Sony α9でレフレックス機の終わりが見えた
日本時間の4/20午前1:00、ついに噂されていたSony α9が海外発表されました(4/21に日本でも発表)。一言でいえば「ゲームチェンジャー」。2013年11月に世界初となるフルサイズミラーレスα7を発売してから約3年半。遂にこの時が来たかという感じです。
カメラのスペックを見て、ここまでワクワクしたのはいつぶりだろう?という感じで今でも興奮しています。この数年言われてきた、レフレックス機の終わりがとうとう見えた、そんな感じです。
今回は発表されたスペックや私の雑感も交えて妄想全開で*Sony α9のレビューをしてみたいと思います。ちなみに発売は5月26日(金)、予約開始は4月27日(木)、価格は50万円程度とのこと。←(予約しましたw)
*実際に手に入れましたので使用感も交えて所々内容を補足しています!特に記載がなければFE 24-70mm F2.8 GMを使用したレビューになります。
レフ機からミラーレス機への世代交代
レンズ交換式のカメラは一眼レフとミラーレスの2つに大別され、一眼レフはカメラ内の鏡(レフ)を通して外の世界を直接見ながら撮影する方式。ミラーレスはイメージセンサーで受け取った情報をモニターに映して見ながら撮影する方式です(かなりざっくり)。
一眼レフは像を見るために鏡を使うため構造が複雑になり、メカ設計が大変で連写可能数も物理的な制約がある反面、外の世界を直接見ることができたために遅延のないクリアな世界を見ながら直感的に撮影出来るというメリットがあります。
一方、ミラーレスはイメージセンサーで受け取った画像をモニターに表示する方式のため構造がシンプルで、小型化が可能。モニター像も露出補正やWBが適用されたものを直接見ることができます。その一方で、センサーが受け取った膨大な画像データを処理する必要があるため、見え方にタイムラグがあったり、これまでの技術では処理速度の関係で連写中にブラックアウトが生じてしまうといったデメリットもありました。
一眼レフのメリットが薄れてきた?
ミラーレス機はレンズをのぞけば、「イメージセンサーと信号処理回路」の性能がものをいう世界。一眼レフのメカ設計が物理的に伸びしろが少なくなってきたことに比べて、イメージセンサーと信号処理回路はほぼ半導体といってもよく、まだまだ伸びしろがあるため既存の一眼レフとミラーレス機の性能差はどんどん縮まってくるのです。
Sonyが2015年8月にα7RⅡを発売したころにはもう画質的には一眼レフ機を超えたと言って良いほどになりました。ファッションやブツ撮り、風景など動きの少ない被写体をメインに活動しているプロカメラマンの一部がソニーに移行しはじめたのもこのころです。先日は一眼レフが圧倒的に有利な北米でのフルサイズのシェアがニコンを抜いて2位になったというニュースもありました。
それでもガチプロ向けではなかった
しかし、α7シリーズにはミラーレスの致命的な欠点であるモニター像の遅延や連写時のブラックアウト、AF性能といった速射性能は(キヤノン、ニコンのフラッグシップと比べて)弱く、プロカメラマンの花形でもあるスポーツ、報道分野はキヤノン、ニコンの後塵を拝する状態が続いています。
また、α7シリーズにはプロカメラマンに求められる高い操作性や信頼性(ジョイスティックやデュアルスロット、拡張ポートなど)が不足していたことも問題の一つだったわけです。
私もレフ機がメインだけど。。。
私自身はキヤノンの一眼レフ機(EOS 5D MarkIV)をメインに仕事をしています。でも、カメラ雑誌のお仕事などでは様々なミラーレス機を使用していますしα7RⅡはムック本の執筆もしました。個人的にもオリンパスのミラーレス機(OM-D E-M5 MarkII)をプライベートで使っているのでレフ機が絶対というわけではありません。
ソニー α7R II & α7S IIパーフェクトガイド 完全ガイド
私が一眼レフをメインで使用しているのは、仕事の撮影という時間も限られ失敗の許されないシーンで確実に撮影を進めて行くためには、速射性や信頼性、汎用性など総合的に判断するとまだキヤノンの一眼レフシステムが自分には合っていると思っているから。その傍らで近い将来確実にミラーレスの時代がやってくると思って動向はつねにチェックしていました。
私がミラーレスではなくキヤノンの一眼レフを使っている理由は大きく下に挙げる8点です。画質というよりは操作性とか信頼性の部分が大きいです。
- 操作性が非常に良いこと(ジョイスティックなどついている)
- 撮影時のブラックアウトがない
- AFが速い(動体追従性含む)
- レンズのラインナップが豊富
- サードパーティーの拡張アイテムが豊富
- 高い耐久性
- デュアルスロットが使える
- バッテリーの持ちが良い
この辺は私が撮影するに当たって譲れない点で、Sonyフラッグシップのα7RⅡでも実現できていないポイントです。だったのです。α9が発表されるまでは...
