度や方角、カメラを向けるとARで実際の予想軌道を重ねてくれたり(ここまではMoon Seekerでもできる)、Googleマップのストリートビューで自宅にいながらロケハンできる超機能も付いているなど持っておくと便利。Moon Seekerでは英語でしたがこちらは日本語にも対応していて、UIも良い感じで見やすい。iOS/Android両対応です。
iPhone版が1200円、Android版が880円(執筆時)とまぁまぁ値の張るアプリですが、レンズに比べればタダみたいなもんです。私もさっそくインストールしてみました。(無料のライト版は月やMAPへの表示は使えません)
Moon Seekerは月の情報だけで、太陽は別途Sun Seeker(1200円)という姉妹アプリを使う必要があるのですがSun Surveyorなら太陽と月の両方を使えるのでお得ですね。
始めてなら満月がおすすめ!
満月が最も簡単に撮れます。逆に一番大変なのは三日月。
撮る場所はどこでもOK。晴れてさえいれば、家のベランダでも、繁華街でも、山奥でも。
2.カメラをマニュアルモードにする
マニュアルモードだと急に難しく感じるかもしれませんが、そんなことはありません。マニュアルモードにして、決まった値を設定するだけです。他のモードだと月が真っ白につぶれてしまったり、失敗する可能性が高いです。。
3. 月齢に応じて露出の設定をする
月齢(月の形)に応じて露出(ISO感度、F値、シャッタースピード)の設定をします。とりあえず下の表の値をそのまま入れるだけOKです。(EVの意味が分かる方は適宜調整してもOK)
*以後の設定は入門用ズームレンズかつ、手持ち撮影を想定した設定です。三脚などを使いたい方はこの設定を参考に適宜調整してください。
この設定をそのまま適用するなら、必ずしも専門用語の意味を覚える必要はありません。ただ、"EV"とか"段"の意味が分かると写真がとっても楽しくなるので、気になる方は以下のエントリーをどうぞ!
ぴったりの値が無いときはいちばん近い月齢のものを設定します。
月齢が15以上の場合は30からその月齢からを引いた数で考えます。たとえば、月齢18なら、30-18=12。月齢21なら、30-21=9 となります。
月撮影のおススメ設定
月齢(日) | ISO感度 | F値 | シャッター速度 |
---|---|---|---|
14.8 (満月) | 400 | 8.0 | 1/800 |
12.3 | 400 | 8.0 | 1/400 |
9.9 | 400 | 6.3 | 1/400 |
7.4(上弦、半月) | 400 | 6.3 | 1/200 |
800 | 6.3 | 1/400 | |
4.9 | 640 | 6.3 | 1/200 |
1250 | 6.3 | 1/400 | |
2.5(三日月) | 800 | 6.3 | 1/200 |
1600 | 6.3 | 1/400 |
*上記の設定は少し暗めに写る設定になっています(デジカメは明るくしすぎると後で修正できないため)。この設定で暗いな。。と思った方は下の「6.明るさ(露出)を微調整」をご確認下さい。
満月ならISO400, F8.0, 1/800秒にするだけ!
基本は満月のISO400, F8.0, SS:1/800秒。*SS = シャッタースピード
この設定なら手振れもしにくいし、レンズの性能をしっかり生かして撮影できるはずです。撮っててみてもし暗いならISO400、F8、SS:1/500秒くらいでチャレンジしてみてください。
月が欠けるに従い暗くなっていくので、設定がだんだん厳しくなっていきます。同じ設定で2つあるものは、画質重視か手振れ重視かの違い。感度を落としてシャッタースピードを遅くするか、感度を上げてシャッタースピードを速くするかの違いです。
最近買ったカメラなら下段のシャッタースピードが速い方がおすすめです。ホワイトバランスはとりあえずオートでOK。
4.一番ズームして月にピントを合わせる
設定が終わったら後は撮るだけ。手持ちのレンズで一番望遠のものを装着し、月にピントを合わせます。大抵は普通のAF(シャッター半押し)で合うはず。
どうしても合わない場合はスポットAF(1点AF)で合わせたり、遠くの街明かりに合わせます。
5.あとは撮るだけ!
