小さいけどプロ機並の発色、SW240
写真の編集をするにはモニターの発色が大事。これは多くの人が認識していることだと思いますが、幅広い色をキチンと発色出来るモニターというのは非常に高価でもあります。
そんななか、一般の人でも手が届く価格帯で広色域かつハードウェアキャリブレーションに対応したモニターを出して、カラーマネジメントモニターのハードルをグッと下げてくれたのがBenQのSWシリーズ。
2016年に出た27インチWQHD(2560x1440)のSW2700PTにはじまり、32インチ4KのSW320、27インチ4KのSW271と既存の同スペックモニターと比べて半額近いコストパフォーマンスを発揮してきたSWシリーズに新しい小型カラーマネジメントモニターが仲間入りすることになりました。
SWシリーズでは最もお手軽な24.1インチWUXGA(1920x1200)のSW240です。解像度こそ普通ですが、発色は上級機と同じ、AdobeRGB99%、ハードウェアキャリブレーション対応のスゴいやつ。画面サイズが16:9ではなく縦に少し長い16:10ってのもポイントです。
今回はそんなSW240の特徴や詳細について詳しくレビューしてみることにします。
SW240を使うと写真の色に悩まなくて済むかも
まずはじめにSW240のスペックをざっと紹介してみましょう。
プロスペックの発色
冒頭でも言ったとおり、発色に関しては今まで発売されてきた上位のSWシリーズとほぼ同じプロスペックのものと考えてOK。高級機の証とも言えるAdobeRGBカバー率99%でハードウェアキャリブレーションキャリブレーションに対応しています。
もちろんsRGBは100%、DCI-P3の色域も95%カバーします。
メモ:ハードウェアキャリブレーションとソフトウェアキャリブレーション
ハードウェアキャリブレーションとはキャリブレーターと呼ばれる計測器による測色結果を元にモニター側の出力を調整して色を整えられる機能。一方ソフトウェアキャリブレーションはキャリブレーターによる測色結果を元にPCからのグラフィック出力をゆがめて色を整える機能。
ハードウェアキャリブレーション対応モニタならPCからの出力を100%使えるため高品質な表示が得られる。
階調性もgood
階調に関しても14bit 3DLUTを搭載しているため、PCからの8bit出力を14bitに多値化し最適な階調を画面に表示することができます。
また、PC側が10bit出力に対応していれば(専用のグラフィックカードが必要)、より滑らかな10bit表示をすることも可能です。これらも上位のSW240シリーズと同じです。
この辺りは後半に詳しく掘り下げて紹介します。
24.1インチ、1920x1200
発色が同じならなにが違うのかというと、画面サイズが違います。
これまでのSWシリーズは最低でも27インチの画面サイズでしたが、SW240は24.1インチ。27インチだと奥行きが狭いデスクやリビングの隅に置いておくような使い方だとちょっと大きすぎるという場合もあるでしょうが、コンパクトな24.1インチなら置く場所を選びません。
恐らく日本で最も売れてるディスプレイサイズは24インチクラスでしょうからいろんなものに合わせやすいですよね。
小型のノートPCとの組み合わせでも相性が良いです。
16:9ではなく16:10なのがわかってる!