キヤノン、ニコンと比べてここがスゴい!
ソニーUKのα9商品ページでもスポーツ系の作例を中心に紹介しており、今までα7が苦手としていた動体(特にプロスポーツ向け)を強く意識したカメラです。ソニー自体もプロ向けのカメラだと謳っていて、キヤノン 1DX MarkII、ニコン D5のフラッグシップ機を意識して設計されたのは間違いありません。
ということで、Sony α9、CANON 1DX MarkII、NIKON D5の主要スペックと個人的に結構大事なところのスペックを抜き出して表にしてみました。
キヤノン、ニコンのフラッグシップ機と比較
Sony α9 | Canon 1DX MarkII | NIKON D5 | |
---|---|---|---|
画素数 | 2420万画素 | 2020万画素 | 2082万画素 |
センサータイプ | 裏面照射 積層型CMOS | 表面照射型 デュアルピクセルCMOS | 表面照射型 ー |
ISO感度 | 100-51200 | 100-51200 | 100-102400 |
ISO感度(拡張) | 50-204800 | 50-409600 | 50-3280000 |
測光輝度範囲 | -3~20 | 0~20 | -3~20 |
連写(AF追従) | 20コマ/秒 | 14コマ/秒 | 12コマ/秒 |
連続撮影可能枚数(RAW) | 241 (SD UHI-II) | 170(Cfast) / 73(CF) | 200(XQD) / 103(CF) |
シャッター | 1/32000 | 1/8000 | 1/8000 |
ストロボ同調最高シャッター | 1/250 | 1/250 | 1/250 |
AFポイント | 693 | 61 | 153 |
測距輝度範囲 | -3~20 | -3~18 | -3~20 |
顔認識 | 可能 | 可能(ライブビュー) | 可能(ライブビュー) |
フリッカー低減 | 非対応 | 可能 | 可能 |
手ブレ補正 | ボディ内蔵 5軸5段 | なし(レンズで対応) | なし(レンズで対応) |
ファインダー方式 | EVF(370万ドット) | OVF | OVF |
ファインダー視野率 | 100% | 100% | 100% |
ファインダー倍率 | 0.78 | 0.76 | 0.72 |
背面液晶 | 3.0型 | 3.2型 | 3.2型 |
144万ドット | 162万ドット | 236万ドット | |
チルト | 固定 | 固定 | |
タッチ操作 | 可能 | 可能 | 可能 |
動画(4K) | 30p | 60p | 30p |
4K撮影時クロップ | 全画素読み出し クロップも可 | クロップ(APS-H) | クロップ(DX) |
動画(FullHD) | 120p | 120p | 60p |
HDMI出力 | 4K 4:2:2 8bit | FullHD 4:2:2 8bit | 4K 4:2:2 8bit |
USB | 2.0(Micro) | 3.0(Micro-B) | 3.0(Micro-B) |
USB給電 | 可能 | 不可 | 不可 |
LANポート | あり(100Mbps) | あり(1000Mbps) | あり(1000Mbps) |
Wi-Fi | 内蔵(802.11b/g/n) | オプション | オプション |
Buluetooth | 内蔵 | オプション | 非対応 |
記録メディア | SD UHS-II / SD UHS-Iデュアル) | Cfast / CFデュアル | XQD or CFデュアル |
撮影可能枚数 | 480枚(EVF) バッテリーグリップ使用時で950枚 | 1210枚 | 3780枚 |
使用可能温度 | 0~40℃ | 0~45℃ | 0~40℃ |
耐候性 | 防塵・防滴に配慮 | 防塵・防滴 | 防塵・防滴 |
重量 | 673g | 1530g | 1405g |
売出し価格 | 50万円前後 | 67万8,000円 | 68万7,000円 |
キヤノン、ニコンを殺すスペック
これを見るといかにハンパないかが分かるかと思います。D5の感度を除いて撮影に関する主要スペックはすべてキヤノン、ニコンのフラッグシップを凌駕しているといって良さそうです。
