フィルムの時代はまだ終わっていない?
「フィルムの時代は終わった」と言われて久しい、デジタルカメラ全盛期の現在。
写真のほとんどがデジタルとなり、フィルムの存在が忘れ去られようとされている中、密かに驚異的な売上を伸ばしているフィルムカメラが存在していることを皆さんはご存知でしょうか?
その名は「チェキ」
1998年に富士フィルムから発売され、当時の女子中高生の間でプリクラと並んで一大ムーブメントを巻き起こしたインスタントカメラです。カメラに詳しくない方でも、チェキという名前は一度くらい耳にしたことありますよね。
このチェキ、アナログなのにすぐに写真が出来上がる手軽さや、独特の淡い写りなどがフィルムを知らない世代にも大ウケし、なんと日本だけにとどまらず、世界中で新たなブームとして、今、かつてないほどの人気になっているのです。
今日はそんな世界中でブームが再来しているチェキについて、ご紹介させていただきます。
普通のカメラとチェキ、何が違うの?
そもそもでチェキって他のカメラと何が違うの?という方もいらっしゃると思います。ここではチェキがフィルムカメラやデジタルカメラと何が違うのかということについて説明させていただきます。
撮ったらすぐに写真になるチェキ
チェキと普通のカメラの一番の違いは、撮ったものがそのまますぐに写真になることだと思います。普通のフィルムカメラはフィルムを使い切った後、現像に出してネガにし、その後ネガをプリントをして写真にするという過程です。しかし、チェキの場合、フィルムを装填してシャッターを切るとそのままカメラから写真が出てくるのです。そのためインスタントカメラなんて呼ばれたりもします。
現像やプリントなど面倒な過程をすっ飛ばして、そのまま写真として出来上がるため、撮った写真をすぐに確認できる点がチェキ最大の特長です。フィルムで写真を撮ってみたいけれども、現像やプリントが面倒だと感じている方にチェキはもってこいのフィルムカメラだと思います。
ただし、ランニングコストも…
とは言っても、チェキもフィルムカメラの一種です。フィルムならではのデメリットも存在します。
基本的にフィルムカメラはデジタルカメラと異なり、シャッターを切るたびにフィルムを消費します。つまり撮影する枚数に制限がありコストがかかるのです。
デジタルカメラは撮影した写真をSDカード等にデータとして保存していくため、シャッターを切っても枚数制限やコストを意識することはありませんが、フィルムカメラはフィルム代というランニングコストがかかります。そして、これはフィルムカメラであるチェキも同様なのです。
チェキのフィルムは20枚入りで1000円ほどで販売されています。つまり、一枚あたり約50円のコストとなる計算です。
「写真撮るだけなのに、そんなにかかるの?」
フィルム代のかからないデジタルカメラに慣れてしまうと、そんな風に思ってしまいますよね。
でも、消費して撮影するという感覚は、デジタルカメラでは感じることのできない緊張感を味わせてくれます。正直、これはかなり新鮮な体験です。一枚一枚しっかりと思いを込めてシャッターを切ることで、これまでマンネリ化しがちであった「撮影する」という新しい楽しみを、チェキが広げてくれるかもしれません。
鮮明な写真とは一線を画す、チェキ専用フィルム
チェキで使用するフィルムはデジタルカメラや普通のフィルムカメラでは表現することができない、独特の淡いテイストを持った写真を作り上げてくれます。悪く言ってしまうとザラつきのある荒い写真なのですが、最近ではスマホですら画質が良いキレイな写真が撮れてしまうので、かえって画質の荒いチェキの写真が味のあるレトロな雰囲気に感じてしまうのです。
これは鮮明さを是とする一般的な一眼レフカメラでは決して表現することができない写りです。何気なくチェキで撮影した一枚や偶然撮影した一枚が、驚くほど個性的な写真として出来上がるのを見ると、多少のランニングコストには目をつぶってしまいますよね。どんな風に撮影できたのか、写真を見ないとわからないワクワク感がそこにあります。
狙って撮影した写真だけでなく、偶然性や不確かさも写真として残して楽しむ。これがチェキの面白いところであり、チェキにしかできない部分なのかもしれません。
実はたくさんある、チェキの種類について
いかがでしょうか?ここまで読むと「僕(私)もちょっとチェキで写真を撮ってみたいなぁ」という気持ちがふつふつと湧いてきたりしましたでしょうか。
でも、ちょっとだけ待ってください。
「チェキ」と一言で言っても、実は様々な種類があります。価格やスペック、デザイン、機能など、機種によってそれぞれ異なる部分があり、自分がどんな用途でどんな写真を撮りたいのかということで適切な機種が違ってきます。
以下にチェキの現行機種の特長についてご紹介してみました。これを参考に、自分に合ったチェキを探すところから始めていきましょう。
安さとシンプルさで選ぶならこれ!
