WEB公開時にはウォーターマークを入れよう
写真やイラストをWEB上に公開するときに必ずリスクとなるのが他人に無断転載されることです。せっかく自分が撮影したり描いたりしたものが知らないうちに第三者にコピーされ、使用されるというのは正直気持ちの良いものではありません。
studio9の写真や説明用のイラスト、ヒドい時には記事そのものが無断転載されることも残念ながら珍しいことではありません。。なんとかパクり被害を防ごうとここ数年いろいろ試行錯誤した結果、最も効果があったのが写真にウォーターマーク(クレジット表記)を入れることでした。
そこで今回はLightroomやPhotoshopを使って写真やイラストに高品質なウォーターマークを入れる方法をご紹介してみます。
写真、イラストにウォーターマークを入れる意味
写真やイラストなど著作物には「©」などのクレジット表記をしなくても著作権はオリジナルの作者者に存在するので、本来であれば写真の著作権を主張するためにウォーターマークを入れる必要はありません。
ただ、残念なことに「ネット上にある写真、イラストはフリー」と思い込んでいる or 無視してる 残念な人も多く無防備な状態では簡単に盗用されてしまいます。
ところが、今までの経験上そんな残念な人たちも写真にウォーターマーク(クレジット)が入っているとさすがにヤバいと思うのか、パクり被害は大幅に減ることが分かりました。studio9で無断盗用される写真の大半は昔に公開したウォーターマークの無いものやうっかり入れ忘れて公開してしまったものです。
写真が盗まれなければブログも盗まれない?
ブログ記事の無断転載においても、ブログは文章+写真で構成されることが多いですから、ブログの写真がパクられにくくなれば文章そのものもパクられにくくなるはずです。
作品にウォーターマークを入れるというのは、その作品に余計な手を加えることになるのでできればやりたくないことですが、被害に遭ってから嫌な思いをするくらいなら事前に入れておくというのは重要だと思います。
ちなみにstudio9で過去にパクり被害にあってまとめた記事は下記のような感じです。
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ウォーターマークを付けるだけならフリーソフトなどもたくさんありますが、今回はできるだけ手間を掛けずに、かつ高品位に!ということを目指して私が普段使っている方法を紹介していきます。
Lightroomを使い全自動で入れる
まずは写真の管理もできて、現像もできちゃうアドビのLightroomから。私は普段扱う写真の95%くらいはLightroomを使ってるので、ここでウォーターマークまで入れられると非常に便利です。
Lightroomだけで写真にウォーターマークを入れるのは非常に簡単で、RAWからJPEGなどに書き出すときに全自動で入れることができます。(*今回使用しているのはLightroom CC 2015.6)
「書き出し」の「透かし」で入れる
ウォーターマークを入れるにはRAWなどから画像を書き出す際に入れます。写真を右クリック > 書き出し > 書き出し(E)... と進み、書き出しオプションの下の方にある「透かし」の項目を使います。
「透かし」のチェックボックスをオンにして、「透かしを編集...」を選択。すると、透かしエディター(編集画面)が立ち上がります。
たぶん、説明不要なくらい直感的に分かると思いますがこの画面で自分の好きなクレジットを編集し挿入可能です。
フォントの種類や色はもちろん、ドロップシャドウ(影)をつけたり、透かしを入れる場所や濃度(不透明度)を決めることが可能。
あらかじめJPEGやPNG(透過OK)を用意しておけばオリジナルのロゴを入れることも可能です。
プリセットとして保存するとラクチン
好みの設定ができたらプリセットとして保存しておきましょう。そうすれば毎回設定する必要がなくなり便利です。透かし編集画面の左上の「カスタム」というところをクリックし、「現在の設定を新規プリセットとして保存」を選択。