特に大きいのがフルサイズ機としては世界初の積層型裏面照射型CMOSセンサー(Exmor RS)を採用したことです。これは従来の裏面照射型イメージセンサーに信号の読み出し回路とデータを一時的に記録できるメモリーを積層化したもの(Foveon的な積層ではない)で、めちゃんこ読み出しが早いやつ。1インチセンサーではすでに RX100 IV(2015年発売)から実用化されていたものですが、遂にフルサイズセンサーを量産化できる技術が整ったのでしょう。
画素数も2400万画素(6000x4000)と1DX MarkII, D5の2000万画素前後よりも大きく、かなり使いやすそう。
どれだけ読み出しが速いかというとα7 IIの20倍の読み出し速度だそうですw これにより毎秒20枚の超高速連写が可能になり、連続撮影もRAWで241枚というハンパない数字になりました(BIONZ Xのおかげでもある。BIONZ X自体も従来比1.8倍の処理性能と。)。しかも、ミラーレスの連写で問題になっていたコマ間のブラックアウトもなくなり、連写しながら常に被写体を追えるようになっています(電子シャッター使用時)。「光を捉え続ける」と謳っているだけのことはあります。
ブラックアウトフリーはこの動画が分かりやすいです。
▲この動画、背面液晶ですが20fpsで撮影している時の様子です。画面が変わらないので「え?今撮影しているの??」って思いますw
(追記)実機を手にした感想
実際に連写で撮影しましたが、確かにブラックアウトフリー。シャッター音と画面内のインジケーターをOFFにして撮影すると撮影しているかどうかが全く分からなくなります。
ファインダー内ではただ動画が見えているだけ。そして気を抜くとすぐにメモリーカードがいっぱいになりますw レフレックス機では不可能なミラーレスだからできる長所です。
AFがすごい
AFもヤバくて、AF測距点が693カ所(像面位相差)。これに25点のコントラストAFを組み合わせたハイブリッドです。数が多いだけでなくもっと重要なのはAFがカバーするエリアで、実に全画面の93%をカバーするというのだからとんでもないことです。
α6500などAPS-Cセンサーサイズのカメラに搭載されていた4Dフォーカスもフルサイズとしては初搭載。評判が良かったシステムだけに期待が持てます。
1DX MarkIIやD5といった位相差AFを使うものはAF測距点は中央に偏っているのでカバー率はせいぜい30~40%程度で広い範囲を補足し続けるのは困難。α9なら画面全体のAF測距点を使いながら被写体を捕捉し続けられるのです。
AF/AE 60fpsの演算が意味するところとは
しかも、AFの演算は毎秒60回(AEも)。これの意味することは毎秒20枚の超高速連写をしながら、裏では1枚当たり3回のAF演算を行い被写体を追っているということ。
1DX MarkIIやD5はレフ機ですから撮影中(ミラーアップ時)はAFの演算を行えません。毎秒14コマで撮影なら毎秒14回のミラーダウンの瞬間しかAFの演算を行えないのです。この辺の技術はSony公式のYoutube動画がわかりやすいです。
(追記)実機を手にした感想
今まで一眼レフを扱ってきた感覚からするとあり得ないぐらいAF可能エリアが広くてビビります。もちろん追従速度も十分に速く、α7RⅡと比べても異次元の性能です。ただ、一眼レフ(キヤノン)の位相差AFと比べると若干フィーリングが違うかなという印象。速いとか遅いという感じではなく、動作の感じが感覚レベルで違うのでどっぷり一眼レフを使っていた人には少し慣れが必要かも。
キヤノンのAF(5D MarkIV)と比べるとシングルAF時の速度は大きく変わらないかなーと思いますが、AFポイントがたくさんあるためにコンティニュアスAF時の食いつきはα9が上だと感じました。
顔認識や瞳AFも大きく進化しています。α7RⅡでは瞳AFの使えるシーンは結構限られるカナーと思っていたのですが、α9になって普通に使えるようになったと感じています。撮影が楽になりすぎ。
あと、AF可能エリアが広すぎて、AFポイントの移動が大変ですw
電子シャッターで無音、無振動撮影が可能
他に積層型裏面照射型CMOSセンサー(Exmor RS)がもたらすものとしては、電子シャッターによる1/32000秒の超高速シャッターが実現したこと。これまでのメカニカルシャッターでは1/8000秒あたりが限界でシャッター音も轟音のように響いていましたが完全に無音、無振動でのシャッターが可能です。
例えば、ゴルフの撮影なんかは音を出せないためボールがクラブに当たった後でしかシャッターを押せないですが、α9なら無音なのでバックスイング中からシャッターを押せます。コンサートや演劇の撮影にも最適です。
