使い始めが最も難しいLightroom
studio9でも過去に何度もオススメしてきた、写真の管理&現像ソフトのAdobe Lightroom。非常に便利で、個人的には今やコレなしに写真を続けることはあり得ないんじゃ無いかってくらい依存しまくっています。
元はプロ向けのソフトでしたが、ここ1~2年でアマチュア中~上級層にも浸透してきておりサードパーティー製のRAW現像ソフトとしては圧倒的なシェアがあるんじゃないかと思います。
一度使えるようになってしまえば、撮影後のワークフロー(管理、編集、書き出し、プリント)をすべてLightroomに任せてしまうことができる超便利なソフトなのですが、このソフトの欠点は使い始めがちょっと厄介なこと。。
そこで今回はLightroom初心者の方向けに、とりあえず使えるところまでの流れをご紹介したいと思います。
ちなみに、最初のハードルさえ越えてしまえば下記エントリーにあるようなとても便利なスゴイ使い方が出来るようになりますよ!
2017年よりLightroomはLightroom Classic CCとLightroom CCに別れました。本記事はLightroom Classic CC(従来バージョン)向けの内容です。
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*執筆時点で最新版のLightroom5.7を元に紹介していきます。(追記)Lightroom6, Lightroom Classic CCでもほぼ同じ内容ですよ!
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一番大事な「カタログ」について
Lightroomの扱いがちょっと厄介な理由は独自の「カタログ」という概念にあります。他のソフトにはない概念であるため、多くの人がここで躓くのですね。。
Lightroomを扱うにはまず、カタログという概念を理解する必要があります。
先ほど紹介した過去記事(Lightroomで実現する!写真管理を超高速化させる15のポイント!)でも解説していますが大事なことなのでもう一度取上げてみます。
LRは写真では無くカタログを見る
「カタログ」のことを紹介する前にまずは、いままで皆さんの多くが行ってきた写真の”フォルダ管理”についてみてみます。たぶんこんな感じで写真を管理していますよね?
写真を撮ってきたら日付別のフォルダにその日の写真を保存して、その中で「いるもの」「いらないもの」を分けたり、RAW現像用やプリント用に写真をコピーしたりするあれです。
直感的にわかりやすい方法ではありますが、フォルダがどんどん増えていき、撮れば撮るほどPCの中身が煩雑になっていきます。。数年後に「あの時の写真どこだっけ?」って思ってもなかなか見つけ出せないですよね。。
Lightroomはカタログで写真を管理する
一方、Lightroomは「カタログ」と呼ばれるデータベースでPCの中の写真を一極集中管理します。データベースのイメージがよく分からない人は、”百科事典の索引本”だと思っておいて下さい。
カタログの中には、○○という写真は××に保存されていて、△△という写真は□□に保存されていますよ!という情報がすべて記録されているのです。(保存先だけでなく、撮影日時、カメラの設定、現像設定など写真に関するあらゆる情報が1つのカタログに記録されます)
ですから、一度写真をLightroomを通して保存(ココ大事)してしまえば、その保存した写真はLightroomのカタログにすべての情報が記録されるのでシンプルに保存できるのです。
写真を探すときはフォルダの中身を見て探すのでは無く、カタログの中身を検索して元の写真を探し出す。これがLightroomの写真管理です。
カタログの中には写真本体は入っておらず、Lightroomに読み込んである(登録してある)すべての写真の「情報」だけが入っているのです。「写真」と「カタログ」は別モノと考えましょう。
もちろんカタログへの記録や検索といったややこしい事はLightroomが裏で自動でやってくれるため、実際にLR上で写真を扱う場合は今までのフォルダ(エクスプローラーやFinder)による管理と似た操作でOK。難しいことはありません。
ただし、使用者は「裏側ではカタログによって写真を管理している」という認識を持っていないと、Lightroom独特の作法が理解できずなかなか前に進めなくなるのです。
