レンズを選ぶときのポイント
単に”カメラの交換レンズ”と言っても、メーカー、種類、用途など非常に様々なレンズが売られています。現在普通に購入可能な一眼レフ、ミラーレスカメラのレンズはなんと、11メーカーで300機種以上!
⇒【誰得?】ちょっと本気で全メーカーのレンズを絞り羽根数で比較したらスゴイ事が分かった。[まとめ]
これだけ沢山あるとどれを選べばいいか分からなくなってしまいますね。。
さらに、カタログを見るとレンズには様々な特徴があり、いったいどの項目を重視すればいいのか分からなくなってしまう。。といったこともあるかもしれません。。
そこで、レンズのカタログスペックを読むときのポイントと注意事項を簡単にまとめてみました!
個人的に初心者の人にとって重要だと思う順番にリストアップしてみました。これらの用語の意味を知っておくとレンズ選びを失敗しにくいです。
はじめからすべての用語を理解するのは大変かもしれませんが、上から一つずつ理解していくといいでしょう。この内容を覚える必要はありません。用語の意味さえ理解すれば、あれはなんだっけ?と思ったときにまたこのページに戻ってきて頂ければ良いのですから。
カメラ選びのポイントはこちらの記事に詳しくまとめています!
1.自分のカメラのマウントを知っておく
大抵の方はご存知だと思いますが、レンズ交換式のカメラはメーカーが違うと取り付けることさえ出来ず、使用できません(後で紹介するフォーサーズ規格やレンズ専用メーカーのものを除く)。例えば、キヤノンのカメラを使っている人がニコンから発売されているレンズを付けようと思っても無理なんです。。
また、同じメーカーでもイメージセンサーのサイズが違うカメラではレンズの規格が違うため、取り付けられないこともあります。このレンズの規格のことを”マウント規格”と言うのですが、まずは自分が使っているカメラのマウント規格は何か?ということをしっかり確認しておきましょう。
まずは自分の使っているカメラにはどのマウントのレンズが取り付けられるのかな?という事さえ知っていれば間違って買ってしまうことは無いはずです。どんなレンズにも「キヤノン □□用」とか「ニコン ○○用」といった表記があるはずなので
一眼レフ、ミラーレスの違いも注意
最近は同じメーカーでミラーレス用と一眼レフ用の2~3タイプのマウントをラインナップしているメーカーもあります。例えばキヤノンなら従来の一眼レフ用「EFマウント」、フルサイズミラーレスの「RFマウント」、APS-Cミラーレスの「EF-M」マウントと言った具合に。
現在は一眼レフからミラーレスの過渡期のため、複数のマウントが乱立した状態になっているので購入時は十分注意を。
便利なマイクロフォーサーズ規格
分かりにくいマウント規格ですが、オリンパス、パナソニックのミラーレスカメラに採用されている”マイクロフォーサーズ規格”のカメラはメーカーが違ってもレンズを取り付けることが出来るとってもステキな規格です。
だから、オリンパスのPENシリーズやパナソニックのGFシリーズのカメラは”マイクロフォーサーズ”用のレンズであればメーカーが違っても付け替えが可能ですね!
ただし、マイクロのつかない、”フォーサーズ”という規格も存在します。こちらはミラーレスのカメラには直接取り付けられないのでご注意を!(現在はほとんど見かけないけど、中古で買うときなどに注意)
サードパーティー製レンズ(レンズ専門メーカー)も検討する
レンズはメーカーが違うと付きませんよというお話をしましたが、それはマウントの規格が違うからです。マウントの規格さえ合えば付けることが可能です。
レンズを作っているのはカメラメーカーだけでなく、レンズ専門のメーカーもあって、そこでは各メーカーのマウントに適合したレンズを作っています。有名なのはSIGMA(シグマ)、TAMRON(タムロン)、TOKINA(トキナー)。
*シグマは自社でも一眼レフ作ってます
これらのメーカーは同じレンズをマウントだけ変えて売り出しているので、低コストでレンズが製造でき、メーカー純正品よりお安いです。
2.ズームレンズと単焦点レンズ
レンズにはたくさんの種類があると言いましたが、大別するとズームレンズと単焦点レンズという2つの種類に分けられます。
ズームレンズとは、読んで字のごとくズームできるレンズです。コンデジ(普通のデジカメ)を使っていた人にとっては普通の機能ですね。一本のレンズで広い景色を撮ったり、アップで撮ったり出来る便利なレンズです。ただし、レンズの構造が複雑になるため、大きく重くなったり、画質が多少犠牲になったりというデメリットもあります。
