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カメラのボデイ内とレンズ内手ブレ補正は何が違うの?メリット・デメリットまとめ

更新日: by 迎 崇

カメラを選ぶ際に手ブレ補正機能がついているのか?というのは大きなポイントではないでしょうか。
最近のカメラは当たり前のように手ブレ補正機能がついているものが多いですが、この補正機能には「ボディ内手ブレ補正」と「レンズ内手ブレ補正」の大きく二種類あります。今回はそれぞれの違いとメリット・デメリットについて詳しくご紹介します。
手ブレイメージ

ブレた写真を減らすための便利機能

写真初心者の良くある失敗の一つが「手ブレ」ですね。上手く撮れたと思って後で良く見てみたら全体がブレてぼんやりして見える。。というもの。

この手ブレを抑制してくれるのが「手ブレ補正 (IS, image stabilization)」という機能で、カメラを選ぶ際に手ブレ補正機能がついているのか?というのは大きなポイントになってきます。

最近のカメラは当たり前のように手ブレ補正機能がついているものが多いですが、この補正機能には「ボディ内手ブレ補正」と「レンズ内手ブレ補正」の大きく二種類あります。

今回はこれら2つの手ブレ補正の違いとメリット・デメリットについて詳しくご紹介します。

カメラの手ブレ補正機能とは?

手ブレ補正を理解するにはまず写真の「ブレ」について知っておきましょう。

カメラが動いてしまう「手ブレ」

手ブレというのは撮影時、シャッターが開いている間にカメラを支えている手や体が動いてしまい画面全体がズレたようなブレになってしまうこと。夜や室内など暗いシーンで撮影する場合にシャッタースピードを遅くしたときに起こりやすい現象です。

今回紹介する手ブレ補正機能はこのブレを抑制するために効果があります。

「いいのが撮れた!」と思ってパソコンの大きな画面で見てみたらブレていた…という悔しい経験はないでしょうか。 そこで救世主になるのが手ブレ補正機能です!

補正してくれる範囲は使用するレンズやボディによって異なります。

手ブレ補正の補正量は「段」で表す

手ブレ補正の効果すべてのメーカーがある同じ試験を行い、その補正量を「段」で表します。補正量「1段」はシャッタースピードで2倍(1/2倍)相当分のこと。

例えば、3段分補正と謳っている場合は、シャッタースピードが1/60秒のときでも3段(23 =8倍)早い1/250秒で撮影した程度のブレを補正してくれるということになります。

別の言い方をすれば3段分の手ブレ補正がある場合はは手ブレ補正ナシに比べて8倍も遅いシャッターで撮影できるということになります。

○○段分って何?という方はこちらの記事もご参考に!

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被写体だけが動く「被写体ブレ」には効果がない

写真のブレにはもう一つ、被写体が動いてしまう「被写体ブレ」があります。カメラを完全に静止させていても相手が動いてしまえばその部分はブレてしまいますよね。

被写体ブレ スローシャッター

背景のビルはブレていないけど、歩いている人はブレている。これが被写体ブレで、このブレに対しては手ブレ補正が効かない

手ブレ補正機能は被写体ブレには効果がないということも覚えておきましょう。

被写体ブレを意図的に起こすスローシャッター撮影についてはこちらの記事もどうぞ!

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手ブレの5つのモード

一口に手ブレと言ってもブレの種類によって分類されます。

「5軸手ブレ補正」といった表現を聞いたことがあるかもしれませんが、これは5つのブレの種類に対して補正しますよ、という意味です。

光学式5軸ボディ内手ブレ補正

ソニーα7Ⅲ 光学式5軸ボディ内手ブレ補正の例。この場合、イメージセンサーがカメラの動きを打ち消すように動くことで手ブレを軽減させる。引用元:5.0段の補正効果を実現する光学式5軸ボディ内手ブレ補正(ソニー)

一つずつご説明していきますね。

角度ブレ

1.ピッチ(Pitch)2.ヨー(Yaw)

ピッチ(Pitch)は上下の角度ブレのことで、例えるとカメラお辞儀をするイメージです。

ヨー(Yaw)は左右の角度ブレのことで、首を横に振るイメージです。

焦点距離が長い(望遠)時の手ブレの主要因がこれで、望遠レンズを付けてファインダーを覗いたときに画面が細かく揺れるのは、この角度ブレが原因であることがほとんどです。

