旅の写真をきれいに残したい!
「旅行の写真をきれいに撮りたいけど、スマホじゃ無理よね…」そんなふうに思っていませんか?実は、スマホだって十分にきれいな写真を撮影することができます。一眼レフはいろんな表現ができるカメラですが、実際はスマホだってかなり優秀!
コツさえ押さえれば、感動してしまうくらいの旅の思い出が残せる立派なカメラなんです。iPhoneでもAndoroidでもOKですよ。
1.基本を守れば写真の腕は上がる
スマホ撮影をするときには、以下のスタンスを守って撮影しましょう。自分で撮った写真に「イマイチだな〜」と落胆しちゃう方は、ちょっとした心がけできれいな写真が撮れるようになります。
「水平・垂直」を意識して撮る
おしゃれな写真を撮りたいと、独自の工夫をしている人も多いと思います。そんな人がよくやりがちなのが、カメラを斜めに傾けて撮影するという撮影法です。
実は、プロのフォトグラファーほど意味もなくカメラを傾けたりはしません。基本は水平垂直を意識して、まっすぐなものはまっすぐ撮影します。
特に気をつけて欲しいのが、地平線や水平線です。人間は本能的に地面が傾いていると不安感を感じてしまうので、水平が傾いた写真を見ると不快感を覚えてしまいます。
ただし、傾いていたほうがいい理由があれば、この限りではありません。理由もないのに「なんとなく」カメラを傾けて撮影するのだけはやめましょう。
できる限り両手で構える
さて、水平や垂直を意識して撮影するためにも、できるだけスマホ撮影でも両手で持つようにしてみてください。手ブレを防ぐためにも、その他の設定をするためにも、両手での撮影はおすすめです。
片手でも撮影できるスマホですが、どうしても「適当に撮影しがち」になります。
ちょっとした心理的変化ですが、「よし、撮るぞ!」という気合を入れるためにも両手での撮影をクセにしましょう。丁寧に被写体と向き合う姿勢が整う切り替えにもなりますよ。
ピント・明るさの調整を
スマホ撮影の教室で生徒さんを教えていると、多くの方がピント・明るさの調整を行わず、そのままシャッターボタンを押しています。
すべてのスマホを試したわけではないのでいい切れないところもありますが、最近のスマホは撮影機能がとっても充実しているので、これを使わないなんてもったいない!
でも、機能をいちいち覚えるのは大変ですよね。それなら、まずはピントと明るさの調整から始めてみましょう。
画面をタッチするだけでOK!
多くのスマホは、画面をタッチするだけでそこにピントと明るさが合うようになっています。例えばiPhoneなら明るい部分をタッチすると写真は暗く、暗い部分をタッチすると明るくなるはずです(Androidのスマホもだいたい同じ)。上の写真のように、タッチする場所が違えば仕上がりも違うイメージに。
ピントや明るさ(露出)は、基本的にはスマホがオートで調整してくれます。でも、場合によってはちっともピントが合わなかったり、色が暗くなってしまったり、残念な写真になることが多々あるのです。
撮影前に画面をタッチすれば、より写したいところに焦点が合い、露出も適正になります。シャッターを押す前にワンタッチ。これだけでも忘れないようにしてください。
タッチした後に上下にドラッグすると?
iPhoneの場合、画面をタッチ(タップ)するとそこにピントと明るさが合いますが、それでも好みの明るさにならないときは上下にドラッグ(スワイプ)してみましょう。狙った場所にピントが合ったまま明るさが変わります!
Andoidスマホの場合、iPhoneと同じ操作方法になるものもありますが機種によっては画面を左右にスワイプするもの、撮影メニューの中から「露出」という項目で明るさを変えられるものなど様々です。明るさの変え方を知らない方はぜひ説明書を見てみて下さい。これを知っておくだけで写真がグッと変わってきます。
2.撮影するべき被写体とは?
さて、旅行の写真というと、友達や家族とのスナップ写真や、旅した場所などを撮影すると思います。でも、それだけではなんだか旅先のムードが伝わらないことが多々あるんです。
旅行の写真をきれいに撮る!ためには、被写体選びがとっても重要。旅先から帰ってきて、その土地の雰囲気や出来事をリアルに思い出せるように、撮影するものにもこだわってみましょう。
プラスαで撮るべき被写体
旅行の写真というと、人・食べ物・目的地などを撮影することが多いと思います。でもそれだけではちょっと物足りない写真になりかねません。できれば、以下に挙げる被写体もプラスαで撮影しておきましょう。そうすれば、旅の思い出がグッと濃いものになるかもしれません!
