画像はデジカメプラスさんより
EOS Kiss X6iの主な新機能
エントリー一眼の名機として、ベストセラーになったKissX4が発売となったのは2010年。翌年、後継となるKiss X5が発売されましたが、イメージセンサーやカメラの脳にあたる映像エンジン(画像エンジンとも)はX4と同等のマイナーチェンジでした。
X4とX5は平行販売されていたため、ムリしてX5を買わなくてもX4で十分じゃないかな?と以前のエントリーでも書いてみました。(EOS 7DとKiss X4の視点で見る2011年のど真ん中祭り。)
さすがに2年も経てばガラッと変わってくるだろうなーということで結構関心を持っていたわけですが、やっと発表になりましたね!
ということで今回発表となったKiss X6iの注目の新機能をいくつかピックアップしてみましょう。
一応、初心者が写真を始めるに当たって便利そうだなーという機能に重点を置きますが、今回も私の独断と偏見に基づくものですのであしからず。。
EOS Kiss X6i注目の新機能
まずはザーッと書き出してみることにします。
- イメージセンサーがハイブリットCMOSとなった
- 映像エンジンがDIGIC5に
- 常用感度がISO12800までアップした
- AFポイントが9点オールクロスになった
- 連射が5コマ/秒にアップ
- iFCL測光システム採用
- HDR逆光補正モード搭載
- タッチパネルバリアングル液晶を搭載
HPをざっと見た感じ、こんなとこでしょうか。
初心者の人には何がなんだか分からない機能の名前が多いと思いますので、それぞれ簡単に説明していきましょう。
ハイブリットCMOS
一眼レフがコンデジと大きく違うポイントの一つに、ピント合わせの速度(AFスピードとか言ったりします)があります。一眼レフのAF(オートフォーカス)は”位相差検出方式”といって、その大きなボディーを生かし、イメージセンサーとは違う部分でAFを制御しています。これは非常にAFスピードを早くすることができるのですが、ライブビュー中(カメラの液晶画面に画像を映し出しているとき)は使うことが出来ません。あくまでファインダーを覗いて撮影する時専用のAF方式です。
一方、コンデジは”コントラスト検出方式”といってイメージセンサーから得られた画像からピントを判断します。ファインダーがないコンデジには最適な方式ですね。ところがこのコントラスト検出方式のAFは非常に遅いという欠点があったのです。
そこで今回、CMOS(イメージセンサーのこと)に位相差検出方式の機能を埋め込んだイメージセンサーが採用されることになったようです。この機能により、ファインダーを使わず、ライブビュー中や動画の撮影中に非常に速いAFを使うことができるようになります。
他のメーカーの最近のミラーレスカメラではこのハイブリットCMOSが適用されることが多くなってきましたがたぶんキヤノンでは初搭載なはず。
DIGIC5
映像エンジンとはイメージセンサーに入ってきた情報を写真にするための計算を一手に担うカメラの脳みそです。パソコンで言うCPUみたいなところ。いままではDIGIC4でしたが、今回からDIGIC5へ。DIGIC5は最近のハイエンド製品に搭載されているもので、DIGIC4の約7倍の処理能力があるといわれています。
常用感度ISO12800
常用感度というのは、”めちゃくちゃなノイズが入らない”ギリギリの感度のことです。KissX5まではISO6400でしたが1段(EV)ぶん上がりました。1段分というのはシャッタースピードを2倍速くすることが出来るので、暗くて手持ちだとキツイ場面でも使えるチャンスが広がりました。
コレまでのイメージセンサーを大幅に改良してノイズを減らしたのか、DIGIC5の計算能力を使って、後処理でノイズを減らしているのかが気になるところですね。ちなみに早くもKiss X6iの実写サンプルが出ています(dpreview.com:Canon EOS 650D Rebel T4i Preview Samples EOS 650DはKissX6iの外国での製品名です)。
これを見た感じだと、ISO3200くらいまではかなりキレイに撮れそう。ISO6400でも明らかにこれまでより良くなってるみたい。ISO12800は結構ノイズが出ていますが”めちゃくちゃなノイズ”ではないですねw
AFポイント9点オールクロス
