はじめまして!
今回、記事を初寄稿させていただきます、ライターの伊藤です。
クラシックカメラやアンティークを扱う会社を経営しながら、ライター業を営んでおります。今後ともよろしくお願いいたします。
オールドレンズで写真を撮影してみよう!
突然ですが、皆様の家やご実家の押入れに古いレンズが眠っていたりしていませんか?
最近のデジタルカメラのレンズではなく、フィルム時代に使っていた古いマニュアルレンズのことです。
あぁ、そういえば押入れを探せば出てくるかも。。。
そんな方は、一度押入れを確認してみてください。もしかするとそのマニュアルレンズが、あなたのカメラライフを今よりももっと充実させてくれるかもしれません。
意外と実家の押入れを探すと見つかったりする、古いフィルムカメラ
今時、フィルム時代のレンズなんて使えるの?
そう驚かれる方も多いかと思いますが、最近フィルム時代に作られた、いわゆるオールドレンズをミラーレスカメラに装着して写真を楽しむ方が増えているのです。
実際、中古カメラ店に行くとオールドレンズコーナーが設置されていたり、カメラ雑誌で特集が組まれ、オールドレンズの専門書が出たりと、フィルム時代のレンズの価値が見直されてきています。
誰でもクリアで鮮明に写すことができる現行のレンズとは異なり、オールドレンズにはレンズ特有のクセや個性を感じながら撮影をしていく楽しさがあります。
かくいう私も、オールドレンズ愛好家の一人です。
愛用のミラーレス、Fujifilm X-E2 に80年前に製造された古いライカのレンズを組み合わせては、スナップ撮影を楽しんでいます。モノクロ時代に作られたレンズを装着して撮影した写真は、レトロでなんとも味のある雰囲気で、一度ハマってしまうとなかなかやめられません。
ということで今回は、「一度ハマったらやめられない!!ミラーレスを使ったオールドレンズの楽しみ方」についてご紹介させていただきたいと思います。
本日のコンテンツ
- オールドレンズの魅力
- これがないと始まらない!マウントアダプターの使い方
- オールドレンズは絞り優先AEで撮影する
- オススメレンズの紹介
- オールドレンズはどこで買う?
オールドレンズの魅力
オールドレンズの魅力は何?
と聞かれると独特の描写だったり、クセの強さだったりするのですが、一番わかりやすいのは実は価格だったりします。
オールドレンズは現行のレンズに比べると、スペックの割にリーズナブルなのです。特に単焦点レンズ(ズームしないレンズ)は数や種類も豊富で、価格帯も様々。50mmF1.4クラスの明るいレンズも1万円程度で購入することが可能。現行品では数万円するクラスのものです。
あの、憧れのボケ味をこれほどリーズナブルな価格で楽しめるというのは嬉しい限りですね。
Asahi Opt. Co.(現在のPentax)50mm F1.4 M42マウント
本数が多く出たこともあり、中古カメラ店でも良く見かける。相場は大体1万円程度
最新のレンズにはない個性的な描写も
もちろん、先に挙げた個性的な描写もオールドレンズの魅力の一つです。
現行のレンズのように手振れ補正やAFもなく、精度も今のレンズに比べればちょっとイマイチかもしれません。撮影していても、フォーカスが甘くなってしまったり、フレアが生じたり、白飛びしてしまったり、いろいろと問題が生じます。
でもそのイマイチな部分が逆に、ふんわりとした柔らかい感じの写真や、どこか懐かしいレトロで雰囲気のある描写を生み出すのです。
現在のレンズにはない意外性。これがオールドレンズの魅力と言えます。
これがないと始まらない!マウントアダプターの使い方
ミラーレスカメラが有利
まず必要なのがカメラです。オールドレンズを楽しむためにはミラーレスカメラが有利(理由は後述)。
フジフィルム(Xマウント)やソニー(Eマウント)、オリンパスやパナソニック(マイクロフォーサーズマウント)など現行のミラーレスカメラなら大抵のものが大丈夫でしょう。
マウントアダプターを用意しよう!
