マンネリやスランプを乗り越える!
写真を始めてしばらくすると、なんだか同じような写真しか撮れないんだよなぁ。。という壁にぶつかることもしばしば。
趣味ならばあまり無理せず、ちょっと距離を置きながらのんびりと時間をかけて壁を乗り越えるのも良いかと思いますが、積極的に壁を乗り越えたい!という方もいるでしょう。
今日はそんなアグレッシブな写真好きにオススメなマンネリやスランプを克服する練習方法をレベル別にご紹介!どの方法も今持っているカメラで可能ですから是非お試し下さい。
もちろん、壁にぶつかっていない普通の写真好きの人にもお勧めです。
*すべての人に効果があるわけではないのであしからず。。^^;
初級:焦点距離縛りで距離感を身につける
縛りプレイをしてみよう
クリエイティブなものを生み出すためには、あえて特定の機能を縛ってしまい一定の不自由のなかで作業をすることが効果的であるということはよく知られた事実です。
カメラだって同じで、カメラがどんどん高機能化すればするほど、人は「カメラに撮られる」ようになり、カメラのプログラムに従った同じような写真になってしまうということが良くあります。
そこでおすすめなのがカメラの便利な機能を1つだけ縛って(固定して)撮影してみることです。こうすることで新しい刺激が得られ、壁を乗り越えるモチベーションがアップするかもしれませんね。
はじめは焦点距離縛りから
一番手軽に出来るのは『焦点距離縛り』でしょうか。
以前に紹介したエントリー(絶対上達したい!写真が上手くなりたい時に試すと良い3つのこと。)でも紹介しましたが、ズームレンズを使っている人はズームを禁止してしまいましょう。
普段から単焦点レンズを使っている人はしばしお待ちを。。^^;
カメラを買ったときに付いてきたキットレンズなら18-55mmとか、12-42mmなどのズームが出来るはず。このズームレンズをなんちゃって単焦点レンズとして使ってみます。
おすすめの縛り焦点距離は35mm換算で、35mm、50mm、70mmの3つ。この3つの焦点距離が広角~標準域の代表的な焦点距離です。上記はフルサイズのカメラ基準ですので、APS-Cやフォーサーズのカメラを使っている人は下記を参照して下さい。
APS-Cセンサーのカメラの人
キヤノン、ニコン、ペンタックス、ソニー、富士フイルムのカメラの人はだいたいこのセンサーです(一部例外あり)。
このセンサーを搭載したカメラを使っている人は次の焦点距離を使ってみるのがおすすめ(カッコ内はフルサイズ換算の焦点距離)。
▲厳密に合わせなくても大丈夫です。だいたいでOK
フォーサーズセンサーの人
オリンパス、パナソニックのカメラを使っている人は次の焦点距離がオススメ(カッコ内はフルサイズ換算の焦点距離)。
▲こちらもだいたいでOK。
センサーによって選択する焦点距離がどうして違うの?と言う人は下記のエントリーもご参照下さい。
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ズームしない!と心に誓って撮るだけでもいいですが、できればテープでズームリングごと止めてしまいましょう。今日一日はこのテープを剥がさない!という強い心で撮影すると新たな発見があるかもですよ^^
使用するテープはなるべく糊残りの無いものを。オススメはカメラマンならだれでも一つは持っているパーマセルテープ。糊残りが少なく、程よい粘着力の紙テープです。
手元に無い方は、100均でも買えるサージカルテープ(紙製のもの)や最近流行のカラフルマスキングテープなんかも使えます。
単焦点派もぜひ望遠縛り or 超広角縛りを
普段から単焦点で撮ってるから関係ないし。。というあなたは望遠(or超広角)レンズ縛りで街にスナップに出てはいかがでしょう?
通常、スナップでよく使う距離は上記の35, 50, 70mm近辺で、それに24mm, 100mmを使う人がいるかな?というところですが、それよりもっと広角側や望遠側をあえて付けっぱなしにしてスナップしてみるのも面白いです。
こればっかりは手持ちに望遠レンズや超広角レンズが無いといけませんが、買ったときに付いていたダブルズームキットの望遠レンズが眠ったままだった。。と言う人もいるのでは?
街を200mm(35mm換算)縛りで撮ってみたり、16mm(同)縛りで撮ってみると不自由すぎてイロイロ考えながら撮るようになると思います(笑)
超広角レンズはメーカによってはなかなか高価なレンズですが、最近キヤノンのAPS-Cセンサーカメラ向けに廉価版のEF-S10-18mm F4.5-5.6 IS STM が出ましたね。
Canon 超広角ズームレンズ EF-S10-18mm F4.5-5.6 IS STM APS-C対応 EF-S10-18ISSTM
純正の割に手頃でコストパフォーマンスに優れてます。学生時代のバイトの後輩がこのレンズの開発に携わっていたことを最近知ってびっくりしました^^;
中級:ノーファインダーで画角を身につける
焦点距離を縛ったら今度はファインダーを縛りましょう。焦点距離縛りは解除してもしなくてもOKです。
ふだんはファインダーを覗きながら、「ちょっと寄ろう」とか「もう少し右」とか考えながら構図を作りますが、ファインダーを覗かずに今付けているレンズでどのくらいの範囲のモノが写るのかだいたい想像できますか?