遠くを撮影する望遠レンズでは角度ブレが増幅されやすい特徴があります。

手ブレ 角度ブレ

ピッチのイメージ。カメラを支点にレンズが動く。横方向に動くとヨー。

シフトブレ

3.X(縦方向)4.Y(横方向)

Xは左右に動くブレ、Yは上下に動くブレのこと。

中学校の数学で習うグラフ用紙の座標軸を思い出していただくとイメージしやすいかもしれません。

カメラとレンズが一緒に平行移動するイメージで、一般的にマクロ撮影をする際に目立つブレです。

手ブレ シフトブレ

Y方向のシフトブレのイメージ

回転ブレ

5.ロール(Roll)

レンズを中心に左右に回転するブレのこと。

特に手持ちでシャッターボタンを押したときにカメラが時計回り方向に動いて発生することが多いブレです。

シャッターを押すときは軽く押しましょうと言うのは、強く押し込んでしまうと回転ぶれが発生しやすいからですね。

手ブレ 回転ブレ

ロールのイメージ

---

以上の1〜5の5つが主なブレの種類となります。

手ブレ補正を行う2つの方式

ブレの種類についてお分かりいただけたと思います。

聞き慣れない用語が多いかもしれませんが、覚える必要はまったくありません^ ^一口に手ブレと言っても色々な種類があるんだなぁという感じで大丈夫です。

ここからが本日の本題となりますが、手ブレ補正の種類は手ブレを補正する機能がどこにあるのかによって2つに分かれます。

カメラボディの中に手ブレ補正機能がある場合は「ボディ内手ブレ補正」

レンズの中に手ブレ補正機能がある場合は「レンズ内手ブレ補正」

簡単ですね!

ボディ内手ブレ補正はIBIS(in-body image stabilization)、レンズ内手ブレ補正はILIS(in-lens image stabilization)と言われたりもしますよ。

では、それぞれの違いを見ていきましょう。

ボディ内手ブレ補正のしくみ

ボディ内手ブレ補正ではボディ内のジャイロセンサー(加速度センサー)がブレを検知し、イメージセンサーが動くことで補正が行われます。

簡単にいうと、ブレと反対方向にセンサーが動き、ブレを打ち消すイメージです。

最近では先にご紹介した5軸手ブレ補正がスタンダードになってきています。

ボディ内手ブレ補正を採用しているメーカー

ボディ内手ブレ補正を採用している主なメーカーは次の通りです。
*下記メーカーすべての機種に搭載されている訳ではありません。

  • ソニー
  • ニコン(Zシリーズ)
  • ペンタックス
  • オリンパス
  • パナソニック

レンズ内手ブレ補正のしくみ

レンズ内手ブレ補正ではレンズの中にあるジャイロセンサー(加速度センサー)がブレを検知し、レンズに内蔵されている補正専用のレンズが動くことで補正効果が発揮されます。

ブレと反対方向に補正専用レンズが動き、ブレを打ち消すイメージです。
※手ブレ補正機能が搭載されているレンズでのみ機能します。

手ブレ補正付きレンズ通常時

手ブレが無い状態

 

手ブレ補正付きレンズ手ブレ発生

手ブレが発生した状態

 

手ブレ補正付きレンズ補正後

手ブレ補正後の状態

 

図のようにブレを検知すると補正専用レンズが光軸が正しくなるように導いてくれています。

メーカーによってレンズ内手ブレ補正機能の呼び名が異なります。

  • キヤノン:IS(Image Stabilizer)
  • ニコン:VR(Vibration Reduction)
  • ソニー:OSS(Optical SteadyShot)
  • パナソニック:OIS(Optical Image Stabilizer)
  • タムロン:VC(Vibration Compensation)
  • シグマ:OS(Optical stabilizer)

また、キヤノンではボディ側で検知したブレ情報をレンズに伝えることで効率的な手ブレ補正を行う「デュアルセンシングIS」という仕組みもあります。

手ブレ補正が付いているかはレンズの型番や手ブレ補正のON/OFFスイッチの有無で見分けることができます。

ISイメージ

キヤノンの手ブレ補正機能を意味するIS(ImageStabilizer)の文字

 

ISスイッチ

手ブレ補正のON/OFFスイッチ

 

レンズの見分け方や型番の見方についてはこちらの記事も参考に!

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ボディ内手ブレ補正とレンズ内手ブレ補正、どっちが優れているの?