ミラーレスのカメラにオールドレンズを装着するためにはマウントアダプターの存在は欠かせません。
カメラのレンズには取り付け口(マウント)の規格が多数あり、どんなレンズでもカメラに取り付けられるわけではありません。今お使いのカメラのマウントとレンズのマウントの規格を合わせるのがマウントアダプターです。
▲ソニー EマウントとM42マウントのアダプター。安いものなら2,000円程度。
特にフィルム時代のオールドレンズのマウントの規格と、現在のミラーレスのマウントの規格が全然違うものがほとんど。したがってオールドレンズを楽しむのであればマウントアダプターは必須になります。
フランジバックの話
オールドレンズのマウント規格にほとんど合わないミラーレスがなぜ有利かというと、それはセンサー(フィルム)面とマウント面との距離であるフランジバックが短いためです。
昔のカメラはフランジバックの長いものが多く、レンズもそれに合わせて設計されているためフランジバックの短いミラーレスカメラはマウントアダプターでフランジバックの距離を調整すれば多くのオールドレンズが楽しめるのです。
一方、デジタル一眼レフカメラはフランジバックがミラーレスより長いので装着可能なオールドレンズの種類は限られます。。
マウント規格を知っておこう!
アダプターを購入する際に気をつけなければならないのは、マウントを知ること。
自分が持っているミラーレスのマウントが何マウントなのかということと、装着しようとしているオールドレンズのマウントが何マウントなのかということ、これはしっかりと確認するようにしましょう。
現在使っているカメラのマウント規格は調べるのが簡単ですが、オールドレンズのマウント規格も知っておかないと適切なマウントアダプターを選べません。
以下、メーカー別に主要なマニュアルレンズのマウント規格について簡単にまとめてみましたので、マウントを調べる際に参考にしてみてください。新規にオールドレンズを買うときはいいですが、物置から出てきた古いレンズの場合はそれが何マウントなのか事前に確認しておきましょう。表にないものは「(レンズ名) マウント」と検索するのもいいでしょう。
マウントアダプターの装着方法について
マウントアダプターの装着例です。
例えば、私が持っているFujifilm X-E2に70年前に製造されたライカのエルマーレンズを装着する場合。
ミラーレス機であるX-E2はXマウント、オールドレンズのエルマーはLマウントですのでXマウントをLマウントへ変換する、X→Lのマウントアダプターをミラーレスに装着する必要があります。
では、マウントアダプターを装着してみましょう!
まず最初に、カメラ本体に、マウントアダプターを装着します。これはレンズを装着する時と同じやり方です。
赤いポッチにアダプターを合わせて、「カチッ」とはめていきます。
マウントアダプターを装着したら、次にレンズを装着してみます。
Lマウントのレンズは、ねじ込み式なので、ペットボトルのキャップを閉めるような感覚でレンズを装着していきます。
はい、これで装着完了です。とっても簡単ですね。
マウントアダプターは簡単に買える
マウントアダプターは安価なものから高級なものまで沢山の種類がありますが、初心者の方はまずは安いものから購入することをお勧めします。
Amazonで探してみると、ほとんどの種類のマウントアダプターが販売されていますので、自分のミラーレスカメラに合うマウントアダプターをチェックしてみてください。
レンズ側は実絞り、カメラ側は絞り優先AEで撮影しよう
オールドレンズで撮影する場合、レンズは実絞り、カメラの撮影モードは絞り優先AEモード(Av, A)を選択するようにしましょう。
古いレンズはカメラ側でF値を設定しても、レンズの絞りが自動的に変わらないものがほとんどであることに注意。
実絞りというのは、レンズの絞りリングを手動で回すと、絞り羽根が変化する状態ということです。
マニュアルレンズのほとんどは実絞りのレンズです。カチカチと絞りリングを回して、絞り値を設定します。
Contax Planar50mmF1.4 の絞りリング。絞り値は5.6の状態。
絞り値は数字が小さくなるほど開放となり、数字が大きくなると絞り込まれる。
絞り優先AEモードはシャッターダイヤルで設定します。
