2年連続2度目の大型パクられ案件
またかよ。。
ということでちょうど1年前の写真盗用事件につづいて、今回はブログ記事をマルッと無断転載されました(私の所以外に他のサイトからも大量に丸パクり)。1年前の事件はこちら(P.S. 昨年のもまだ本人から連絡ありません。首を長くしてお待ちしております)
こういう事案は年に数回発生するのですが今回のはあまりにヒドかったので啓蒙もかねて記事にしました。
ブログやお役立ち情報といったコンテンツが人を呼び、小銭を稼ぐ手段とあってこうしたコンテンツ丸パクり案件が後を絶たないわけです。こういうのは盗んだ人が100%悪いわけですが、治安の悪い海外の街でボーッと歩いていたら犯罪に巻き込まれるように、ネットに自分の著作物を公開するならある程度の自衛をしなければなりません(残念なことですが)。
そこで今回は記事がパクられた(無断転載された)経緯と、私が行った対応、および今後記事をパクられないようにするための予防策についてまとめてみます。
ブログ記事が無断転載された経緯
まず最初に記事がパクられた経緯についてまとめてみます。
今回無断転載されたページはこちらのPhotoshopとLightroomの違いを説明した記事。写真を撮る人にとってはどちらも馴染みのあるアプリケーションですが、いったい何が違うの?ってことを解説したものです。
*更新日が最近ですが、内容そのままで記事内のリンクとデザインの微調整など行ってます(変更前の魚拓もあります)。
初投稿は2013年と結構古い記事なのですが、いまだに検索経由で訪れる方が多いので何度かメンテナンスしつつ公開をつづけています(基本内容は変わらず)。
で、この記事を無断で盗用したのがこちらのブログ
魚拓:https://archive.is/5yEqw
完全にあかんやつでしょ、これ。
こちらstudio9の読者の方からお問い合わせいただいて発見したのですが(ありがとうございます!)、どうやらGoogleの検索順位が「Photoshop Lightroom 違い」で4位まで上がってたみたい。(私のオリジナルは2位。そんな近いところにいたらバレるよね。。)
Googleのコピーコンテンツ検出を上手くすり抜けた模様。さては敏腕パクラーなのか?!
*オリジナル記事でもPhotoshop、Lightroomの起動画面のスクショを使ってるわけですが、記事内で十分PhotoshopとLightroomに言及してるので適切な引用の範囲内なのでは?と考えてます。詳しい方教えて下さい^^;
NESTonlineというオンラインスクールにパクられる
で、パクり記事を読み進めていくと、ページ下部に「NESTonline」というクリエイティブ系のオンラインスクールへの誘導リンクが現れます。
SimilarWebで調べてみると最近急激にアクセス数を伸ばして月間100万PVほどあるみたい。
こりゃ流入がっぽりでしょう。2015年1月くらいから2016年2月くらいまでパクり記事含む、「〇〇、△△選」な記事を大量に投下していて最近はめっきり更新減ったので期間限定で500円ライターをたくさん雇ってコンテンツ作ったのでしょう。
「NESTonline」の謳い文句は ”テクノロジーとクリエイティブのプロを目指す人のためのオンラインスクール" とあります。テクノロジーとクリエイティブのプロを目指すスクールが他人の著作物を無断で使用するのはダメだと思うのです。。失笑です。
運営会社自体がパクり体質?
さらに元を辿るとこの「NESTonline」を運営しているのは「Campus」という京都を拠点にする学生主体っぽいスタートアップで、他に「Campus Magazine」や「美学生図鑑」など学生向けのコンテンツを手広く運営してるみたい。
所在地が同志社のすぐ横にあるのでここの学生が多そう(これは推測)。
Campus Magazine の方も謎なライターがたくさん登録していて大変香ばしい感じです。試しに上位に来ていた記事「今年の夏はのんびりデートしたくない?カップルで行きたいおすすめ避暑地8選(魚拓)」の画像とか見てみると正しい引用の条件を全然満たしていない、無断転載のオンパレードだったりするわけです。
「美学生図鑑」も(たぶん)元祖の「美少女図鑑」とファビコンが瓜二つだったりとツッコミどころもありますが。。(さすがに細かすぎますかね。。すいません。)
出典元のリンク張っただけでは正しい引用じゃない!