チェキ instax mini 8+(プラス)
チェキは欲しいけど、できれば価格は抑えたいという方はinstax mini8+がオススメです。
価格は7,000円前後と、現行のモデルの中で最も低価格で提供されており、電池も単三電池2本とコンビニでも手に入れられる手軽さがあります。パーティの企画や結婚式の二次会など、使う機会が限定されている方に人気のモデルです。
他のモデルに比べ、最低限のスペックしかありませんが逆にシンプルで使い易いという面もあります。デザインはパステルカラーで統一され非常に可愛らしいですし、色の種類が豊富なのも嬉しいですね。
FUJIFILM インスタントカメラ チェキ instax mini8プラス 接写レンズ・純正ハンドストラップ付き バニラ INS MINI 8P VANILLA
チェキ instax mini HELLO KITTY
instax mini 8+を元に作られたハローキティモデルです。チェキの形がキティちゃんになっており、とても可愛らしいですね。色はピンクとレッドがあります。
これぞチェキ、最も古い標準モデル!
チェキ instax mini 25
今回ご紹介するチェキの中で、最も古いモデルです。チェキのスタンダードモデルといっても良いかもしませんね。
縦横どちらでも撮影できるようになっているということ、そして自動露光なので撮影場所に応じて明るさの調整をしなくてもよくなったという点が特長でしょうか。こちらもmini8+と同様、かなり簡易的でシンプルな機能しかありません。難しい操作が苦手で手軽に撮影したいという方は、こちらのモデルをオススメします。
チェキ instax mini 25 リラックマ
instax mini 25をもとにしたリラックマがデザインされたチェキです。機能や形などは全てinstax mini 25と同じです。
自撮りに特化したチェキ!
チェキ instax mini 70
instax mini 70はこれまでのモデルに比べると、機能がかなり豊富です。セルフタイマーや、30cmからの撮影ができるマクロモードなどの機能が新たに増えました。価格も1万円を超えるスペックの高いモデルになります。
何と言ってもこのモデルの一番強い機能は「自撮り」です。instax mini 70は自撮りに特化した機能が付いているのです。カメラの設定を自動セルフィーモードにすると、自撮りに最適な明るさと撮影距離に設定して撮影してくれます。セルフショットミラーも付いていますので、自撮り写真を多く撮影される方はこのモデルが一番オススメです。
最もハイスペックな高機能モデル!
