大迫力で写真編集したいなら32インチ4KのSW321Cだ!
BenQから2020年6月に32インチ4K大画面のカラーマネジメントモニターSW321Cが発売されました。私は写真編集にベストな画面サイズは27インチと疑わないタイプの人間だったのですが、今回SW321Cをメーカーから借りて1ヶ月以上実際の業務に投入して考えが変わってしまったのでレビューしてみます。
32インチは確かに場所もとるし高価だし導入のハードルは高めではありますが、実際に使ってみると「なにこれ、めちゃいいんだけど。。」ってなります。というかなりました。
広色域で完璧にカラーマネジメントされ、輝度ムラも抑えられたた4K 32インチモニターで行う写真編集は格別。めちゃいいです。この辺りを実際に使った感想も交えて詳しくレビューしていきますよ!
*本記事はBenQさん提供のタイアップ記事です
BenQ SW321Cの概要
BenQ SW321Cは2020年6月現在、BenQのカラーマネジメントモニターの中ではフラッグシップ的な位置づけにある全部入りカラーマネジメントモニターです。同クラスのモニターとして2017年発売の31.5インチ4KのSW320がありましたが、SW321Cは32インチ4Kの画面にカラーマネジメントモニターとして必要なすべての機能を盛り込んだパワーアップモデルとなっています。
SW321C、SW320、27インチで最も新しいSW270Cの機能を比べた表は以下の通りです。
SW321C | SW320 | SW270C | |
画面サイズ | 32インチ | 31.5インチ | 27インチ |
解像度 | 4K 3840x2160 | 4K 3840x2160 | WQHD 2560x1440 |
色域 | AdobeRGB99% DCI P3 95% | AdobeRGB99% DCI P3 ---* | AdobeRGB99% DCI P3 97% |
10bitパネル | 〇 | 〇 | 〇 |
16bit 3D LUT | 〇 | △(14bit) | 〇 |
HDR | HDR10、HLG | HDR10 | HDR10 |
CalMAN PANTONE認証 | 〇 | ✕ | 〇 |
ハードウェア キャリブレーション | 〇 | 〇 | 〇 |
ユニフォーミティ補正 | 〇 | ✕ | 〇 |
USB-C接続 | 〇 | ✕ | 〇 |
USB-C給電 | 〇 | ✕ | 〇 |
ホットキーパッド | ○(G2) | △(旧型) | ○(G2) |
PIP / PBP | 〇 | 〇 | 〇 |
24fpsプレイバック | 〇 | ✕ | 〇 |
モニターフード | 〇(縦対応) | 〇(縦対応) | 〇(横だけ) |
価格** | 227,273円 | 148,785円 | 85,200円 |
*スペックに記載なし **執筆時Amazonでの価格
これを見てみるとSW320対比で多くの機能が向上しています。昨年発売でstudio9でも全部入りモニターと紹介したSW270Cの機能の多くも同等以上というのがポイント。DCI P3のスペック値だけ劣っていますが、後述するように私の手元の個体ではSW270Cと同等以上の結果が出ていますのでパネルの素性も良さそうです。
基本的な表示性能としてAdobeRGB 99%カバーはもちろん、映像関連で使われるDCI P3色域も95%をカバー。sRGBは余裕の100%カバーです。10bit出力や動画編集者に嬉しいFullHDネイティブ24p出力にも対応。
SW320になかった機能で大きいのは画面の輝度ムラが補正済みである点。画面全体で均一な表示を見られます。USB TypeCケーブル1本で映像入力/給電/データ転送のすべてが出来る点も超便利。LUTも14bitから16bitへグレードアップしていますね。
最近徐々に重要性を増してきたHDR機能もHDR10だけでなくHLG方式にも対応。CalMANやPANTONEカラーといった業界の認証を取得しているのもポイントです。もちろん本格モニターフードも付いてきます。買ったら2万以上とかするやつです。
現時点でBenQカラーマネジメントモニターのフラッグシップといって良いでしょう。
32インチ4Kだけあってお値段はそれなりにするのですが、そもそも32インチ4Kのカラーマネジメントモニターが市場にはほとんどなく、あっても50万とか100万みたいな世界の中で22万円台というの実は相当コスパが高い競争力を持った価格です。
BenQ SW321C 32型プロ向けモニター(4K/HDR10/HLG/IPS/AdobeRGB 99%/P3 95%/USB-C/60W給電/HWキャリブレー...