私も完全に自信があるわけではないですが、この”画角感”があると目で見ただけでなんとなく構図が作れるようになります。
また、ノーファインダーということは、普段とは違う目線で撮影することが容易になります。studio9のワークショップでもよくおすすめしていますが、地面と同じ高さから撮るとひと味違った写真になることが多いです。地面と同じ高さからファインダーを覗く(背面液晶を見る)のは大変ですが、ノーファインダーなら簡単です。
カメラだけ草むらに突っ込んで撮ったりすることも出来ますよね。
上を見上げがちな東京タワーも足下から撮れば道路や建物も入ります。
ファインダーを覗けないような池の上だって水面すれすれに手を伸ばせば大丈夫。
茂みの中にカメラを突っ込んで上を見上げればなんだか不思議な雰囲気になります^^
最近はバリアングルの液晶も増えてきましたが、ノーファインダーで撮る練習をすれば「画角感」が鍛えられると同時に様々なアングルから撮るようになるので、いままでと違った写真が撮れるようになるはずです。
練習する焦点距離は広角側がおすすめ。35mm換算で35mm前後からはじめると良いと思います。望遠にすればするほど難しくなります。
また、ピントが合わないとシャッターが切れないことがあるので、AFモードは自動選択や全点選択(半押しでカメラが自動的にピントを決めてくれるモード)にするか思い切ってMF(マニュアルフォーカス)にしてしまいましょう。
上級:液晶をふさいで露出を身につける
フィルム時代は当たり前でしたが、デジカメが市場を制圧してしまった今、この縛りで写真が撮れる人は本当に少ないと思います(私もあまり自信ありません^^;)。
フィルムカメラ時代は撮影結果はフィルムを1本取り切って、現像した後でなければ確認できませんでした。まさに一枚一枚を光を読みながら真剣勝負で撮る必要があったわけですが、デジタルカメラはその必要がありませんよね。
撮ったその場で結果が確認できるというのがデジカメの最大の長所なわけでこの機能を縛ってしまうとデジカメが使えるこの時代がいかに恵まれているかを体感できます。
最近ライカから背面液晶のないデジカメが出ると言うことで話題にもなってますよね。
↑写真はWIREDさんから
写真撮影に最低限必要な情報はファインダー内に表示されますし、中級機以降なら上部の液晶パネルでも確認できます。ですから、背面液晶をふさいでしまっても写真撮影は可能なのです(ミラーレス機のぞく)。
一番手っ取り早いのは黒画用紙で背面液晶をふさいでしまうことでしょう。黒のパーマセルを持っているならテープで液晶をふさいでしまっても良いです(液晶保護シールを使ってる人は剥がれに注意。。)。
上記の液晶無しモデルはなんど19,000ドルらしいのですが、画用紙でふさいでしまえば機能的にはライカと同じです(笑)
撮影後の写真を見ないだけなら、カメラによっては撮影後の写真を表示しないモードにすることもできます。たとえばキヤノン(EOS 7D)ならメニューの最初の方に出てくるはず。
「撮影画像の確認時間 切」(0秒)に設定すると再生ボタンを押さない限り撮影後の写真は表示されません。
ミラーレスは露出シミュレーションをOFFで
ミラーレスカメラの場合はファインダーが無いため液晶をふさいでしまったら撮影が出来ませんので、上記のような「撮影画像の確認」をOFFにしてしまいましょう。
また、通常の設定では画面に表示されるのは撮影後の明るさをシミュレートしたものが表示されているので、これもOFFにします。でないと意味がありません。機種によって出来るものと出来ないものがあると思いますが、メニューの中で「露出シミュレーション」というような項目をOFFにします。これで撮影後の写真は再生ボタンを押さない限り分からなくなるはずです。
*機種によってはM(マニュアルモード)にしないと露出シミュレーションを切れないものもあるようです。
どうせならマニュアル露出で
写真をその場で確認できないということは、露出を決めるのはカメラの内部露出計が頼り。Av(A)モードで撮るなら被写体によってどのくらいの露出補正をかければいいのかな?ということをよく考えるようになります。
ただ、どうせならM(マニュアル)モードで撮ってしまったほうが楽かもしれません。
Mモードで撮る場合は測光モードは普段多くの方が使っている評価測光(マルチパターン測光)よりはスポット測光がおすすめです。スポット測光にすることで画面中央の限られた部分のみ測光するようになります。
明るさを合わせたいもの(被写体)にカメラを向け、そこでファインダー内の内部露出計(横に伸びるバーのようなやつ)が±0付近の程よい所になるように、絞り、シャッタースピード、ISO感度を調節してシャッターを切れば明るさを大外しすることはありません。
別途露出計を買って、光を読む練習をするというのもアリだと思いますが、露出計はなかなか高価です。。入門用のものでも1-2万くらいします。
↑もう少し安いのもありますが、買うのであればフラッシュ(瞬間光)も計れるこのタイプがおすすめ。
定常光(普通の光)だけ計れればいいと言う方なら実はスマホにアプリを入れるだけで露出計に早変わりするので試しにそれを使ってみるのもいいですね。
iPhoneだとPocket Light Meterというアプリがおすすめ。無料です。
アプリを入れるだけでスマホが露出計(反射光式)に早変わりします。また、別売のアタッチメントを付けることで入射光式の露出計にすることもできます。
*反射光式、入射光式の詳しい説明はここでは割愛。ちなみにカメラの内部露出計は反射光式です。
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まとめ
3つとも縛ってしまうと究極の縛りプレイになってしまってExtreamモードになってしまうので、まずは上から順番に1つずつ縛ってみると良いと思います。
最後まで到達した暁にはきっとマンネリなどどこ吹く風といったところでしょう。
もちろんずっと縛っておく必要はありません。気持ちと時間に余裕があるときのみ縛って撮るというのが縛りスナップのキモです。余裕のないときに縛ってしまうとかえってスランプをこじらせてしまうことがあるかもしれないのでその辺はご用心。
特に買いそろえる機材はないので、今度のお休みの時にでも縛りスナップを楽しんでみてはいかがでしょうか?