引用する場合はそれを引用する必然性がなければいけないわけで、転載元書けばOKってもんではないんですね。
例えば上の記事で「朝霧公園」が紹介されていましたが、そこで使ってる画像は出典元の「マイ旅net」(あるいは撮影者)の著作物であって、「朝霧公園」を紹介するために無断で使ってはいけないのですよ。世の中にたくさんある朝霧公園の写真のなかで「マイ旅net」の著作物を引用する必然性がありません。
記事の内容が「マイ旅netさんの紹介記事にある富士山を見渡す草原の写真を見て、私も朝霧公園に行きたくなったのでここでさらに詳しく紹介します」とかならギリギリセーフな気がします(これでも人によって感じ方違いそう)。
自分のコンテンツを同じ事されたらどう?
どっかのまとめサイトが「彼女にしたい女子大生ベスト10」とかいうコンテンツ作って、自分らの「美学生図鑑」の中から写真転載しまくられたら怒るでしょ?
それと同じ事を自分たちがやってるわけです。
学生のうちからパクり体質身につけてどうすんのよ。
運営サイトに顔写真ズラズラ並べてる辺り悪いことしてる認識なさそうで怖い。
今回のはそれ以前の問題でアウト
ちょっと脱線してしまいましたが、今回のは写真の引用とか以前に確信犯的にイラストと文章を無断で丸ごとパクってるのでそれ以前の問題ですが。
この「NESTonline」の中では私以外にもかなりたくさんのブログの記事がパクられていて、いくつか調べてみたらとんでもない所からパクっているのを見つけて震えました。。
クリエイティブ系スクールがアドビの記事パクる??
普通そんなところからパクる?って言うところからガンガン無断転載していて、有名どころだとコマーシャルフォトやフォトテクニックデジタルの玄光社が運営する「Shuffle」とかからパクってて正気かよ?って思いました。たぶんクリエイティブ系の人は結構みなさん見ているサイトだと思うんでバレる確率高いと思うんだけど。(玄光社のオリジナル記事、盗用が疑われる記事の魚拓)
で、一番ビビったのはアドビのIllustratorのヘルプページをパクって記事にしているのを見つけた時です。あぁ、自殺志願者なのかなぁ。。って思いました。(Adobeのオリジナル記事、盗用が疑われる記事の魚拓)
*アドビのヘルプページはAll Rights Reservedではなく「CC BY-NC-SA」ですが、もちろんこれも守ってないです。
せめてパクったらヤバい記事くらい判別できないでしょうか(どうやら敏腕パクラーではなかった模様)。
*どんな小さなサイトからもパクってはいけません
細かなパクり案件は度々起こるのですが、ここまでヒドいのは久しぶりです。
パクられたらこう対応しよう!
ということで前置きが長くなりましたが、パクられたら次のように対応しましょう。これが正しいのかはわかりません。。(汗
1.証拠を残しておく
後々面倒なことになった時に困らないように一番最初に違法コピーされた証拠を残しておきましょう。自分のオリジナルコンテンツと相手の無断転載コンテンツの両方を残します。
一番手軽なのは魚拓(WEBアーカイブ)をとっておくことでしょうか。様々なサイトがありますが今回は前回の写真騒動でもお世話になった「archive.is」を使いました。再現度が高いです。
あとはスクリーンショットを撮っておくなり、プリントしておくなりしておくとなおよし。
2.サイトの運営者へ連絡、抗議
サイトの運営者の問い合わせ先が分かる場合は、直接問い合わせしましょう。
あまり感情的にならずに、事実をしっかり書いて記事の削除を求めましょう。回答期限を明確にしておくことも大事です。どうしてこうなったか事の経緯を求めたり、場合によっては記事の無断使用料を請求してもいいでしょう。
ちなみにstudio9のコンテンツは趣味ではなく仕事で作ってる大事な商品なので無断使用料も合わせて請求することにしました。
すでに、studio9のコンテンツは海外のサイト向けに記事の翻訳使用のライセンスを提供していたりするのですね。例えばこの記事とか(3 Reasons Why You Should Start Using a Lens Hood)。
記事は削除されたけど連絡無し
運営会社のCampusには24日の17時を期限に問い合わせをしているのですが、いまだ返答はありません。
当該記事は削除されているのでメッセージは確認していると思うのだけど。
また、他のサイトから丸パクりされたであろう記事はそのまま残ってます。
もしかしたら正当に許可を受けているものの可能性僅かにありますが、数件の方に記事が無断転載されてますよね?ってご連絡したら確かにそうですね。。と返ってきたのでほぼ確実にクロでしょう。。
3.Google先生へ報告