32インチは意外と広すぎなかった
32インチという画面サイズは具体的に言うと横70.8cm×縦39.8cmのサイズです(SW321Cの実寸。ベゼル含まず)。これはA3ノビ(48.3×32.9cm)よりも大きく、A2(59.4×42cm)でも長辺の長さは勝ってます。
デスクに置くとものすごい迫力になります。24インチ、27インチとのサイズを比べるとこんな感じ。
私の作業環境を基準に画面から60cmの位置に座って画面を見た場合、水平の角度は60°を超えて視界の大半が画面になるというイメージ。画面への没入感がすごい。
角度を言われてもピンとこないと言う人のためにレンズの焦点距離で考えてみると、水平61°は30mm、53°は36mm、47°は41mmくらいの画角です(いずれも35mm判換算)。人によって感覚は違うと思いますが、結構この違いは大きいですよね。1段広く見えるという感覚です。
編集しながら写真がバーーンと視界に入ってきて実に気持ちよいです。
でもそれって広すぎて疲れない??
私はいままで32インチの画面はデスクに置くには大きすぎるし、近距離からだと画面の端に目線を移動するのが大変で疲れるのでは?と思っていました。
でも実際にSW321Cで写真を編集してみると全然そんなことないのです。むしろ写真が大きく見えて編集しやすいし、大量の写真をセレクトしていくのも画面が広い方が快適だということが分かりました。そう、PhotoshopやLightroomなら。
実際に見るべき領域は27~24インチくらい
どうしてそんなことになったのか。それは次の図を見れば明らかです。
これはSW321Cで作業中のLightroomの画面のスクリーンショット。LightroomやPhotoshopなどほとんどの画像編集ソフトって左右にツールバーがあるので実際に注視すべき写真の領域ってだいたい27~24インチの画面サイズに収まるんですね。
サイドバーを操作するときに視線の移動は発生してしまいますが、慣れた編集ソフトなら注視せずともだいたいの位置は分かるし、なんならショートカットをバリバリ使う人なら視線の移動はもっと少なくなるでしょう。
そういうわけで、常にフルスクリーンで写真を画面いっぱいに表示させて編集しているといった人でない限り、32インチの画面で編集するってそんなに疲れやすいわけではないのです(私の場合は)。
用途にとっては使いにくい場合もあり
写真、動画系のアプリはだいたいメインの作業領域が中央部分なので使っていて問題を感じることはなかったのですが、アプリによっては画面の両端に作業領域があるみたいなものもあるかも知れません。こういう場合は視線移動が大きくなり結構疲れるかも。よく使うアプリを考えてみましょう。
大半のWEBサイトも画面が大きい場合は中央に寄せて表示してくれるので問題ありませんが、画面いっぱいに文字が広がる一部のサイトは読むのがキツくなります。代表格はWikipedia。ブラウザの横幅いっぱいに文字が表示されるので超読みずらい。。こういう場合はウィンドウサイズの調整をしましょう。
驚きの滑らかさ
画面サイズが27インチだと解像度がWQHD(2560x1440)か4K(3840x2160)をどっちを選ぶか。。という感じなのですが、32インチまでくるともう4K一択といったところ。
SW321Cの画素ピッチは0.185mmと27インチWQHDのSW270C(0.233mm)に比べてもかなりきめ細かい表示を楽しめます。27インチ4KのSW271(0.155mm)に比べると文字の輪郭など若干ごわつくかなという印象もありますが、至近距離で見なければ気になりません。
どのくらい表示が滑らかかっていうと、次の写真をご覧頂くのがわかりやすいと思います。
何の変哲もない普通の写真ですね。
この写真、実はこの写真の画面部分をトリミングしただけの写真です。モアレも発生してないとは。。
SW320CにPhotoshopの画面を出して、それを撮影した画像です。カメラで撮影したそのままの画像ではなく、画像をモニターに映して、それを撮影して写真部分をくり抜いただけ。
