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Review カメラ・レンズ シーン別に撮る 写真のコツ

EOS 7DとKiss X4の視点で見る2011年のど真ん中祭り。

更新日: by 中原 一雄

前回チラッとお話した、2011年のにっぽんど真ん中祭り。北海道大学”縁” というそりゃーもう熱いチームにくっつきながら撮影をしてきたのですが、今回は撮影に使ったEOS7DとKissX4ついてのレビューというか、使って見た感想を書いて見たいと思います。

にっぽんど真ん中祭り2011 北海道大学”縁”

EOS 7D / EF 70-200mm F4L  IS USM / 189mm f4  1/3200  ISO1000

前回チラッとお話した、2011年のにっぽんど真ん中祭り

北海道大学”縁” というそりゃーもう熱いチームにくっつきながら撮影をしてきたのですが、今回は撮影に使った機材についてのレビューというか、使って見た感想を書いて見たいと思います。

撮影の条件、スタイルはこんな感じです。

  • 基本的に演舞中心の撮影、一部待機中や直前の練習風景などもおさえる。
  • チームの構成員は70名弱。
  • 名古屋市内に用意された会場を一日に数箇所移動しながら演舞を行う。
  • 演舞はパレード形式がメイン(全体の7~8割)残りはステージ形式。
  • パレード形式: 道路を封鎖した会場で、ある一定区間(約100m)を演舞をしながら前進(約4分30秒)。これを3~5回繰り返す。演舞と演舞の間隔は1~2分程度。
    沿道ぞいには観客が間近におり、踊り子と観客の距離は非常に近い(がんばれば触れちゃう)。
  • ステージ形式: あらかじめ用意されたステージ上で演舞。一度に1回しか踊らない。踊り子と観客との距離は遠い。30~50m程度?
  • ステージ演舞は夜間の演舞もありえる。
  • チームの特性上、演舞は大変激しい。

 

とこんなもんでしょうか。

要は、一箇所にじっとしているわけではなく、移動しながらの大変に忙しい撮影になるということです。となると、必然的に道具は必要最小限とし、機動性重視の準備をすることになります。

そこで、今回用いた機材はEOS 7D+バッテリーグリップEOS Kiss X4 の2台にレンズは 広角~標準がEF-S 15-85mm F3.5-5.6  IS USM、望遠がEF 70-200mm F4L  IS USMの2本。演舞中はレンズ交換ナシな方向で。

昨年は7D一台でやりくりしていたのですが、演舞中にはレンズ交換が出来ないため、望遠で撮っている最中に、広角で撮りたいな~と思っても諦めるしかない状況。。今年はサブにKiss X4を導入したので、一回の演舞で望遠と広角どっちも使える~♪とウキウキしつつも、Kiss X4で動き物に対応できるのかなぁ。。との一抹の不安も。。

結果から言えば、不安は的中した形となりました(汗)

そんな感じで、どまつりを撮ってみてのEOS 7D と Kiss X4の違いについて気づいた点を書いて見ようと思います。そりゃぁ、入門機とCANON APS-Cのフラッグシップを比べちゃうと、KissX4がかわいそうな気もしますが、値段もぜんぜん違うんだから性能が違うのも当然。

KissX4にはきびし目のコメントが多くなると思いますが、純粋に二つのカメラを使って見たときの感想ということですのであしからず。。

にっぽんど真ん中祭り2011 北海道大学”縁”

Kiss X4 / EF-S 15-85mm F3.5-5.6  IS USM / 24mm f5.6  1/320  ISO3200 (16:9にリサイズ)

各機能についてそれぞれレビュー

 重さ、見た目など

今回7Dにはバッテリーグリップ(+電池2個)をつけたので、重さ的には圧倒的に重いです。70-200mmF4L のセットにすると約2.2kg。女性が使うダンベル級ですね(笑)

しかしながら、7Dは本体が大きく、手の大きな私には非常に相性のいいグリップで、実際の重さの割には撮っていて重いと感じることはありませんでした。ただし、見えないダメージは溜まっていくもので、カメラバックと7Dを掛けていた方の肩は2日目終了近くにはもうカチカチに。。

一方、Kiss X4はとっても軽いです。ボディーだけで持ったときはあまりの軽さに笑ってしまいました。

ただ、軽いことはいいことですが、ボディの小型化に伴って、グリップも小さく、私の場合は握ったときに小指が余ってしまうような形となり、非常に不安定です。さらに、今回使ったレンズはどちらもKiss X4(475g)より重いため、若干バランスが悪いことに。。ですので、Kissの場合は実際の重さよりも、重く感じるというか、疲れやすい印象がありました。

この辺は、手のサイズや個人の体力にに大きく左右されると思いますが、成人男性であれば今回のような長時間カメラを振り回すような撮影のときは7Dの方が疲れにくいのかなと思います。

AF性能について

これも、7Dと比べてしまうとKissには大変申し訳ないのですが、雲泥の差です。。まず、AFの速さについては、同じレンズを使用していても7Dの方が合焦速度が速いように感じます。7DはAFボタンを押した瞬間にビシッと合焦するのに対し、Kissはワンテンポ遅れて合うような感じ。