以下の写真のようにAのダイヤルに合わせることで設定できます(カメラの種類によってはAvの場合もあります)。
このモードはレンズ側の絞り値を設定すれば、カメラ側が適正露出になるよう、自動的にシャッタースピードを設定し撮影することができるということです。
ちなみに、オールドレンズで人気のM42マウントのレンズの中には、自動絞り連動ピンがマウント側にある場合があります。その場合は、連動ピンを押し込んで、実絞りで撮影するようにしましょう。
オススメレンズの紹介
オールドレンズといっても、その種類は様々です。多種多様な個性溢れるレンズの中から、自分がどんなレンズを選択していくのか、そんな選ぶ楽しさを堪能できるところも、オールドレンズの魅力の一つです。
クセ玉レンズを中心に探してみても良いですし、お手頃な価格のレンズから探してみるのも良いかと思います。個人的には、まずは標準の単焦点レンズから探してみることをお勧めします。レンズ1本あればポートレートやスナップ撮影まで幅広く、気軽に楽しむことができますからね。
ここでは、実際に私が持っているオールドレンズの中でも使い勝手の良い、オススメの標準レンズ3本をご紹介させていただきます。
どんなレンズが良いか迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。レンズの買い方はこの後にご紹介します。
Leica Elmar 50mm F3.5
ライカの中でも一番と言って良いほど有名なレンズです。
観光地などに行くと、ミラーレスカメラを持ったカメラ女子たちが、このエルマーを装着して写真を撮っている姿をよく見かけます。このレンズの特徴はなんといっても、小さくて軽い!!ミラーレスにもってこいのレンズです。
ちなみに私が持っているエルマーが製造されたのが1947年ですので、69年前です。そんなに古いレンズで撮影できるなんて、なんだかちょっと感動してしまいますよね。
製造された時代に合わせてモノクロモードで撮影してみました。
(Fuji X-E2 Leitz Elmar 5cm F3.5)
ライカのレンズの中でも定番の名玉と言われるほどのレンズですが、価格の相場は2万円台とライカのレンズにしては比較的リーズナブルに購入することができます。ミラーレスと相性抜群のレンズですので、とてもお勧めのレンズです。
Contax Planar 50mm F1.4
次にご紹介するのは、ContaxのPlanar 50mm F1.4です。
「標準レンズの帝王」などと、仰々しい二つ名が付いたりしているレンズです。
数あるContaxのレンズの中でも最も有名なレンズだと思います。Contaxというとその豊かな表現力から、今でも根強いファンが多いメーカーのひとつです。あの写真家の蜷川実花さんもContaxユーザーなのは有名な話ですね。
(Fuji X-E2 Contax Planar 50mm F1.4)
金沢に旅行に行った時に撮影したものです。何気なく開放気味に撮影したものですが、プラナーならではの、やわらい雰囲気がしっかりと出ていますね。標準レンズの帝王と呼ばれるだけあり、スナップ撮影にはもってこいの万能レンズです。
Industar-61 50mm F2.8 (M42マウント)
最後にご紹介するのが、Industar-61 50mm F2.8 (M42マウント)です。
このレンズの特徴は何と言っても星ボケ。
絞りが星型になるので、イルミネーションの光などをボカして撮影すると、なんと光が星のような形にボケるのです。
背景のボケた光が星型に写っています。
(Fuji X-E2 Industar-61 50mm F2.8)
星型のボケがすごく幻想的な雰囲気を醸し出しています。
しかもこのレンズ、レンズ内に少し曇りがあるので、撮影すると全体的に柔らかいエアリー感のある写真が出来上がります。これもオールドレンズならではの味と言えるかもしれません。
購入時の注意
このIndustar-61ですが、LマウントとM42マウントの2種類のマウントが存在しています。M42マウントは星型の絞りですが、Lマウントは星型の絞りではないので購入するときには注意が必要です。星ボケレンズが欲しければ、M42マウントのIndustar-61を購入してください。
オールドレンズはどこで買う?