画面の解像度は1920x1200ピクセル(WUXGA)で縦横比は16:10です。一般的な24インチモニターの解像度は1920x1080(FullHD)で16:9なのですが、SW240はFullHDより縦に120ピクセル長いのですね。写真を扱うモニターとしては素晴らしいです。
なぜかというと、写真って横だけじゃなく縦でも撮るじゃないですか。一般の16:9のモニターだと縦構図の時に写真がとても小さくなってしまうのです。でも16:10なら縦構図でも少し大きく表示出来ます。たかが120pxだと思うかもしれませんが、使い比べてみるとこの120pxの違いはかなりデカいのです。
追記:横に表示したときも16:10の方が大きく表示出来るので比較画像作ってみました。
特に画面サイズが小さい24インチクラスでは縦構図の写真が大きく表示出来るというのは非常に大きなメリットです。個人的には世の中のモニターすべて16:10にして欲しいくらい(笑)
モノクロやオリジナル表示設定の登録もできるよ
これまでのSWシリーズにも搭載されてきたモノクロモード(三段階)ももちろん搭載されていますし、キャリブレーターを使った本格キャリブレーションをせずとも、OSDメニュー(モニターのボタンポチポチするやつ)で輝度やコントラストはもちろんのこと、色域や色温度も細かく調整する事ができます。
このへんの設定の自由さもその辺の普通のモニターとは次元が違う構成ですね。
オリジナルの色設定は2つまで登録出来るし、ハードウェアキャリブレーションした設定も3つまで本体側に登録できるので、色域違いや色温度違いで使いたいときも便利です。
上位モデルから省略された機能も
ただし、お手軽モデルなので上位のSWシリーズと比べて省略された機能もいくつかあります。
例えばモニター設定をボタン1つで切り換えられるホットキーパッドが省略されました。ただし、これは専用のホットキーが代替機能として付いており、カラー設定をボタン2~3回押せば切り換えられるようになっています。専用ボタンは結構使いやすく、24.1インチと筐体が小さくなったのでコントローラーより専用ボタンのほうが有り難いと考える人もいるでしょう。
それと、モニターフードが標準で装備されていないという点も注意。こちらは専用のフードが別売りとなっているため必要なら別途入手しましょう。安価に済ませたいならフードを自作してしまうというのもアリだと思います(詳しくはあとで説明)
最も安いカラーマネジメントディスプレイでは?
このSW240、気になるお値段は執筆時点で54,799円(@アマゾン)。広色域かつハードウェアキャリブレーション対応のカラーマネジメントディスプレイでは他社品含めて最もお安いモデルなのでは?と思います。
カラーマネジメント機能の付いていない普通の色域のモニターでも24インチ 1920x1200(WUXGA)モデルは3.5~5万円するので結構お買い得感あるお値段です。
また、24インチカラーマネジメントディスプレイとして考えれば相場はだいたい10万円~という感じなので、BenQさん太っ腹!と言わざるをえない感じです。どんな人に向いているの?といったことは記事の最後にまとめてみようと思います。
とりあえずカラーマネジメント環境のハードルがさらに下がった!という感じです。みんなで始めましょう、カラマネ。
BenQ カラーマネジメントモニター ディスプレイ SW240 (24.1型/1920×1200/IPS/16:10/AdobeRGB 99%/DCI-P3 95%/キャリブレーション対応)
追記:レビュー動画も作ってみました!
YouTubeのstudio9 channelにレビュー動画もアップしてみました。気になる方はこちらもどうぞー!モニターキャリブレーションをやっている様子なども載せてますよ。
デザイン、外観など
ここからはSW240の特徴について主要な部分を細かく掘り下げて行くことにしましょう。まずはデザイン、外観から。
SW271譲りのシンプルな狭ベゼル仕様
お届けの箱はこんな感じです。SW270はビックリするほど大きな箱で届きましたが、SW240一人でも扱えるサイズ感です。
箱を開けるとおなじみ、キャリブレーションレポートが封筒に入っています。
SW240を始めSWシリーズは工場出荷時に1台1台色が調整されて出てきますので箱を開けてすぐに正しい色を表示させることが可能です(ターゲットは6500K、AdobeRGB)。このへんはさすが色にこだわったモデルで、その辺の安いモニターとは次元が違うのです。