この画面部分を拡大するとこんな感じ。
トリミング画像だけにシャープかけたり輪郭補正するような加工はしていません。一番下の写真の状態から単純にトリミングしただけの写真です。画素密度が高いせいかモニターを撮影した時にでやすいモアレもゼロ*。すごい。
*モアレに関してはカメラ側の性能によるところもある
画層アップロード時に強めの圧縮かかってるので若干ユルくみえますが、モニターに表示された写真をカメラで撮ったものでもWEBで使う程度なら写真として成立してしまうくらいの画素密度であり滑らかということです。(写真クリックすると圧縮前の画像を見られます)
大画面+高解像度でピント精度も分かりやすく
写真編集における4Kの恩恵は見ていて気持ちいいというだけでなく、セレクト時のピントの精度や編集時にシャープをどのくらいかけるかといった細部に効いてきます。
では解像度が大きく画素ピッチが小さくなれば良いのかと言われればそうとも限りません。例えばiPhone11 Proの画素ピッチは0.055mm(458ppi)とアホみたいに小さいワケですがiPhoneで写真のピント精度をサクサク確認するのは難しいですよね。実作業をするためには解像度と画面サイズ(それと作業距離)のバランスが大事。
32インチの画面だと上下左右にツールバーがあるようなアプリでも写真が大きく表示され、4Kで表示も滑らか。よってセレクト時のピント確認も拡大しなくてもかなりのところまで分かります。
作業効率も高まる
1回の撮影に数百枚や人によっては数千枚の写真を撮りそこからセレクトをしていくという人もいるかと思います。Lightroomで4Kモニターの本気を出すとこのくらい写真を表示できるのですが(さすがにやりすぎだと思いますw)、画面が大きいおかげで小さなサムネイルでもどんなものが映っているのか結構分かっちゃうんですよね。
大量に撮影した写真の全体像を把握して、サムネイルサイズを調整しながら欲しい写真を効率的に探していくというワークフローを行うときにも大画面の4Kモニターは活躍してくれます。
ちなみにLightroomのサムネイルサイズの拡大、縮小のショートカットは「,(コンマ) / .(ピリオド)」です。覚えておくと便利ですよ(Windowsの人は半角モード(IME オフ)にて)。作業効率さらにアップすると思いますよ。
色の表示性能もスペック通り十分
つづいて色を見てみましょう。カラーマネジメントモニターですから何より大事なのは色を正確に表示できるということです。
このへんは歴代のBenQカラーマネジメントモニターのレビューをしてきて、十分な性能が出ていることを確認してきたので心配してません。結論から言えば、SW321Cもスペック通りの十分な発色性能を持っているので安心してOKです。
一応、手元のモニターを詳しく調べてみたので結果をご照会しておきますね。
実測ではAdobeRGB 100%、DCI P3 約98%の発色
いつも通りBenQ謹製のキャリブレーションソフトPalette Master Elementでキャリブレーションした時の測定結果を図にして見ました。
みなさんよく目にするCIE 1931の色度図にSW321C発色とAdobeRGB、DCI P3、sRGBの色域を重ねてみました。これまでのBenQカラーマネジメントモニターの傾向とほぼ同じでi1 DisplayProでの実測値はAdobeRGBカバー率は99.9%(面積比111%)、DCI P3で94.7%(同110%)、sRGBで100%(同149%)となりました。
ほぼスペック通りですね。手元の個体をみる限り27インチのSW270Cよりも若干色域が広いくらいで良いパネルを使っていそうです。
ICE1976 UCS色度図で見てみよう
