フルサイズ初の6000万画素機α7R IVだけれども
7月16日深夜に発表されたソニーα7R IV、フルサイズ機としてははじめての6000万画素オーバーのカメラとなり、ピクセルマルチシフト撮影では2億4千万画素というアホみたいな高解像度画像を叩き出すことから「新高解像度番長」のカメラになりました。
個人的に高画素機は好きですし、α7R IVは先代から高感度、ダイナミックレンジ、連写性能を犠牲にすることなく画素数アップを果たしたわけで、確かにスゴいことなのですが個人的にはそれ以外のポイントでの進化も嬉しかったりするのです。
というわけで今回はα7R III使い(それとキヤノン5D系)の私が思うα7R IVの”地味だけどスゴいところ”と相変わらずイマイチだと思う点についてまとめてみたいと思います。
α7R IIIとのスペック対比などは様々なサイトで取り上げられるでしょうし、派手な機能もいろんな所で取り上げられるでしょうから、ここでは私が感じた地味だけど使ってる人なら首を縦にブンブン振ってくれそうな点をメインに取り上げていきます。
α7R IIIの時に感じていた不満点、スゴいと感じていた所は以前書いた記事に詳しくまとまっていますので良かったらどうぞ!
ちなみにα7R IVの価格は$3500。発売は9月とのこと。日本だと40万切るかどうかという感じでα7R IIIと同じくらいの水準です。
私が感じたα7R IV、10個のスゴいところ
上げればキリがないくらい細かなところで機能が追加されているのですが、私が個人的に感じたこれは嬉しい、スゴいと思うポイントについて10個挙げてみたいと思います。
正直、6100万画素とかAF、連写のあたりはもうα7R IIIで十分満足してたのであまり興味はないですw
日本でももうじき公開となるかと思いますが、現時点で一番機能がまとまっているのは英語版の公式カタログかなーと思います。
1.グリップが深くなった
もうことある事にαのグリップは浅すぎて重いレンズやクリップオンストロボ付けて撮影していたら握力が死ぬと言ってきましたが、α7R IVではグリップがα7R III対比で深くなっています。しかも中指用の凹みとシャッターボタンが少し上部に移動していて縦の長さも僅かに増加している感じ。
相変わらずボディの高さはほとんど変わらない感じですが、その中でもグリップできる部分をより大きくしたことはかなり評価できるポイント。実際に撮影に使ってみないと最終的な評価は下せないものの従来機よりもかなり握りやすくなっていることでしょう。
ここはかなり嬉しい。
2.AFフレーム「赤」を選べるようになった
α7R IIIを使っていて、特にめまぐるしく場面が変わる忙しい現場で不満だったのは「AF枠どこに行った??」問題。今まではAF枠がグレーのまま、かつ他の画面内表示もグレーだったので枠が見づらくてしょうがなかったんですね(例えば5D MarkIVなら移動時にAF枠が一瞬赤く光るので見失わない)。
それが今回AF枠に「赤」を選べるようになった模様。これはスゴいです(なぜ今まで出来なかったのか。。)
忙しい現場でのAF快適性が格段に向上しそうです。
3.マルチコントローラーの応答性が良くなっている
AF枠どこ行った?問題と並んで忙しい現場でイライラするのが、ジョイスティックの入力と実際のAF枠の応答にタイムラグがあったこと。
普通に撮影するぶんにはほとんど問題にならないタイムラグですが、EOS 5D MarkIVなんかに比べるとやっぱり遅い。連続で5~6回入力したりするとなかなか付いてこないんですよね。
それが今回、マルチコントローラーの応答性がアップしたということなのでAF撮影の快適さが向上しそうです。コントローラーの表面形状も変わって指掛かりしやすそう。
また、画面ドラッグによるAF枠の移動についても、これまで応答性が悪くほとんど使い物にならなかったのですが応答性の大幅な向上(50%アップ)が見られる模様(マルチコントローラーがあれば使わないかな?)
4.防塵、防滴性がアップしている
実際の所、α7R IIIを使っていて雨やホコリでトラブルになった事はないのですが、開口部の大きなメディアスロット、バッテリー蓋、サイドの端子カバーのシーリング性が向上しているように見えます。シャーシの接合部分のシーリングも強化した模様。
とりあえず、より信頼性が増したと言えるでしょう。
5.メディアスロットの順番が変わった!