この電子シャッターはローリングシャッター歪みが発生しないのも特徴(ソニーではアンチディストーションシャッターと呼ばれる)。高速で動く被写体もメカニカルシャッターと同じように撮影ができます。公式の注意書きに微少な歪みは生じる恐れがあると書いてあるのでグローバルシャッターではなく、ひたすら読み出し速度を上げたのだと思います。
α7系では電子シャッター使用時は12bitRAWになってしまいましたが、α9では14bitRAW(非圧縮)が使えます。
フリッカー低減は現状非搭載
ちょっと意外なのはフリッカー低減撮影に対応していない点。デジカメWatchの記事によると
「スポーツ撮影のプロは、フリッカー低減機能でレリーズタイムラグが変わることを好まない人もいる」というのが理由で、しかし要望が多ければ今後対応することは可能だという。
とのことで、対応していないらしい。効果をOFFに出来るのならメリットしかない機能だと思うのだけど... でも今後対応は可能と言うことでファームアップで対応してくれる可能性は残っています。
ニコンD5も発売後にファームアップでフリッカー低減に対応したくらいだしね。ぜひ付けて欲しいところ。
(追記)実機を手にした感想
電子音を消してしまえばホントに無音、無振動。レンズのAF動作音も小さいため非常に静かに撮影出来ます。ローリングシャッター歪みも全く気になりません。
電子シャッター使用時は14bit記録が使えますが、20fps撮影時は12bitになるようです(画質的に大きな違いはない)。
EVFも強化
光学ファインダー(OVF)に対して弱点とみられがちなEVFもα7から強化され、画素数は過去最高の370万ドット有機EL(α7RⅡで236万ドット)。モニター表示のフレームレートは120fpsを選択可能です(60fpsもあり)。
接眼レンズはZEISS T*コーティングがなされています。
輝度もα7RⅡ対比で2倍になったとのことで、どれだけOVFに近づいたか注目です。
(追記)実機を手にした感想
ファインダー、かなり見やすいです。α7RⅡもかなり良いなと思っていましたがそれよりも良い。OVFに比べればギラつき感やドット感、不自然さなども多少感じますが(当然か。。)、MF時のピント合わせなども困らないし個人的には使用していて違和感はありません。
今まで使ったEVFの中では最高の出来かと。EVF機でストレスの多かった背面液晶とEVFの切り換えも素早く、モニターチルト時は自動でEVFがOFFになるなど細かな点も改善されています。
ジョイスティック搭載、プロ向けポートも多い
α7シリーズにはなかったジョイスティック(マルチセレクター)も搭載。個人的にα7の操作系で一番不満だったポイントですがちゃんと搭載してくれました。親指AF用に割り当てられたAF-ONボタンも独立で存在します。
背面のボタン配置はα7RⅡと結構変わってて、使いやすそうなイメージ。スカスカ動いていた背面のダイヤルも大型化されて使いやすそうです。
背面のボタン配置はなかなか良いですが、正面のボタンを見てみるとα9には皆無(レンズ交換ボタンだけ)。このあたりの操作性は気になります。
個人的には絞り込みボタンをカスタマイズして使うことが多いのでここは残念なポイント。せめて1つくらい付けて欲しかった。
上部左側のダイヤルはフォーカスモードとドライブモード用の物理ダイヤルが搭載されました(α7RⅡにはなかった)。めまぐるしく変わるシーンでも即座に直感的に撮影モードを変更できるのもプロ機ならでは。
各種プロ向けのポート搭載
プロ向けでありつつチルト液晶を搭載してくれたのもありがたや。できれば3Dかバリアングルにしてほしかったけど。キヤノン、ニコンでは外付けで対応となるWi-Fi、Buluetoothも内蔵。
そこまでやるか?と思ったのはこの小さなボディに有線LANポートを付けているところ。普通の人はまず使わないポートですが、プロは撮影画像を直接プレスセンターに転送するような使い方をするのです。FTPだけでなくFTPSもサポート。α9の本気を感じます。
追記:このLANポート、α9の仕様表を見ていたら100Mbps(12.5MB/s)とのことでちょっと微妙... 1DX MarkII, D5は1000Mbpsと一桁違う。私はLANでFTP転送しながら使うことはほぼないのですが、この差は実際どうなんでしょうねー。内蔵Wi-Fiの802.11nは規格値600Mbpsなので、Wi-FiからFTP転送できるなら無線の方がいいのかも。混み合った会場なんかでは無線使えずやっぱ有線となることもあるでしょうが。(追記おわり)