ここまで、手ブレの種類と補正機能の方式についてはお分かりいただけたと思います。

では、それぞれの特徴を具体的に見ていきましょう。

ボディ内手ブレ補正の特徴

  1. 対応できるブレの種類が多い
  2. 手ブレ補正機能がついていないレンズにも対応できる。
  3. レンズが小型化できる。
  4. ボディ内手ブレ機能を利用した高画質な撮影ができる
  5. 光学ファインダーで手ブレ軽減効果を確認できない

一つずつご説明します。

1.対応できるブレの種類が多い

ミラーレス一眼の多くに採用されており、最近のモデルのほとんどは先にご紹介した5種類の手ブレに対応しています。

特に回転ブレを補正できるのはボディ内手ブレ補正だけ。レンズ内手ぶれ補正は補正専用レンズが回転方向に動かない(動いても効果がない)ので、回転ブレには物理的に対応ができません。

2.手ブレ補正機能がついていないレンズにも対応できる。

ボディ側で手ブレ補正を行うので、ソニーの場合装着できる全てのレンズで手ブレ補正機能が効きます

手ブレ補正が付いていないオールドレンズはもちろん、マウントアダプターを使用すればボディと違うメーカーのレンズを付けても手ブレ補正が効きます。

α7RⅢ+EF50mm

ソニーα7RⅢにマウントアダプター(SIGMA MC-11)経由でキヤノン
EF50mm F1.8 STMを装着。手ブレ補正がちゃんと効きます!

3.レンズが小型化できる

レンズ内に手ブレ補正専用レンズが不要なので、小型化・軽量化することが可能です。

部品が少なく済むので当然ですね。

4.ボディ内手ブレ補正機能を利用した高画質な撮影ができる

ボディ内手ブレ補正はイメージセンサーを動かしてブレを補正するというのはお伝えした通りです。

このセンサーを「動かす」という機能を利用して、高解像写真を撮影することができる機種がリリースされています。通常のカメラは1画素ではRGBどれか1色の色しか記録できないのですが、画素をずらすことで同じ部分にRGBそれぞれの情報を記録でき、より高画質化させるという技術です。

主に1画素をずらしながら4枚の撮影をして、画素数据え置きのパターン(解像感はアップ)と、0.5画素ずらしながら8枚(または16枚)撮影して画素数と解像感の両方をアップさせるパターンに分けられます。

画素数据え置き

  • ピクセルシフトマルチ撮影*(ソニー)
  • リアルレゾリューションシステム(ペンタックス)

画素数アップ

  • ハイレゾショット(オリンパス)
  • ハイレゾモード(パナソニック)
  • ピクセルシフトマルチ撮影*(ソニー)

*ソニーのピクセルシフトマルチ撮影は0.5画素ずらし16枚撮影の画素数アップパターンも一部機種にあります(α7R IV)

ただし、この機能は「三脚でカメラを完全に固定する」「被写体が静止している」という限られた条件のみ使う事ができるのでどんなものでも高画質になる魔法の撮影方法ではないことも覚えておきましょう。

また、ペンタックスのカメラには星の動きに合わせてイメージセンサーを動かすことで長時間露光時の星の解像感を上げるアストロトレーサーという機能もあったりします。

5.光学ファインダーで手ブレ軽減効果を確認できない

一眼レフでボディ内手ブレ補正を搭載したものだと、光学ファインダー内ではブレているのに、実際に撮れた画像はブレていないという現象が起こります(一眼レフはファインダーとイメージセンサーに導かれる光の経路が異なるから)。

良いと感じる人もいるかも知れませんが、撮影結果がファインダーで見たものとズレてしまうため違和感があるという人もいることでしょう。この現象はミラーレスカメラでは起きません。

レンズ内手ブレ補正の特徴

  1. 角度ブレに対応しやすい
  2. レンズに最適なブレ防止制御ができる。
  3. レンズが大きくなり、高コストになる
  4. 画質面で不利になることがある
  5. ファインダーと実際の画像との差異がない

一つずつご説明します。

1.角度ブレに対応しやすい

角度ブレとはボディを支点とした上下左右のブレのこと。

特に望遠レンズを使用している場合は僅かなブレが画面上では大きなブレになってしまいます。センサーを動かして補正するボディ内手ブレ補正では対応しきれないような大きなブレでも対応できる可能性が高くなります。なぜなら、あらかじめそのような想定をされて設計されているから。