チェキ instax mini 90 ネオクラシック
現在発売されているモデルで、最もハイスペックなチェキがこのinstax mini 90です。
これまでのチェキというと、どうしても「おもちゃの延長線上にあるカメラ」のようでしたが、このモデルは一味違います。豊富な機能もさることながら、見た目からして高級感があるしっかりとしたカメラです。
instax mini 70から搭載された、セルフタイマーやマクロモードはもちろんのこと、新たな機能として二重露光やバルブ撮影も可能になりました。これまでチェキが苦手だった夜景の撮影も、バルブモードが追加されたことにより撮影が可能になります。チェキでの撮影の幅がかなり広がる一台です。
ちなみに今回使用しているチェキの写真は全てこのmini 90で撮影しました。
FUJIFILM インスタントカメラ チェキ instax mini 90 ネオクラシック ブラック INS MINI 90 NC
他の人とは一味違うチェキが欲しい
チェキWIDE instax WIDE 300
チェキの中でもちょっと異色なのが、このinstax WIDE 300です。
何が異色かというと、フィルムのサイズが違います。大きいです。通常のチェキの倍のサイズの撮影できるチェキなんですね。パーティやイベントなどたくさんの人を撮影するときなどに重宝できる一台です。
チェキの楽しみ方について
チェキはただ写真がカメラから出てくるというカメラではありません。結婚式の二次会やパーティの記念撮影、スナップ撮影にしても、チェキにしかできない楽しみ方があります。せっかくチェキで撮影するのであれば、色々な楽しみ方を知っておきたいですよね。
ここではチェキの楽しみ方について、いくつかご紹介してみます。参考にしてみてください。
フィルム選びから楽しむ
チェキのフィルムは無地だけでなく、カラフルなものやストライプ、水玉を始め、ディズニーやハローキティ、スターウォーズなどキャラクターが描かれたフィルムも発売されています。また、最近ではチェキ専用のモノクロフィルムも発売されるなど、様々なシチュエーションに沿ってフィルムを変えながら撮影が楽しめるようになりました。
無地のフレームで撮影すると写真によっては味気ない雰囲気になってしまったりしますが、そういう場合にはフィルムを変えて撮影してみるとまた違った雰囲気の写真が楽めます。
例えばキャラクター系のフィルムなどで撮影すると写真が全体的にポップな印象になり、可愛らしい写真が出来上がります。
このようにフレーム全体で写真を楽しむことができるのはチェキならではの楽しみ方ですよね。出てくるフレームも10枚それぞれ全部異なるので、どんなフレームの写真になるかはシャッターを切ってからのお楽しみです。
書き込んで楽しむ
様々な種類のフレームのフィルムがある一方で、安定して人気があるのはやはり無地のフィルムです。無地のフィルムであれば、余白部分にマジックやペンなどでメッセージや絵を書き込むことで、自分好みにアレンジするといった楽しみ方ができます。
パーティや飲み会などではもちろんのこと、結婚式の二次会などで、チェキで参加者を撮影して、出来上がった写真にお祝いのメッセージを添えて新郎新婦に送ったりするのはもはや定番ですよね。
そのほかにも日付を入れて絵日記ならぬチェキ日記として使ったり、ポイントを書き込んでレシピ帳として使ったりなど、工夫次第で様々な用途に使うこともできます。
ちなみに写真に書き込む際の筆記用具ですが、私は三菱鉛筆の「POSCA」を使っています。
少しインクの出が悪かったりして書きにくいこともありますが、写真に直接書いてもしっかりとインクが乗るところが良いです。あと、一般的によく使われるのはマッキーですね。こちらはポスカに比べると書きやすいです。ただ、インクの発色はポスカの方に軍配が上がると思います。
物によっては油性であっても写真にインクが乗らないものもあるので、ペンはしっかりと選びましょう。
失敗した写真も、アレンジ次第で…
チェキで失敗してしまった写真などは、練習用としてイラストや文字をガンガン書き加えてアレンジしてみることをオススメします。
「写真を撮ってみたらピンボケだった!!」とか「なんか思ってたよりも白く写ってしまった!!」といったチェキにありがちな失敗写真も、ちょっと書き込むだけで面白い写真になったりします。
また、最初は失敗だと思っていた写真でも、後から見てみると「この写真ちょっといいかも」と思うことが多々あります。シャッターを切って「失敗してしまったー!」と思っても、すぐに写真を捨てるというのは待った方がよいかもしれません。時間が経つと違った見方に変わるかもしれないので。