運悪くサイト運営者へ連絡がとれない場合はとりあえずGoogle先生へ違反の報告をしましょう。こういうパクりサイトは大量に記事をパクって検索流入で細々と運営するパターンが多いので、流入元を絶ち切ります。
Googleの検索に表示させないようにするためには「DMCA侵害申し立てフォーム」から報告が可能です。ここで明らかな著作権侵害が認められれば当該記事はGoogleの検索結果から除外されます。
オンラインでパパッと報告が可能です(確実に侵害されているときだけね)。
無断コピーされたコンテンツをGoogleのインデックスから削除する方法 〜 DMCA侵害申し立てフォームから送信可能(海外SEO情報ブログ)
Adsenseにも報告できる
ブログの収入源になっているAdsenseにもポリシー違反報告を行っておきましょう(パクりサイトがGoogle Adsenseを使っている場合)
他人の著作物をパクって広告を貼るというのはAdsenseプログラムポリシーに違反していますね。
あとは案内に従って必要事項を記入するだけです。
今回はオンラインスクールの誘導が主目的のページでしょうから効果は薄めでしょうか。。
4.ドメインへの報告、画像差し替え、訴訟などを検討
通常はここまでやれば良さそうですが、徹底するならパクりサイトのドメインへ通報したり、画像に直リンクが貼られているなら自サーバーの画像差し替え or WEBサーバーの設定ファイルを変更したりしても良いでしょう。
・パクリブログに記事を無断転載・盗用されて著作権を侵害された場合の対応策まとめ
損害額があまりにも大きかったり、どうしても納得がいかないなら訴訟を起こすのも手段の一つです。少額訴訟を使えば個人で訴えを起こすことも可能です。ただし、相手がごねた場合はなかなか一筋縄ではいかないようで著作権周りの法整備が待たれるところです。
個人で著作権違反の訴訟を頑張っているカメラマンの有賀正博さんのブログなんかは参考になりそうです。と同時に大変そうだなぁとも思う。訴訟相手の茂山組(ネクサスリゾート)の川田社長という人物がめちゃ悪そう。。
これから記事をパクられないためにやるべき対策
過去に何度か写真や文章を無断転載された経験からパクられやすいものとそうででないものがなんとなく分かってきたのでご紹介します。とはいえ、あくまで予防策ですのでネット上にあるものは一流のパクラーの手にかかればどんなのもでもパクられる可能性があることは認識しておかねばなりません。。
パクられないための予防とパクられてしまった後の対処と両面での対策が重要です。
写真、イラストにはウォーターマーク(クレジット)を入れる!
いろいろパクられてみて分かったのは、ウォーターマーク(クレジット)の入った写真やイラストというのは非常にパクられにくいということです。
studio9のコンテンツには写真がたくさんあり、たくさんの写真がネット上で無断転載されたりしているのですが、そのほとんどがウォーターマークを入れていない昔の写真やうっかり入れ忘れた写真です。今回パクられた記事に使用しているイラストもウォーターマークを入れていないものでした。
ここ1~2年くらいはほぼすべてにウォーターマークを入れているので、最近は写真のパクり被害はかなり減ってます。これくらい控えめに入れていてもかなり大きな効果を感じます。(中にはウォーターマーク消す輩もいるけど)
お馬鹿なパクラーでも写真にクレジット表記があるものはさすがにパクりにくいのでしょう。クレジット消すとしてもそんな手間かけるくらいなら他のをパクってしまおうという考えなのかもしれません。
ブログにも効果的?
ブログの丸パクりに関しても、多くのブログは文章+写真(イラスト)で構成されているため、パクラー的には画像がパクれないなら文章もあきらめようという傾向がありそうです。
逆に、文章で「無断転載はお断り」とか「All Rights Reserved」と入れておくのはほとんど効果が無さそう。文章の場合はコピペした後にクレジット表記を消すのは簡単なのでパクラーにとってはあってもなくても変わらないと言ったところでしょうか。
注意:クレジット表記がなくても著作権的にはOKです
ここで書いたのは予防策なので、作品にクレジットを入れてないと著作権を主張できないということではありません。著作権はなにもせずともオリジナルの作者に存在するものです。
クレジットが付いていないものは自由に使ってOKと思ってる人がたまにいてビックリしますがそんなことはありません。何も書いていないものは基本的に他人の著作物なので黙って使うのはNGですよ。
画像にウォーターマークを入れる方法
画像にウォーターマーク(クレジット)を入れる方法は結構簡単です。
Photoshopを使って入れるのももちろんOKですが、フリーソフトでもウォーターマークを入れられるアプリケーションはたくさんあります。ググってみると良いですよ!
