圧縮効果を意識して望遠レンズを使ってみよう!
望遠レンズは遠く被写体を撮るためのレンズでしょうか?
そりゃそうだよね?と思った方、もちろん正解なワケですが実は望遠レンズで写真を撮る理由はそれだけではありません。撮ろうと思えば標準のレンズでも撮れるのに”あえて”作画効果を狙って望遠レンズを選択することもあるのです。
撮影が上手な人は自分が近づいて撮影できるのにあえて被写体から離れてから望遠レンズで狙う場合があります。どうしてそんな面倒な事をするのでしょうか?
その狙いの一つは「圧縮効果」です。
そこで今回は望遠レンズの選択基準の一つである「圧縮効果」ついて、その仕組みから具体的なオススメの使い方までを詳しくまとめてみたいと思います。
ここが使いこなせるようになれば、初級者から中級者へステップアップもすぐそこです。一眼レフだけでなく普通のコンデジやスマホのカメラにも当てはまるお話しですよ。
圧縮効果とはなんですか?
カメラ雑誌なんかを見ていると、望遠レンズのレビューなんかで「強烈な圧縮効果を生かして撮影した・・・」みたいな表現をよく目にします(私もたまに書いてますねw)が、そもそも圧縮効果ってなんでしょう?
なんだか「ギュッとしているイメージ」ではありますが、もう少し体系立てて理解してみると撮影時のレンズ交換やズーミングの基準がより明確になってくると思います。
追記)人々がギュウギュウに見える!?
圧縮効果を使うと「ギュッとしているイメージ」が簡単に作れるため、「人がたくさん集まっている」「賑わっている」というイメージも簡単に作れます。以前の流行病騒動でこれで撮られた写真が多く見られたりします。例えばそれなりに通路に人がいれば超望遠レンズで撮影することで、動きがとれないくらいギュウギュウなイメージが作れちゃうんですね。
圧縮効果は写真の重要な表現手法の一つでそれ自体は決して悪いことではないのですが、使い方によっては見る人を誤解させてしまうこともあります。写真は目の前の事実を切り取るものですが、それは撮影者(編集者)が見せたい事実であると言うことは覚えておいて良いかもしれませんね(これが良い作用をすることもあるし、悪い作用となることもある)。
以下の仕組みを理解すればこういう写真にだまされることはなくなるかも知れません。
圧縮効果は近景と遠景の2つのレイヤーを考える
圧縮効果とはざっくり言葉で説明すれば、
です(わかりづらい。。)
写真で見てみましょうか。
海上に浮かぶのは東京湾アクアラインの川崎側の人工島にある風の塔。高さ90Mある巨大な建物です。
距離感、サイズ感の喪失?
ここに写っている船と風の塔の距離ってどのくらいか分かりますか?
遠いような気もするし、近い気もするし、写真からでは判断が付きにくいですよね。正解はだいたい4~5kmくらい。船と塔の間の距離、こんなに離れてたんです。高さ90Mもある塔に対して、船の大きさもなんだか大きすぎる気がします。
これが圧縮効果です。これ、35mm判換算で600mmという超望遠レンズで撮った写真。
(実は600mmで撮ったのをちょっとトリミングしてるので700mm相当くらいの画角。「トリミング」と「画角」も圧縮効果を理解するためのキーワードです!後述します)
遠くにある本来小さく写るはずの被写体(塔)が、望遠レンズを使ったことで大きく写りました。手前にある被写体(船)は近くにあるので(遠くに比べれば)大きく写りますよね。こうなると両者のサイズの違いが少なくなるため、遠近の距離感が喪失してしまうのです。
別の言い方をすれば、遠くの(小さく写るはずの)被写体が大きく写ることで、グッと手前に寄ってきたような「遠近の圧縮感」を感じるようになります。これが望遠レンズによる「圧縮効果」です。
人間の目ではなかなか体感できない、写真ならではの表現と言えるでしょう。
圧縮効果とは遠近方向の圧縮
別の写真も見てみましょうか。例えばコレとか。
えっ?合成でしょ?と思うかも知れませんが、合成ではありません。
東京湾ゲートブリッジと飛行機との組み合わせ。なんかもうサイズ感とか距離感とか完全に失われていますよね。これ、35mm判換算で1,350mm相当で撮影した写真です。前後の強烈な圧縮効果がかかっています。
