良いんだけど使い始めに難があるBR-E1
カメラのリモコン(レリーズ)と言えば有線方式か赤外線による無線方式が主流でしたが、最近メジャーになりつつあるのがBluetoothを使った無線方式です。
有線のような煩わしさや、赤外線のような感度の悪さが無いだけでなく、リモコンによってはAFやズーム操作などもできる高機能なものもあります。
キヤノンにもBR-E1というBluetoothリモコンがありボディと連動して様々な機能が使えるのですが、実際に使ってみると「最初にどうしたらいいの??」といハマりそうな感じがスゴかったので、今回はBR-E1のレビューと共にカメラにペアリングして使い始めるまでの流れを紹介してみようと思います。
BR-E1の主な機能と問題点
はじめに言っておくとBR-E1自体の使い心地はクセはあるものの(後述)良いものであり、問題は使い始めるまでの設定の分かりづらさ(不親切さ)にあります。
キヤノンの製品はワリとこういう所もちゃんとしているイメージだったのですが、BR-E1に関しては結構ハマったのでもうちょっとちゃんとしてよー!と思いこの記事を書いています。
BR-E1でできること
レビューも兼ねているのではじめにBR-E1で出来る事や他のリモコン(レリーズ)に対するメリットをザッと紹介しておきます。
使い方をすぐ知りたい方はここは飛ばして下さい。
めちゃ小さい
リモコンのサイズは手のひらよりも小さく、薄く非常にコンパクトです。ストラップを通せる穴も大きく空いているので首やカバンにぶら下げて使う事も簡単(防水ではないので注意)。
有線リモコンよりもずっと小さく軽いのが素敵です。
好きな場所で遠隔シャッターできる
はじめにも言いましたがBR-E1はBluetoothを使った無線方式のため、カメラから半径5~10mくらいの距離ならどこにいてもボタンを押すだけでシャッターを切れます。めちゃ快適。
試しに家の中でカメラとBR-E1の距離12m、間に扉2枚の条件で使ってみましたが問題なく使えました。公称は遮蔽物がない状態で5mとなってますが実際には結構離れてても問題なく使えます。
寒いときにポケットに手を入れながらシャッター切るといったことも出来るのが素敵。
昔の赤外線方式のレリーズのようにカメラ前面に付いている受光部に向けてボタンを押さないとなかなか反応しないといった煩わしさもありません。ラジオスレーブを使った無線レリーズのように、カメラに受信機を取り付けて使うといったことも必要ありません(カメラ自体に受信機能がある)。
メーカー純正品で無線リモコンでありがちな技適通っているか問題(後述)をクリアしているのも安心ですね。。
シャッター、AF、パワーズームが使える
使えるのはシャッターのほか、AFオンとパワーズームアダプターを使用している時のズーミング操作です。
側面のスイッチを変えることで2秒タイマーや録画オンボタンとして使う事も可能。
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現在3,000~4,000円と有線や赤外レリーズに比べると少々高価ではありますが、風景など三脚撮影が多い人には便利だと思います。
説明書が入っていない問題
こんな感じで結構良い感じの製品ではあるんですが、BR-E1は初心者泣かせかもしれません。。
BR-E1はこんな感じの実にシンプルな箱に入ってくるのですが、説明書が入っていないのです。。(私のだけ??)
入っているは多国語で注意事項が書かれている紙だけで、ペアリングの方法すら分からないw
注意事項に書かれている紙には「canon.jp/lens-acc-malual」にアクセスすればPDF読めるよって書いているのだけどQRコードもなく今どきURL直打ちさせるのかと。。
しかも上記URLで飛ぶ先はBR-E1の説明書ではなく、なぜかレンズのマニュアルページで、BR-E1のページに辿り着くにはアクセサリのボタンを押し、多数ある一覧の中からBR-E1の説明書を探さなければならないという○ソ仕様。
(はじめはちゃんと飛んでたけど後でサイトのURL変更があったのかも)
とりあえず、買ってすぐ使うのは不可能な導線なのです。キヤノンはもうちょいちゃんとしてるかと思ったのに。
私の箱にだけ説明書が入っていなかったと思いたい。。
ワイヤレスリモートコントローラー BR-E1使用説明書 - キヤノン
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そんなわけで、BR-E1は結構ステキな無線リモコン(レリーズ)なのですが、使い始めにトラップがあるのです。
BR-E1を使い始めるまでの方法
とはいっても、ペアリングの仕方などは非常に簡単なので、”やり方を知ってさえすれば”30秒で使い始められます。なぜペアリング方法を書いた紙一枚入れなかったのか。。
カメラとBR-E1をペアリングする
使い始めるにはまずカメラとBR-E1をペアリングする必要があります。はじめにペアリングしておけば次回以降はこの操作はするひつようなく自動的にカメラと繋がるようになります。
ちなみに、対応しているカメラは以下の機種です(2019年4月現在)。今後発表されるカメラでもBluetoothさえ搭載していればBR-E1は対応していると考えて良いでしょう。
「W」と「T」ボタンの長押し
今回はEOS RとBR-E1をペアリングする流れを紹介をします。他の機種でも同じなはず。
まず、メニューの黄色のスパナタブから「無線通信の設定」を選択。
続いて、「Bluetooth機能」を選択。この例だとスマートフォンが選択されてますが、デフォルトだと「使わない」になってるかな?