普通は生涯1つのカタログで管理
はじめにLightroomでの写真管理はカタログで一極集中して管理するとご紹介しました。つまり、手持ちの写真はすべて一つのカタログで管理出来ます。
手持ちの写真を1つのカタログに読み込み(登録)してしまえば、あとはLightroom側で好きなように検索したり、編集したりすればOK。よほど意図が無い限りあなたの写真は1つのカタログ(最初に作った(作られた)もの)ですべて管理出来るのです。
私のLightroomには10万枚を超える写真が1つのカタログに登録されていますが(追記:現在20万枚を超えていますw)、快適に管理出来ていますよ^^
逆に言えば、Lightroomのカタログに読み込まれていない写真は、たとえPCに保存されていても、Lightroomからは見る事が出来ません。
Lightroomに写真を正しく読み込む方法
ではカタログに写真を読み込んでみましょう。といっても、いま使っているカタログって何なの??と思うかも知れませんね。
現在使用中のカタログを確認する
多くの場合、今使っているカタログは初回起動時にLightroomが自動的に作成するカタログで、Lightroom5をお使いの方なら、画面左上(Macの場合は中央上)に「Lightroom 5 Catalog」と表示されているはず。
*Lightroom CCをお使いなら「Lightroom Catalog」かと思います。
これがあなたが今使っているカタログの名前です。
*studio9で主催しているLightroomの使い方ワークショップでは、新規にカタログを作り直してまっさらな状態から始めていますが、ちょっと長くなってしまうのでここでは既存のカタログを使う方針で説明していきます。(本質的な内容は変わりません)
じゃぁ、カタログはどこに保存されているの?というと、メニューバーの 編集 > カタログ設定(Macの場合は Lightroom > カタログ設定)の一般タブで確認する事ができます。
重要なのは、この中には写真(RAWとかJPEGとか)は入っていないという事です。入っているのは写真の情報を集めたカタログとプレビューファイルだけです。.lrcatという拡張子が付いたファイルがカタログの本体です。
実際の場所に確認しにいってもいいですが、あまり中身は触らない方が良いと思います。基本的にカタログは使用者がエクスプローラーやFinderで直接変更を加える必要はありません。見るだけね。
写真を正しく読み込む
では写真をLightroomに読み込んでみます。SDカードから直接読み込むことも出来ますし、PCの中にすでにある写真を読み込む事もできます。
Lightroomで読み込んだ写真はカタログの中に自動的にその写真の情報が登録されます。
ここの読み込み方が分かっていないとPCの中が写真でグチャグチャになってしまうので正しく覚えておきましょう。
まずは画面右上で「ライブラリ」モジュールを選択。
画面左下を見ると「読み込み」ボタンが出現していますのでそれを押します。現像モジュールなどの画面だと「読み込み」ボタンは出てきません。
そうすると写真の読み込み画面が出てくるはず。
読み込み画面のポイントは、左から右に見る事。左のカラムが読み込み元の写真を選ぶ場所。SDカードを挿していれば自動的にSDカードが選択されているはず。
PCの特定フォルダから読み込みたい場合は目的のフォルダをツリーの中から選択します。
真ん中に読み込む写真が表示され、右のカラムが”どこにどうやって”読み込むかを選択する場所です。
紛らわしい?読み込み方式
Lightroom(のカタログ)に写真を読み込むには4つの方法が用意されていますがこれが初めは紛らわしくてよく分からないかも知れません。。
読み込み画面中央に「DNG形式でコピー」「コピー」「移動」「追加」とあります。いったい何を選べばいいの?という感じですが、迷ったときは『コピー』を選択するのがオススメです。
それぞれの方式の概念図をカンタンな絵にまとめてみました。( 「DNG形式でコピー」は使わないので割愛)
「コピー」と「移動」について
「コピー」で読み込む
オススメの「コピー」で読み込むと、元データは保持されたまま、読み込み画面で新しく指定した保存先に写真が保存されます。
このとき、後述するようにLightroomが写真の撮影日時に基づいて写真を自動的に整理しながら保存してくれます。コピペ(コピー&ペースト)と同じ挙動ですね。