実際には撮影地点からゲートブリッジまでの距離は約4km、飛行機までが約11km。橋と飛行機の間の距離は7kmも離れているんですね。
近景と遠景の2つの距離感が喪失して、11kmも先の飛行機が橋の真上に来ているように見えてしまいます。
圧縮効果のイメージ
「圧縮効果」と聞くとなんとなく目の前の景色の広がりをギュッと圧縮した効果のように聞こえてしまいますが(写真を始めた頃、私はそう思ってましたw)、そうでなはく奥行き方向がギュッと圧縮される効果なのです。
圧縮効果は景色の広がりではなく、遠近の圧縮。
これがとても大事なのです。
圧縮効果が生まれる仕組み
圧縮効果を生かした写真が撮れるのは望遠レンズやズームレンズの望遠側を使った時です。望遠にすればするほど強い圧縮効果が得られます。
ちなみに、この項目で言う「圧縮効果」は現象としての圧縮効果を考えます。(実際に人間が感じる作画効果としての圧縮効果は望遠だけでなくどのような被写体を選ぶかといった撮り手のスキルにも影響するので。作画効果としての圧縮効果の生かし方は最後にまとめます)
それはどういう仕組みなのでしょうか?もう少しつっこんで理解してみようと思います。
望遠ほど圧縮される
言葉で説明しても分かりづらいので簡単なイラストにしてみました。下図をご覧下さい。「遠景」、「近景」と二つの”同じ大きさの”アルファベット(ABCDEFGHI)が並んでいます。近景のピンクのアルファベットを撮りたいもの(主題)として考えます。
このアルファベットを被写体として、レンズのズーム(広角~望遠)を変えながら撮影したら結果を①~③の図で表しました。
ポイントは近景のピンクのアルファベットの「DEF」が画面の左右いっぱいに入るように撮影したら背景はどうなるか?ということです。
広角は遠近の差が非常に大きい
①の広角レンズでは写る範囲が幅広いので主題であるピンクの「DEF」がいっぱいに入る位置では、遠景のアルファベット「ABCDEFGHI」がすべてが収まることになりますね。
つまり、元々同じ大きさなはずのアルファベットなのに広角で撮影すると、遠近でサイズの違いが非常に大きくなると言うことになります。
ズームレンズをつけているとして、ここから少しズームするとどうなるでしょう?
ズームするほど背景が大きくなる
①の場所でズームすると手前の「DEF」がはみ出てしまうため、後の②のポイントまで下がらねばなりません。
そこで撮影した結果は真ん中の緑の写真(②)。ピンクの「DEF」は広角と同じサイズですが、後のアルファベットは大きくなり「CDEFG」までしか入らなくなってしまいました。。
主題のサイズはそのままに、背景のアルファベットが大きくなりました。つまり、近景と遠景のサイズ差が小さくなったと言うこと。
サイズ差が小さくなれば遠近感は少なくなってきます。
カメラが切り取る角度に注目!
ここまで来ればもう③の説明は不要でしょう。レンズをより望遠にすれば背景の写る範囲がより狭まり、遠近の被写体のサイズ差がもっと縮まります。
これが遠近感の喪失であり、圧縮効果です!
①の写真は遠近のサイズ差が大きく両者がとても離れたような印象を受けますが、③の写真は主題(DEF)のサイズは①と同じなのに、遠近のサイズ差が小さいためとても近くに感じます。
奥行き方向で圧縮されたからですね。
この図でもう一つ注目して欲しいのは①~③までレンズが写せる範囲が狭くなっていること。この角度を「画角」といいます。
世間一般では「圧縮効果は望遠レンズほど強くなる」と言われることが多いですが、実は「画角が狭くなるほど強くなる」と言う方が正確なのです。(前者が間違いというわけではないです)
この辺りの話は、以前公開した渾身のエントリー(フルサイズはAPS-Cよりボケやすい!はウソだけどホントでもある理由。)を読んで頂いた方なら「うん、そうだよね!」と思って頂けるはず。
主題から離れるほど圧縮効果が高まる
もう一つ、上の図から分かることは自分の撮影したい主題から離れるほど(①⇒③)圧縮効果が高まっていること。
これは望遠にして主題をフレームにいれ続けるには自分が離れざるをえないという事なので上と同じ事を言っているだけなんですがね。。(汗
超望遠で強烈な圧縮効果を得たいなら主題から数百メートル、場合によっては数キロ離れるということも必要です。(もちろん主題のサイズによるけどね)