組み立ても簡単です。女性一人でも苦労せずにできるレベルだと思います。部品はパネル、土台、支柱の3つだけで、工具いらずではめ込むだけ。フットプリント(土台の面積)も小さめなため狭いデスクでもスペースを圧迫することはない感じです。
デザインは上位のSW271をそのまま小さくしたようなシンプルさで個人的にはとても好み。ほぼベゼルレスな画面はスッキリしており、ノングレア(非光沢)仕様。
下部ベゼル前面にメニューボタンが並んでます。個人的にはベゼルの下部にボタンが並んでるより、このように大きく押しやすいボタンが前面にある方が実用的で好みです。ベゼルカラーはナチュラルグレー。Photoshopの背景が黒でなく、グレーであるように画像編集時に最も邪魔をしないカラーとして採用されたこだわりの配色です(SW271でも採用)。
上下方向の可動域は約14センチで左右のチルトは±45°と広いです。縦方向のチルトは-5~20°で十分でしょう。
もちろん縦回転も可能。16:10の画面だと縦にしても変に細長く感じないので普段使いでも結構使いやすいと思います。回転方向は時計回り限定です。
入力ポートは DVI-DL / HDMI1.4 / Display Port1.2 の3系統。モニターに付属のケーブルはDVIとDisplayPortだけでHDMIケーブルは同梱されていないため、持っていない人は注意しましょう(普通のHDMIケーブルが流用できます)。USB-Cポートはありません。
画面向かって左側の側面(というか背面)にはUSB3.1ポートが2つとSDカードスロットも完備。キャリブレーション時はここにキャリブレーターを接続して使います。ほぼベゼルレスな仕様のためポートはどうしても背面側になってしまうようです(他の狭ベゼルモニターでも同じだと思う)。
背面ポートにアクセスしづらい方は短めのUSB延長ケーブル差しっぱなしにしていると楽です。(SW270で私も常用してます)
ノートPCとの組み合わせで使うのも結構良い感じです
手元の13インチノートと組み合わせてみるとサイズのバランスが良く、メインをSW240、サブをノートPCのディスプレイにしたデュアルモニター構成にしてみるのも良いでしょう。
Lightroomはネイティブでデュアルモニター対応していますので、メインの現像画面は大きくて色がしっかり出るSW240にしておき、サブ画面にサムネイル一覧を表示させるといった使い方をすると良さそうです。
上位モデルと同様の発色性能!
つぎは気になるお色について。冒頭にも言ったとおりカラーマネジメントモデルだけあって発色は非常に良いです。実機で測定したリアルな値を紹介していきましょう。
AdobeRGBカバー率99.8%!
手元にあるSW240の発色をキャリブレーターのi1 Display Proを使って計測してみました。結果はこちら。
紫色のラインがSW240の色域で、青色がAodbeRGB、グレーがsRGBです。パッと見てわかるようにSW240はAdobeRGBのほぼすべての色域をカバーしており、専用ソフトで重なりを調べてみるとAdobeRGBカバー率は99.8%とほぼ完璧にカバーしていました(カタログ値は99%)。
また、赤方向を見てみるとAdobeRGBよりも広い範囲の色が発色可能でAdobeRGB比は112.7%。上位のSW271やSW2700PTと同等の発色性能を持っていることがわかりますね。
もちろんsRGB色域のカバー率は余裕で100%です。
カメラで記録できる色域は広いので
なぜ写真編集に広色域モニターが向いているのかというと、カメラで記録できる色の範囲はとても広くRAWデータからならAdobeRGBを超える色域に展開可能だからです。
RAWで撮影してきて、普通のsRGBモニターでRAW現像をすると高彩度の写真なんかはモニターですべての色を見ることができないんですね。AdobeRGB(またはそれを超える)モニターなら、RAWで撮ってきた写真の大部分をきちんとモニターで見ながら編集が可能なのです。
*カメラ側でsRGBに設定してJPEG撮影オンリーならsRGBモニターでもOKです(この場合は撮影して記録するときにカメラ内で色が狭められている)。また、RAWの場合はカメラ内のsRGB/AdobeRGBの選択は関係ありません(現像時に指定できる)。RAWについて詳しく知りたい方は下記エントリーもどうぞ!
