自分だけの色を作るにはホワイトバランス補正を使う!
前回の”色”に関するエントリー(ホワイトバランスの超基本!出したかったあの色に近づく設定の方法 [初心者向け])では、基本の3+2のホワイトバランスをご紹介しました。3つ(または5つ)の基本ホワイトバランスを使うことで寒色系から暖色系までの色を自由に設定できましたね。
ところが、あの設定だけでは写真を緑っぽくすることや、ピンクっぽくすることができません。。
そこで今回は基本のホワイトバランスに手を加えて、さらに自分だけの色を作るための方法をご紹介します。
ポイントは”WB補正”という機能。ちょっと難しそうな響きですが、そんなことはありません☆ ちょっと慣れれば直感的に操作できるようになるはず^^
でお送りいたします。
それでは早速いってみましょう。
ホワイトバランス(WB)とWB補正の違いとは?
今回もあまり難しいことには足を踏み入れず、ざっくりとしたイメージで理解できるような内容で進めていきますね。
ホワイトバランスとは前回も触れましたが、写真の ”暖色 ⇔ 寒色” の色味を変える設定でしたね。曇りモードなら赤っぽく、白熱電球モードなら青っぽく、といった具合です。これが色の基本設定になります。
しかし、これだけでは写真の色は ”赤 ⇔ 青” にしか変えられません。。場合によっては、木々の新緑を強調するために、写真を緑っぽくしたいと思うこともありますよね。
また、”暖色 ⇔ 寒色” 方向に色を変える時も、太陽光と曇りの間くらいの色を出したいんだよね。。と思うことがあるかもしれません。
これを実現するのが「WB補正(WB微調整)」です。基本のホワイトバランスに補正を加えることで様々な色を作り出すことができます。
この機能、一眼レフやミラーレスカメラであればどのメーカーの機種でも同じような設定が出来るようになっています。例えば、キヤノンのカメラなら、メニューの中に「WB補正/BKT補正」というような項目があるはず。(BKT補正は今回は無視してOK)
で、この項目を選択するとこんな画面が出てきます。
ニコンやオリンパスのカメラなら、ホワイトバランスの設定画面から行けるはず。(説明書に必ず載っているので確認してみてください)
G(グリーン)、A(アンバー)、M(マゼンタ)、B(ブルー)の座標が出てきましたね。なんだか難しそうに見えますが、そんなことは無いので大丈夫^^
横方向のB(ブルー)とA(アンバー)はこれまでやってきた、ホワイトバランスの ”暖色⇔寒色” を微調整する項目。縦方向のG(グリーン)とM(マゼンタ)は写真を緑っぽく、ピンクっぽく調整する項目です。
料理の味付けに例えてみる
聞きなれないカタカナが出てきて分かりづらいかもしれませんが、料理の味付けに例えてみましょう。
B(ブルー)とA(アンバー)は基本の味付けである、甘さとしょっぱさの項目。Bを甘さ、Aをしょっぱさと考えましょう。
まずは基本のホワイトバランスで全体の甘さ、しょっぱさを決めます。食材(被写体)によって、甘い味付け(蛍光灯や白熱電球)にしたり、しょっぱい味付け(くもりや日陰)にします。
でも、味見をしているともうちょっと甘くしようかな?とか、もうちょっとしょっぱいほうがいいかな?と思うこともありますよね。そんなときは、基本の味付け(ホワイトバランス)に砂糖をチョッと足したり(Bを増やす)、塩をチョッと足して(Aを増やす)味を微調整できるのです。これがWB補正。
さらに、味に深みを出すためには、辛味や酸味を足すことも大事ですよね。それを調整するのがG(グリーン)とM(マゼンタ)の項目。辛味をG(グリーン)、酸味をM(マゼンタ)と考えてみましょう。
ベースの味にさらに辛味を足したい(緑っぽくしたい)ならGを増やす、酸味を足したい(ピンクっぽくしたい)ならMを増やせば良いわけです☆
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基本のホワイトバランスに上乗せして色を微調整する
これがWB補正の役割です。
文字を見て理解するよりも、お使いのカメラを弄りながら体感したほうがイメージが掴みやすいかもしれませんね。
WB補正する時のコツ
WB補正の意味が分かったところで、実際に撮影するときの設定のコツをご紹介します。下記の手順で設定していくと、自分だけの色を見つけやすいと思います。
自分だけの色を見つけるための手順
1.基本のホワイトバランスを決める
まずは全体の味付け(甘い or しょっぱい)を決めましょう。
2.WB補正の”G(グリーン)⇔M(マゼンタ)”方向の補正をする
つぎは辛味と酸味の味付け。これで大体の味が決まります。
3.WB補正の”B(ブルー)⇔A(アンバー)”方向の補正をする
必要であれば、最後に全体の塩加減を微調整。
実際の手順
実際の写真を例にしてご紹介しますね。(作例はRAWファイルからシミュレーションしたものです)
*違いが分かりやすいように、ちょっと大げさにWB補正しています。
題材はこちらの写真。基本の太陽光モードで撮りました(WB補正なし)。
1.基本のホワイトバランスを決める
透明感を出したかったので、ホワイトバランスを白熱電球に変更。
ガラッと印象が変わりましたね。基本のホワイトバランスの変更は色への影響が一番強いので先に決めてしまいます。
2.WB補正の”G(グリーン)⇔M(マゼンタ)”方向の補正をする
もうちょっとお花の緑を強調したかったので、WB補正でG(グリーン)を足します。この例でだいたいG方向に6~8マスくらい補正した感じです。
お花の緑がだいぶ強調されましたね!空も少し緑っぽくなって雰囲気が出ました。
3.WB補正の”B(ブルー)⇔A(アンバー)”方向の補正をする