さて、オールドレンズの魅力がしっかりと伝わったところで、じゃあ一体どこで買えば良いの?という疑問が湧いてくると思います。
オールドレンズの購入方法については住んでいる場所であったり、買いたいレンズの種類、軍資金など、いろんな条件によって異なってくるかと思いますので、私が実際に購入しているお店や方法をメリット、デメリット含めご紹介させていただきます。
中古カメラ店
メリット
レンズを手にとって実際にコンディションを確認し購入することができる。わからないことを店員さんに聞ける。
デメリット
都心部や地方都市にお店が偏っていることが多い。ネットで購入するよりも少し割高になることもある。
レモン社
東京銀座に店舗を構えるレモン社。
在庫数が多く、バリエーションもかなり豊富。店舗も広いのでゆっくりと商品を見ることができるところがオススメです。店員さんの対応も非常に優しい。私はここでライカのレンズを購入することが多いです。
新宿中古カメラ市場
新宿西口にある、カメラマニアの間では有名なお店。
古いカメラやレンズが、ショーケースにたくさん押し込められており、宝探しのように商品を探すことができます。ただ、入口を見ると少し入りづらいので、勇気を出して入ってください笑。
カメラのナニワ
関西を中心に展開している、中古カメラ店。
ちなみに、先に挙げたレモン社もナニワ系列のお店です。店舗によってオールドレンズコーナーなども設置しているようです。ネットショップもあり、品揃えはかなり豊富です。
ネットショップ
メリット
いろんなお店と比較検討できる。実際にお店まで足を運ぶ必要がない。
デメリット
コンディションは届くまでわからない。
カメラのキタムラ
CMでも有名なカメラのキタムラ。
ここの特徴は自宅近くのキタムラに中古品を取り寄せて商品を確認できるという点にあります(もちろん自宅に直接送ることも可能)。取り寄せの場合はコンディションをチェックして購入するかどうかを決めることができるので、安心して購入することができます。ちなみに取り寄せて購入するときは、Tポイントが付くのでTポイントカードは忘れずに持っていきましょう。
マップカメラ
中古カメラの商品数は日本でもトップクラスの店舗です。
もちろんオールドレンズの品揃えも豊富。状態は良いものが多く、安心して購入することができます。ただ少し価格は高めです。状態の良いレンズが欲しいときはこちらで買うことをオススメします。
ブリコラージュ工房 NOCTO
ちょっと特殊なオールドレンズを取り扱っているネットショップ専門店です。
レンズマウントの改造なども行っています。かなりレアなレンズが多く、販売しているレンズで撮影した作例も載せているので見ごたえがあります。店長の岡村さんは元カメラマンでオールドレンズに対する造詣も深い方です。
ネットオークション、フリマアプリ
メリット
とにかく安く買える。自分が欲しいレンズを見つけることができる。
デメリット
コンディション表記にムラが多く、ジャンク品を購入するリスクを覚悟する必要がある。
ヤフオク
日本で一番有名なオークションサイトです。
自分が欲しいオールドレンズを検索すれば大体見つかります。ただし、写真と商品説明だけでコンディションを把握する必要があるため、状態の良いものを購入するのはかなり難しいです。購入するときは必ず出品者の評価を確認してから購入するようにしましょう。
メルカリ
ここ最近オールドレンズの出品が増えてきています。
意外に掘り出し物もありますが、ヤフオクと同様でリスクは少し高めです。相手の評価をしっかり確認して購入をするようにしてください。
まとめ
ということで、ミラーレスカメラを使ってオールドレンズで写真を楽しむ方法についてご紹介させていただきました。
実際に撮影してみると、最新のAFレンズとは一味違う、ちょっと変わった個性などが楽しめると思います。何気なく撮影して写真を見てみたら、度肝を抜くような写真が出来上がったみたいなことはよくあります。そんな意外性を楽しむことができるという意味でも、オールドレンズでの撮影はとても面白いんです。
最近、写真がマンネリ化してしまったという方、なんか面白い撮影がしたいなーという方、オールドレンズで遊んでみてはいかがでしょうか。
ぜひ試してみてください!