本日、リコーイメージングがPENTAX K-3を発表しました。それほど注目していなかったのですが、スペックを見てびっくり。かなり気合入ってます。特に機械式ローパスフィルターの「ローパスセレクター」の発想には痺れました。
とても気になったので、恒例の発売前妄想レビューをお届けしますw
PENTAXの本気。現時点でAPS-C機世界最高峰
本日、リコーイメージングがPENTAX K-3を発表しました。私はペンタックス機を所有していないので、それほど注目していなかったのですが、スペックを見てびっくり。かなり気合入ってます。
発売は11月上旬とのこと。
**追記**
発売日は11月1日になりました!限定のシルバーモデルは11/29のようです。
特に機械式ローパスフィルターの「ローパスセレクター」の発想には痺れました。キヤノン、ニコンの二大巨頭がエントリーフルサイズに注力し、APS-Cの上位機種を出せていない中で、2社を出し抜かんとばかりに現れたPENTAX K-3。
なかなか独創的な仕上がりで好感が持てます。
総合的に見て、現状のAPS-C機では世界最高レベルかと思います。
(現状、世界最新のAPS-C機フラッグシップモデルなのでそうでなきゃ困るとも言えますが。。)
そんなわけで、とても気になったので、キヤノンユーザーではございますが、恒例の妄想全開レビューをサクッとお届けします。
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K-3の本気ポイントは3つ
K-5IIからはかなりの機能が改良されていますが、その中でもK-3やったな!と思った本気ポイントを3つ挙げるとしたら以下のような感じです。
・機械式でローパスON/OFFできる”ローパスセレクター”
ペンタックスのカメラはセンサーシフト式の手振れ補正機能 SRを採用しています。このSRを応用したのが今回の”ローパスセレクター”。レンズシフト式を採用しているキヤノン、ニコンには真似できない機能。
後でもう少し詳しく解説します。
・AF測距点が11⇒27点へ
PENTAXのカメラはこれまでAF測距点が11点と他社のエントリー~中級機種並みで物足りなかったのですが、一気に27点へと増えました。
左右の測距点がクロスではなく、密度も低めなのですが、これまでの11点と比べれば大幅に機能アップしたはず。AFシステム自体もSAFOX 11に刷新してるため追従機能なんかもアップしていそうです。
連射も8.3コマ/秒で申し分ないですね。
・2430万画素ながらISO51200のローパスレスセンサー
APS-Cセンサーながら、2430万画素とかなり欲張った画素数です。デジカメWachによるとソニー製センサーというとこですので、NEX-7、α77、α65と同じセンサーをローパスレスで使っているのかも?
ただ、これらのカメラのカメラの最高感度は16000。今回はそこから約2段アップしたISO51200が常用最高感度とアナウンスされてます。新画像エンジンでのノイズリダクションが優れているのか、それとも、新センサーでそもそもノイズが少ないのか、現時点ではわかりませんが実写サンプルを見てみたいものですね。
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他にも測光センサーが凄そうとか、性能の割に価格が控えめとか、AF ONボタンが親指AFしやすい場所になったとか、いろんな良いところがあります。ペンタックスユーザーにとって「買い」のモデルになりそうです。
キャノニコが真似できない"ローパスセレクター"
さて、そんな本気ポイントの中でも一際目を引くのが、ローパスフィルター効果をON/OFFできる新機能、ローパスセレクターかと思います。
この機能、キヤノン、ニコンには真似したくてもできない機能。PENTAXしてやったな!と唸りました。
まずはローパスフィルターって何よ?という方のためにローパスフィルターの説明をざっくりと。
ローパスフィルターとは?