また、動きが激しい上、予測しにくいので基本的にAIサーボで追随しながら撮っていましたが、追随能力もKissはかなり劣っている印象。。さらに、それ以上に差を感じたのは、測距点の数測距モードの違い

7Dは19点の測距点に1点、1点領域拡大、ゾーンなど場面に応じて、AFモードを選べるのですが、Kissは9点な上に、1点か9点全部の2種類だけ。。

激しい動きのものは、これまでAIサーボ+ゾーンAF(または1点領域拡大AF)の組み合わせで使ってきたのですが、Kissはそれが出来なかったので、非常に戸惑いました。

ピントが合っている写真の割合も7Dの方が圧倒的に高かったです。AF性能は7Dの大きな特徴なので、Kissと比べること自体に無理があると思いますが、入門機と中上級機の性能差をまざまざと感じる結果。

ファインダー

7Dの視野率100%ファインダーに対して、Kiss X4は95%。しかし、これは大きな問題にはならなかったです。

というのも、動きものの撮影ゆえ、構えてからシャッター切るまでの間はほとんどゼロに近いので、正直視野の隅々まで確認する時間はありません(というか私の腕はそんなレベルにはありません。。)ですので、5%の違いは今回に限っては問題となりませんでした。これはむしろ構図を追い込むような撮影のときに問題となる内容でしょう。

気になったのはフォーカシングスクリーン上に写るやつ(インテリジェントビューファインダーでしたっけ?)がKissは大変見にくかったことです。

測距点が少ない上に、どの部分で測距しているのか、見づらく大変苦労しました。。

 連射性能

これも7Dが圧倒で、RAWで撮影していても、ここぞ!というときに秒速8コマで5~7枚は余裕でいけます。さすがデュアルDIGIC。カードはSanDisk Extreme 16GB

一方、KissはRAWで撮っていると3~4枚連射すると、バッファがいっぱいになり、しばらく(1~2秒?)撮影できません。。カードは同じくSanDisk Extreme 16GBを使っているので、これはカメラ側の性能の限界ってことなのかしら?映像処理エンジンがデュアルではなくシングルって事が大きく影響していそう。

 画質

仕上がった写真の細部をまじまじと比較したわけではありませんので、あくまで感覚なのですが、上記のさまざまな不利な要因を潜り抜け、ピントがきちんと来ている写真を比べると、7DとKissは大差ないように感じます。夜間撮った高感度側の写真も大きな違いはないかな?と感じます。

Kiss X4と7Dは同じ1800万画素のCMOSセンサを使っていると言われていますから、大差ないというのもうなずけます。(Kiss X5も同じ1800万画素センサーを使っているといわれてますね)なので、フルマニュアルでちゃんと写真が撮れるくらいの腕があれば、7DとKiss X4はほとんど差はないと言えそうです。

にっぽんど真ん中祭り2011 北海道大学”縁”

EOS 7D / EF 70-200mm F4L  IS USM / 187 mm f4  1/640  ISO3200

  まとめ

今回の比較はKissにとって大変厳しい条件での比較でしたが、結果は7Dの圧勝。7Dの価格がKiss X4の約2.5倍するということを勘案しても、このような激しく動くような被写体を撮るなら、7Dを選択すべきです

センサーは同じで、吐き出される映像もほぼ同じだとしても、AF、連射、ファインダーなどの性能はやっぱり7Dが優れていて、価格の差以上の魅力があります。子供の運動会をガチンコで撮りたいお父さんはKissをやめて、7Dを買いましょう。どんないいレンズを使ったって、ピントが合わなきゃしょうがないですからね。

と、ここまでKissX4をケチョンケチョンにけなして来ましたが、KissX4は大変いいカメラです☆(なによ今更。。笑)今回の使用条件がKissには不利すぎただけ。

忘れてはいけないことは、7DとKissの吐き出す映像には大差ないということ。つまり、日常スナップとか、風景とか激しいAFも連射も使わないような撮影なら、Kissの価値はグッと上がります☆

そもそもカメラ始めたばかりの初心者が、いきなり激しい動きの被写体には挑戦しないでしょうし、そういう意味で、このカメラはデジイチ入門にはもってこいのカメラだし、私のような中上級機をメインで使っているユーザーに対しては、お手軽なサブ機となるわけです。なんせ、画質はいいですから。

 

ということで、今Kissをメインでお使いの方は、次は60Dなんて中途半端なものは買わず、7Dを買いましょう。きっと、その使いやすさにシビれるはず。

で、今7Dとか60Dを使っていて、サブ機が欲しいな~って思っている人は、Kiss X5ではなくKiss X4を買いましょう。X5とX4の吐き出す映像はほぼ同じですから。安いX4で十分です。

今日はここまでー。

次回はレンズのレビューでもしてみます☆違う画角のレンズなの比較にはなりませんが。。次回は雑談ですね(笑)

 

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次→ 画角の違いから見えてくるよさこい風景。‐どまつり2010-

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この記事を書いた人
中原 一雄 / カメラマン・中の人
普段はカメラマンとして活動しながらstudio9(すたじお・きゅう)の管理、運営をしています。「写真をもっと、あなたのそばに」をテーマに、カメラに使われるのではなく、カメラと友達になる方法を広めるために活動中のフォトグラファー。 中原 一雄のプロフィールページ

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