望遠にすればするほど手振れを起こしやすいので、しっかり構えて優しくシャッターを押すこと。もちろん手振れ補正はONで。
全然大きく写らないじゃん!と思うかもしれませんが、このくらいのサイズで取れれば上等です。後でトリミングして大きくします。ちなみにこちら冒頭の写真のトリミング前の写真。EOS 7D (APS-Cセンサー)に280mmのレンズで撮りました。
↓このくらい大きく写れば十分です!
6.明るさ(露出)を微調整
設定が間違っていなければ、これで月のクレーター模様までしっかり映ってるはずですが、多少の明るい、くらいはあるはず。
明るいなと思ったら、ISOを下げる、F値を大きくする、シャッタースピードを速くするのどれかを設定して撮り直します。1~3目盛(1/3~1EV)程度変えれば適正になるはず。
暗いなと思ったら、明るいときの逆(ISOを大きくする、F値を小さくする、シャッタースピードを遅くする)の設定をします。
例えば、満月をISO400、F8、1/800で撮ってみて暗いなぁと思ったら、シャッタースピードのダイヤルをカチカチと動かして、ISO400、F8、1/500くらいにすると良い明るさになると思います。(シャッタースピードが遅いと光がたくさん入ってくるので明るくなる)
もちろんF値を8⇒5.6としても明るくなります。(F値は小さくすればするほど光を多く取り入れる)。
*カメラや現像ソフトによっては色温度(ホワイトバランス)によって明るさの見え方がかなり変わることがあるかも知れません。私の環境だとオレンジ系の色(太陽光、曇り、日陰)で撮ると暗くなって、白~青系の色(蛍光灯、白熱電灯)だと明るめに出てくる感じです。
7.撮り終わったらトリミング
撮り終わったら、PCにデータを保存し、トリミングします。空の真っ黒な部分を大胆にカットしてしまいましょう。
トリミングはカメラを買ったときに付いていた無料のソフトやその他フリーの画像処理ソフト(GIMPなど)でも可能です。もちろん、PhotoshopやLightroomなど写真向け専用ソフトを使えるならなお良し。
カメラ内でトリミング出来る方はそれでもいいですね。
---
これで完成です!上記のEOS 7D+280mmの物をトリミングしました。
クレーターまでクッキリ写ります。こちら、昨年のスーパームーンの時の写真。普通の満月よりも直径が14%ほど大きいらしいです。
三日月を撮るとこんな感じ。昨日(13/10/8)の月齢3.3程度の月です。家のベランダから手持ちで撮りました。( EOS 7D 280mm, ISO400, F5.6, SS:1/200 現像時に0.6EVほど明るくしました)
三日月ですと満月に比べて明るさが約200分の1、適正露出は-3.8EV(段)ほど低下するので手持ちがギリギリな感じです。(1/200なのに-3.8EVはオカシイんじゃない?と思った方は記事の最後へ)
月が小さくなってきた場合は三脚があった方が良い状態で撮れると思います。
---
ということで、望遠レンズさえあればあとは決まった値を設定するだけで簡単に撮れます。星を撮るよりもずっと簡単ですね!
参考
ここまで撮れれば初めての方なら十分でしょう。きっと次の満月の比には真ん丸お月様が撮れているはずです^^
もし、撮影してて困ったら以下のTIPSを参考にしてみてください。
より良く月を撮るためのポイント
月が全然大きくならない。。
始めから画面いっぱいの月を撮るためには、超高級望遠レンズを使わなければ無理です。最近のカメラは高画素なのでトリミングして大きくしましょう。
例えば35㎜換算 200mmのレンズで撮るとこんなに小さくしか映りませんが、トリミングすればそこそこ大きく仕上がります。(参考として35㎜換算 420mmで撮ったものを横に並べました)
このくらいまで大きくなります!(2000万画素程度のカメラで)
おススメのホワイトバランスは?