撮影してから時間が経ち、改めて写真を見て「やっぱりこの写真はないな」というのであれば、練習だと思って、ガンガン書き込んで、アレンジしてみると良いと思います。
旅行先でも大活躍
旅行に行って、スマホやデジカメで写真を撮ってもその時だけで満足してしまって、実際に写真を見返すことは少なかったりしませんか?見返したとしても、同じような写真がたくさん撮られていて、どこで撮ったか記憶も曖昧で、なんかちょっと味気ない。
チェキで写真を撮ると、撮影した瞬間だけでなく、ホテルや旅館に帰って思い出を書き込んだり、移動などで写真を皆で見返したりなど、旅行の盛り上がりを演出するツールになります。また帰ってからも、壁やコルクボードなどに写真を張り付けるなどして、楽しかった思い出を思い返すことができるのもチェキならではの楽しみ方だと思います。
データは物理的にかさばらないですし、一斉に送受信することができるので非常に便利です。チェキにはそういう便利さはありませんが、撮影した写真を交換しあったり、お気に入りの一枚を手帳に貼ったりなどアナログならではの特別感があります。
「大切な思い出だからこそ、記憶として残りやすいアナログで」そんな考え方も素敵ですよね。
チェキのデジタル化、3つの方法
チェキで撮影した集合写真をみんなに配りたい。
写真として残るのも大事だけど、やっぱりデータにも残したい。
そういった考えの方は非常に多いと思います。チェキで良い写真が撮れても、デジタル化できなければSNSにも載せられませんからね。ここでは、チェキで撮影した写真のデータ化についてご紹介させていただきます
スマホやデジカメで撮影する
まず最初にご紹介するのは、チェキで撮影した写真をスマホで撮影するという方法です。かなり原始的な方法なのですがスマホ一台あれば何もいらないですし、何よりもとても簡単な方法です。ただ、光の具合や影ができないように撮影するのに少しコツがいるかもしれませんね。
実際に撮影してみた写真がこちら。
最近のスマホは解像度も高いですから、簡単なデータ化であればこれで良いかもしれませんね。ただやはり難点として、写真の反射で撮影している様子が写ってしまうところがあります。
スマホ向きのこんな商品も
チェキやフィルムの写真が反射しないように撮影するために開発された、「Omoidori」です。チェキだけでなく、アルバムなどに残っている古いフィルム写真などもスマホで写り込みなく、綺麗にデータ化することができます。
スキャナーに取り込む
家にある複合機や、近くのコンビニのコピー機などでスキャンしてデータ化するという方法もあります。家庭用の1万円程度のプリンターでもスキャナー機能がついているものも多いですよね。
スキャンするだけですので、スマホで写り込みを気にしながら写真を撮るよりもだいぶスムーズにデータ化が可能です。実際にスキャンした写真がこちら。
先ほどのスマホの画像と比べてみるとこちらの方がだいぶ鮮明にデータ化されますね。ちなみに、今回ご紹介したチェキの写真は全てスキャナーでスキャンしたものをアップさせていただいております。
カメラ店舗でデジタル化
あまり知られていない方法ですが、カメラのキタムラなどのサービスでフィルムの写真を綺麗にデータ化してくれるサービスがあるようです。
http://www.kitamura-print.com/data_conversion/data_cd/?ref=blogbnr#price
フィルム写真だけでなくチェキでも対応しているそうなので、キレイな形でデータ化して残したいという方はこちらのサービスをご利用することをお勧めします。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
チェキと聞くと、昔流行った中高生向けのおもちゃという認識があった方も結構多いかと思いますが、あれからもチェキは進化し続けていて、モデルによっては外観も機能も完全に大人が楽しめる本格的なカメラとなっています。
デジタルに少しマンネリを感じてきたけど、フィルムカメラに手を出すのは少しハードルが高いなと思っている方には最適のフィルムカメラです。撮影していてピントが甘くなりすぎたり、白飛びしてしまったりすると、今までどれだけカメラに頼ってシャッターを切ってきたんだろうと、自分のいい加減さに気付かされます(笑)。あと、撮影した写真がすぐに見られるというのは、今の時代に合っていますし、やっぱり便利でいいですよね。
興味がある方は是非、チェキで写真を楽しんでみてください。新しいカメラの楽しさに気付かされるかもしれませんよ。
FUJIFILM インスタントカメラ チェキ instax mini 90 ネオクラシック ブラック INS MINI 90 NC