プリントでも効果あるよ
広色域モニターを使うメリットはプリントするときにもあります。通常のインクジェットプリンターで出力可能な色域もsRGB色域を超えているからです。
先ほどの色度図にプリンターで出力可能な色域を加えてみました(黄色)
パッと見てもわかるように青や緑系の色はsRGBよりもずっと広い色をプリンターで出力可能なのですね。つまりsRGBモニターで作業してプリントした場合、この部分の見えない色を勘で出力するか、写真の色域をsRGBに狭めてから出力しなければなりません(プリンターの能力を生かし切れない)。
広色域モニターなら大部分(完全にはカバー出来ていないけど)の色をモニターで確認して出力できるので色を合わせやすくなるのです。
階調性もしっかりしてるよ
モニターの中にはパソコンからの入力信号を解析して最適なRGB信号を割り当てるルックアップテーブル(LUT)という機能が入っているのですが、SW240には上位機と同じ3D LUTという高性能なLUTが搭載されているんですね。そして、ハードウェアキャリブレーションすることでこの高性能なLUTを更新でき、つねに高品位な色再現性や階調性(なめらかなグラデーション)を保てるのです。
しかも、8bit(256階調)で入力された信号をモニター内部で14bitまで多値化して色を演算する14bit 3D LUTです。
3D LUTは高級機の証です。
10bit入力にも対応
パネルは10bit入力にも対応していますので、10bit出力に対応した環境ならより滑らかなグラデーションで表示可能です。
現在の所、10bit出力可能なのはnVIDIA QuadroやAMD FireProなどプロ向けグラフィックボードのみなのでハードルは高めですが、将来もっと10bit出力が一般的になったときでも対応できます。
ただし、普通の人の目には8bitと10bitで出力された写真の違いはほとんどわからないレベルで8bit出力でも十分なのでご安心を(3D LUTのようにモニター側でキチンとした演算が行われていれば)。10bitグラフィックボードに投資するよりは先にキャリブレーターに投資を行う方がオススメです。
輝度ムラも少なかった
SW240には残念ながら他のSWシリーズと同様に輝度ムラ補正機能は付いていませんが、画面の輝度ムラを測定してみるとかなり優秀でSW271より均一な表示です(パネルが小さいのでムラを抑えやすいのかな?)。
輝度ムラに関しては個体差によるバラツキがある程度みられますが、私の手元にある個体は非常に優秀でした。
ハードウェアキャリブレーションも難しくないよ
SW240は工場出荷時に色が調整されているため、買った時は正しい色を表示出来ますが、モニターというのは使っているうちに色が少しずつズレてくるので、将来にわたってノーメンテナンスで正しい色は表示出来ません。(どんな高級モニターでも同じです)
クルマやカメラも買ったときの性能を維持するにはメンテナンスが必要なのと同じ。
それを担うのがモニターキャリブレーションです。経時でわずかにずれてしまった色をきちんと補正してあげる機能のこと。おおよそ200時間ごとにキャリブレーションをするのが目安と言われてます。1日7時間使用なら1ヶ月ごと、3~4時間なら約2ヶ月ごとのキャリブレーションをしておくと常に一定の色で作業ができるのですね。(そこまで厳密にしなくていいなら300~400時間ごとでも十分だと思います)。
ぜひキャリブレーターを入手して
で、モニターの色を図るためには専用のキャリブレーターという測色機が必要になります(SW240には付属しません)。目視だけでわずかないろのズレを補正するのはまず不可能なので、きちんとした専用機器が必要なのです。
また、キャリブレーターを使う事でモニターの色を補正するだけでなく、補正後のモニター特性を記録した証明書(ICCプロファイル)を作ることができます。プロファイル作成は目視調整では不可能です。
キャリブレーターはまぁまぁのお値段するので、購入をためらいがちですが本格的に色環境を整えたいならカメラやレンズ買うよりもまずキャリブレーター買いましょう。これ1台あればプリントの色合わせや、複数のモニターの色合わせなど様々な用途に使えます。
SW240に対応するキャリブレーターはX-Rite i1 Display Pro/i1 Pro/i1 Pro 2 と Datacolor Spyder 4、Spyder 5 とメジャーなものにはだいたい対応しています。個人的なおすすめは i1 Display Proです。
こういう色環境を整える事を「カラーマネジメント」と言うのですが、詳しく書き出すとあと1万字は必要になってくるので、興味ある方は過去エントリーをお読みくださいませ。ここにある内容を理解するだけでも色に関する悩みはずいぶん減ると思います。
専用ソフトで調整出来る
キャリブレーターさえ持っていればモニターキャリブレーションは簡単です。
付属のCDやBenQのWEBサイトから専用のキャリブレーション用ソフト「Palette Master Element」をダウンロードしてそれに従って数ステップ踏むだけです。Windows/Macの両対応。定期的にアプデートされているためWEBサイトから最新版をダウンロードして使うのがおすすめです。
使い方はSW270やSW2700PTと同じですので以前の記事を参考にしてみてください。
所要時間は1回あたり10~15分程度。ちょっとだけ時間かかりますが、1~2ヶ月に1回やればいいのでそんなに苦になる作業ではないと思いますよ。
モニターキャリブレーションの流れなどは近日中に動画でもご紹介してみようと思います!