次の画面の「Bluetooth機能」で「リモコン」とした状態で「ペアリング」を選択。
つまり、Bluetoothリモコンを使う場合はスマートフォンとのBluetooth接続は一旦切られることになるので注意(設定戻せば自動で繋がります)。
次の画面が出てきたらBR-E1側でペアリング操作を行います。
この画面が出ている間に、BR-E1の「W」と「T」ボタンを両方同時に長押し(約3秒以上)することでカメラとBR-E1が繋がります。
説明書なくWとT長押しを一発で見抜くのは無理ゲーですよね。。(この画面にWとT長押ししてねって書いてくれたら良かったのに)
これで完了です!
ペアリングしただけでも使えない
続いて、使うときはドライブモードを「リモコン(タイマー、2秒タイマー)」に設定しておきます。
通常の1枚撮影や連写モードにした状態でBR-E1のボタンを押しても何も反応してくれないので注意(つまりBR-E1で連写はできない)。
選ぶのは10秒タイマーでも、2秒タイマーでもどちらでもOK。10秒タイマーを選んでもBR-E1のボタンを押せば即時でシャッターが切れます(後述)。
どのドライブモードでもBR-E1のボタンを押したら自動でシャッターが切れれば良いのですが、キヤノンの場合はこういう面倒なステップを一度踏まなければなりません。。(昔の赤外リモコンもこんな感じだったっけか)
BR-E1の使い方
ペアリングさえ済んでしまえば勘の良い人なら説明書なくとも普通に使う事ができるはずですが簡単に紹介しておきましょう。
使えるのは1枚撮影、2秒タイマー、録画オン
BR-E1の側面にはスイッチが付いており、3つのモードを使えます。
「●」が通常のシャッターボタンで押したらすぐにシャッターが切れます(1枚)。「2」にしておくと2秒タイマー。
ドライブモードを10秒タイマーにしようが、2秒タイマーにしようが関係なく、このスイッチの通りにシャッターが切れる仕組みになっています。
録画オンを使うにはメニュー設定が必要
さらにカメラマークにしておくと録画オンも使えます。カメラに触れなくて良いのでありがたい機能ですね。
ただし、録画オンを使うにはメニュー設定でリモコンを有効化しておかねばならないので注意しておきましょう(めんどくさい)。
カメラを動画モードにした状態でメニューを開くと「リモコン撮影」という項目があるので「する」にチェックしておきます。これでOK。通常の静止画撮影モードだとこの項目は出てこないので注意。
ちなみに、静止画撮影モードで録画オンボタン押してもなにも反応してくれません。
バルブ撮影は押し続けなくてOK
BR-E1ではバルブ撮影も可能です。
撮影モードを「BULB」にして、BR-E1のボタンを押すと露光開始。もう一度押すと終了です。
普通のレリーズだとシャッターボタンを押し続けるかロックさせなければなりませんが、BR-E1なら押し続けなくても良いのがポイントです。
BR-E1を使うときの注意、回避策
今まで有線レリーズを使ってきた人にとっては所々で作法が異なるためちょっと困惑してしまうかもしれません。いくつか注意しておくべき所をまとめておきます。さらに、それを回避する為の代替策についても簡単にまとめておきました。
BR-E1を使うときの注意点
BR-E1は「普通のレリーズ」ではないので結構クセのある挙動をします。
連写ができない
BR-E1を使う場合はドライブモードを「タイマー/リモコン」にしなければならないため、連写が使えません。。
三脚にカメラを据えて、置きピンでタイミングが来たら連写するといった使い方をする人も鉄道など撮影ジャンルによってはいると思いますが、そういう使い方はできないので注意。BR-E1で出来るのは1枚撮影と2秒タイマー(それと録画オン)だけです。
シャッタータイムラグが結構ある
BR-E1のシャッターボタンは本体のシャッターボタンと比べると結構タイムラグがあります。押してからワンテンポずれる感じ。計ってないですが200~300msくらいな体感(EOS R使用時)。
風景撮影や静物なら何ら問題にならないタイムラグですが、動体の一瞬のシャッターチャンスを仕留めるといった用途には厳しいと思うので注意。人が笑った瞬間を撮るみたいな用途にも厳しいかも。
半押しがない
BR-E1のシャッターボタンには「半押し」がありません。押すと自動でAF+シャッターとなり、ピントが合わない場合はエラーとなってシャッターも切れない方式。大ボケ状態からの撮影時などAFにある程度時間が掛かる場合はボタンを押し続けてないとシャッターが切れない場合もあります。
AFだけ行いたい場合は別途AFボタンを押しましょう。
シャッター時にAF動作させたくない場合はMFに切り換えるか、ボタンカスタマイズでシャッターの半押しAF解除しておけばOKです。
スマホとリモコンは排他利用
上でも触れましたが、BR-E1を使う場合はスマホとカメラのBluetooth接続は一時的に使えなくなります。
キヤノンのカメラはBluetoothでスマホと常時接続して、カメラに触れずにカメラ側から画像転送したり(転送時はWI-Fiに自動で切り換わる)、スマホのGPS情報を画像に付与できる機能もありますがBR-E1を使っている間(設定をリモコンにしている間)はそれが出来ないことに注意。