単焦点レンズというのはあまり聞きなれないかもしれませんが、簡単に言えばズームできないレンズです。一本のレンズでは決まった範囲しか写せないので不便そうに感じますが、ズームできないぶん、非常に画質が良かったり、ズームレンズよりも安かったりします。
写真がある程度上達してくると、やっぱり単焦点レンズでしょ!と言われる方が多くなりますが、個人的にはズームレンズが好きです。
私は極限の画質を追及するよりは、シャッターチャンスや使い勝手を優先したいので、普段はズームレンズを好んで使っています。
どんな世界にも万能なものは存在しないように、レンズの世界にも画質も重さも価格もすべて優れているようなレンズはありません。以下の項目を見ながら、こだわりたい性能と妥協しても良さそうな性能を見極めていただけると幸いです。
3.焦点距離に着目
標準レンズに書いている"18-55mm"というのが焦点距離です。ズーム量だと思ってもOK。数字が大きくなればなるほどズームできます。
ただしこの数字、カメラのイメージセンサーのサイズが異なると、同じ18mmでもずいぶん写せる範囲が違ってきます。フルサイズセンサーのカメラで撮った18mmとマイクロフォーサーズの18mmの写真では全然違った印象になるのです。。
35mm換算で考える
そこでデジカメ界では一番偉い?、フルサイズ(35mm)センサーのカメラを基準にして、「35mm判換算○○mmです」という場合があります。35mmの"mm"はセンサーサイズのmm、○○mmの”mm”は焦点距離のmmです。うん、紛らわしい。。
焦点距離を「35mm換算」に直すと、どんなカメラでも同じ土俵で議論ができるので覚えておいて損は無いです。難しい話はおいておいて、「35mm換算」するための簡単な式があるのでぜひ覚えておきましょう。
レンズの焦点距離を「35mm換算」する方法
- フルサイズセンサーのカメラの人
基準のカメラなのでそのままでOK。24-70mmなら「35mm換算」も24-70mmです。
- APS-Cセンサーのカメラの人
ほとんどの一眼レフとキヤノン EOS M、FUJIFILM Xのミラーレスもこのタイプ。説明書やカタログなど見ると必ず撮像素子(イメージセンサー)の所に「APS-Cサイズ」と書いているはず。この場合はレンズの数字に「×1.5」をすればOK。
18-55mmなら1.5を掛けて、「35mm換算、27-83mm」です。
*メーカーごとに若干の違いがありキヤノンは1.6倍するのが正確ですが、面倒なので1.5と覚えるだけでまずはOK。
- マイクロフォーサーズのカメラの人
オリンパスとパナソニックのカメラの人。この場合はレンズの数字に「×2」をします。
14-42mmなら2を掛けて、「35mm換算、28-84mm」ですね!
- 1インチセンサーの人(高級コンデジ、NIKON 1など)
すでに開発終了となってしまったNIKON 1やSONY RX100シリーズなど1インチセンサーを搭載した高級コンデジ「×2.7」をします。暗算が厳しいです(笑)
11-27.5mmなら2.7を掛けて「35mm換算、30-74mm」となります。
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このように、35mm換算の数字を元に話をすれば、おかしな勘違いがなくなりますね。
フルサイズのカメラの50mmで撮った写真と同じ範囲を写したいなら、APS-Cカメラなら33mm、マイクロフォーサーズなら25mm、NIKON 1なら19mm、PENTAX Qなら9mmの焦点距離で撮れば良いということも言えますね。
フルサイズとAPS-Cの違いはこちらの記事に詳しくまとめています!
広角、標準、望遠って?
レンズの焦点距離について整理できたら、今度は「広角、標準、望遠」という言葉も覚えておきましょう。これはレンズの写せる範囲(ズーム度合い)を表す言葉で、焦点距離に関係します。
人によっては「超広角、広角、標準、中望遠、望遠、超望遠」と6段階くらいを使う人もいます。
人の視界よりも広めに写せるのが”広角”
普段の視界よりも広めに写すことの出来る焦点距離を「広角域」と言ったり、そんなレンズを「広角レンズ」と言ったりします。焦点距離でいうと、(35mm判換算で)だいたい35mmくらいまでの焦点距離。
APS-Cサイズカメラのレンズなら、例えば20mmは35mm換算で30mmなので”広角域”ですね。マイクロフォーサーズの14mm単焦点レンズは35mm換算28mmなので”広角レンズ”です!