主題から離れていくほど(それに見合う望遠レンズを使えば)圧縮効果は高まります。
焦点距離ではなく画角が大事かも
同じカメラで、レンズの焦点距離を大きくしていく(より望遠にする)ほど、写真の圧縮効果は間違いなく高まります。だから、「圧縮効果は望遠レンズほど強くなる」というのは間違いという訳ではありません。
しかし、ここには大事な前提が隠されているのです。今まさにシレっと書いたように「同じカメラで」というのが大事。より正確には「同じセンサーサイズのカメラで」という非常に大事な前提があってはじめて成り立ちます。
レンズは同じでもAPS-Cはフルサイズより圧縮効果が高まる
分かっている人から見ればそんなの当然じゃない?と思われるかも知れませんが、このあたりの繋がりがイマイチあやふやな人は結構いると思うのです。
詳しくは上でも紹介した『フルサイズはAPS-Cよりボケやすい!はウソだけどホントでもある理由。』を読んで頂くとして、簡単にざっくり説明しましょう。
フルサイズのカメラとAPS-Cのカメラを比べたとき、APS-Cサイズのイメージセンサーのカメラは、フルサイズで撮影した写真の一部をトリミング(クロップ)したものと考えることが出来ます。
つまり、同じ(焦点距離の)レンズで撮影するとAPS-Cサイズのカメラはより望遠になったように感じるのですね。「APS-Cのカメラで撮ると1.5倍望遠になる」と言われる理由はこれです。
焦点距離が50mmのレンズをつかって撮影しても、フルサイズとAPS-Cのカメラでは写る範囲が全然違うのです。そこで、写真の世界では「35mm判換算(フルサイズ換算)」〇〇mmという言い方をします。
フルサイズのカメラで50mmで撮影した写真は「35mm判換算50mm」だし、APS-Cのカメラで50mmで撮影した写真は「35mm判換算(約)75mm」です。
センサーサイズが小さいと画角が狭まる
もうおわかりのように、焦点距離が同じレンズでもセンサーサイズが小さければ切り取るイメージサークルの大きさも小さいので画角が狭くなるのです。
画角が狭くなれば上記で説明したように圧縮効果が高まります。
レンズの焦点距離を同じくすれば、フルサイズよりAPS-C、APS-Cよりフォーサーズ、フォーサーズより1インチセンサーのほうが圧縮効果が高くなる(望遠効果が増す)のです。
冒頭で紹介したゲートブリッジと飛行機の写真は1インチセンサーを搭載したニコンの NIKON 1にフルサイズでも使える500mmのレンズを付けて撮影しています。500mmのレンズが作り出すイメージサークルの中心の1インチ分を切り取って写真にしている訳で写る範囲はかなり狭まってます。
フルサイズの500mmでは写せる範囲(画角)は対角(写真の対角線 = イメージサークルの幅)で約5度ですが、1インチセンサーの500mmでは対角1.8度の範囲しか写せません。
背景の写る範囲がとても小さいので圧縮効果も高まるのです。
余談:コンデジのズーム番長
コンデジ(レンズ交換できないデジカメ)には望遠に特化した「ズーム番長」ともいうべきカメラがあります。コンデジはもっとセンサーのサイズが小さいため圧縮効果(望遠効果)を発揮しやすいからです。
有名どころはニコンのP900とキヤノンのSX60 HSでしょうか。
P900は1/2.3インチセンサーを積んでおり、搭載レンズは4.3-357mmなので35mm判換算で24~2,000mm(光学83倍)です。なんかもういろいろおかしいですよね。2020年現在、後継のP950が出ているほか、さらに望遠のP1000(光学125倍、3,000mm相当)というおかしいカメラも出ています。
望遠端の画角は対角で約1.2度、水平方向では0.9度の範囲しか写せません。
SX60 HSはやや控えめですが、同じく1/2.3インチセンサーで3.8-247mm(35mm判換算21-1365mm相当、光学65倍)と広角側が21mmなのを考えるとやはりクレイジーです。こちらも後継のSX70 HSが出ていますね。
Canon コンパクトデジタルカメラ PowerShot SX70 HS 光学65倍ズーム/EVF内蔵/Wi-FI対応 PSSX70HS
それぞれの作例は最後に載せておきます。
撮影後にトリミングしても圧縮効果は高まる!