好みのプリセット名を付けて保存すればOKです。書き出しプリセットと組み合わせればワンクリックで一気に数百枚でも透かし付きの画像が書き出せますね。
写真ごとの変更が難しいのが欠点
写真1枚に対してウォーターマークを入れるのであればこの透かし機能でも結構細かく設定できるのですが、写真の構図によって左下に入れたかったり、右下に入れたかったりと位置を変えたい場合には向きません。この方式では1枚ずつ調整しながら書き出すのはなかなか手間がかかり大変です。
もしやるとするなら、左下用プリセット、右下用プリセットなどをあらかじめ作っていて書き出せば多少楽になるでしょうか。
これ以上細かく位置にこだわってウォーターマークを入れたい場合はこの後説明するPhotoshopを使った方法がおすすめです。
LightroomとPhotoshopで高品位かつ手軽に入れる
よりこだわって写真にウォーターマークを入れたいならやはりPhotoshopが良いでしょう。フォントの選択から文字間、行間の調整まで細かく行え、位置調整もピクセル単位で詳細に行えます。私も通常はこちらの方法を使ってます。
Lightroom CCが使えるフォトグラフィプランなら月額980円でLightroomとPhotoshopの両方を使うことができますよね。Photoshopまで使えるならこの方法もおすすめです。
・Adobe フォトプラン(Adobe公式サイト)
効率化のポイントは「配置」と「アクション」
例えば私が普段このブログで使う写真に挿入するクレジットは「Photo by Kazuo Copyright photo-studio9.com」なわけですが、これを毎回テキストツールでタイピングしてフォント選んでサイズ変えて。。とかやってたら心が折れてしまいます。
挿入するクレジットは毎回同じなのだからアクションを使いましょう。アクション使わないでPhotoshop使ってたらいつまでたっても作業が終わりません。
Photoshopのアクションの使い方はstudio9の過去記事にすごく詳しいのがあるので参考にどうぞ!
私が普段行っているワークフローはこんな感じです。
0.ウォーターマーク用の画像を用意する
アクションを使う場合、テキストの内容はアクション登録できないのでテキストを画像として保存します。毎回同じ内容なので画像でも問題ないのです。
画像を作る場合は透過画像にすること。PNGでも良いですがPhotoshop内で完結する作業なので私はPSDで作ってます。
少し大きめに作るのがポイント
写真の書き出しサイズに応じてやや大きめに作っておくと多少応用が利きます。例えば私はこのブログで使う写真のサイズは長辺900pxを標準にしており、クレジットのサイズは横215pxくらいです。
だからといってクレジット用画像を220pxで作ってしまうと少し大きなサイズで書き出したときにクレジットが小さくなってしまいますよね。そこである程度余裕を持って長辺1,200pxで書き出したときにピッタリとなるようにクレジット画像を横285pxくらいで作成しています。
で、通常の900pxで書き出すときはクレジット画像も少し縮小して挿入するようにしているのです。こうすれば書き出しサイズの多少の変動でも劣化を最小限にウォーターマークを挿入可能です。
左右両方のパターンを用意しておく
このへんは好みですが、文字のクレジットなら左に挿入するなら左揃え、右なら右揃えのテキストのほうが見栄えがいいので最低でも2パターン準備しておくと良いですね。
1.Lightroomで書き出しと同時にPhotoshopで開く
ウォーターマーク用の画像が準備できたらPhotoshopを立ち上げるワケですが、Lightroomを使ってる人なら書き出しと同時にPhotoshopを起動すると便利。
写真を右クリック > 書き出し > 書き出し(E)... と進むと、書き出しオプションの一番下に「後処理」というのがあるので、ここで「Adobe Photoshop CC 2015.5で開く」を選択しておきましょう。
書き出し > Photoshop起動 > 画像開く ところまで一気に自動で行えます。これも書き出しプリセットとして保存すればLightroom上で写真を右クリック > プリセット選択 で素早く編集可能になりますね。
