クリスマスツリー用の電飾さえあればOK!
今回は今まであまり取り上げて来なかったブツ撮り(商品撮影)です。
クリスマスツリー用の電飾(イルミネーション)を使って上のようなファンタジックなカップを撮ってみましょう。カップからカラフルな湯気が出ているイメージです。
ストロボなど特別な機材は必要ありません。ツリー用の電飾とボカせるカメラ(一眼レフ or ミラーレス)があれば後はお家にあるものや100均で買えるようなものがあれば大丈夫です。
撮り方自体も大して難しくありませんが、ブツ撮りで大事なエッセンスも散りばめておきましたので、ブツ撮りをあまりやったことが無い方はぜひ最後まで読んで実践してみてください
続編できました!
玉ボケカップの撮り方概要
まずは撮り方の概要として、玉ボケカップの種明かしをしてしまいましょう。
もうちょっと自分で考えたいという方はここでしばしストップを。 また、玉ボケってどうやって作ればいいの??という方は下記のエントリーもご参照ください。
玉ボケと光をコントロールしよう
種明かしといっても原理は簡単で、大事なポイントは「カップの部分を明るく、イルミネーション部分を暗くする」 と 「カメラとカップは近く、カップとイルミネーションまでは遠く」この2点だけです。
図にするとこんな感じ。
最初の明るさのポイントは、カップは明るく撮りつつ、闇の中にイルミネーションのボケを浮かび上がらせるため。距離のポイントはキラキラ玉ボケを作りやすくするためです。
この二つのポイントを頭の片隅に置きながら読み進めるとスッキリ理解できるはずです。
玉ボケカップ撮影に必要なもの
まずは準備するものですが、初めに言った通りストロボなど特別な機材は必要ありません。ツリー用の電飾と一眼レフかミラーレスなどボケを作りやすいカメラがあればOKです!
iPhoneなどスマホでこれをやるのはちょっと難しいと思います。もしかするとポートレートモードなどでソフト的なぼかしを使えばできるかも(未検証)。
必ず必要なもの
クリスマスツリー用の電飾
お家にツリーを飾ってある方はちょっと拝借して撮ってみましょう。色々応用が利くのでない方はこの機会に買っておきましょう。LEDのものが1000~2000円程度で手に入ります。
シンプルな単色の物でも良いですが、ファンタジックな感じを出すならカラフルタイプがおススメです。
カメラ、レンズ
普通の一眼レフやミラーレスでOK。レンズもキットの標準ズームで大丈夫ですが、できれば望遠レンズ(ダブルズームキットのレンズで十分)があると撮りやすいです。
TAMRON 望遠ズームレンズ AF70-300mm F4-5.6 Di MACRO キヤノン用 フルサイズ対応 A17E
テープ
電飾を壁などに仮止めするのに使います。マスキングテープなどで十分。セロテープ、ガムテープでも良いですが壁紙などを痛めないようにご注意を。色は黒か透明が良いです。
黒のパーマセルテープを持っているとなお良しですね。下のカモ井の太いマスキングテープは剥がしやすくてカメラマンでも愛用者が多いですね。私も基本これ使ってます。
お好きなカップ
透けない磁器製のものが撮りやすいです。ガラスのコップなど透けるものは撮影時に工夫が必要です(次回記事で取り上げます)
場合によって必要なもの
卓上ライト的な照明
カップに光を当てるために必要な場合があります。デスクライトのようなもので十分です。お部屋の形によっては工夫次第で必要ないこともあります。今回は使用しませんでした。
これから用意するなら卓上スポットライトのようなものか、最近流行のポータブルLEDライトがあるとブツ撮りでいろいろ活躍してくれます。今回は特にこだわる必要はありませんが、お部屋の天井に付いている蛍光灯と同じ色(昼白色とか昼光色とか)のものを用意するとなお良し。
▼最近はちょっとした撮影にこれを使う事が多いです。充電式で色を変えられる超便利アイテム。結構明るいのでビデオ会議用の照明なんかにも使えます。
もちろんストロボが使えるならストロボでも問題ありません。
黒画用紙
電飾は暗い色の壁などに取り付けますが、真っ白のな壁しかないと十分に暗くなりません。そんな時は黒画用紙を電飾の背景にしましょう。100均に売ってるやつで十分。
あったら良いもの
三脚
暗い室内で撮影するので、あった方が圧倒的に撮影は楽です。無い場合は感度を上げて手持ちで頑張りましょう。
Velbon ファミリー三脚 EX-440 4段 レバーロック 全高153cm 脚径20mm 小型 3Way雲台 DIN規格クイックシュー...
白画用紙、スチレンボードなど
レフ版代わりに使います。あったら良いなという感じ。これもダイソーとかに良い感じの大きめの白い板が売ってます。
無くても大丈夫です。
---
という事でそんなに特別なものは必要ありませんね^^ 準備出来たら早速撮ってみましょう。
玉ボケカップ、実際の撮り方
1.撮影場所を決める
初めにお見せした撮影環境の図をもう一度見てみましょう。
ブツ撮りはセッティングが非常に重要です。カメラ、カップ、電飾が一直線になるような場所を見つけましょう。ウチは玄関からの廊下を使いました。大きな部屋よりも廊下のように細長い場所の方が良いです。
今回の撮影は暗い環境が必要なので、撮影時間も余計な光が入らない夜が良いですね!