ちょっと難しい話ですが、上のよく目にするCIE1931色度図は色差不均等性という問題がある図でして、特に赤や紫の色の差を図から判断するのが難しくなっています(分からない人はふーんと思っていて下さい)。そこで、色差不均等性の問題を軽減したCIE 1976 UCS色度図でもこれらの色域を表示するとこんな感じ。
色差不均等性についてもう少し知りたい方はSW270Cのレビュー記事を見てみて下さい
ちょっと見慣れないですが、この図の方が複数の色域を重ねたときの差や面積を議論するのに適しています。これを見るとSW321CがAdobeRGBやDCI P3色域をしっかりカバーしていることが分かりますね。
このグラフから計算すると手元の個体ではAdobeRGBカバー率は100%(面積比120%)、DCI P3で97.9%(同112%)、sRGBで100%(140%)となり大変優秀な結果が得られました。
LUTも16bit 3D
PCからの入力信号をディスプレイに最適なRGB信号に変換してくれるLUT(ラット)という機能もSW320の14bitから16bitにグレードアップしており、もちろん3D LUTです。
実際に使っていると14bitと16bitの差は体感出来ないくらい14bitの時点で高機能だったわけですが、内部的にはより精度が上がっているので安心。
GeForceユーザーなら10bit出力使えるよ
SW321Cは10bit出力(30bitカラー)にも対応しています。これまで10bit出力はプロ向けグラフィックボードしか使えませんでしたが、2019年からNVIDIA GeForceがOpenGLの10bit出力を解禁しています。
よってPhotoshop使用時はグラボ側とPhotoshop側を設定する事で30bitカラーが使えるようになります。
ほとんどの画像は8bitですし8bitと10bitで大きく見え方が変わるかと言えばほとんど変わらないのですが、16bit編集の限られたシーンなどではグラデーションの滑らかさに差が出て見えます。使える環境にあるならオンにしていて損は無い設定。
発色性能は全く問題なく、安心してOKということです。
輝度ムラ補正やUSB TypeC対応など便利な機能なども搭載
32インチの大画面ともなると心配なのが画面中央と周辺部との輝度差。いわゆる輝度ムラです。ほとんどのモニターは辺にいくほど画面の輝度が暗くなっていきます。BenQのSWシリーズも例外ではなく輝度ムラ補正非搭載のシリーズでは中央と周辺の輝度差が10~15%くらい余裕であるんですね。大画面だと20%くらい落ちていることもあったりします。
SW321Cは出荷段階で画面の輝度ムラ補正もされているため画面全体でかなり均一な表示を楽しめます。実際に測ってみるとこんな感じでした。
画面の中心部分9コマの領域(Lightroomなどで写真をよく表示するところ)はほとんど輝度ムラがなく均一。最外周部の上部と右側が5~10%程度と若干上振れしていますが、補正なしのパネルに比べればかなり均一に見えると言って良いでしょう。
ケーブル1本ですべて完結する便利さ
モデル名に「C」が入っているようにSW320CはUSB TypeCによる映像入力(DisplayPort Alt Mode)にも対応しています。ぶっといHDMIやDisplayPortケーブル使わなくて良いのはもちろん、モニター、PC間のデータ転送も可能ですし、PC側へ60Wまでの給電も可能。
ノートPCの場合、従来の「映像ケーブル、電源ケーブル、USBケーブル(キャリブレーション時に必要)」の3本がUSB TypeC 1本で済んでしまうのです。最高と言うほかありません。
Macはもちろん、WindowsでもノートPC中心にUSB TypeCによる映像出力に対応しているものが増えていますからPC側が対応しているのであれば外部ディスプレイはUSB TypeC対応のモデルを強くおすすめします。
大画面ならではのPIP、PBP機能も
1画面に2系統の入力を表示させるPIPやPBP機能ももちろん搭載されています。PBP機能だと16インチのFullHDモニターが2枚並ぶサイズ感なので作業環境によっては十分実用的でしょう。
