唯一の写真検定
写真を趣味にしている人の中には ”検定” で自分の実力を測ってみたいなと思う人もいることでしょう。または写真関連の仕事をしていて何かしらの資格が欲しかったり。写真の世界にも一応検定があるんです、それが「フォトマスター検定」。「フォト検」と呼ばれたりすることも。
名前が結構ダサいところが気になりますが(笑)、文部科学省の後援を受けていたりして実はまともな検定だったりします。写真の検定で怪しく無さそうなものはたぶんこれだけ。唯一の写真検定です。
今回はそんなフォトマスター検定について紹介してみます。ちなみに私も1級を持っていますよ^^
今年(平成27年)の申し込み締め切りは9/24まで(ネット申し込み、試験日11/15)。あと僅かです!
フォトマスター検定は昔にも一度書きました
フォトマスター検定って?
写真分野では唯一といってもいいフォトマスター検定(他に検定あったら教えて下さい)ですが、まず最初に知っておくべき事は ”この検定で計れるものは写真の上手さではなく、写真の知識や教養” という点です。
*写真技能士という国家資格もありますが写真館向きの肖像写真を扱う技術を問うもののようで検定とはまた違った感じかな?
よってこの検定を持っているからといって「俺、1級持ってるぜ!」とドヤ顔してもあまり意味は無いかも知れないということです^^; 。ただ、内容は特に写真の知識を問うという点に関してかなりまともだと思うので、個人的に1級持ってる人は写真の話が通じやすい信頼に足る人だなという印象はあります。
写真の知識に関してはかなり広く網羅的に問われるので、普通に趣味で写真を楽しんでいる人もこの機会に勉強してみると知らない世界がいっぱい見えてくると思うのでオススメです。
カメラなんて所詮は機械ですから、基本的な知識や仕組みをしっかり覚えさえすれば技術的にはどんな状況にも対応出来るようになるはずです。
実用的な検定なの?
フォトマスター検定が始まったのは2002年で今年(2015年)で13回目を迎えます。2014年までの12回での受験者総数は63,232名。2014年の受験者数は6,650名でした。
この数字が多いか少ないかはちょっとよく分からないのですが、写真をある程度やっている人の中ではワリと認知されているものかと思います。
とはいえ、これを持っているからカメラマンになれるとか、スタジオに就職できるというものではありません(たぶん)。ただ、この検定を持っている人からすれば履歴書に「フォトマスター検定1級」と書いてたらとりあえず口だけでは無さそうだなとは思われるかも知れません(少なくとも私はそう思います)。もちろん大事なのは写真が撮れるかどうかですが。
また、量販店の店員やカスタマーサービスの人がこれ持っているとすごく信頼できるなと個人的には思います。というか、取得を必須にして欲しいくらいです^^;
写真を趣味にしている方にとってはこの検定で自分の写真の世界が広がったり、モチベーションアップのための目標になったりするかなと思います。ここで改めて勉強してみると自分の知らない知識がこんなにあったのか!と思う人は多いはず。ちょっと難しめの写真の本もスラスラ読めるようになると思います。
写真の上達もかなり早くなるはずです。
取得してマイナスになることはないかな?
実用性という面ではそれほど高くは無いと思いますが、試験に向けて勉強したことで得られる知識は決して無駄にならないはず。取ってプラスになることはあってもマイナスになることは無いんじゃないかと思います。
*本屋で1級の問題集を見てほとんどスラスラ解けるようなら取る必要は無いかも。
出題分野や階級、合格率は?
出題分野
写真に関する知識や教養をテーマにするためかなり広範囲な内容から出題されます。デジタル全盛の時代とはいえ一部フィルムに関する出題があったり、カメラ、レンズのメカニズム、ストロボやプリンタなど周辺機器に関するもの、撮影マナーや写真史などさまざまです。
公式HPから引用すると出題範囲はこんな感じ。
撮影方法、撮影技法、カメラのメカニズム、レンズ等の光学問題、露出の決定方法、撮影周辺機器・機材、ライティング、被写体に関する知識、関連法規、マナー、写真史、写真家、プリンターに関連問題、デジタルカメラ関連問題、フォトレタッチ関連問題、フィルムカメラ関連問題など、写真とカメラにまつわる役立つ実用知識。
ーフォトマスター検定HPより
ベテランでもこれらすべてを網羅的に理解している人は少ないのでは?