もっと細かく分けるなら、35mm換算で20mm以下が超広角、20~35mmくらいが広角。
すでにお分かりのように、基準はあいまいです(笑)超広角は24mm以下だ!と言う人もいるし、30mmまでが広角だ!と言う人もいます。。
見た目に近い感じを写せるのが"標準"
普段、なんとなくモノを眺めている時の視界とだいたい同じくらいに写せる焦点距離を「標準域」と言ったり、そんなレンズを「標準レンズ」と言ったりします。焦点距離で言うと(35mm換算で)35~60mmくらい。
マイクロフォーサーズ規格のカメラの20mmは”35mm換算で40mm”になるので”標準域”。フルサイズカメラの50mmのレンズは”35mm換算50mm”なので”標準レンズ”です。
遠くのものを大きく写せるのが”望遠”
遠くにあるものを大きく(近く)に写せる焦点距離を「望遠域」といったり、そんなレンズを「望遠レンズ」といいます。焦点距離で言うと(35mm換算で)70mm以上。
もっと細かく分けるなら、70~100mmくらいが中望遠、100~300mmくらいが望遠、300mm以上が超望遠って感じです。だいたいです。
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○○倍ズームって言わないの??
コンデジを使っていた方は "○○~□□mm" 表記よりも、”○○倍ズーム” 表記の方がしっくり来るかもしれませんが、一眼レフやミラーレスカメラの世界ではあまり一般的ではありません。
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なぜなら、例えばフルサイズセンサー向けの標準ズームの「24-70mm」レンズは 70÷24=2.92 なので「(約)3倍ズーム」という事ができるのに対し、同じフルサイズ向けの望遠ズームの「70-200mm」のレンズは 200÷70=2.86 なので、やっぱり「(約)3倍ズーム」となるから。写せる範囲は全然違うのに。。
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このように、たくさんの種類がある交換レンズの世界では ”○○倍ズーム”という言葉は曖昧すぎるので一般的ではないのです。
4.開放絞り値(開放F値)にも着目
レンズのカタログやWEBサイトを見てみると、「18-55mm F3.5-5.6」なんて書いていますよね。この "F3.5-5.6"が開放絞り値(開放F値)です。レンズによっては「1 : 2.8」とか「1 : 3.5-5.6」と書かれていることも。
この場合は、18mmの時にはF3.5まで、55mmの時にはF5.5までF値を小さく出来ますよという意味です。このレンズを使っている以上、F2.8とか、F2.0みたいな小さなF値を設定することが出来ません。
開放絞り値は絞りを目一杯開いた時の値なので、カタログによっては”最大絞り”や”最大口径比”なんて書かれているかも。この値が小さいほどレンズにたくさんの光を取り込むことができます。
ですので開放F値が小さいレンズは「明るいレンズ」なんて言われることも。「明るいレンズ」というのは光を多く取り込めるので暗いところでもブレずに撮れたり、ボカした写真が撮りやすいという利点があります。
しかし、光をたくさん取り込むためにはレンズを大きくしなければならず重くなりますし、それに比例してお値段も上がります。開放F値がF2.8クラスのズームレンズ(大口径ズームレンズ)はお値段が10万円以上の高級レンズです。
単焦点レンズの場合は最初に言ったように構造が単純なため、開放F値が小さいものが多いです。最低でもF2.8、明るいものだとF1.2やF0.95(高価ですが。。)といったものもあります。
開放F1.8の単焦点レンズはお手頃価格が多い
例えば安くて有名なキヤノンのEF 50mm F1.8 STMというレンズ*は開放F値がF1.8と明るいにもかかわらず、実売価格は1万円代とお手頃(安さと明るさに釣られて買うと、だんだん良いものが欲しくなってくるため”撒き餌レンズ”とも言われますw)。
このように各社50mm前後の開放F1.8のレンズはお手頃なものが多いですのではじめての単焦点にはオススメ。上で紹介したとおりAPS-Cサイズセンサーのカメラはx1.5倍となるため35mmF1.8 くらいのものが使いやすいかも。
また、「開放F値が小さい=画質が良い」と誤解されている方がたまにいらっしゃいますが、必ずしもそうとは限りません。例えば上記の EF50mm F1.8 STMは多少画質を犠牲にしながら、コストを優先して一般の方が手軽に使えるようになっています。