色は好みですので、好きな色、実際に見えた色、記憶に残っている色などご自分でお気に入りの設定を探してみてください。
個人的には寒色系の色(蛍光灯など)が好みです。参考までにこんな感じに変わります(RAWからのシミュレーション)。
こだわり派の方はRAW現像などで微調整してもいいでしょう。
ホワイトバランスについてもう少し詳しく知りたい方はこちらもどうぞ!
おススメのピクチャースタイルは?
ピクチャースタイル(キヤノン)、ピクチャーコントロール(ニコン)、仕上がり設定(オリンパス)など写真の仕上がりを決める設定は、風景やビビッドなどコントラストの高いものがおススメです。
キヤノンならピクチャースタイル風景にコントラスト+4とかすると良いです。
おススメの現像設定は?
DPPやLightroomなどでRAW現像して仕上げる方も、コントラストを高めに設定することでクレーター模様をクッキリ浮かび上がらせることが出来ると思います。
さらに詳細に現像するならシャープを多めにかけ、シャドウ側のレベルを下げてあげるとなおよいです。今回の写真はLightroomでシャドウのスライダーはそのままで、黒レベルのスライダーを大幅にマイナスにしたことで、クレーターがはっきりしました。Lightroom使いの人は明瞭度スライダーを上げるのも効果的。
月を印象的に現像する方法も書きました!
画面が真っ暗or真っ白なんだけど。。
正しく設定できているかもう一度確認してましょう。Mモードになってる?ISOはオートのままじゃない?
正しく設定できていれば多少の明るい、暗いはあっても、全然ダメとはならないはずです。
夜景モードやAv(A)モードでは撮れないの?
機種によっては撮れるものもあるかもしれませんが、基本的には満足いく仕上がりにするのは難しいと考えてください。
設定値は決まっているのでMモードを使ったほうが楽チンです。
スマホで撮影できる?
残念ながらスマホではキレイに撮影できません。スマホのレンズは35㎜換算でだいたい30~35㎜なため、月を大きく写せません。
モヤッとしててOKならなんとか撮れるかな?といった感じ(↑)。記事を書いてみましたので挑戦してみては? 最新のスマホなどはもう少しクッキリ撮影出来るかも知れません。
風景や星と一緒に撮れる?
大変難しいです。上記のようなクレーターまでしっかり写った月と風景を一発で写すのは非常に難しいと考えた方がいいと思います。被写体選びと細かな露出選択が必要です月と夜の風景の明るさの差が大きすぎるためです。HDRなどやや高度な処理が必要になります。
900mm相当で撮ってみました。RAW現像はしましたが合成などはしていません。
当然ながらそれより暗い星と一緒に撮るのはさらに難しいです。。
ただし、昼間の月なら周囲と、月の明るさとが釣り合うので写すことができます。こちら、富士山の山頂付近で撮ってみました。火星にいるみたいですねw(105mm, ISO640, F11, SS:1/320)
昼間の月はどうやって撮るの?
昼間に見える月も基本的には同じ撮り方でOKです。が、月と同じくらい空も明るいので、月齢の若い三日月などは撮ってもなんだかメリハリがなくのっぺりした感じになるかも。また、露出も上記の表のままでは明るすぎることがあるので、撮ってみて明るすぎたら1~2段ぶん暗くして撮ってあげると良いかも。
もしくは、昼間の空が明るい状態ならAv(A)モードでも比較的露出が正確に合うと思います。
(皆既)月食はどう撮るの?
追記:2018年1月31日の皆既月食の撮り方をこちらにまとめました!