AFポイントというのはAF用のセンサーのある位置のこと。ファインダーを覗くと、中央を中心に小さな四角形(□←こんなやつ)がいくつか並んでいますがこれのことです。今までのKissシリーズでもAFポイントは9点だったのですが、これがオールクロスになりました。
AFのセンサーは通常、縦のセンサーと横のセンサーの2種類があります。これまでのKissX4やX5は中央のセンサー1つだけが、縦と横のセンサーを組み合わせたクロスセンサーで、他の8点は1つしか使っていませんでした。クロスセンサーにするとピント精度が非常に良くなります。X6iは残りの8点もクロスセンサーになり、AF性能が向上していそうです。
連射速度5コマ/秒
KissX4、X5では3.7コマ/秒だったのでアップしましたね。DIGIC5適用で処理速度がアップしたためでしょう。5コマ/秒あれば通常の撮影で不足を感じることはほぼないと思います。でも、以前のエントリー(EOS 7DとKiss X4の視点で見る2011年のど真ん中祭り。)でも述べたように、連射が必要なスポーツなど激しく動くものに対してはこのカメラ自体があまり向いてないので、そこまで必要かな?という感じはあります。
AFも改善されてるようですし、今までよりは動きモノにも強くなってるかもしれないですね。
iFCL測光システム
カメラが写真の明るさ(露出)を計算するシステムのことです。前回エントリー(実は、カメラは「”白”を白くしない」のワケ。)でも書きましたが、通常、カメラが露出を計算する時はカラーをモノクロにしてから計算するのですが、このシステムは色の情報も露出計算に使っちゃおうというものです。
最近の上位機種には搭載されていましたが、エントリークラスにもようやく搭載されましたね。カメラが自動で判断した明るさがちょっとは人間の見た目に近づきそうです(といってもまだまだですけどね。。)。
HDR逆光補正モード
これは今回新しく搭載されたオートモードの一つみたいです。基本的にちょっとカメラに慣れればオートモードなんていらないと考えているのですが、これは結構便利そう。HDRというのは明るさの違う複数の写真を合成して、逆光などの明るいところと暗いところの差(輝度差)が大きな場面でも、人間の見た目に近いように仕上げる処理のことをいいますが、これがオートでできるみたい。
逆光の写真が上手く撮れないという場面では積極的に使っても良さそうですね。ただ目新しい機能というわけではなく、最近の他社のデジカメでも似たような機能が搭載されているものもあると思いますが。。
タッチパネル液晶
KissX5では液晶画面が動く、バリアングル液晶を搭載していましたが、X6iからはさらにタッチパネル式になりました。一眼レフにはボタンがたくさんあって操作が大変そう。。と思っていた人には朗報ですね。スマホ感覚で設定をいじれそうです。
まとめ
上記以外にも新しくなったポイントはいろいろあると思いますが、目に付いた機能はこんなかんじでした。
Kiss X4やX5に比べるとカメラの基本性能は確実にアップしており、手堅く進化してたといったところ。ただ、革新的な新機能があるかと言われると残念ながらあまりないですね。。
強いて言うなら最初に挙げたハイブリットCMOSかな?この機能は正直いいなーと思います。ライブビューで撮ることはほとんどないですが、動画撮影なんかでは非常に頼りがいのある機能。ぜひとも上位機種にも取り入れてほしいものです。
お値段しだいな所もありますが、これまでのKissシリーズと同様、基本性能がしっかりしているので、これから一眼レフを買おうかなーという人には結構おススメできそうなカメラです。
悩ましいのはKissX4やX5を使っているユーザー。買い換える価値はあるのか?ということですが、個人的にはそこまでではないかな。。と言いたいです。確かに、基本性能は今回上がりましたが、X4、X5もかなりいいカメラ。このカメラを使っていて画質や操作性に不満を持っていて買い換えたいと思っているユーザーはおそらくエントリーモデルからミドルクラスへステップアップするタイミングに来ているはず。X6iよりももう1ランクアップしたクラスのカメラを買ったほうが幸せになれると思います。
今年秋くらいに次のミドルクラスの発表が行われるんじゃないか?と噂されているのでそこまでしっかり貯金しておきましょう!(笑)
もう一つ、今ミドルクラス以上のカメラを使っていて、手ごろなサブ機が欲しいなーと思っている方にはいいかもしれません。操作性は劣りますが、画質、AFなどの基本性能は同等(もしくはそれ以上)っぽいので頼もしいサブになってくれるはず。
何はともあれ、まずはお値段が気になりますね。。