最新のトピックも出題
昔からの一般知識だけでなく、最新技術のトピックが出題されることもあります。最近だと、像面位相差、裏面照射型CMOS、HDR、UHS-II、ローパスレス/キャンセルとかその辺がキーワードになりそうかな。
準1級以上受ける人はこの辺の内容もしっかり説明できるくらいの知識は必要です。
今年(2015年)からは統一問題
これまでフォトマスター検定は共通問題と選択問題(フィルム、デジタル、フォトレタッチ)に分かれていましたが、今年からは選択問題が廃止され統一問題となったようです。
デジタル中心の構成になるようですがフィルム関連も10%ほど出題されるとのこと。
検定の階級は4(+1)つ
ここまで読み進めると難しそうかな。。と思う人もいるかも知れませんが、難易度別に4つの階級が用意されているので写真を始めた方ならだれでも受けられます。
1級を取得するとさらに上級のエキスパート(EX)クラスも受験できます。
各試験の難易度はこんな感じ。結構前の記事ですがデジカメWatchさんの記事が分かりやすいので一部引用させていただきます。
3級
製品のパンフレットや取扱説明書に書いてある中心的な内容が理解できる。ピントが合っている、露出が合っている写真が意図的に撮れるというレベル。当初の設定レベルは中学校や高等学校の写真クラブやDPE店の接客業務レベル。
ーデジカメWathより
写真をはじめたばかりでもちょっと勉強すれば取れるレベルかと思います。というか、ここでしっかり基礎固めをするとその後の上達がめちゃ早いはず。
このレベルでも一般の人から見れば「写真に詳しい」と思われます(きっと)。
2級
基本的な知識をベースとして、一般的なレベルで写真を楽しむことができる。たとえば「被写界深度」という言葉の意味がわかるだけでなく、どのように表現に活かせるのかがわかるレベル。
ーデジカメWathより
この辺りになると、写真やってる初心者の人からでも「すごい、写真詳しいね!」って十分思われるレベルかな?
写真始めたばかりの人が無勉強で挑むのは難しいはず。
準1級
写真とカメラに関する高度な知識がある。一例としては、撮像素子の受光の仕組み、レンジファインダーカメラの仕組み、シャッター速度と絞りの関係、全周魚眼レンズと対角魚眼レンズの違い、PLフィルターの原理、日中シンクロにおける調光方法、レフ板の使い分け方など。
ーデジカメWathより
ここまで来ればかなり胸を張ってもいいくらい。2級と準1級の間はレベルのギャップが大きい気がします。ある程度写真やってるベテランでも無勉強で取得するのはなかなか難しいはず。
1級
他人の指導を前提としたレベル。写真とカメラに関して、正しく科学的に解説できる。一例としては、撮像素子の構造、撮像素子の高画素化と高密度化による画質への影響、高感度ノイズと長秒ノイズの違い、クイックリターンミラーの特徴、ストロボのTTL調光と外光式調光の違い、焦点距離・口径・F値の計算など。
知識を問う階級としては最高難度です。ただ、このレベルになると準1級との差って何だろ?という感じであまり違いが分からなかったりします(私の場合)。とりあえず全方位の知識を付けておく必要があります。
プロでも無勉強で余裕で合格できる人はそう多くは無いはず。
エキスパート(EX)
最後のエキスパート(EX)クラスは1級取得者だけが受験を許される資格で、写真活動経歴(受賞歴や活動歴)、作品提出、小論文によって評価されます。
このクラスは受験したこと無いのでよく分かりませんが、写真教室の先生なんかは取っておくと良いかも知れませんね(私もですがw)。
甘い試験ではない
階級別の合格率はどんなものでしょうか。2014年の実績を見てみましょう。
特に準1級、1級の合格率は低めで、お金払えば合格できるというほど甘い試験ではありません。
2014年実績
3級 | 2級 | 準1級 | 1級 | |
---|---|---|---|---|
合格率 | 91.11% | 79.20% | 38.82% | 32.50% |
受験者数 | 1,395名 | 2,683名 | 1,378名 | 1,194名 |
ー フォトマスター検定HPより
ご覧のように、3級、2級は比較的合格率が高いものの、準1級、1級は3人に2人が落ちるという狭き門です。年によっては1級の合格率が20%前半になることも。
試験はすべてマークシート式で7割程度の正答率が合格ライン。
初心者の方ならまずは2級を目指してみるのが良いかと思います。自信があるならいきなり1級を受験してもOKです。