2.カメラ、カップ、電飾をセットする
良さそうな場所があったら実際にセットしてみましょう。上記の写真を撮ったときの様子はこんな感じです。
こんな普通のお家でも大丈夫です^^
カメラとカップ、カップと電飾との距離が大体1:2~1:3くらいになるとちょうど良いかと思います。実際の距離はレンズの焦点距離(ズームの度合い)によっても変わるので目安としてお考えください。(この状態で35㎜換算100-120㎜くらいで撮影してます)
カップを照らす明かりを確保する
また、上記の写真ではポイントが2つあって、1つ目はカップの左手にあるキッチンから光が供給できること。撮影時にキッチン以外の電気を消してしまえば最初に紹介した、「暗い - 明るい - 暗い」の環境が出来上がりますね!
通路沿いの部屋からの光は周りに漏れにくいのでおすすめ。そんな都合のいい部屋が無いという方は、卓上ライトなどでカップを横から照らしてあげましょう。
照明の当て方のポイントは必ず横からあるいはやや逆光気味に照らしてあげること。
カメラ側の正面から照らすと、奥の電飾まで明かりが漏れてしまうので「暗い - 明るい - 暗い」の環境が作れません。。 それでも光が漏れて電飾の方まで明るくなってしまうという場合はライトに黒画用紙でひさしを作り、後ろに光が漏れないように工夫しましょう。(紙を使うため白熱電球など非常に熱くなる電気へのご使用は控えてください)
背景は暗い環境を作る
2つめのポイントは、電飾を張り付けてある壁(今回はドア)が暗い色であること。茶色やグレーなど(真っ黒である必要はありません)暗めの色にすると玉ボケが闇に浮かび上がるような感じになります。
真っ白な壁しかない場合は、黒画用紙で電飾のバックを黒くしてあげましょう。黒っぽい布なんかでもOKです。
イルミネーションのセッティングはこのくらい雑な感じで大丈夫です(笑)
3.カップにピントを合わせ、電飾をボカして撮る
セッティングが終わったら試しに撮ってみましょう。カップを照らす明かり以外は電気を消します。
Av(A)モードでF値を一番小さく設定し、標準ズームの方はいちばん望遠側にしておきます。お部屋のサイズにもよりますが35mm換算で70~100mmくらいがちょうどいいかと思います。(ボカし方の詳細は上記の玉ボケの作り方記事をご参照ください)
イルミネーションがピコピコ点滅していると内部の露出計が安定しないのでできれば常時点灯モードへ。ムリならマニュアル(M)で撮ったほうが効率が良いです。参考までに冒頭の写真の設定は、EOS 5D MarkIII / 116mm / F7.1 / ISO100 / SS:0.3s です。
この状態でカップにピントを合わせて1枚撮ってみましょう。きっと背景がキラキラの玉ボケになっているはず。Av(A)モードで撮って、明るいなぁと思った場合はマイナス補正をしてもう一度チャレンジ。
全然映らないという人はシャッタースピードが速すぎるのかもしれません。LEDライトは非常に短い間隔(たぶん50/60Hz)で点滅しているので、1/100や1/200秒だとタイミングによってはイルミネーションが写らないかも。1/30秒より長く設定するのが良いです。
また、カップからキラキラが出ている感じを出すなら真横もしくはやや下から煽り気味に撮るのが良いです。上から撮るとカップの中が見えてしまいます。。
そんな感じで撮ってみたのがこちら。(121mm / F4.0 /)
悪くはないですが、ちょっと玉ボケが大きすぎるのと、もう少し上までキラキラさせたかったので、ここから微調整。
また、左から光が当たっているので、カップの右側が暗く沈んでいるのもちょっと気になります。。
4.イルミネーション位置とボケの調整
テスト撮影の結果を見ながら電飾の位置とボケの大きさを調整しましょう。ボケの大きさはF値をだんだん大きくしていく(ボケが小さくなる)だけです。
そんな感じで調整した写真がこちら( 116mm / F7.1 )
カラフルな湯気が立ち上る感じになり、ボケの大きさもちょうど良くなりました!
5.カップの右側を明るくする
これで完成でも良いのですが、カップの右側が暗いので少し明るくします。今回は手軽にレフ版で光を起こします。レフ版と言いつつ白い画用紙などでも十分です。
今回は裏が白い段ボールを使いました(いつか買った家具の緩衝材で使われていたものを使い回し^^; )
レフ版、ありなしではこんなに違います。段ボールの本気!
7.完成!
最後に現像時に周辺光量を落として(ヴィネット)、なんとなく傾けてみたら完成!
とってもハッピーでファンタジックな感じでカラフルな湯気が立ち上りましたね!
まとめ:ステイホームでブツ撮りを楽しむのも面白いよ
ということで、特別な機材を使うことなくキラキラの玉ボケカップが完成しました。
普段ブツ撮りをしない人にとっては、セッティングをし、ライティングを考え。。といった具合で大変だったかもしれませんが、自分の欲しい環境を自分で作り出して撮影するというのもなかなか面白いものです。
また、自分でセッティングをするので、ライトの向きを変えるだけで「あぁ、こんなに変わるのね!」なんてことも気づきやすいです(普段外で撮るときも光の向きは意識していますか?)
寒い冬はお家で暖かくブツ撮り練習をしてみるのも良いかもしれません^^
さて、ちょっと長くなったので、応用編は次回で。
完成形を載せておきますのでどうやって撮ったのかなぁ?と考えてみるのも良いかもしれませんね!
ポイントは2つ。足がくびれてるのになぜ光がはみ出てないのか?そして、ガラスの透明感を出すにはどうしたらいいか? です。
ではではお楽しみに!