1つの入力で色域の違う2画面を並べて表示させるGamutDuoにも対応しているのでAdobeRGBとsRGBの違いを並べて見たみたいみたいなニーズにも応えてくれます。
モノクロモードも便利だよ
もちろんモノクロモードにも対応しています。BenQのカラーマネジメントモニターには以前から搭載されている、PCからのカラー映像信号をモニター側で強制的にモノクロにしてくれる機能。モノクロ用に仕上げる写真のセレクト時や写真のトーンの確認などに結構便利です。
新型ホットキーパックも使いやすいよ
SW270Cから採用されているOSDメニューをコントロールするための新型のホットキーパックG2も便利です。中央のダイヤルとなり回す、押し込む機能が追加されたため、画面下のメニューボタンを押す必要が全くなくなります。
キャリブレーション設定も3パターンまで保存できるので、このコントローラーを使えばボタンを1回押すだけで好きなキャリブレーション設定を呼び出せます。めちゃ便利。
このコントローラーキーにはキャリブレーション結果ではなく、入力ポートを指定することもできます。頻繁に入力切り換えをする人ならこれを登録しておくのも良いでしょう。
外観、可動域などの詳細
SW320Cのめぼしい機能を紹介したところで外観も紹介しておきましょう。32インチだけあってパネルはめちゃデカいです。パネル部分だけで約74.7x44.8cm(実測)ほどあるので箱もテレビかってくらい大きい。
反射を抑えたスベスベのパネル
パネルのデザインはシンプルで配色はSW270Cとほぼ同じダークグレー。SW270Cと違って2cmほどのベゼルが4方にあります。画面サイズ大きいですし、付属のモニターフード装着しちゃうとほぼ気になりません。
パネル表面はノングレア処理されており反射は少ないですが、さらに反射を抑える特殊加工がしてあるようで超スベスベです。個人的にここまで表面がスベスベのパネルははじめて(ほんとはパネル表面を触るのはダメです)。このあたりはSW270Cなど今までのSWシリーズとは違う特徴。
実際使ってみても普通のモニターとはなんか違う滑らかな感じに見えます(うまく言葉で表せない。。劇的に違うって訳ではないけど、別のモニターと並べて見ると違いが分かる感じ)。
クリーニングは専用ツールで
普通のモニターだとパネルの表面はレンズ用のクリーニングティッシュとかで汚れを拭き取ったりできますが、SW320Cは専用のパネルクリーナーが付属しています。
粘着性のローラーでこれで画面をコロコロして汚れを除去。表面を傷める恐れがあるのでこのローラー以外での拭き掃除はNGです。
組み立ては工具レスで簡単
背面側は最近のSWシリーズと同じデザイン。
画面に向かって左側背面にSDカードとUSBポートが2つついています。ベゼルがあるから側面に設置できたら嬉しかったのですが、SW270Cのなどと同じ背面側。ちょっとアクセスしづらいので頻繁に使う方は延長ケーブルなどを付けとくと良いでしょう。
パネルの取り付けはネジではなく、パチッとワンタッチで取り付けられますめちゃ簡単。VESAマウント(100x100)にも対応していますのでネジを使ったモニターアームの取り付けも可能。
入力ポートはHDMI (v2.0) x 2、DisplayPort (v1.4) x 1のほか、60W給電対応のUSB TypeCを備えます。何度でも言いますがUSB TypeCは便利。
付属するケーブルは「miniDP to DP / HDMI / USB / 電源ケーブル(各約1.8m)/ USB Type-Cケーブル(約1m)」と全部入ってる太っ腹仕様。買ったらすぐ使えますね。
付属するUSB TypeCケーブルは約1mと短めなので、長く使いたい方はThunderbolt 3またはDisplayPort Alt Modeに対応しUSB PDにも対応したケーブルを用意しておくと良いでしょう。迷った場合はThunderbolt 3対応ケーブル買っておけば間違いないです。