といっても、通常は開放F値が小さなレンズは画質にこだわったものが多いので、お高いレンズがほとんどです。。個人的には、多少画質を落としても良いので手軽に使える明るいレンズがもっとたくさん出て欲しいなぁと思うのですが、そうしてしまうと、高いレンズが売れなくなってしまうのでなかなか実現されません。。
ズームしてもF値が変わらないレンズ
キットレンズなどの通常のズームレンズは広角側と望遠側のF値が異なるものが殆どですが、中級クラス以上のズームレンズにはズームしてもF値が変わらないレンズもあります。
例えばキヤノンの「EF24-70mm F2.8L II USM」はズームしてもすべての焦点距離で開放F値がF2.8というステキなレンズです。こういうレンズを「F2.8通しレンズ」と言ったりします。
このF2.8通しズームレンズの広角(16-35mm)、標準(24-70mm)、望遠(70-200mm)がいわゆる「大三元レンズ」です。いずれも一本20万円クラスの高級レンズです。
5.レンズの重さ
開放F値が小さく、高画質なレンズほどその重量は重くなります。。
どんなに高性能なレンズでも重くて持ち歩きたくない。。では宝の持ち腐れ。まずは今使っているレンズの重さを確認してみましょう。
ボディとのバランスも大事です。軽いボディに重いレンズをつけるとバランスが悪く疲れやすくなってしまうことも。可能なら買う前に自分のボディをお店に持って行き、付けさせてもらうといいです。大抵はダメとは言われません。
下見程度でちょっと気が引けるという方は、場所が限られますがメーカーのショールーム行くと、無料ですべてのレンズを実際につけて確認させてもらえます。お店じゃないのでその場で買う必要もないし、お姉さんがレンズを取り付けてくれる特典付です(笑)
6.意外と知らない最大撮影倍率
焦点距離や開放F値は写真を始めればなんとなく自然と分かってきますが、最大撮影倍率となると??となってしまう人も多いのでは?
詳しい説明は避けますが、これはどこまで大きく写せるか?という数値です。単純に考えれば、ズームしたり、被写体に近付けばどこまでも大きく写せそうですが、実はレンズには限界があるのです。
ズームしたり近付いたりして、そのレンズが一番大きく被写体を写せるときに、カメラのセンサーのサイズと被写体のサイズを比べた倍率が最大撮影倍率です(原理は知らなくても大丈夫)。
⇒一味違った写真を撮りたいならマクロを始めよう。
通常0~1.0の間の数値で表され、この数値が大きいほど、小さいものを大きく写せます。ちなみに小さなものを大きく写すことをマクロ撮影といいます。
普通のレンズは0.2~0.3倍くらいの値です。0.3を超えるようなら小さなものもぐっと寄って撮れるはず。カメラのキットレンズなんかはオールマイティーに撮れることを特徴としているので最大撮影倍率が0.3を超えるものが結構あります。
キットレンズから上位のレンズに買い換えると最大撮影倍率が下がってしまい今までよりも大きく写せなくなった。。となることもあるので要注意です。
マクロモードを搭載したレンズもある
マクロ性能を重視したレンズではマクロモードを搭載したレンズだと0.4を超えるものもあります。
例えばキヤノンのEF24-70mm F4 L IS USMは普通のズームレンズだけど、マクロモード切替スイッチが付いていて、小さなものに大きく寄る事ができます。
オリンパスのM.ZUIKO DIGITAL ED 12-50mm F3.5-6.3 EZもマクロモード搭載
OLYMPUS ミラーレス一眼 レンズ 防塵 防滴 電動ズーム ED 12-50mm ブラック M.ZUIKO DIGITAL ED12-50mmF3.5-6.3 EZ BLK
雑貨やアクセサリー、お花など小さなモノを良く撮る方はこの数値が大きいものを選ぶようにするといいです。
小さなものをたくさん撮るならマクロレンズを
ちなみに、この最大撮影倍率に特化したレンズがマクロレンズと呼ばれ、通常は最大撮影倍率が1.0。通常のレンズとは比較にならないくらい大きく写せるレンズです。
キヤノン、ニコンでマクロ入門するならタムロンの90mmマクロがお値段も手頃でおすすめです。業界では「タムキュー」という愛称が付いてます。私も愛用中。
APS-Cセンサーのカメラなら60mmくらいの焦点距離のものがオールマイティに使えるかもしれません。
マクロについてはコチラのエントリーもご参照下さい!