SDなどメモリーカードやUSBメモリーから読み込む場合に最適です。
PCの中の既存の写真でも「コピー」で読み込めばいままでグチャグチャだった写真をLightroomが自動で日付順に整理し直してくれます。(そのぶんHDDの容量が圧迫されるのでコピー後に残った元の写真は必要に応じて手動で削除する)
「移動」で読み込む
「移動」の場合は「コピー」と同じくLightroomが自動的に整理して保存し直してくれるのですが、読み込みが終わったら元のデータが削除されてしまいます。カット&ペースト(切り取り&貼り付け)と同じ挙動です。
余計な写真が残らないメリットがありますが、移動で読み込んだ場合は元の写真が削除されるということをよく覚えておきましょう。
注意!「追加」はLightroomが読みに行く
最後の「追加」はちょっと変わった特性があるので注意。「追加」で読み込むと写真は元の場所を移動する事無く、Lightroomがそこに読みに行く(参照)状態となります。
上の図と矢印の向きが逆であることに着目しましょう。
いままで自分のオリジナルの方法で管理してきて、それを崩されたくない人向けの設定です。
SDカードから読み込む時は絶対に使ってはいけません。この方式で読み込むとPC内には写真が保存されないのでSDカードを外せばLightroomは写真を読みに行く事が出来なくなってしまいます。つまり、カメラでカードをフォーマットした瞬間に写真が消えるという重大事故が起こります。
(現在のバージョンではSDカードなど明らかにカメラで使ったものは事故防止のため「追加」を選べなくなっていますが、USBメモリーなどは相変わらず選べるので注意)
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ということで、それぞれ挙動が違いますが、迷った場合は「コピー」で読み込むのが一番安全でシンプルです。
可能ならLightroom用に新しくHDDを一つ用意して、その中にどんどんコピーして行くとスッキリ管理出来ますね。
読み込みオプションの設定
右カラムの読み込みオプションはいろいろ並んでいますが最初は初期設定のままでOK。一番上のファイル管理のところで「重複を読み込まない」にチェックが付いていることだけ確認しましょう。
これが付いていればLightoomに一度読み込んだ写真は二度と読み込む事がなくなります。
大事なのは保存先の「日付形式」
読み込み時の設定で大事なのは上記の4つの読み込み形式と、右カラムの「保存先」欄にある「日付形式」です。
ここでLightroomが自動的に写真を整理するルールを選ぶ事が出来ます。
普通は一番上の「2014/12-03」(表示される数字は日によって違う)を選択しておけばOK。
この場合は、Lightroomが写真を整理して保存する際に、「2014」という年別フォルダを作成し、その下に「12-03」や「12-15」と言ったような日別のフォルダを作成していきます。
つまりスラッシュ(/)はフォルダの階層の意味です。
「2014年/12月 03日」を選べば、「2014年」フォルダの下に「mm月 dd日」という日別のフォルダが作られて保存されます。
それぞれお好みの形式で読み込んでみてください。
*当然ながら、「追加」を選択した場合にはこの「保存先」は表示されません。
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指定が出来たら、右下の「読み込み」ボタンをポチッと押せば完了です。自動的にどんどんLightoomに写真が登録されていきます。
なんだかややこしそうですが、一度読み込んでしまえば前回の設定が記録されているので保存先を確認するだけでOKです。
フォルダとファイルの管理の作法
さて、Lightroomを通して読み込んだ写真はライブラリモジュールので確認できます。
読み込み完了後にライブラリモジュールの左カラムにある「フォルダ」の欄を見てみましょう。
この欄に表示されているフォルダは実際のHDDの中のフォルダ階層と同じです。つまり、エクスプローラーやFinderでフォルダを見ているのと同じ状態。(上の図はカスタマイズして使っているため普通に読み込んだままの状態とは見た目が異なります。。)
さっきの読み込み先フォルダをエクスプローラーでたどって見てみればここと同じ形式でフォルダが作成されていることが分かります。
変更は必ずLightroomの中で!