α7R III世代ではメニューの並び順と実際のメディアスロットの並び順が逆というおかしなデザインが存在していました。
メニュー画面では上がスロット1なのに、実際のスロットでは下がスロット1だったのですね。
それが今回、上がスロット1、下がスロット2に切り換わりました。これでメニュー画面と実画面のスロットの位置関係が合うことになります。ようやく真っ当なデザインになりました。
*おかしな順番に飼い慣らされてしまった人は間違わないように注意しましょう
しかも、両スロットともUHS-II SD対応。
手持ちのカードをそのまま使えるし、プロの撮影で需要の高い同時記録の際、スロット間の速度の違いがあると遅い方に引っ張られてUHS-IIの恩恵を受けられなかった訳ですが、両スロットUHS-IIなら安定した記録が期待できます。
確実な仕事をするには良い選択だと思ってます。
あと、今回のモデルからメモリースティックのサポートがなくなっているように見えます!ソニーがメモリースティックを捨てた歴史的な瞬間なのかもしれません。
6.ボタンがダイヤルが操作しやすくなっている
背面ボタンの数、配置は同じですが、AF-ONボタンがかなりデカくなっているのが分かります。
また、α7R IIIではボディに半分埋め込まれれいた後ダイヤルが完全に露出する形に。
左右にあるモードダイヤル、露出補正ダイヤルにはロック機構が搭載されているため、オーバーグローブで操作しても誤動作しにくそうなボタン、ダイヤル配置になっていそう。
7.Wi-Fiが5GHz帯対応で高速化&FTP転送機能強化
従来2.4GHz帯のみのサポートだったWi-Fiが5GHz帯も対応になりより高速化。
また、2.4GHz帯は電子レンジ、Bluetoothなどと干渉しやすいですが、5GHz帯なら他に干渉する電波が少なく接続が安定しやすいメリットも。(一方で長距離転送は苦手)
さらに、FTP転送機能も強化されている模様。α9でしか使えなかった画像のバックグラウンド転送も可能になっている模様。
私はNASをFTPサーバーにしてカメラ(EOS 5D MarkIV)からのFTP自動転送を使っているのですが、5GHzで高速化した自動転送が使えればRAWの転送もかなり快適になりそうです(RAWが重いから劇的に変わるかどうかは分からないけど)
8.ボタン、ダイヤルカスタム性がさらに向上
従来のボタンカスタマイズにプラスしてα9(新ファーム)、α6400で使えていたマイダイヤルにも対応。
前/後ダイヤルとコントロールホイールの3ダイヤルに対して3つの異なる役割を持たせることができます。
α6400なんかと同じなら、どこかのボタンにマイダイヤル切換用の機能を割り当ててワンタッチで切り換えて使う事も可能。
記録できるカスタム設定も増えたみたい。
9.クロップしても2600万画素
今のところ通常時の画素数はα7R IIIの42Mあれば十分な感じで、61MP自体はそれほど嬉しいわけではないのですが、x1.5クロップしたときの画素数が2600万画素になったのは個人的に嬉しいポイント。
α7R IIIではクロップすると1800万画素だったのでさらにそこからトリミングする必要がある場合なんかに心許なかったんですよね。クロップして2600万画素残れば後工程の耐性もかなりアップします。
望遠を持っていけないシチュエーションや急に望遠が必要になったときに26MP残るというのはかなり助かります(普通にとって後でトリミングしても同じだけどね)
10.EVFが576万ドットにアップ
EVFがα7R IIIの369万ドットから業界最高レベルの576万ドットにアップ。これは一足先にパナソニックのS1Rが実現していてかなり滑らかだなーと思っていたのでファインダーにも期待が持てますね。
ちなみにソニーはNo1イメージセンサーメーカーであり、他のメーカーにも外販することでも有名ですが、実はEVF用のパネルも業界トップレベル。もしかするとパナソニックのS1RのEVFもソニー製かもしれませんね。