7.最短撮影距離
どのくらい被写体まで近付いて撮れるか?というのが最短撮影距離。この数値よりも被写体に近付いて撮ろうとしてもピントが合いません。
上記の最大撮影倍率とも関係してきますが、一般に広角レンズは最短撮影距離が数十センチと短く、望遠レンズになると長くなります。例えば300mmクラスのレンズだと、最短撮影距離が2m近くなるため、どんなに頑張っても被写体から2m以上離れないとピントが合いません。
標準域のズームレンズだと20~45cmくらいが一般的。この数値が小さなレンズを”寄れるレンズ”と言ったりします。最短撮影距離が50cmを超えてくると席に着いた状態で机上のものとをるのがキツくなります。オシャレなカフェでごはんを撮ろうとしたらピントが合わなくて立ち上がらないといけない。。みたいな事にならないように注意。
室内など狭いところで撮ることが多い方は数値が短いものを選んでみましょう。
レンズ先端からでなくカメラからの距離
ちなみに、最短撮影距離はレンズ先端からではなくカメラのイメージセンサーからの距離のことをいいます。カメラ本体に「Φ」みたいなマークがあると思いますが、そこから被写体までの距離のことですのでお間違いなく。ちなみに、レンズ先端から被写体までの距離は「ワーキングディスタンス」と言います(はじめは覚えなくてもOKです)。
8.手振れ補正は便利
手振れを押さえてくれるアシスト機能ですね。この手振れ補正機能は大きく分けてレンズ内手振れ補正とボディ内手振れ補正の2つあります。
一眼レフで便利なレンズ内手ブレ補正
かつての主流がレンズ内の補正用レンズを動かす「レンズ内手ブレ補正」です。もちろん今でも多くのレンズに搭載されていますが、現在は後述のボディ内手ブレ補正が主流になりつつあります。
レンズ内手ブレ補正はメーカーごとに呼び名も違っていて、キヤノンならIS、ニコンならVR、パナソニックならOIS、ソニーEマウントならOSS。また、サードパーティー製だとシグマがOS、タムロンがVCという名前です。
ボディ内手ブレ補正非搭載のボディ(多くの一眼レフや一部のミラーレス)をお使いで、手ブレ補正が必要な場合はレンズに手ブレ補正機能が付いているものを選びましょう。
ミラーレスカメラで便利なボディ内手ブレ補正
2018年頃から急速に一眼レフからミラーレスへのシフトが始まりました。そこで主流になっているのがイメージセンサーそのものを動かす「ボディ内手ブレ補正」です。
オリンパス、ペンタックス、ソニーのカメラは以前から搭載していましたが、最近だと富士フイルムX、ニコンZ、パナソニックL、キヤノンRFなどのマウントでも採用が進んでいます(一部非搭載のものもあり)。これらボディ内手ブレ補正が搭載されているカメラを使っているなら手ブレ補正が付いていないレンズでも手ブレ補正が効くので便利。
ただし、一部のレンズではレンズの手ブレ補正とボディの手ブレ補正を協調させてより強力な補正をするものもありますのでチェックしておいても良いかも知れません。
補正能力は「段」で表す
手振れ補正の機能はカタログでは「○段分(相当)」と書かれています。1段というのはシャッタースピードで2倍という意味なので、手振れ補正機能4段分というのは単純に考えれば2^4=16倍。手振れ補正なしのレンズに比べて16倍遅くシャッターを切ってもブレにくいということになります。詳しくは以下の記事もどうぞ。
が、あくまでベストコンディションでの数値なので感覚的にはその半分くらいの性能と思っていたほうが良いです。とはいえ、2倍や4倍でも暗い場面では心強い味方となるので、手持ちで撮ることが多い方は(レンズまたはボディに)手振れ補正有りの方がおススメです。最近はボディと合わせて8段(256倍)補正が出来るカメラ(EOS R5/R6)も登場しており、実際にかなり効きます。
9.ピント合わせ機構
殆どの方がピントを合わせるときはAF(オートフォーカス)を使っていると思いますが、レンズによってピントが合う速さが違います(ボディの性能にも影響します)。ピントが素早く合うレンズだとテンポ良く撮影できますし、シャッターシャンスを逃す場面も減ります。
超音波モーターが速い
昔のキットレンズはレンズの先端が回転しながらジリジリと動いてAFを合わせるため合焦時間(ピントが合うまでの時間)が長いものも多いですが、最近のレンズはキットレンズでも比較的AFが早いものが多くなってきました。また、中級以上のレンズはさらに高速なピント合わせ機構が搭載されているものもあるため、ピントが早く合います。