ちょっと脱線してしまいましたが、ここまで来た方なら以下の話もすんなり飲み込めるでしょう。
圧縮効果は画角が狭くなるほど強くなるので、広角レンズで撮影しても後で中央部をトリミングしてしまえば圧縮効果が高まります。
撮影後にトリミングするのも、小さなイメージセンサーのカメラを使うのも同じようなもんですから。
「センサーサイズが小さいと圧縮効果が高くなる」までは理解できてても、「撮影後にトリミングしても圧縮効果は高まる」まで理解できている人は少ない(というか考えたことすらない人が多い)と思います。
広角で撮影して圧縮効果が出るなんて信じられない!と思うかもしれないので、実際の写真を見てみましょう。
まずは24mmの広角で撮影した写真から。運河や空が広々としていて圧縮効果なんてみじんも感じません。。
中央部の橋や高速道路の後ろには高層マンションが建ち並んでいますね。
続いて、同じ場所から200mmの望遠で撮影した写真はこちら
後の高層マンションがぐっと近くに迫ってきたような印象を受けます。圧縮効果が出ていますね。
つづいて、24mmで撮影した写真の中央部(赤枠の部分)をトリミングしたのがこちら。
なんということでしょう。200mmと結果が変わりません!(画質は違うけど。。)
望遠レンズで撮影したのと同じく圧縮効果を感じるではないですか。
さらに言えばスマホでズームしたときも画角が狭くなるので圧縮効果が高まります。スマホのズームは広角で撮影した写真の中央部を引き延ばしているだけなのでこれと同じ事ですね。
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どっからか、当たり前だろ!とツッコミが飛んできそうですが、このあたりの話は感覚でふわーっと理解している人が多いと思うのでまとめてみました。
すこし話が散らばってしまったので、圧縮効果を生かして撮影するための具体例を見ながらまとめてみましょう
圧縮効果を生かしたオススメの撮り方
いままでの話で、圧縮効果は
- 奥行き方向を圧縮すること
- 画角が狭くなる(望遠レンズ)ほど効果が高まること
- 被写体から離れるほど効果がアップすること
について くどいよ。。って言われるくらいまとめてきました。
じゃぁ具体的に圧縮効果を生かした写真を撮るにはどうすれば良いの?ってことですが、もう簡単です。
被写体の前後関係を意識して、狭い画角(望遠レンズ)で、できるだけ遠くから撮影する
これに尽きます。
似たもの同士を重ねてみる
圧縮効果は被写体の奥行き方向の圧縮なので、遠近2つのポイントを考えて被写体を選びます。
「ギュッとした感じ」を出したいので、手前と奥に何を入れるかを考えましょう。似たイメージのものを入れるとより緻密感や凝縮感を感じやすいです。
例えばこの写真は手前のタンカーに背後の工場を重ねました。どちらも似たイメージのものなので相性も良くギュッと詰まった感じになりましたね。望遠にすると背景がボケやすいのでF値は大きめにしたいところ(シャッタースピードが下がってブレやすいので一脚 or 三脚があると良い)
これで、35mm判換算600mm、F8です。
浅草 浅草寺の仲見世で人々を奥行き方向に重ねてみました。300mmで撮影するといつも以上に過密感が出てきます。初詣シーズンかってくらいです。
群衆や花畑も圧縮効果を得やすい被写体の一つ。マスコミのみなさんが人混みを演出したい時に好んで使います。
100mは離れている所から撮影していますが「小舟町」の大提灯が近く感じますね。
見通しが良い場所が狙い目
超望遠で圧縮効果を狙うときはカメラと被写体の距離が短いと被写体が画面からはみ出ます。相手が大きな被写体ならかなり離れた位置から狙います。工場の写真だとタンカーまで500mは離れてるんじゃないかな?このタンカー全体を入れるならキロ単位で離れないといけません。
逆に考えれば、望遠に余裕があるなら自分が離れれば離れるほど大きな焦点距離を使えるので、強い圧縮効果を得られるということです。
よって、海沿いとかまっすぐな道の近く、橋の上、高い所など見通しが良いところが狙い目です。
背景はスポットで考える
望遠で撮影すれば画角が小さくなります。画角が小さくなれば背景の写る範囲が狭くなりますね。
目で見える背景は広いですが、超望遠で写る背景は非常に狭いものです。
撮影するときはどの"ポイント”を背景にするかを考えてみましょう。主題のすぐ後のポイントしか背景になり得ないので、自分で動いて背景を決めましょう。
たとえばこれは寒桜の散り際に撮影したメジロですが、まだ花が残っているポイントがグッと手前に寄ってきて背景が一面ピンクになりました。ボカして誤魔化してしまうというのも手です。
これで35mm判換算450mm。
サイズのアンバランス感を楽しむ
圧縮効果で遠近感が消失する理由は、前後の被写体のサイズ差が少なくなる事でした。
本来ではあり得ないサイズ感を1枚に収めると、不思議な1枚になります。
猫の背景にベンチがありますが、サイズ感がおかしいですよね。これも600mmで撮影したので猫とベンチのサイズ差が小さくなったのが原因。
本格的な超望遠ズームが手に入りやすくなった
ちなみに、今回600mmの作例がたくさん出てきますが、これらはSIGMAの150-600mm F5-6.3 DG OS HSM Contemporaryで撮ってます。ここ数年タムロン、シグマから10万円を切る本格的な150-600mmの超望遠ズームが出たので、アマチュアでも超望遠を楽しむハードルがグッと下がりました。
SIGMA 望遠ズームレンズ Contemporary 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM キヤノン用 745547
タムロンのSP 150-600mm F/5-6.3 Di VC USDも根強い人気ですね。現在は後継のG2が出ています。
TAMRON 超望遠ズームレンズ SP 150-600mm F5-6.3 Di VC USD G2 キヤノン用 フルサイズ対応 A022E
一昔前までは600mmを買うにはかなりの財力が必要だったので良い時代になりました。
忍び寄る足音?
