早くすればいいってもんじゃない!
すっかり旬が過ぎてしまった感も否めませんが、今日は夜景やイルミネーション撮影とシャッタースピード(SS)の関係について。
イルミネーションと言えば夜の撮影ですから、どうしてもシャッタースピードが遅くなってしまいます。。で、ちょっと前なら三脚を使いましょう!となったのですが、最近のカメラは高感度にも強いのでISO感度を高くしてシャッタースピード早くすれば十分手持ちでも撮影可能です。
ノイズが酷くならない程度にISO感度を上げて、シャッタースピードを早くすればするほど手振れもしなくなるので、高速シャッタースピードは正義だ!と思う方もいるかもしれませんが実はそこにちょっとした落とし穴があったりします。
今回はイルミネーションの手持ち撮影における最適なシャッタースピードと、落とし穴を逆手に取った高速シャッタースピードの生かし方についてご紹介します。
早すぎるシャッタースピードは要注意!
今回のシャッタースピードが早すぎると良くないというお話は、ブレを生かした写真が撮れないからとか、そういった理由ではありません。(もちろん創作の幅が狭まるからという理由も考えられますが、今回は考えないことにします)
単純にイルミネーションが写らない or ムラが出来て綺麗に撮れないというお話。
まずは下の2枚の写真をご覧ください。
ずいぶん印象の違う2枚ですが、実はこれ全く同じ条件で撮った写真なんです。露出もピントも全く同じ。冒頭の写真この2枚をアニメーションにしてみたものです。
下の写真の方が貧相に見えますよね。。
全く同じ設定なのに、見え方が違うなんて、何が違うの??と思いますよね。違うのはイルミネーションそのものなんです。
イルミネーションは点滅してる
はっ?と思う方もいるかもしれませんが街のイルミネーションは目に見えない速さでチカチカ点滅してるんです。
通常、東日本では1秒間に100回、西日本では120回点滅しています。交流電流を電源にしているからですね。
だから、だいたい1/100秒より早いシャッタースピードでイルミネーションを撮ると撮影結果にムラがでることがあるんです。あまりに早いSSで撮影すると最悪の場合、イルミネーションが全く写らないということも。
写真の専門用語ではフリッカーが出るなんて言ったりしますが、結構厄介な現象なんですよね。。
ちなみに上の2枚はどちらもSS:1/640秒で撮影しています。1枚目は運よく光っている瞬間に撮影されたのですが、2枚目は木の上部が消えています。。
シャッタースピードを遅くしてわざと思いっきり手振れさせた写真を見てみると点滅している様子が分かりやすいです。
シャッタースピードを1/10にセットしてカメラを素早く動かしながらシャッターを押してみました。電球1つ1つの光線が点線になってます。1/10秒なので10回点滅している様子が分かりますね(撮影地:東京)。西日本で同じことをやったら点が12個みえるはずです。
意図的に撮らない限り、夜間に1/640秒まで早くなることはめったにないと思いますが、高感度に強いからと言ってISO感度をガンガン上げたり、単焦点レンズですごく低いF値で撮ると、うっかり1/100秒を超えてしまう事は良くあると思います。。
イルミネーションや夜景に最適なシャッタースピードはいくつ?
ということで、夜間の手持ち撮影の場合でも「高速シャッタースピード = 正義」ではない事がわかりましたね。
ではイルミネーションや夜景を手持ちで撮影する場合の最適なシャッタースピードはいくつでしょうか。遅すぎれば手振れになるし、早すぎればムラが出来るし。。
ズームの度合い(焦点距離)にもよりますが普通のズームレンズを使うなら、手振れ補正をONにした状態で、だいたい1/25~1/80秒くらいが良いかと思います。
手振れ補正ONで1/25秒程度なら初心者の方でもきちんと構えて撮ればそれほど手振れはしないはず。ただし、望遠にすればするほど手振れしやすくなるのでほどほどに。。標準のズームレンズを使う限りは大丈夫かと思います。
一方、高速側は1/100を下回らないように設定すれば大丈夫ですが、シャッタースピードにも少々ムラがあったりするので、余裕を見て1/80秒くらい。欲を言えば2周期分の1/50秒程度なら点滅によるムラが出ることはないはずです。
同じものを撮っているはずなのに、撮るたびに毎回結果が違う。。という場合はシャッタースピードを気にしてみましょう。
Av(A)モードでシャッタースピードが安定しないときはシャッタースピード優先オートTv(S)モードで撮るのも良いかもしれません。
高速シャッタースピードを生かして撮る
ということで、1/100秒を超えるような高速シャッタースピードはイルミネーション撮影には適さないわけですが、それを逆手にとって生かしてみるのも面白いかもしれません。
例えばお店の看板のバックライトに蛍光灯が使われている場合、ちょっと面白い写真が撮れます。蛍光灯もチカチカしてるんです。
*家庭用の蛍光灯はインバーター式といって、チラつきを低減するため点滅間隔を数千分の1秒まで高めたものが主流なので今回のテクニックは使えないかもしれません。ちょっと古めのものや屋外ディスプレー用の蛍光灯を狙ってみましょう
たとえばこんなお店の看板。バックライトが蛍光灯になっています。普段はこの看板が点滅しているなんて気づきませんが、これも点滅してるんですね。
1/400秒で撮ったものがこちら。3枚続けてどうぞ!
ただ撮るだけじゃ面白くないので看板に写っているイルミネーションにピントを合わせてみました。
どれも同じ設定で撮ったのに、すべて色合いが違います。(写っているイルミネーションの光り方も違いますね)
シャッタースピードは1/400秒。1/100秒よりも早いので上記3枚の光の状態はすべて違うという事です。
たぶん、蛍光灯の場合は点滅の初期と点滅時と終わりで微妙に色温度が異なるからこのような不思議な色合いになっているんだと思います^^
まとめ
ということで、街のイルミネーションや明かりは目に見えない速さで点滅していることがあるのでシャッタースピードが早ければいいってもんじゃないという事です。
夜景やイルミネーションを手持ち撮るならだいたい1/25~1/80秒くらいが良いです。これなら手振れもしにくいし、フリッカーに悩まされる心配もありません。
また、目で見るだけじゃわからない世界をカメラを使ってあぶりだすのも写真の魅力です。
普段は厄介なフリッカーも仕組みを分かってしまえば応用することだってできますね!ぜひ身の回りの蛍光灯やイルミネーションで試してみてください♪