2.アクションを作成
アクションは1度作ればあとはずっと使えるのでここは初回のみの作業です。アクションの作り方は上で紹介したstudio9の過去記事(【保存版】絶対残業したくない!Photoshopのアクションで仕事効率化する方法まとめ)を参考にしてみてください。
私が登録しているウォーターマーク用のアクションはこんな感じ。
使用頻度が高いのは右側用と左側用と、大きな画像用のものを同じく左右、計4パターンです。アクションの中身は 配置 -> 変形(縮小と移動)-> 設定(不透明度変更) といった感じ。
詳しく見るとこんな感じ。
まず、ファイル > 埋め込みを配置(L) でクレジット用の画像を選択。そして 編集 > 自由変形 で縦横75%のサイズに縮小し、右下用の画像ならざっくり右下くらいに移動しておきます(縦構図のときも考えて)。 最後にレイヤーの不透明度を80%くらいにして終了。
アクションの途中で止めて微調整
ここでのポイントは「変形」の左側のチェックボックス(ダイアログボックスの表示を切り換え)だけチェックしておくこと。
こうしておくとアクション実行時にここで一時停止して手動で微調整が可能です。挿入位置は写真ごとに微調整が必要だし、縮小率は書き出すサイズよって微妙に変わる可能性があるのでチェックをいれているのです。
最後の不透明度はなんとなく80%くらい。確定後に微調整します。
ちなみに、レイヤーの不透明度はキーボードの数字を押せば変更可能(半角で)。「5」を押せば50%の不透明度。素早く「6」「5」と押せば65%です。覚えて損は無いショートカットですね。
アクションにショートカットを割り振る
個人的には最もよく使うアクションなので一等地にショートカットを割り振っています。左下がF2、右下がF3です。
3.画像を保存
ウォーターマークの位置や不透明度が決まったらあとは画像を保存するだけ。これもアクション化しちゃいましょう。細かいことは気にせず強制的に上書き保存しちゃいたいので、
レイヤーを結合して、上書き保存して、終わったら自動で画像を閉じてしまえばシンプルです。
アクションに「保存」を記録するとき普通どおりアクションを記録すると、保存場所なんかも固定されてしまうので上記アクションの作り方記事の中にある「メニュー項目を挿入」で「保存」のみ入れてます。
そうすれば画像がある場所に強制的に上書き保存されて便利。(他に良い方法ないかな?)これもよく使うのでF4にショートカットを割り振っています。
こんな感じで準備をしておけば実際にウォーターマークを入れる流れは以下のようになります。
1.Lightroomで写真を右クリック > ウォーターマーク挿入用の書き出しプリセットを選択
2.Photoshopが自動的に立ち上がるのでF2 (or F3)を押してウォーターマークを挿入
3.挿入位置を微調整
4.不透明度を調整(ショートカットで手早く)
5.F4で書き出し
5段階あるので面倒くさそうに感じるかも知れませんが、各項目は1回クリックするとかEnter押すだけとかなので、個別に挿入場所や濃度を吟味しても1枚あたり10秒もかからないで、高品位なウォーターマークが入れられます。
まとめ
ということでLightroomとPhotoshopを使ってウォーターマークを入れる方法を紹介しました。
私の場合、大量にクレジット入りのサンプル写真を書き出すといった用途ではLightroomの透かし機能を使って書き出します。同じ場所、濃度でしか挿入出来ませんが1度の操作で数百枚でも数千枚でも一気に書き出せます。
一方、ブログやFacebookに載せる写真のような1枚1枚調整をかけたようなものなら、写真ごとにPhotoshopを使って位置や濃度を調整します。アクションを使えば作業量は一気に減るので個別調整でもそれほど苦になりません。Photoshopのアクション使いとしてはまだまだヒヨッコの私ですが、よく使う単純作業はできるだけ作業量を減らしてクリエイティブな時間を増やしたいですね。
面倒なウォーターマークの挿入はできるだけラクをして入れましょう!
・Adobe フォトプラン(Adobe公式サイト)