Lightroomをお使いの方なら、写真を書き出す際にウォーターマーク(Lightroomの中では「透かし」)を入れることも可能です。
写真を右クリック > 書き出し の中のオプションで選択できます。
さっきも言いましたが著作権的には入れなくてもまったく問題がないのですが、抑止効果は非常に大きいです。手間もかかるし作品に余計な手を加えることになるのだけどね。。
たまに、Googleの画像検索で「〇〇 無料」で引っかかった画像は無料だと思い込んでいる残念な人もいますが、そういう人向けにも効果的です。
パクられてないかチェックしてみる
今回は読者の方からの通報でパクりを発見しましたが、定期的に暇つぶし感覚で自分のコンテンツが無断コピーされていないかどうかチェックしてみるのもいいでしょう。
いくつかチェックツールを紹介します
文章のコピーチェック
自分の文章をコピーされていないかチェックするには無料で使えるオンラインサービスを使ってみるのが一番手軽です。パクられる記事はたいていバズった記事や検索流入の多い人気の記事なのでそのあたりの文章をコピペしてチェックツールに流し込むだけです。
完全に無料で使える簡易的なものだと「こぴらん」なんかは手軽です。より精度の高い検索が必要なら「sujiko.jp」(無料登録で無制限チェック可能)、「CopyDetect」(1日2回まで無料、有料プランあり)、などいくつかサービスがあります。
こぴらんでチェック
こぴらんは自分のコンテンツの文章の一部分をチェックするツールです。検索精度は高くないですが10秒もかからないので手軽です。
試しに私もチェックしてみましたが、結構でてくるもんですよ(苦笑)
例えばこの月を撮ってみよう!と言う記事
冒頭のイントロ部分を「こぴらん」に突っ込んでみるとこんな有名なコピーサイトが出てきました。
まとめじゃないし!丸パクりじゃないか。。
*最近のNAVERまとめはかなりマシになってきましたが。。
sujiko.jpでチェック
無料でより精度の高いチェックが可能な「sujiko.jp」は調べたいコンテンツのURLを打ち込む方式なのでブログのパクりチェックで便利です。「サイト外類似ページ判定」に行って自分のURL打ち込むだけ。ただし結構時間がかかります(文章が長いと数分かかる)。
以前アップした桜の撮り方記事を調べたら結構出てきましたね。
パクられた可能性が高いものは「高」と出てきます。ここで出てきたのは「Taable Note」とかいう中華系のコピーサイト。存在は以前から知ってたのですがこぴらんでは出てきませんでした。
ここはもうホントヒドくてstudio9のコンテンツはほぼぜんぶ丸パクりされてます。。ロボットで根こそぎやってるみたい。 (ロボットでコピーされる場合はクレジット入れても無駄です)
今のところ検索圏外に飛んでるし問い合わせても確実に返答がなさそう(面倒くさそう)なので無視してますが。。どなたか有効な対策案がある方アドバイスお待ちしています^^;
画像のコピーチェック
これもいくつかWEBサービスがありますが、手軽さでいうならGoogle画像検索一択でしょうか。
ブラウザをGoogle Chromeにして、調べたい画像を右クリック >「この画像をGoogleで検索」でOK。
こんな感じで一致した画像が出てきます。部分一致にも対応している優れものです。
また、丸パクりでなくともこの画像、なんか私の写真をパクりコラージュして使ってるんじゃない?と思った場合はPhotoshopで調べることも可能です。以前studio9で記事としてアップしたのでどうぞ!
まとめ
ということでブログ記事をパクられた顛末と予防法やチェック方法についてまとめてみました。
個人が趣味でやっているような小さなブログがうっかり写真を無断転載してしまったり、企業サイトでも数百、数千とある記事の中に事故でパクり記事が紛れ込んでました みたいな話なら個人的には「ごめんなさい、削除します」で済む話だと思ってます。
ただ、今回のように組織的に大量に記事を丸ごとパクって運営するってのはどう考えても犯罪なわけでごめんなさいだけでは済まない話なんじゃないかなと思うわけで記事にしてみました。(今のところごめんなさいも無いけどね。。)
今回盛大にパクっていたのは表面的には1人のライターっぽいのですが、例え一人でも数十件も様々なところから記事を丸パクりしているワケで運営的にも知らなかったでは済みません。毎回違うテイストで記事を書いて(パクって)いるのできちんと運営していたなら素人でも何かおかしいと気づくはず。
明らかな違法行為なので刑事的あるいは民事的に制裁を受けるのがあるべき姿だと思うのですが上でもチラッと書いたとおり個人で訴えるにはよほど大規模な損害でない限りハードルが高すぎるのです。
お店で100円の商品盗んでもお巡りさんに連れて行かれますが、ネット上では数時間もかけて作成した著作物が1つ盗まれたくらいではお巡りさんに相手されないんですよね(たぶん)。世の中からパクラーが消滅することは残念ながら可能性が低いので、個人でももう少し気軽に公的な機関に訴えられる仕組みができたらなぁと思う今日この頃です。