スマホと連携させている人はリモコンを使い終わったら設定を元に戻しておきましょう。(Bluetooth機能の項目をリモコンからスマホに変えるだけでOK)
カメラとBR-E1は一対一
複数のカメラを使ってる場合、一つのBR-E1を複数のカメラとペアリングすることはできません(2台目にペアリングすると1台目のペアリングが切れる)。常に一対一で使う必要があります。
一つのBR-E1で2台のカメラのシャッターを同時に制御出来たら面白いなと思ったのですがそれはできないみたい。
一つのBR-E1で複数のカメラを使う場合はその都度、ペアリング解除/再登録をする必要があります。
Wi-Fi利用中は使えない
カメラのWi-Fi機能を使っている間はBR-E1は使えません。
シーンとしてはあまり多くないかと思いますが、スマホでWi-Fiを使ったライブビュー撮影している時にBR-E1でシャッターを切るということは出来ないということ(スマホでシャッター切れば良いのだけど)。
特殊な使い方をしたい場合は注意しておきましょう。
現場での電池交換は難しい
BR-E1には電源ボタンがなく、常時通電状態で使用したいときにすぐ使えるのでメリットではあるのですが、実際どの程度電池が持つのかは未知数。これから使用しながら検証してみます。
電池が切れたとしても自分で電池交換できるのでその辺は問題無さそうですが、交換時は精密ドライバーが必要なので現場で交換するのは厳しい感じ。
ちなみに使用する電池はCR2032。100均にもあるんじゃないかと思います。
それでもワイヤレスレリーズを使いたいなら。。
上記のようにBR-E1はコンパクトで手軽に使用できる反面、いろいろ制約があるため中~上級者の特殊な用途には向かないシーンがいくつかあります。それでもワイヤレスレリーズを使いたい場合は別の代替製品を使う事で回避できる可能性があります。
サードパーティーのラジオスレーブを使う
BR-E1の諸々の問題点を回避するならサードパーティーのラジオスレーブを使うのが良いでしょう。送信機と受信機2台で1セットとなり、持ち運びやセッティングの手間がかかりますが、これを使えば純粋にカメラのシャッターボタンを遠隔操作することができます。
ドライブモードを連写にしておけば長押しで連写も使えるし、ペアリングがないのでカメラを変えてもOK。シャッタータイムラグもほぼ無視できる範囲です。
BluetoothやWi-Fiではないのでカメラのそれらの機能との干渉もありません(同じ2.4GHz帯を使っているため、電波的な干渉は多少あるかも)。
技適を取得している必要がある
ただし、注意したいのはこれらサードパーティーのラジオスレーブを国内で使用するには製品が「技適マーク」を取得している必要があります。技適無し製品を使うと違法となってしまうため注意しておきましょう。
例えば下の製品(YONGNUO RF603CII)なんかは最近のものには技適シールがついているようで国内でも問題なく使用できるみたい。(販売者によって付いてこない可能性もあるかもなので自己責任にて)
YONGNUO製 RF603CII-C3 第二世代 ワイヤレス・ラジオスレーブ 無線レリーズ キャノン用セット Canon 1D、50...
ただし、上の製品は一桁D系や二桁D系のN3端子用なのでEOS RやEOS Kissシリーズで使うには別途シンクロケーブルを用意する必要があります。例えばこんなやつ(↓)とか(使えるかどうかは未検証)。
サードパーティーの無線機器を国内で使うには法律の問題があり悩ましいのです。
(・・・同じ製品でもシールのあり/なしだけで使えるかどうか決まったり、技適未取得製品を販売するのは問題なかったり、国際規格でもなく、いろいろ法整備に問題ありすぎるので納得いかない点がいろいろあるのですが、立場的にバレなければOKですよとは言えない・・・)
まとめ
ということで、キヤノンのワイヤレスリモコン、BR-E1のレビューと使い方を紹介してみました。
しばらく品薄が続いていた人気のリモコンでしたが、使ってみると結構クセのあるレリーズなので使ってみようという人は手を出す前に自分の用途をよく考えて見た方が良さそうだなと感じました。
あとは初心者泣かせの導線もなんとかした方が良さそうな感じ。
私は風景とか夜景用途に使う予定なので全く問題なさそうで、このコンパクトで手軽な感じはなかなか良いと思いました。風景を良く撮る人は一つ持っていても良いんじゃないかなぁと思った次第です。
願わくば、フツーにシャッターボタンと連動だけしてくれるシンプルなレリーズにしてくれれば最高だったのですが、技術的な問題でもあるんですかね。。
ソニーからも5月に同じようなBluetoothリモコンRMT-P1BTが発売予定でコチラも勢いで予約してみました(高い!)w キヤノン BR-E1と比べて使い勝手などどうなるのかなーと楽しみです。
チャンスがあればこちらもレビューしたいなーと思ってます(▼レビューしました!)。