ここで非常に大事な注意点。フォルダを追加、移動したり、フォルダの名前を変更する場合は必ずLightroomの中にあるこの「フォルダー」欄で行います。
絶対にエクスプローラーやFinderで変更してはいけません。
理由は「カタログ」を理解している人ならおわかりなはず。Lightroomの外でフォルダに変更を加えてしまえば、Lightroomのカタログに記録されている情報と、実際の情報に食い違いが生じてしまい、Lightroomは写真を読めなくなってしまいます。。
↑エクスプローラーでフォルダをいじってしまうとこのように「?」マークが付いて写真が読めなくなってしまいます。(右クリックで正しい場所を指定し直せば元に戻ります)
変更は右クリックとドラッグ&ドロップで
フォルダの名前を変更したり、新しくフォルダを追加したい場合はそのフォルダ上で右クリックをして、「”○○○”内にフォルダーを作成」や「名前変更...」で行います。
ここで変更すれば、カタログにも変更内容が反映され、実際のHDD内のフォルダ名も変わります。
親フォルダを出すと分かりやすい
また、一つ上の階層のフォルダを表示させたい場合は「親フォルダ」を表示をクリック。
フォルダを移動させたい場合はドラッグ&ドロップでOKですし、写真を別のフォルダに移動させたい場合は、中央カラムに表示されている写真をドラッグ&ドロップすればOKです(複数選択可能)。
*写真を移動する場合は写真の中を掴んで下さい。グリッドの枠を掴むとうまくいきません。。^^;
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いままでフォルダ管理が身に染みてしまっている人は慣れるのに少し苦労するかも知れませんが、Lightroom内で管理することさえ守れば快適にLightroomライフが送れると思います^^
バックアップも忘れずに
ここまでの基本操作ができるようになれば、あとは好きな写真を現像するなり、セレクトするなり、お好きなままに管理する事がかのうですが、バックアップも忘れずにしておきましょう。
Lightroomでバックアップが必要なのは最重要が2つと出来ればやりたい1つの計3つです。
1.写真のバックアップ
まずはだれでも思いつく写真のバックアップ。これはLightroomに限らずいままでどおり行って頂ければOK。
Lightroom用で扱う写真専用のHDDを導入すればバックアップはそれをコピーするだけでOKですね。
注意したいのは「追加」で写真を読み込んでいる人。「追加」の場合はLightroomがPC内の様々な場所へフォルダを参照しに行くので、写真が保存されているフォルダがバラバラになっている可能性があります。
この場合はバックアップも煩雑になるので、写真は写真でなるべく一つの場所に固めて運用すればOKですね。
写真のバックアップはコチラの記事も参照してみて下さい。
2.カタログのバックアップ
Lightroomを扱うならこれも忘れてはいけません。
Lightroom上で加えたすべての変更はこのカタログに記録されています。よってこのカタログを失った場合、写真は残っているけど今までやった現像結果がすべて無くなるといった悲しいことになってしまいます
必ずバックアップしておきましょう。幸い、Lightroomにはカタログのバックアップ支援機能が付いているのでこれを活用してバックアップを取ります。
バックアップの頻度は、メニューバーの 編集 > カタログ設定(Macの場合は Lightroom > カタログ設定)の一般タブで設定できます。
デフォルトでは1週間に1回となっています。週末カメラマンな方はこのままでもOKだと思いますが、心配な人は頻度を上げても良いかも知れません。
バックアップ先は、この場合1週間後のLightroom終了時に選択する事が出来ます(謎仕様。。)。
終了時にこんな画面が出てきたら、バックアップ先のフォルダを指定します。もちろんカタログ本体とは違うドライブを指定。
サイズがそんなに大きくないのでDropboxなどのクラウドストレージにバックアップしてしまうのもアリです。
バックアップしたカタログはバックアップするだびに溜まっていくのでいらないものは定期的に手動で削除しましょう。ゴミ箱に入れるだけでOKです。
また、カタログ最適化の追加オプションも出てくるのでチェックしておきます。これを定期的にすることでLightroomの挙動が安定します。
3.プリセットのバックアップ
使い始めはあまり気にする事はないかと思いますが、慣れてきてじゃんじゃんお気に入りのプリセットを作るようになった場合はこれもバックアップしておきましょう。
写真ともカタログとも違う場所に保存されているので手動でバックアップします。
自分で作ったプリセットは通常、Windows7なら、
C:Users<ユーザー名>AppDataRoamingAdobeLightroom
の中に、Macなら
Macintosh HD/ユーザ/<ユーザー名>/ライブラリ/Application Support/Adobe/Lightroom
の中に入っているはずです。
こちらもサイズはあまり大きくないので、クラウドストレージにバックアップしても良いです。クラウド経由で複数PCでプリセットを同期して使う上級ワザもあります。
Lightroomに慣れてきたらこのへんのバックアップもぬかりなく行っておくといいですね!
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ということでLightroom初心者が一番最初に躓きそうなポイントとその対策をご紹介してみました。
これでLightroomの様々な機能が使いこなせる状態になるはずです^^ 下記エントリーの内容もご参照いただければ幸いです。
ぜひイロイロ挑戦してみて下さいね。
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