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他にも、有線転送もα7R IIIの2倍になったり、再生時の画像送りに10枚/100枚飛ばしが追加されたり、4:3、1:1撮影モードが追加されたり、動画でリアルタイム瞳AFが使えたり、シャッターユニットが改良されて微ブレに強くなったり、AFエリア設定の限定が使えたりといろんな変更点があります。
真の全部入りカメラにまた一歩近づいたのでは
こんな感じでα7R IVの進化は画素数とかAFなんかに目が行きがちですが、良く見てみるとα7R III時代に色々言われていた地味だけどプロにとって大変重要な部分にも大きな改善が見られるのです。
この辺り、ソニーなりにユーザーの声を吸い上げて改善してきたのだなと感じた部分で感慨深いです。ソニーの弱点であった操作性や信頼性という部分が大きくブラッシュアップされ、仕事用カメラとして考えるとかなり完成度が高いハイバランス機に仕上がっています。
私にとってEOS 5D MarkIVの真の後継はα7R IVだったのではないかと感じています。
相変わらずイマイチな点
一方で相変わらずイマイチな点もあります。イマイチというのはあくまで私が思っているだけで、ここまで来て変わらなかったと言うことはもこれはもうソニーの個性なのかなと思ってきています。
不満だった点がだいぶ改善されたのでこのくらいなら付き合っていこうかなと思う次第。
一応書いておきますが。
1.ボディのサイズは変わっていない
ここは賛否両論あると思いますが、やっぱり私はもう一回り大きなサイズが好きです。欲を言えばS1Rとα7R IIIの中間くらいのサイズ感が好き(EOS Rのサイズ感?)。
今回、ボディのサイズを変えずにグリップを改善したと言うことはソニー的には何が何でもα7はこのサイズに収めるんだという強い意思表示なのかなとも思います。
使ってみないと分かりませんがグリップが深くなったのなら、L字ブラケットなどで高さを調整すればα7R IIIよりは快適に使えるようになっているんじゃないかと思っています。
2.背面液晶がチルトのままだった
今回のα7R IVで最も残念だったのはここだったかなと。これも恐らく数多のフォトグラファーに指摘されている所かと思いますが、かたくなにチルトを貫くのですね。α99IIの背面液晶ではできているのに(三軸チルト)
縦位置ローアングル、ハイアングルがキツいのです。
ボディの厚みを絶対増やさないみたいな縛りだとキツいのかも知れませんね。
3.前面にボタンが欲しかった
これも以前から言ってたことですが、α7R IIIは高機能すぎてカスタムボタンが足りないのです。より機能が追加されたα7R IVでもボタンの数は一緒。。
前面のマウントとグリップの間にカスタムボタンが出来ていたらどれだけ神アップデートだったか。
またボタンカスタムに悩む日々が来そうです。
4.メニューでタッチ操作が使えない?
ちょっと未確認なんですが相変わらすメニューでタッチ操作を受け付けないような気がしてます(マジで?)。
メニューのタブ移動ボタンなどは付いたため以前よりもメニュー操作のストレスは減ったもののタッチできないとキツいですね。。
まとめ
ということで、前回の不満をぶちまけたラブレターに比べるとかなりの改善が見られていて個人的には十分「買い」のアップデートだったと思います。
事前に情報が全然漏れてこなかったため、なにやらもっとスゴいカメラが出てくるんじゃないか?みたいな予想も見られましたが、蓋を開けてみればキッチリ正常進化。
仕事用カメラとしてはかなり理想的な全部入り万能カメラに仕上がったのでは思います(スペックを見る限りでは)。
おそらくは今年の秋~年末に次世代α9が出てくるのでは?なんて思いますがいったいどうなるかが楽しみですね。また来年春~夏くらいにはα7R IV、α9IIの良いとこ取りをしたα7 IVも出るのでは?なんて妄想も出来るわけでしばらくは隙のないラインナップを維持しそうなソニーです。
それに対してキヤノンユーザーでもある私にとっては次期EOS Rの展開も気になりますし、ニコン、パナソニックがどんな新ボディを出すのかも気になる所です。
今年は年末に掛けてもう一回くらい大きなイベントが発生しそうですね。