プラスαで撮っておいてほしいのが、お店や目的地の
- 外観
- 内装
- 看板
- 装飾物
- メニュー表
- 道のり
です。
ホテルやレストラン、神社仏閣などを少し離れた位置から撮影すれば、外観が撮影できますよね。次に看板、中に入ることができれば内装などを撮影します。装飾物はインテリア家具や絵画、置物など、空間を飾っているものです。
旅先の空間ってそこでしか味わえないものなので、「どんな空間だったのか」を思い出せるように写真に残しておきましょう。
また、私はメニュー表などの撮影もおすすめしています。「これ、なんていう食べ物だったっけ?」というときも、メニュー表があれば便利。黒板に書いてあったり、おしゃれにレイアウトしてあったりしてお店の個性が表れるものですので、旅先の印象を写真に収めることにも繋がります。
最後に、特にやってみてほしいのが目的地到着までの「道のり」の撮影です。
多くの人が目的地の写真を残そうとするのですが、実はその道中の雰囲気も旅の楽しいところ。電車などでの移動中、なんでもない小路、行列のできる店に並んでいる間、目的地から帰る疲れたみんなの顔など、なんでもないところで撮影してみましょう。
これまで「これは撮っておこう」と思わないとカメラアプリを起動しなかったかもしれませんが、これからは「なんでもない瞬間こそ撮ってやろう!」と、ちょっと違う視点を持つようにしてみてください。
全身を収める必要はない!
旅行の思い出を残そうと強く思うと、人をまるまる構図の中に入れようとしまいがちです。でも、実際は身体は一部だけでも十分にその状況が伝わりますし、いつもいつも、人をまるまる構図の中に入れる必要はありません。
不思議なものですが、身体が一部しか入っていないことで人の想像力は掻き立てられます。例えば、上の写真では「カフェでガールズトーク」「彼女とデート」など、顔が特定できないことでさまざまなイメージが想起されるでしょう。
たくさんの感想や意見を1枚の写真から引き出すことができるんですね。
旅行の写真も最近はSNSなどでたくさんの人に見てもらうものです。より「いいね!」を引き出すなら、多くの人に共感してもらえるような構図をわざと選ぶのもいいかもしれません。
すべての写真がいつも同じような構成になっていると、人は飽きてしまうもの。この瞬間をすべて収めたいと思うと全体を構図に入れがちですが、ちょっと我慢して、一部だけを撮影するようにしてみましょう。想像力を掻き立てる一枚が撮影できるかもしれません。
3.構図よりも、視点を変えて
写真教室で生徒さんを教えていると、多くの人が「どんな構図がいいのですか?」と尋ねてきます。でも、正直構図ってただのセオリーでしかないんです…。
むしろ、あまりに構図を気にしてしまうと、ガチガチに縛られてしまって写真を撮るのが楽しくなくなってしまいます。
そこで試してほしいのが、視点を変えるという方法です。
視点の高さを変える
人間は二足歩行する動物で、一日の多くを直立した状態で過ごしています。大人の女性であれば150〜170cm前後でしょうか。男性であれば、160〜180cmくらいが多数ですね。
下の写真は、直立の状態から見下げて撮影したものです。正直、私たち人間はこの高さの視線に慣れすぎていて、新鮮味を感じません。
そこで、ちょっと視点の高さを変えてみましょう。旅行先であれば、階段を登ったり、しゃがんだりしてみます。アングルやポジションを工夫して決めていくのです。いわゆる150〜180センチ前後の写真にならないよう、視点を変えてみましょう。
さっきの写真と比べていかがでしょうか?高さを変えただけでもこれだけ印象が違います。
場合によっては、寝そべって撮影するのもアリです。ローアングルなら、より迫力が出るかもしれません。ただ、恥ずかしい思いをするかもしれませんが…。
今やシャッターをポンッと押してきれいに撮れるのは当たり前の時代。カメラを動かすのは人間の最後の仕事だと思って、工夫を凝らしてみましょう。
被写体との距離を考えて
私たち人間は、基本的には人とのほどよい距離を保って生活をしています。満員電車でもない限り、他人とくっついて歩いたり、座ったりすることもありません。
人間は社会性の高い動物ですので、他人のパーソナルスペースを侵さないように生きているんですね。でも、写真を撮る上ではそれはちょっとした壁を感じる原因になっているかも…。
もし、被写体が人であれば、いつも以上にレンズを相手に近づけて撮影してもいいでしょう。もちろん、相手に断る必要はありますが、いつもは見られない意外なカットが撮影できるかもしれません。
また、大人になると”モノ”ともある程度の距離をとって生活するものです。例えば、幼いころなどを思い出してください。学校帰りに塀に触ったり、フェンスに寄りかかったり、草むらに立ち入ったり、小川に手を突っ込んだりと、そこらじゅうにある”モノ”に触れた記憶はありませんか?