カメラのセンサーというのは、レンズから入ってきた光を記録する画素(受光素子)が格子状に規則正しく並んでいます。そのため、自然界にある受光素子と同じような格子状の模様を記録しようとすると、自然界の模様とカメラの受光素子の配列が干渉してしまう「モアレ」という現象が起きてしまいます。例えば、衣服の生地なんかは、格子状に糸が編みこまれているため「モアレ」が起きやすい代表的な被写体です。
*手元に適当なモアレ画像が無いのですが、「モアレ」でググるといろんな画像が出てきます。
そこで、一般のデジカメにはモアレ対策のために”ローパスフィルター”という特殊なフィルターがセンサーに装着されています。
ローパスフィルターというのは、レンズを通して入ってきた光をわざと”モヤっと”させるフィルターで、生地の模様などモアレ源になりそうなパターンの解像度を下げてセンサーとの干渉(モアレ)を防ぐ役割を持っているのです。
しかし、これはモアレにならないような光の解像度も落とすため、デジタルカメラ界では大きな問題の一つになっています。
最近では画像処理エンジンの向上もあり、ニコンのD800Eを皮切りにローパスフィルターを付けない、”ローパスフィルターレス”モデルも流行っていますが、やはり特定条件下では「モアレ」が発生することがあるようです。。しかもこのモアレ、発生してしまうと後でPhotoshopで消したり。。というのが非常に難しいのです。
今回のK-3に搭載されている”ローパスセレクター”というのは、一台でローパスフィルター効果をON/OFFすることのできる機能。ローパスフィルター"あり"と”なし”2台ぶんの機能を素晴らしい発想で1台で実現しました。
手振れ補正機能SRを応用
PENTAXのカメラの手振れ補正はセンサーシフト式といって、手振れ分をセンサーをわずかに動かすことにより補正しています(Shake Reduction : SR)。リコー(旧ペンタックス)はここに目をつけ、このセンサーを僅かに振動させたらローパスフィルターの役割をするんじゃね?と目を付けたのです。
ローパスフィルターの役割は入ってきた光を僅かにボカすのが役割ですから、フィルターでボカすのではなく、センサーを僅かに振動させても光をボカすことができることに目を付けたのですね。
リコーのHPから拝借した画像ですがこんなイメージです。
キヤノン、ニコンはレンズシフト式の手振れ補正を採用しており、センサーは固定ですので、真似したくてもできない、あっぱれな機能です。
ただ、振動させるといっても大きく振動させてしまっては、ただ単にブレた写真が出来るだけですから、振動の制御はとてつもなく微細なはず。メーカーHPでは”サブピクセル”で制御していると言っています。K-3の画素ピッチはおよそ4μmですから、4μm以下の精度で振動を制御させているという事でしょう。髪の毛の太さが約70μmなので、すごい精度ですね。
この機能を使って、ローパスフィルター効果OFF(振動なし)、弱(振動弱)、強(振動強)の3段階の効果が選べるそうです。普通のローパスフィルターと比べて画質面でどうなるのか、非常に興味深いです。
ちなみに、1/1000秒より低速のシャッタースピードを推奨のことなので、この微振動の周波数は1,000Hz程度なんでしょう。
ローパスセレクターの布石となった?アストロトレーサー
実は2011年に今回のローパスセレクターの布石?となるSRを応用した機能でアストロトレーサーという機能をPENTAXは実用化してました。
読んでそのまま、星を追従する機能です。通常、星を高精細に写すためには地球の自転運動をキャンセルするための赤道儀という装置が必要でしたが、このアストロトレーサーは、赤道儀でカメラを動かすのではなく、今回と同じく手振れ補正機能のSRを応用し、センサーそのものをを動かして地球の自転運動をキャンセルするという機能でした。
ちょっとマニア向けの機能ですがこの時も、そんな発想あったのか!と驚いた記憶があります。もちろん、このK-3でもアストロトレーサー機能を使えます(別途GPSユニットが必要)。
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先日のEOS 70DのデュアルピクセルCMOSも驚きでしたが、ローパスセレクターも驚きの機能。
今年のカメラオブザイヤーはEOS 70Dで決まりかと思っていましたが、K-3も対抗馬として上がってきましたね。カメラメーカーさんの技術開発には頭が下がる思いです。
さて、このK-3を受けて、キャノン、ニコンはどんな製品を出してくるんでしょうかね?これからもアッという新機能が搭載されたカメラを期待してます^^