35mm判換算で約400mmで撮影しました。動物園で放し飼いにされていた小さな白いクジャクと女の子をセットに。大きなクジャクが背後から女の子に忍び寄って狙っているみたいな印象ですが、これも圧縮効果によるもの。
実際はそんなに大きなクジャクじゃないし、クジャクと女の子の距離もこの写真から感じるほど近くはないです^^;
高倍率コンデジを使ってみる
センサーサイズの小さなコンデジなら低予算で異次元の圧縮効果を体感できます。
普通の圧縮効果出すなら35mm換算判で300mmもあれば十分体感できるでしょうが、強烈な圧縮効果を出すならやはり600mmとか1,000mm相当の望遠が欲しいところ。
上で紹介した150-600mmのレンズをAPS-Cのカメラに付ければ900mm相当になるので十分すぎますが、安くなったとはいえ10万円コースですし、なにせレンズがデカいので街で振り回していたら職質待ったなしです(笑)
安いし怪しまれない
そんなときは高倍率コンデジを使うのも選択肢の一つ。150-600mmレンズを買う値段で本体が買えておつりが戻るレベルですし、サイズも小型一眼レフくらい。街で持ってても怪しまれません。
上の写真はキヤノンのSX60 HSで撮影した950mm相当の月とレインボーブリッジ。圧縮効果がかかりすぎてレインボーブリッジと月がほぼ同サイズになってしまいました。
以前カメラ雑誌の仕事でニコンのP900でイルミネーションと花火絡めましょうというアツい企画がありまして、その時撮ったのがこれ。約650mm相当です。
イルミネーションと花火を超望遠で切り取るという前代未聞?でしかも初めての場所一発勝負という緊張感のある撮影でしたがなかなか面白い結果になりました。イルミネーションの電球と花火のサイズ感がおかしな事になっていますよね。撮影は冬期のイルミネーションで有名な東京ドイツ村。
- 写真家4人の「ニコン COOLPIX P900」インプレッション (デジカメWatch)
Canon コンパクトデジタルカメラ PowerShot SX70 HS 光学65倍ズーム/EVF内蔵/Wi-FI対応 PSSX70HS
まとめ:非日常を演出できるカメラならではの表現を楽しもう
ということで、写真の圧縮効果について長々と説明してしまいました。人間の目の画角は広め(広角~標準)なので圧縮効果というのは非日常を簡単に作り出せるカメラならではの表現技法です。
作画効果としての圧縮効果を自在に使えるようになりましょう!というのはもちろんですが、前半に説明した画角と背景の写る範囲の関係性はしっかりと理解しておくことが大事です。
『被写体の前後関係を意識して、狭い画角(望遠レンズ)で、できるだけ遠くから撮影する』ということです。
なぜなら、写真は背景が大事だから。多くの場合、主題よりも背景が写る範囲の方が多いのに背景をおろそかにするというのは良くありません。
これがきちんと理解出ていれば、圧縮効果を期待しないような場面でも背景の写る範囲を調整するという視点で適切なレンズワークが行えますね。
(実はもう一つ大事な「ボケ」の要素を今回は意図的に排除して説明を進めてます。。これも判断基準に入れられれば完璧です)
望遠レンズは遠くのものを撮るため"だけ"のレンズではないのですよ!
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この対極にある超広角レンズの使い方もよければどうぞ!