α7にはなかったシンクロターミナルも付いておりスタジオでの用途も想定している模様。
唯一ショボイだろ!と思ったのがUSBが2.0のMicroなことくらい。スペース的に3.0(Micro-B)は厳しいとしてもここまでやるならUSB-Cにしても良かったのでは?と思いますが、プロが使う場合の汎用性を重視してMicroを据え置いたのかも知れませんね。
このUSB端子からは本体に給電、充電できる点もかなり大きいです。モバイルバッテリーがあればロケ先で電池切れという最悪の事態を避けられます。
1DX MarkIIとのサイズ比較
Camera Size.comで早くもα9のボディサイズが更新されていたので1枚引用。1DX MarkIIを横に並べるとこんなに違います。
正確にはバッテリーグリップ付けたときのサイズを比較しなくちゃならないのでしょうが、これだけサイズが違うのにモンスターの性能なのだからビビります。リンク先では他の角度からの比較や他のカメラとの比較もできるので気になった方は元サイトへ。
(追記)実機を手にした感想
やっぱりジョイスティック(マルチセレクター)は最高です。これがなければα9は買わなかったと思う。他の機能がどんなに優れていても素早く思い通りに設定できないカメラは意味がないので。スティックの反応性はキヤノンの方が若干良いかも(体感的に)。
ただ、操作感は最高ではないですw
ボディが小さいことはα9の大きな長所でもありますが、最大の欠点でもあると思います。私の手が標準よりちょっと大きいということもあるのでしょうが、グリップ性やボタン類へのアクセスはサイズの大きな一眼レフのほうが格段に良いです。
ボディはミラーレス化したことでかなり小型化できましたが、レンズは大きなままです(広角はかなり小さく出来るが)。1kg近いFE 24-70mm F2.8 GMを付けて一日撮影するのはバランス的にかなりしんどく、かえって重くて大きなキヤノンの一眼レフで撮影した方が疲れは少ないと感じました。重いレンズを使用する場合はバッテリーグリップを常時使用するか、新発売のグリップエクステンションを付けないとしんどいです。
独立したAF-ONボタンはジョイスティックの奥(左側)にあるためやや遠くジョイスティックとも干渉してしまいます。キヤノンのAF-ONを押し慣れていた人にとっては隣のAELをAF-ONに割り当てた方が使いやすいかも。私はAELにAF-ON、AF-ONに瞳AFを割り当ててテスト中。
個人的にはα9のボディが小さいことが最大の不満点です。
バッテリーグリップ(VG-C3EM)を常時使用するとかなり良い感じ。
*さらに追記:クイックシューで凹む...
バッテリーグリップの底面に取り付けていたクイックシュー(PeakDesign PL-S1)を取り外したらネジ穴周りが凹んでました。。底面を押してみると確かにフニャッとした感触(ボディ本体の底面は硬い)。ちょっと作りが甘いというか、詰めが甘い感じで残念です。
ボディ本体側の底面は硬くて凹まないと思う。
コインで軽く回したら緩む程度でギチギチに締め込んでいたわけでもないんだけどね。。
バッテリー容量が2.2倍
α7の致命的な弱点の1つだったバッテリー問題も良くなりました。既存のNP-FZ50に比べて新型のNP-FZ100は容量が2.2倍。バッテリーグリップを付けて2本入れれば1000枚近い撮影が可能で一気に実用性が出てきました。
バッテリーグリップを付けてもおそらく1kg程度で1DX MarkII、D5よりだいぶ軽いです。新型バッテリーグリップVG-C3EMには縦位置用のジョイスティックも付いていますね。
(追記)実機を手にした感想
バッテリー問題は見事に解決していると思います。まだガッツり撮影したわけではありませんが、通常の撮影ならNP-FZ100 1つで一日持ちそうな勢い。公称の撮影可能枚数は480枚ですが連写をメインで使用するなら数千枚撮影しても余裕だと思います。
動画周りもしっかりしてる
動画は4K30pまでサポート。さすがに4K60pには対応出来なかったようです。これだけ小さなボディにいろいろ詰め込んでるので廃熱とかいろいろ大変なんでしょう。HDMIからは非圧縮の4K30p 4:2:2(8bit) を出してくれるので外部レコーダーの使用も可能です。
FullHDは120fpsまでサポートされスローモーション撮影もできちゃいます。4Kフォトも可能です。
もちろんヘッドホン、マイク端子も搭載(3.5mmステレオミニ)。
α9に死角はあるのか?