こういった行為は大人になると自然に減ってしまうものですが、写真を撮るときは童心に返って、”モノ”との距離も考えてみるといいですね。以上の写真はちょっとした例ですが、ちょっと塀に近づいて撮影しただけで、いつもの雰囲気がちょっと変わって見えるはずです。
4.写真のクオリティを上げるコツ
すでに写真撮影を楽しんでいる方の中には、もっと写真のクオリティを上げたいと考えている人もいるかもしれません。もしくは、「簡単なのにクオリティを高く見せるコツはないの?」と、思っている人もいるかもしれませんね。ここでは、写真の質を上げるちょっとしたコツをご紹介します。
モチーフに落ちる影、注意してる?
意外と多くの人が忘れがちなこと…、それが、モチーフに落ちる影です。人によっては、自分の影がモチーフに落ちているのにまったく気づかない人もいるほど、意外と忘れがちになります。
みなさん「良い構図を教えてください!」とおっしゃる方が多いのですが、正直、影をもっと気にしてほしいというのが本音です。
撮影するときには、自分やカメラ、周囲の物の影がモチーフを暗くしていないか、ちょっとだけ冷静に見てみてください。
上の写真のようにくっきり落ちていない影でも、それが色味をくすませたり、コントラストを変えたりする原因になることもあります。曇天の影は特に気づきにくいので注意です。
ただ、中には影が落ちることで面白くなる写真もありますので、その時は存分に影を利用してみましょう。問題は、撮影しているときに「影の存在を気にしているか」という点にあるかもしれません。
日中なら窓際に
カフェで美味しそうなドリンクやケーキを撮影したんだけど、いまいち美味しそうに見えない…。その原因は、光にあるのかもしれません。もし、カフェなどで食事やスイーツを撮影したいなら、なるべく窓際やテラス席など、柔らかい光が入る席を選びましょう。
太陽光はものの色を一番ニュートラルに写し出してくれる光ですので、見たままの印象が撮影できる可能性が高いです。
また、実は料理写真の世界では、上の写真のようなライティングが1つのセオリーになっています。ただ窓際というだけで、自動的によいライティングの中での撮影ができてしまうのです。
撮影するときは、窓を背にするとモチーフに影が落ちる可能性があります。
そのため、上の写真のように逆光か、モチーフの横から光が入ってきているような状態で撮影しましょう。直射日光も撮影を難しくする可能性があるので、屋根や軒のある窓際や、テラス席を選んでくださいね。
機能をフル活用して
最近のスマホは本当にカメラ顔負けの機能がついていますよね。特に、多くのスマホに搭載されているのがHDR機能です。このHDR機能は、例えば逆光などで黒く潰れてしまう、または、白飛びの可能性があるシーンで役立ちます。
▲上の写真はHDR機能をオフにした状態。そして、▼下の写真はHDR機能をオンにした状態です。
違いはわかりますか?左側の空の部分や、板の影部分などを比較すると、その違いがわかると思います。下の写真の方が、ニュートラルなイメージに仕上がっていますよね。
例えば、このHDR機能があれば、背景に露出が合って人の顔が真っ黒に…なんて残念なことも、だいたいの場面で防ぐことができます。絶対に失敗したくない撮影には、HDR機能が保険のような役割を果たしてくれますよ。
iPhoneなら撮影画面で設定可能
iPhoneなら撮影画面の上部(横位置なら左右)に「HDR」という項目があります。通常はここを自働にしておけばOKです。AndroidのスマホにもHDR機能が搭載されているものは多いです。
Instagramなどで加工を
最近では、スマホ向けの写真加工向けアプリがたくさん出ていますよね。世界的にもヒットしたInstagramはもちろんのこと、他にもさまざまなアプリが配信されています。
これらのアプリを使えば、「もう少し明るくしたい」「シャープな印象にしたい」といった加工も簡単。
スマホなら指でタッチするだけで使えるので、正直パソコン用の加工ソフトよりも感覚的に使えて便利ですよ。最近ではプロのデザイナーさんたちもスマホでちょちょいっと加工することがあるそうです。馬鹿にはできません!
まとめ
スマホはいつでもどこでも持っていけるのがいいところですよね。旅行上手な人は、荷物のまとめ方も上手なもの。立派な一眼レフを持ち歩くのもかっこいいのですが、スマホでサッと撮影できれば、旅をもっとスムーズに楽しめるかもしれません。
SNSにアップするのも簡単なので、ぜひ、ちょっとした撮影のコツを習得して、みんなの「いいね!」を集めてみてはいかがでしょうか?