---
月食や皆既月食も基本的な撮り方は通常の月の撮影と大きく変わりません。月が地球の影に入り、欠けていく(食分が大きくなる)に従い、だんだん暗くなっていくので、上記の月齢に応じたセッティングを参考に、最初は満月用のセッティング、半分くらい欠けたら半月用のセッティング、ほとんど欠けてしまったら三日月用のセッティング。。というように露出(設定値)を変化させていけばOKかと思います。
2014/10/8の皆既月食を撮った時のデータを載せてみます。
だいたい月が半分くらい欠けたタイミングは半月の時と同じ、ISO400, F8, 1/200sでOK。
上の写真から約25分後、だいぶ欠けてきた所で撮ったのがこちら。ISO400, F8, 1/60sです。三脚を使っていたのでF値そのままでシャッタースピードを遅くしましたが、上で紹介した三日月用の設定くらいの露出でも大丈夫です。
注意したいのは皆既状態の赤い月を撮る場合。上の三日月状態の月も欠けている部分は肉眼では赤く見えているのですが、明るい部分に露出を合わせると赤い部分は暗すぎて見えなくなります。
赤い部分を撮りたいなら露出を大幅に上げましょう。上の状態で欠けている赤い部分を撮った場合その露出はISO3200, F6.3, 1/10sくらいになりました。
通常の三日月用の設定より6段(64倍)近く露出を上げてやっと赤い部分が写りますが、明るく見えている部分は白く飛んでしまいます。。
また、シャッタースピードは1/10秒より遅くすると月の動きによるブレが目立ってくるので赤道儀を使わないのであれば感度やF値で露出を上げなければならずやや難しい撮影となります。
---
ということで、これで私の月を撮るためのノウハウは出し切ったはず。
もしそれでも上手くいかなければご質問ください^^
TAMRON 超望遠ズームレンズ SP 150-600mm F5-6.3 Di VC USD ニコン用 フルサイズ対応 A011N
おまけ:月の満ち欠けと露出の関係
ここから先はちょっと専門的な話も入ってくるので、読み飛ばしてもOKです。月の満ち欠けと適正露出の関係を計算する方法について簡単にご紹介します。
月は太陽の光を反射して光っており、その満ち欠けで明るさが変化します。理科年表(下の表)によると、満月のときで-12.6等、三日月では-6.8等です。その差は5.8等ぶん。1等違うと明るさは約2.51倍違うので、明るさの差は2.51^5.8=約200倍となります。
じゃぁ露出も1/200=約7.6EV(段)下げればいいかというとそうではないのです。なぜなら見えてる面積も変わってるから。
月の最適露出を考えるのであれば、月全体の明るさではなく、月の単位面積あたりの明るさで露出を決めることになります。写真は画素の集まりですから、全体の明るさではなく、月が写っている部分の1画素あたりの明るさが同じくなるように露出を決めないといけないんですね。
そこで理科年表の値を元に計算してみたのがこちらの表。緑の部分が理科年表から拝借した値です。
・明るさは月全体の明るさで等級差から計算できます。等級差をaとすると、満月を1として、2.51^-a で計算できます。
・地球から見える月の面積は地球、月、太陽の角度から計算できます。満月の面積を1として、地球から見た月と太陽の角度(角距離)をθとすると、面積比は (1-cosθ)/2 と近似できます。*参考
・よって、明るさを面積で割った月の単位面積あたりの明るさの比が計算できます。
・これを段(EV)形式に直したのがピンク色の数字。最初にご紹介したおススメ設定の根拠になった数字です。満月と三日月の最適露出の差は約3.8EV(段)となることがわかりますね。
完全な机上の計算ですが、この数値は実際に撮った時の値とほぼ一致します。写真の露出は光の量さえ分かればかなり正確に計算できるので、数字が好きな方は計算しながら撮ってみるのもいいかもしれませんね!(もちろん苦手な方はこんなこと一切考えなくても大丈夫です^^;)
ちなみに、月齢と露出差をプロットすると、満月からの露出差⊿EVは 月齢をn(n = 1~15)として
という近似式が得られます。全く覚える必要は無いのですが、これだけ覚えていれば表の数値をいちいち覚えておく必要はありません^^
---
ということで、後半かなりマニアックなお話もしてしまいましたが、このページの情報さえあればきっと月をキレイに撮影できると思います。
みなさんもぜひチャレンジしてみてください!