スペック的には申し分ないα9ですが、死角となるような弱点はあるのでしょうか?
レンズのラインナップがまだ弱い
1つはレンズのラインナップ。この1~2年で急速にプロ向けの高品質なものが充実してきましたが、超広角F2.8ズーム(そろそろ出る噂)がなかったり、サンニッパ(300mmF2.8)、ヨンニッパ(400mmF2.8)、ゴーヨン(500mmF4)あたりの望遠単焦点のラインナップがありません。
Aマウント用にサンニッパ、ゴーヨンはありますが、ヨンニッパは空席のまま。今回、FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSSも同時発表(7月発売)されたことをかわきりに、望遠ラインナップも東京オリンピックまでには確実に整備されるでしょうが今のままだとレンズの関係でα9に移行できないというカメラマンも多いかと思います。
ただ、今回FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSSの発表時にエクステンダーがx1.4、x2.0の両方使えるとのアナウンスがありました。x2のエクステンダー付けたら望遠端の開放がF11。これでもAFできるのでしょうか。。(追記:←できるそうです!)もし出来るならソニーは無理して明るいレンズを出すのではなく今後も開放F4くらいのレンズを用意してくるのかもしれませんね。EF 200-400mm F4L IS USMx1.4みたいなレンズととても相性が良いと思います。
(追記)実機を手にした感想
シグマのマウントコンバーターMC-11を使用すると大半のキヤノンEFマウントレンズが使用できるようになります(公式にサポートされるのはシグマ製EFマウントレンズだけど)。
新しめのキヤノン純正レンズならAFも効きます。EF 24-70mm F2.8mm II を付けてみると普通に全点でAFが使えました。純正 FE 24-70mm F2.8 GMと比べると若干AFが遅いかな?という程度。ただ、AFがちょっとカクカク動く感じ。
EF 100-400mm II型も付けてみましたがちゃんと動きます。ただし、画面9分割したうちの中央以外の外周では明らかにAFが遅くなったり、迷うような傾向が見られます。EF x1.4 III型を付けても動きましたがさらに外周のAFは厳しい感じ。暗いレンズだとMC-11使用時に中央以外のAFスピードや精度は落ちるのかもしれません(まだ詳細に調査はしていないけど)
やや精度は下がりますが3万円もしないアダプターで手持ちのレンズ群を活用できるようになるのはとても安心感があります
MC-11とEFレンズの対応は下記記事が詳しいです
プロサービスやボディの耐久性
プロサービスの整備も急務でしょう。ソニーのプロサービスは2014年開始とまだ歴史が浅い感じです。オリンピックなど大きな国際大会での出張サービスの規模も経験もキヤノン、ニコンとは比較にならないレベルだと思います。リオデジャネイロオリンピックの時もキヤノンのプロサービスの話題は良く聞きましたがソニーの話題は聞きませんでした。このあたりを手厚くサポートできる体勢が整えば移行が進むはず。
あとはボディの耐久性でしょうか。α7よりは確実に剛性や防滴防塵性能を高めてきており、マウントの剛性も上げているとのことですが、1DX MarkIIやD5のボディの耐久性はやっぱりスゴいのです。公称では動作温度0~40℃くらいですが、灼熱の砂漠や極寒の冬山で撮影するシーンも当然あります。こういった厳しい環境でキチンと動くかどうかも大事。ニコンのカメラはこのへんのタフネスさがすごいと良く聞きます。
例えば1DX MarkIIやD5は「防塵・防滴」と明確に謳っているのに対して、α9は「防塵・防滴に配慮した設計」と一歩引いた表現。キヤノン、ニコンは何十年もプロの現場の意見を拾ってきています。雨天時にエラーが出て使えないカメラは仕事で使えないのでこの辺りの実際使ってみての評価も気になるところですね。
個人的にはもう一回り大きくても良かったから剛性を感じるデザインにして欲しかった。
(追記)実機を手にした感想
外観の所でも言及しましたが、α9の弱点は操作性。性能にUIがついて行けていない気がします。メニュー項目の操作感など見てるとハードの開発チームとソフトの開発チーム、テストカメラマンの間でちゃんとコミュニケーションがとれているのか心配になります。