マクロレンズなど、レンズによってはシフトブレにも対応しているものもあります。

2.レンズに最適なブレ防止制御ができる。

補正専用レンズはそのレンズ専用に設計されているので、例えば望遠レンズなら大きなブレの補正をカバーすることを想定した、そのレンズに最適な手ブレ防止制御を行うことができます。

3.レンズが大きくなり、高コストになる

補正専用レンズを内蔵しているので、どうしてもサイズが大きくなり、重量も増えてしまいます。

もちろん、レンズごとに制御ユニットのコストがかかるので、価格も高くなってしまいます。

4.画質面で不利になることがある

手ブレ補正中は補正専用レンズが上下左右に移動するので、結果的に光軸がズレてしまいます。画質的に最も良い部分からズレてしまうので、画質面で不利になることがあります。これが一部のハイスペックなレンズで手ブレ補正機能が内蔵されていない理由の一つです。

ただし、厳密に言えば…という話で、この画質低下よりも手ブレ補正の恩恵の方が圧倒的に大きいので、あまり気にする必要はないと思います。

5.ファインダーと実際の画像との差異がない

一眼レフ機の場合、手ブレ補正をセンサーシフトさせるボディ内手ブレ補正で行ってしまうと、光学ファインダーで見ている画像と実際に記録される写真の画像に微妙に差異が出てしまいますが、レンズ側で補正を行えばそのズレは起こらないため安定した撮影が可能です(一眼レフはファインダーとイメージセンサーに導かれる光の経路が異なる)。

ただし、最近主流のミラーレスカメラはファインダーとイメージセンサーに導かれる光の経路は同一なため、どの方式を用いてもこのようなフレーミングの差異は起こらなくなっています。(ミラーレスはボディ内補正との相性が良い)

レンズ内、ボディ内の両方を組み合わせて使う場合も

ボディ内手ブレ補正を搭載するカメラにはレンズ内補正とボディ内補正の両方を組み合わせてより高精度な手ブレ補正を実現するものもあります。

たとえばレンズ内補正が得意とする角度ブレはレンズ側に任せて、シフトブレ、回転ブレをボディで補正するといったイメージです。

ボディやレンズによって対応するものが変わってくるのでチェックしてみると良いでしょう。

まとめ:結局、どっちがいいの?

一眼レフが主流の時代はレンズ内手ブレ補正が多く採用されていました。というのは、ファインダー画像との差異が生じることがないだけでなく、ボディ内手ブレ補正は画像処理エンジンにかかる負担が大きく、AFでピントを合わせたり手ブレ補正をしたりと一人何役もこなさなければならなかったからという理由もあるようです。

一方、最近主流になりつつあるミラーレスカメラは「センサーに入った光=ファインダー(EVF)で見る情報」なのでファインダーと実際の画像との差異がなくなり、画像処理エンジンの性能が格段に向上したことからより相性の良いボディ内手ブレ補正を搭載するものが増えてきました。

どちらが良いのか?言われれば、現状は双方の方式で得意なモードが異なるため互いに補完し合う関係になっているのが現状で、必ずしもどっちが良いとは言えません。

ただ、これからミラーレスカメラを手に入れる予定があるなら、手持ち撮影メインの場合はどんなレンズにも手ブレ補正が使えるボディ内手ブレ補正搭載機を選ぶほうが快適に撮影できるシーンは増えるかなと思います。(レンズ内補正と協調できるものはより良い)

また、手ブレ補正機能は完璧ではありません。

脇を締めてしっかりとカメラを構える、三脚を使用する際もレリーズやセルフタイマーを使うなど、ブレ自体を発生させない撮り手の心がけも大事でね。

...と、ここまで手ブレ補正についてお伝えしておきながらアレですが、あえてブラして非日常感を表現してみる!というのもアリです!

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スローシャッター

手持ちでシャッタースピード1/10

シャッタースピードを工夫することで人間の目では捉えられない表現ができるのも写真の魅力。

上手にブレを使いこなしてください!

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この記事を書いた人
迎 崇
迎 崇 / 専属ライター
小学生の頃、写真が趣味だった祖父の影響で一眼レフカメラで写真を撮り始める。現在は商業写真撮影の傍ら、写真ワークショップやセミナー講師としても活動中。 金沢町家アートスペース「be金沢」館長 迎 崇のプロフィールページ

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