EOS M5の戦闘力を左右する重要な設定がある
久しぶりにライトなレビューというか、お願いを書いてみたいと思います。他でもない先日キヤノンから発売されたEOS M5についてです。
「いままでの ミラーレスに、 満足している か?」という挑発的なキャッチフレーズと共に発売されたキヤノンのミラーレス機としては最上位に位置するカメラ。先代のM3に比べて大幅にパワーアップしている機種でもあるのですが、発売直後は価格.comなんかでメチャクチャな評価を受けていて一部界隈がざわついていました(笑)
いろいろ言いたいことはあるのですが、EOS M5を買った人は電源入れて日付時間を決めたらまずこの設定をしてくれ!お願い!ってことを書いてみようと思います。
タッチ&ドラッグAFをONにして下さい
これです。
メニューから「タッチ&ドラッグAF」をONにしてください。これだけであなたは幸せになります。
先代のM3からの進化ポイントは、デュアルピクセルCMOSを搭載してAFが早くなったり、EVFがついたり、連写が大きくアップしたり、動体予測AFが出来るようになったり、DIGICが強化されたり … いろいろあってもうフルモデルチェンジって感じなのですが、個人的にEOS M5の一番のポイントは「タッチ&ドラッグAF」だと思うんですよ。
AF測距点移動が神速になる!
他社カメラ含めて私がミラーレス機や一眼レフの初級機を使ってて一番の不満点は画質とかAFじゃなくて、AF測距点(AFポイント)が移動しにくいという操作性なんですよね。これは撮影スタイルにもよると思いますが。
今や入門機でもAF測距点が20点とか30点あるのが当たり前で、中には50点とか100点あったりするわけですが、それどうやって動かすの?って問題があったわけです。風景や静物などを撮るならじっくり測距点を動かすなりライブビューでMFすればいいのですが、スナップとか動体はそうはいきません。
一瞬のシャッターチャンスをものにするのにAF測距点はできる限り素早く動かしたいのですが、AF測距点選択ボタンを押したり、十字キーでチマチマ動かしてたのではとてもじゃないけど快適な撮影をすることはできず、中央一点でフォーカスロックしながら使った方が早いという感じがします。
だから私は普段 EOS 5D系や7D系の独立したマルチコントローラー(ジョイスティックでAFポイントぐりぐり動かせる)を搭載しているものを使ってるわけですが、EOS M5ならそれができるんですよ。タッチ&ドラッグAFを使えば!
これからのすべてのミラーレス機に搭載して欲しい
肝心の「タッチ&ドラッグAF」の説明をまだしていないのですが(笑)、これはタッチ操作に対応した背面液晶を一眼レフの上級機に付いているマルチコントローラーと同じように使える機能です。
一眼レフ上位機種より快適
目はファインダー(EVF)を見ながら、グリップしている親指を液晶画面内でグリグリ滑らせるの。そうすると、ファインダー内ではAF測距点が滑らかに自由自在にスルスル動くんです。
5D系とか7D系に付いているマルチコントローラーを使うより遙かに高速にAF測距点を変更できます。EOS M5はデュアルピクセルCMOS AFにより画面内の縦横80%の領域がAF可能なのでメチャクチャ快適。
M5でタッチ&ドラッグAFを使わないとか、カメラの魅力の半分を捨ててるようなもんです。
・EOS M5 スペシャルサイト 操作性 (キヤノン)
タッチ&ドラッグAFのおすすめ設定
メニューからタッチ&ドラッグAFを設定すると、「絶対位置」「相対位置」という項目と、タッチ領域の項目があります。
相対位置がおすすめ
「絶対位置」というのはファインダーを覗きながら(←これ大事)液晶をタッチした場所にAFポイントが移動する設定。「相対位置」とはタッチした場所に関係なく、指をするする動かした移動量に応じてファインダー内のAFポイントが変わる設定。
一眼レフのマルチコントローラーと同じ感覚で使うなら「相対位置」になりますね。
タッチ領域は画面タッチが反応する領域。ファインダー覗きながらグリップした右手の親指が届くところは限られているので、反応領域を限定した方が使いやすいでしょ?ということ。
相対位置+右 が最も機動力高い
領域を「画面全体」にして「絶対位置」を設定してしまうと、親指が画面左側には届かないはずなので結構キツいです。絶対位置なら「右上」とかがいいでしょうかね。画面の右上1/4の領域の中で、左側をタッチすればAF測距点は一発で左に移動します。「右」とかに設定すると領域の縦横比が実際の画面と合わないので使いづらいはず。
個人的な一番のおすすめは、「相対位置」+「右」に設定すること。これで背面液晶の右半分の好きなところをスルスル滑らせるだけで、ファインダー内のAFは自由自在に動きますし、領域を右に限定しているので鼻の頭が触れて誤動作するといったことも防げます。
マジ快適です。
利き目が左の人なら領域を左側にして使うことも出来ますよ。
まとめ
ということで、EOS M5を買ったらまず最初に「タッチ&ドラッグAF」を有効化して下さい!という私からの切なるお願いでした。ほんとこれだけでずいぶん幸せになれるはずですから。
あと、M5に関して注意したいのは、冒頭でEOS M5はキヤノンのミラーレスフラッグシップ機と表現しましたがそれでもボディの実売が10万そこそこのカメラです。同じキヤノンの一眼レフで比べるならEOS8000DとかEOS80Dといった中級機あたり。他社ミラーレスでも中級機と比べるべきで、上級機と比べればいろいろ弱点もあるというのは認識しておきましょう。
それでもなんで今回私がワリとM5推しなのかというと、なんか今後が楽しみなカメラだからです。
キヤノンはモデル間のヒエラルキーを非常に重視する会社なので他のモデルを食うような製品は出さないんですが、M5は確実にKiss、8000D、80Dあたりの潜在ユーザーを食いに行ってる感じ。そう考えるとキヤノンがいよいよ本気出してきたんじゃない?って考えることも出来るんじゃないかなと思うわけです。
この先どう進んでいくかは分からないですが、ちょっと物足りないEF Mレンズ群に明るいちょいハイグレードなものがいくつかラインナップされたら大化けするんじゃないかなと思っているんですよね。
Canon ミラーレス一眼カメラ EOS M5 レンズキット EF-M18-150mm F3.5-6.3 IS STM付属 EOSM5-18150ISSTMLK
EOS M5のムック書きました!
で、なんでこんなEOS M5のことを熱量高めで書いたかというと、今回EOS M5のムックをガツンと担当するにあたってかなり長期間M5とお付き合いしていたからです。メニューや新機能周りを担当したのであらゆる機能を一通り使って作例撮りしました。
もっと言えばデジタルカメラマガジン10月号(9/20発売)でEOS M5のファーストインプレッション記事を担当したのでM5が公になるずっと前から様々な作例を撮ってきて、「マジ、タッチ&ドラッグAF最高!」と思ったから。
もちろんカメラ全体としての完成度もキヤノンらしく良くまとまっています(中級機として)。レンズのラインナップとか将来性がまだ固まりきっていないという点もありますが、通常の撮影に使うのであれば十分「買い」のカメラなんじゃないかなと思う次第でございます。
結構頑張って書いたので書店で見つけた際にはでひお手にとってみて下さいね。
キヤノン EOS M5 完全ガイド (インプレスムック DCM MOOK)
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ちなみに、初代EOS M発売時(4年前)につらつら書いたエントリーはこちら。
この4年間はまさにこんな感じだったのですが、M5になって方針転換というか、ターニングポイント的な何かを感じたわけです。