モノクロや他の機能の便利機能
モニターの基本的な機能をご紹介してきましたが、まだ細かな便利機能がいくつかあるので拾っていきましょう。
3段階モノクロモード搭載
これまでのSWシリーズにも搭載されてきた便利なモノクロモードがSW240にも搭載されています。しかもSW271と同じく3段階のコントラストが選べます(SW2700PTは1段階)。
この機能、PC側からの出力はカラーのままなのに、モニター側で表示をモノクロにする機能で、PhotoshopやLightroomなどで画像調整することなくモノクロの仕上がりイメージを確認できるため便利なんですよね。
Lightroomでサムネイル一覧を表示させた状態でモノクロモードを使えばモノクロ用写真のセレクトが楽にできるなど工夫次第でいろいろな使い方が可能です。
3段階のコントラスト調整
メニュー画面からモノクロモードのレベル1から3まで選択することで、表示のコントラストが選べます。レベル1は浅めのマイルドな表示。レベル3にするとメリハリの付いた固めの表示です。好きなものを選びましょう。
入力信号は変わっていないため、モノクロモードからカラーモード(AdobeRGBとか)に戻せば画面はカラーに戻るのでご安心を。
専用ホットキーに好みの設定を登録可能
従来のSWシリーズにはカラーモード(表示設定)をボタン一発で変えられるホットキーパッドという専用コントローラーが付属していましたが、SW240にはそれが付属しません。
その代り、ホットキーパッドの代替機能となるカラーモード専用ホットキーが新設されました。ボタンを押すだけで登録したカラーモードを簡単に切り替え可能です。
初期設定ではAdobeRGB/sRGB/モノクロ が登録されていますがもちろん変更も可能です。専用ホットキーに登録するにはホットキーを5秒長押しして登録画面を出せばOK。簡単ですね。
私のおすすめはキャリブレーター持っているなら 校正1[モニターネイティブ表示(フルパワー表示)]/ 校正2[sRGB表示] / モノクロ かな。キャリブレーター持ってなくてもAdobeRGBの5000Kといったようなオリジナル設定を作ってユーザー設定として登録しておけばこれをホットキーに反映することも可能です。
上位機に搭載されるホットキーパッドは私も好きな機能でよく活用しているため、付属していないことを知ったときは少々がっかりしてしまったのですが、実際使ってみると結構快適でした。狭めの机ならモニターに付いているボタンで操作した方がゴチャゴチャしなくて良いかもしれません。
まとめ:どんな人におすすめなの?デメリットは?
ということでSW240の詳しいレビューをしてきました。冒頭で言ったとおり一番大事な色の表示性能は上級機と変わらぬ機能で非常に高性能です。ではちょっとイマイチなところはどこでしょうか。
モニターフードが付いていない
SW240のデメリットはというと1つめはモニターフードが標準装備ではないこと。ライトに使うならモニターフードがなくてもおかしな見え方になることはありませんが、ハードウェアキャリブレーションまでしっかりやって正しい色をきちんと表示したいなら光の反射を抑えるモニターフードはあった方が良いです。より安定した色を見ながら作業ができますし、画面に集中することもできます。
ただし、上級ユーザーなどで、後述するサブモニター用として使う場合はモニターフード不要という人もいるでしょうからコスト的にも標準装備としなかったことの理解はできます(モニターフード付けて2台ならべると画面が見づらいので私もメインのモニターしかフードは付けてないです)。
メインモニターで使うか、サブモニターとして使うかでここの評価は分かれそうです。
専用フードは別売りしています
もちろん別売りで専用フードも売られているのですが、お値段12,800円と本体価格から考えるとやや高めかなといったところ(モニターフードとしては標準的なお値段なので、これをいままで標準で付けてきた他のSWシリーズがすごいとも言えるのだけど)。
モニター本体と専用フードを合わせて購入すると27インチWQHDのSW2700PT(モニターフード標準装備)と同じくらいの値段になるので悩ましいというのが正直なところではあります。
モニターフードは自作もできるよ
せっかくのお手軽価格帯のモニターですので、少しでも安く済ませたいというならモニターフードを自作してしまうのも良いかも知れません。少し手間はかかりますが材料費1000円くらいで作れちゃうので。過去記事に詳しい作り方があるのでこちらも参考にしてみてね。
画素密度がちょっと物足りない
これは昨年から4KのSW271を使い慣れてしまった私の個人的な感想なのですが、もう4Kのスーパー滑らかな表示に慣れてしまうと、1920x1200の解像度のモニターはちょっと荒く見えてしまうというのはあります。
普通のFullHDやWUXGAのモニターと比べれば表示品質にまったく問題はないので、今までFullHDのモニターを使ってて乗り換えるなら何の違和感もないと思いますが、WQHDや4Kのモニターの他、MacのRetinaディスプレイなど画素密度の高いモニターをメインで使っていた人が色の正確さだけを目的に乗り換えるとちょっと荒く感じてしまうかもしれないので注意しておきましょう。
ちょっと贅沢な悩みですね。
どんな人におすすめなの?