Thunderbolt 3の2mケーブルは選択肢が少ないのですが、私はこれ使ってます。少々高いですがケーブルは良いもの使った方が良いですね。
認証済み Cable Matters Thunderbolt 3 ケーブル 20 Gbps サンダーボルト 3 ケーブル 100W充電 2m ブラック
可動範囲は従来機と同等で十分
モニターのフットプリント(土台の大きさ)は38x21.5cmくらい。土台も薄いのでデスクに直置きしても邪魔になりません。
一番低くしたときのモニター下端と机面との距離はだいたい6cmくらい。結構下がります。そこから上に15cmほど可動できます。
上下のチルトは-5°~20°。標準的です。
左右の首振り(スウィーベル)は±45°で十分ですね。
縦位置にも対応しているよ
もちろん縦にも対応しています。立てるととんでもない迫力になります。パネルの回転方向は時計回り限定となります(ロゴが必ず左側に来る)
縦横対応の本格モニターフード付き
BenQのカラーマネジメントモニターの良い所は本格的なモニターフードが標準で付いてくる事です(SW240除く)。これだけの大画面のフードは買うと2万以上するいいやつです。SW321Cに付属するフードは横だけでなく縦位置にも対応します。
表面の特殊処理とフードによる遮光が相まって写真本来のコントラストをしっかり見ることができます。ちゃんと編集するときはモニターフード付けましょう。
i1 DisplayProがそのまま取り出せる
このフードの良い点は上部の穴にi1 DisplayProがそのまま入るサイズと言うことです。SW270Cのフードはキャリブレーターがそのまま入らなかったのですが、これは本体ごと穴に通るので便利。
もっとデカいキャリブレーターを通したい場合は蓋を軽く持ち上げくいっとねじると簡単にとれます。
パネルが大きいですがキャリブレーションはしやすい機種ですね。キャリブレーションするときは画面を少し上に向けて行いましょう。
モニターキャリブレーションのやり方は?
SW321Cが対応するキャリブレーターはX-Riteの i1 Display Pro / i1 Pro /i1 Pro 2/ i1 Pro 3 /i1 Studio/ ColorMunki Photo、DatacolorのSpyder 4/ Spyder 5/ Spyder Xとほとんどのキャリブレーターに対応しています。
なお、Spyderの場合、Spyder 4 はmacOS10.15非対応、Spyder5は今後対応予定とのこと。
キャリブレーターは別売りで2~3万円ほどしますが必ず持っておきましょう。このクラスのモニターを使っててキャリブレーターを持っていないというのは最新のプロ向けフルサイズ機を持っていて、レンズは1万円の単焦点1つだけみたいなおかしな状況と同じです。1つもっておけば長く使えるし他のモニターにも使えます。
対応していれば何でも良いですが迷うならi1 Display Proがおすすめです。
こんな感じで色域や白色点(色温度)、輝度、ガンマ、ブラックポイントなど任意で設定してモニターの色を正確にコントロールできます。キャリブレーション時間は測定パッチ数最大にして6分30秒くらいでした。結構早め。
Palette Master Elementはちょこちょこアップデートされているので常に最新版のものを使うのがおすすめです。
詳しいキャリブレーションの流れなどは以下の記事も参考にしてみて下さいね。
プロユースに優しいセンドバックサービスも
SW321Cを含むBenQの「AQCOLOR」の製品は製品保証が3年付くうえ、修理中の代替機貸し出しサービスも行っています(センドバックサービス)。
代替機貸し出しは1回5,000円と有償ですが、専門の引き撮り業者による往復運賃も含まれているのでかなり小さなコストで代替機の利用が可能。修理中業務を滞らせてはいけないプロユーザーにも嬉しいサービスですね。
導入にあたって注意すべき点は?