α9からマイメニュー機能が追加されたことは幸いですが(今まで無かったのが信じられない)、各機能のタブ切り替えボタンがなかったり、メニューボタンを押してもマイメニューから始まらなかったり、なぜメニュー操作のタッチ機能を省略したのか。。とか、ソフト的に比較的容易に解決出来そうな機能がたくさんあります。
ある程度慣れの問題もありますが、この辺りは可能なら今後ファームアップで対応してもらえると嬉しいなと。
まとめ
ということでヤバすぎる機能てんこ盛りのα9を妄想でレビューしてみました。
冒頭で挙げた「私がミラーレスではなくキヤノンの一眼レフを使っている理由」のほとんどが潰されちゃったじゃない...あれ?どうしようw
主要なユーザーはプロのスポーツ、報道系のカメラマンなのでしょうが、他のカメラマンにとっても高画素が必要ないならこれ1台ですべてが解決されるといったスーパースペックです。私の様なヘタレカメラマンにも十分魅力的なスペック。
同時にFE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSSも発表され、ソニーはヤル気満々です。
東京オリンピックまであと3年。あくまで実機を触ることなくスペックだけで語ったまさにコタツ記事*ですが、第一線のプロが本当に使えるような評価を下すのなら、ひょっとすると次のオリンピックの報道席には異変が起こっているのかも知れません。
*執筆時はコタツ記事でしたが、その後お仕事で実機を試用する機会を得ました。実際に使ったイメージも妄想してたのと同じくらい良い感じでしたよ。
ちなみに、ソニーは今回の積層型のExmor RSの次の世代となるさらに高速化した、DRAMを盛り込んだ3層積層型のCMOSも開発済みです(はじめはこれを積んできたのかと思ったw)。今のソニーの感じだと東京オリンピックまでにさらにブラッシュアップしたカメラが登場しそうですね。恐らくα9の高画素版もそのうち登場することでしょう。
カメラは実際に使ってみないと本当に使えるかどうか分からない部分もありますが、冒頭でも言った「ゲームチェンジャー」になりうる歴史的な1台になったのかと思います。
この発表を受けて、キヤノン、ニコンがどのような反撃をするのかも見物ですねー。
冒頭でも言ったとおり、発売は5月26日(金)、予約開始は4月27日(木)、価格は50万円程度とのこと。とりあえず、予約開始まで正座待機したいと思います。
実機を触ってみたい。
追記:やってやりました!
追記2:SONYがかなり本気出してるようです。広角2種発表
α9の発売があと1週間に迫った5/18にEマウントの新レンズとして超広角ズームが一気に2本出るというふつーのメーカなら先ずやらないようななりふり構わない攻めの発表(海外)がありましたw
1本は以前から噂されていたFE 16-35mm F2.8 GM。これで16-35, 24-70, 70-200のF2.8通しである大三元が完成。11枚絞りで680gと軽量なのも魅力。α9と同時に100-400mmのGMも発表されていますから16mmから400mmまでのプロ品質レンズが揃ったことになります。ツァイス中心に単焦点も揃ってきたのであとは500~600mmの超望遠を揃えればレンズラインナップに死角がなくなりますね。
予想外だったのがFE 12-24mm F4 G。さすがに超広角を2本まとめて来るとは思いませんでした。12-24mm F4クラスだとシグマの12-24mm F4 DG HSM ArtやキヤノンEF11-24mm F4L USMを思い出しますが、これらはいずれもF4で1100g越えの超ヘビー級(解像力も高いけど)。
一方、今回発表されたFE 12-24mm F4 Gは565gとシグマの約半分。ミラーレスは広角を小型化できるメリットがありますが、重さ半分というのはすごいですね。非球面レンズ4枚やED系レンズも豊富に使ってるので画質も悪く無さそうな予感。私はどっちかというとこっちのレンズに興味アリです。
FE 16-35mm F2.8 GMの発売は8月、約2,200ドル程度、FE 12-24mm F4 Gは7月発売、1700ドル程度とのこと。楽しみです。