ということで私が考えるSW240オススメなパターンの人はつぎに3通りになるのかなと思っています。
SW2700PTやSW271のサブモニターとして
普段から27インチや30インチクラスのカラーマネジメントモニターを使っている人のサブモニターとして使ってみるのがおすすめです。
私は豪勢にSW271のサブにSW2700PTを使っているのですが、きちんとキャリブレーションすれば両者のモニターの色はほぼ揃いますし、Lightroomでデュアルディスプレイ表示したときに、どちらのモニターの色も同じように出てくれるというのは大変気持ちが良いものです。
設置スペース的に27インチを2枚並べるのが辛い場合でも24インチなら並べやすかったり。あと、パネルが軽いので結構安めのモニターアームでも自由に設置できちゃうのもポイント。
ぜんぜんカラーマネジメント関係ないですが、縦に設置すると横幅が広くなるためTweetDeckなど複数カラム対応のTwitterクライアントの表示に超便利です(笑)PDFなどの資料も16:10モニターを縦で使うとかなり見やすいですよ!画像編集以外のタイミングでも16:10モニターは1枚あると便利です。
ノートPCの作業用モニターとして
いままでノートPCをメインで使用していたけど、もっとキチンとした色で作業したい人で、27インチほど大きいモニターは必要ないといったカラマネ入門者にもちょうど良いスペックです。
最近は結構改善されていますが、ノートPCのモニターの色はかなり適当なものが多いですし、色を見る環境としてはあまりよくありません。そんなときにSW240があれば筐体もコンパクトですし良き作業用モニターになってくれるはず。
ノートPCで編集していて色に悩んでる人は外部モニター導入はホントおすすめです。HDMIケーブル1本で繋ぐだけですからね。
FullHDモニターの置き換えとして
いままで普通の24インチFullHDモニターを使用していて、もっとキチンとした色で作業したい人が使ってみるのも良いでしょう。
SW240に置き換えてもFullHDモニターからの移行なら画面の粗さも気にならないですので問題ないと思います。ただ、27インチWQHDのSW2700PTも(特にモニターフード込みで考えると)お値段的にちょっと頑張れば手に届くので設置スペースに余裕があるならこちらも検討してみると良いと思います。
がっつりRAW現像したくて設置スペースに余裕があるならSW2700PT(またはそれ以上)、部屋が狭いなどできるだけコンパクトに抑えたいならSW240という選択が良さそうです。
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おそらくSW240の最大のライバルは価格差約1.5万円のSW2700PTになるんだと思います。他のモニターでこの価格帯で勝負できる広色域カラーマネジメントディスプレイは思いつきません。それだけBenQ SWシリーズのコスパはすごいのですよ。
コンパクトでお手頃価格なのにしっかり色を出せるSW240、ぜひチェックしてみてはどうでしょう。
す。
BenQ カラーマネジメントモニター ディスプレイ SW240 (24.1型/1920×1200/IPS/16:10/AdobeRGB 99%/DCI-P3 95%/キャリブレーション対応)
追記:3ヶ月使った長期使用レビューも書きました!
SW2700PTやSW271と迷っちゃうという方は過去のレビュー記事もどうぞ!
提供、取材協力:ベンキュージャパン株式会社(http://www.benq.co.jp/)