こんな感じで性能もコスパもかなり高いSW321Cですが導入してみていくつか注意すべき点がありましたので書いておきます。
汚れにデリケートな画面
まずはSW321Cの反射を押さえる特殊な表面処理について。上でも紹介したように超滑らかな表面になっていてスベスベです。ノングレアパネルに反射防止処理をしているので反射が極めて少なくめちゃいいのですが、パネルを汚してしまったときの処理がやや大変です。
パネルクリーニング用に専用のローラーも付属してくるのですが、逆に言えばこれ以外のアイテムで清掃することはできません。
今使っているSW321Cは試用機で、おそらく様々な所で展示などされていたからか、最初からパネル表面に手脂が結構付いていたのですね。これをキレイにするために試しにレンズ用のクリーニングティッシュで表面を軽く拭いてみたのですが全く汚れが落ちませんでした。むしろ脂が伸び広がる感じ。。(普通のモニターならクリーニングティッシュでも汚れは落ちやすい)
付属のローラーを使う事で徐々に汚れは落ちるのですが、手脂は結構強敵で何度もコロコロしないと落ちません。(ホコリとかなら比較的簡単にキレイになる)
モニターのパネルを素手で直接触る事自体が御法度なので通常の使い方をしていれば大きな問題にはならないと思いますが、不特定多数の人が使う汚れやすい環境(特に油系)で使うには注意が必要かと思います(立ち会いで作業していてパネル直接触って指示するクライアントとかたまにいますよね。。)
デュアルで使う場合はフードに注意
32インチでも机の奥行き(画面との距離)は個人的に問題にならなかったのは上で説明した通りです。むしろ今までと同じデスクに置くことで作業する写真が大きく見えるので良きです。
横に並べるにはそれなりの広さが必要
デュアルやトリプルでモニターを並べて使っている人はデスクサイズに注意しましょう。やっぱりそれなりの広さは必要です。さらにモニターフードを付ける場合、フードの影になる部分が出てきてしまうので並べて使うならモニターの左右にそれぞれ10センチ程度のクリアランスが必要になるでしょう。
例えば27インチ(横60センチ)、32インチ(横70センチ)を並べる場合は60+10+70 = 140センチのデスクサイズが最低でも必要です。日本の作業環境だと140センチのPCデスクは結構広めだと思いますので導入の場合はモニターフードを付けたときのサイズも考慮しながら導入するのが良いでしょう。
私のデスクは140x70のサイズにモニターアーム駆使しながら3枚のディスプレイを設置しているのですが、さすがにSW320を置くとフードで左右のディスプレイの一部が隠れてしまいます。大画面の快適さを知ってしまった今はモニターを小さくするより、デスクを広くして大画面使いてぇ。。という気持ちが強いですw
まとめ:貴重な高コスパ大画面カラマネモニター
以上、BenQ SW320Cのレビューを行ってみました。発色はいつも使っているSW271Cと同じで十分広色域。ムラ補正と表面の特殊処理のおかげで紙を見ているような滑らかな質感をモニターで体感出来るのも良いところ。
USB TypeC、HDR(HDR10/HLG)といった最近のトレンドにも対応している全部入りカラーマネジメントモニターです。
実売で22〜23万くらいの価格帯とパソコン用モニターとしては高額な部類に入るものですが、同クラスのモニターと比較するとかなりコスパのよいモデルですので大画面のカラーマネジメントモニターを使って見たい方はぜひチェックしてみると良いと思いますよ!
私もこれからもう少しこのモニターを使い込んでみたいと思います!
BenQ SW321C 32型プロ向けモニター(4K/HDR10/HLG/IPS/AdobeRGB 99%/P3 95%/USB-C/60W給電/HWキャリブレー...
提供、取材協力:ベンキュージャパン株式会社(http://www.benq.co.jp/)