レンズに高速モーター(超音波モーター)を搭載したレンズは早くピントが合い、メーカーによって様々な呼び名があります。キヤノンの場合だとUSM、ニコンならSWM、ソニーならRDSSM、オリンパスならMSC、タムロンならUSDなど、さまざまな呼び名が付いています。
同じ超音波モーターでも上記のタイプはリングタイプと呼ばれ横回転の力を縦回転に変換して駆動していますが、より高速な直動タイプの超音波モーターも登場しています。キヤノンならナノUSM、ソニーならDDSSMなど。
他にはステッピングモーターを使った駆動方法もあります。最近はステッピングモーター駆動のレンズも結構速いものが増えていますが超音波モータータイプよりは遅いものが多いです。
一般的にサードパーティー製レンズより純正レンズのほうがAFは早い事が多いです。
子供、ペット、スポーツなど動き回る被写体を撮るならAFが早いものがおすすめです。画質には直接関係しない性能ですが、一度慣れてしまうともう元には戻れないほど快適です。
10.フィルター径
レンズの一番先(前玉)の直径サイズです。開放F値が小さい明るいレンズは、より多くの光を取り入れる必要があるため、フィルター径が大きくなります。
フィルター径が大きくなれば、これまで使っていたフィルターが使えなくなるし、フィルター自体のお値段も高くなります。こればっかりは仕方の無いことですが、レンズを買うときはこのサイズも少し意識しておくといいです。
例えば保護フィルターだと58mmと77mmの違いでもお値段は2倍くらい違います。。ちなみにフィルター類はAmazonがとても安く買えます。
11.絞り羽根枚数
始めのうちは特に気にしなくてもいいかもしれませんが、絞りのサイズを調整する羽の枚数が作品の印象を変えることもあります。一般に、絞り羽根の枚数が多いほど画質が向上します(それに伴いお値段も高くなります)。
一般的には7枚絞りのものが多いですが、高級なレンズには9枚絞りが採用されていることが多いです。
また、羽の枚数が偶数か奇数かでも作品の印象が変わることがあるので、こだわりたい方はちょっとだけ気にしましょう。
12.耐候性
カメラやレンズは精密電子機器のため、水や細かな塵に弱いです。そこで、一部の上位機種には防塵・防滴機能を持たせたレンズがあります。アウトドアなどで撮影することが多い方はこの機能が付いていると心強いです。
ただし、この場合はボディ側も防塵・防滴機能が付いていないとあまり意味がありません。。また、防水ではなく防滴ですので過度な期待は禁物です。
イメージとして、防塵・防滴機能が付いていれば突然の通り雨やコップの水がザバっと掛かるくらいなら、直ぐに拭けば壊れることはありません(あくまで私の経験なので、保障は出来ません)。
*最近は防塵防滴対応品が多いですが、メーカーや製品のグレードによってもその耐性はマチマチです。。
13.レンズコーティング
レンズは光を良く通すことが要求されますが、条件によってはレンズ内部で光が反射してしまうことがあります。光が反射してしまうとフレアやゴーストといった画質を低下させる現象が起きます。
通常のレンズにも反射防止コーティングはなされていますが、一部の上位機種には光の反射を極限まで落とした特殊コーティングが施されています。キヤノンだとSWCやASC、ニコンだとナノクリスタルコート、ソニーだとナノARコーティングなどと呼ばれます。
太陽が構図に入りやすい風景撮影や、強い街灯の影響が出やすい夜景撮影をメインにする人はチェックしておいて損は無いです。
また、水滴や汚れが付いてもすぐに拭き取れるフッ素コーティングがなされたレンズも中級クラス以上のものには多いですね。
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まとめ:スペックは価格に比例するのでほどほどに。。
ということで初心者がレンズのカタログやWEBサイトを見るときに着目すべきポイントを13項目上げてみました。
始めにも言いましたが、誰にでもおススメな万能レンズは残念ながら存在しません。あのスペックをとればこっちのスペックが犠牲に。。(あるいは非常に高価に)という悩ましい状態になるはずです(笑)
ですので、レンズを選ぶ時はまず自分の撮りたいものと予算を考えながら、こだわりたいポイントと妥協できそうなポイントをハッキリさせることからはじめてみましょう。
レンズはボディよりも価値が落ちにくいですから、気に入らなければ下取りなどに出して新しい相棒を探すのも良いです。まずは撮ってみないと始まりませんからね(レンズ沼とも言われる。。)
何年も使えるようなステキなレンズに出会えることを祈っています!