G⇔M方向の調整をすればだいたいの色は決まりますが、もうちょっと調整したいときはB⇔A方向で色味を調整しましょう。
この例だと、ちょっと青すぎるかな?と思ったのでA(アンバー)方向に4マスほど進めて、少しだけ暖色側にしました。
モニターによっては違いがハッキリ分からないかもしれませんね。。B⇔A方向の変化というのはこんなもんです。
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コレで狙いの色が完成しました!WB補正を使うときは、まずは縦方向のG(グリーン)⇔M(マゼンタ)方向の色を調整するのがポイント。
色の変わり具合はメーカーや機種によって違うので、上記の例は目安としてお考え下さい。初めは3~4コマづつ変えていくと色の変化がわかりやすいです。
B(ブルー)⇔A(アンバー)方向の補正は慣れてからでOKです(必要なければやらなくても良い)。
今回はホワイトバランスにだけ着目して色を変えてみましたが、実際にはコントラストや彩度といった項目も写真全体の雰囲気を変えるための重要な要素です。
ホワイトバランスに慣れてきたら、コントラストや彩度といった項目もイロイロ変えてみるといいでしょう。
コントラストや彩度に関する設定はこちらのエントリーをご参照ください。
⇒ ピクチャースタイルで自分好みの写真を作る方法![入門編]
WB補正のヒント
デジカメの場合は撮ったその場で色を確認できるので、自分でイロイロ変更しながら試して見るのが一番ですが、設定のヒントになりそうな基本パターンをいくつかご紹介します。
晴れた日にGを足して透明感とユルさをプラス
噴水の写真。前ボケを作り、+2くらい大幅にプラス補正してゆるさのベースを作成。太陽光モードで撮るとこんな感じ。
透明感を出すために蛍光灯モードにしてみると。。
キレイな空の色が出て透明感が出ました。さらにG(グリーン)を足してみます。
レトロっぽいユルさが出ました☆
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曇りの日の桜はMを足してみる
ちょっと季節が過ぎてしまいましたが、曇りの日の桜(特にソメイヨシノ)は空と花が同化してしまいますよね。。曇りの日に太陽光で撮るとこんな感じです。
お花が白くてどんより。。曇りモードにして、温かみを出してみましょう。
暖色系にシフトしたのでお花の色もちょっと目立つようになりました。ここへさらにM(マゼンタ)を加えます。
お花が桜色になりました!まさにあの時見た色はこんな色でした☆
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白熱電球にMを足してクールで大人な夜景を表現
都会の夜景を撮るならホワイトバランスは寒色系がおススメ。太陽光で撮るとイマイチ”都会感”が出ません。。
クールな感じにするために、ホワイトバランスを白熱電球に変更してみます。
だいぶ”都会感”が出ました!さらに大人な感じを出すためにM(マゼンタ)をプラス。
空がちょっと紫っぽくなって、落ち着きが出ました。こんな夜景を見ながらカクテルを飲みたいです(笑)
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夕暮れにGを足せば一気にレトロな感じ
晴れた日の日が沈む直前は一日の中でも一番ドラマチックな時。太陽光だとドラマチックな感じがあまり伝わりません。。
日陰モードにして暖色系の色にしましょう。
だいぶ雰囲気が出ました。さらにG(グリーン)を足してみます。
色に深みが出て、レトロ感が出ましたね!(赤みが足りなかったのでAも少し足しました)
AWB+ホワイトバランス補正で効率化!
最近のカメラ(2017年以降くらい?)はオートホワイトバランス(AWB)の機能が優れているのでどんな場所で撮影してもAWBのままで見た感じの自然な色で撮れてしまいます。自然な色合いで撮りたければほぼオートでもOK。
シーンによって色味を暖色方向に変えてみたり、寒色にしたいと言う場合はオートホワイトバランス(AWB)に設定したまま、今回紹介したホワイトバランス補正(WB補正)で色を変えていくのもおすすめです!
基準の色から好きな方向にズラすと考えてみる
上で紹介した特定のプリセット(例えば太陽光モード)をベースにしてWB補正で色をずらしていく方法だと、室内や夜間など光源が変わってきたときにベースの色が大きくズレてしまいます。
AWB+ホワイトバランス補正戦法だと、ベースの色は常に見た目に近い仕上がりになるので(最近のカメラなら)、そこからWB補正で色をずらしていくという撮り方の方が直感的に色を操作できます。
昔のカメラはAWBの性能がイマイチで毎回手動でベースのホワイトバランスを設定をしていましたが、私個人の撮り方だと最近はほとんどのシーンでAWB+ホワイトバランス補正で撮影するようになりました。
まだやったことがないという人におすすめです。現場で設定する項目が減るのでより被写体に集中できますよ!
まとめ
以上、4つの例を3段階に分けてご紹介してみました。
これら4つは最初の写真からホワイトバランスを変えただけ。明るさやコントラストは変えていません。色を変えるだけでもこんなに雰囲気が変わるんですねー!
*今回の例はすべて太陽光モードを否定した感じになってしまいましたがそんなことはありません。違いが分かりやすい例を選んだだけですので悪しからず。。
色の変化はメーカーや機種ごとに傾向が違うので、コレとまったく同じになるとは限りませんが、ぜひみなさんもホワイトバランスとWB補正を使って自分だけの色を見つけてみてはいかがでしょう?