2階級受験が出来ます
フォトマスター検定は年に1回しか受験できないため、落ちてしまうと翌年まで持ち越しです。どうしても合格が欲しいなら1日に2階級を受験することも可能。
ビビりな私は準1級と1級を同時受験しました(笑)
過去問が少しだけ見られます
過去問が気になる方は公式HPに少しだけ載っているのでレベル感の参考にしても良いでしょう。
受験料や会場など
試験は通常年に1回、11月に行われます。今年(2015年)の試験日は11月15日(日)。
会場は全国の主要都市50カ所以上にあり、ある程度人数が集まれば準会場として好きな場所を指定できるみたい(承認が必要)。
受験料
もちろん受験料はかかります。
3級が3,900円(狙ったのかな?w)、2級が5,100円、準1級が6,200円、1級が7,000円です。
*2015年現在
一般的な検定の受験料と比較すればまぁそんなもんかな。といったところでしょうか。
効果的な勉強方法について
3級程度なら特にこれと言った勉強は必要ないかも知れません。カメラの説明書がしっかり読める程度とか、毎月20日のカメラ雑誌発売日に立ち読みしてるくらいでOKかと^^;
2級くらいになってくると多少対策は必要かも。
勉強する期間は人それぞれですが通常1~2ヶ月程度あれば十分かと思います。若い方なら1週間集中的にやればいけるという人も多いでしょうか。
私は試験勉強する前からある程度知識は持ってたので2日ほど問題集をやりこんだ感じです。
過去問
試験対策の定番は過去問ですね。ちょっと調べた限り過去問は一般販売はされてないっぽいです。
必要な方は検定事務局から直接購入しなければなりません(めんどくさい)。私は使いませんでした^^;
・フォト検・受験対策用書籍/通信講座等のご案内
問題集
私は過去問使わず問題集使いました。解きながら覚えていく感じ。写真史とかは問題集とかないと分からないですよね。
私が受験したときは1社からしか出てませんでしたが、現在は2社から出ている模様。
私が昔使ったのは日本カメラ社の方。
2級くらいまでならこの辺をやっておけばほぼ間違いは無いかと思います。
2~3級くらいならそれほど最新の知識は問われないのでは?と思うのでAmazonの中古問題集でも良いんじゃないかとは思います。ちょっと前のものなら1~100円で売ってたりするし。
一般教養、知識
カメラに関する広い範囲の知識を身につけておく必要があるため、準1級以上を受験するなら問題集だけで無く体系的なカメラ、レンズの知識を身につけておくべきかと思います。
個人的にオススメなのはこの本。
私は1つ古い第2版で勉強しましたが2013年に第3版が出ました。カメラやレンズの仕組みから、収差やCMOSの話、記録メディアなど出題範囲の技術的な内容はほぼ網羅されているはず。今見ても良くまとまっているなぁと思います。
検定を受けなくても一家に1冊あっても良い本ですw
フォトマスター検定は比較的新しい知識を問われるので3版の方が良いかと思います。
私はこの本+問題集をやって1級合格しました。
オンライン講座も
その他、オリンパスでフォトマスター検定対策Web講座なるものが提供されてます。
有料講座ですが、フォトパスのプレミア会員なら半額近い受講料で受けられるみたい。
無料のお試し講座や過去問も試せるみたいなので試してみても良いかも?
オリンパスユーザーでなくともゲスト会員になれば受講できそう(たぶん)。
studio9の記事もきっと役立ちます
手前味噌ですが、studio9の記事も結構役に立つかと思いますよ。3級、2級レベルならstudio9内の記事を読むだけでも結構実力アップすると思います^^
試験範囲すべて網羅しているわけではありませんが。。
例えばこの露出に関するエントリーは試験でも良く出る露出に関する問題付きです。
「写真のギモン」カテゴリーの記事は結構役に立つのが多いはずです。
まとめ
ということで、フォトマスター検定についてご紹介してみました。
なんかフォトマスター検定の宣伝みたくなりましたがステマじゃないですw
始めに言ったとおり、この検定を持っている/いない で写真の上手さが変わるわけでは決してありませんし、これがあるからカメラマンになれるとかいう類いのものではありません。
ただ、写真の世界は知識や技術だけみても相当広いですから、撮るだけでなく座学的なお勉強をしてみるとまた世界が広がって見えてくるのではないかなと思います。
2015年の申し込み期限はあとわずかですので試してみようかなと思う人はぜひチャレンジしてみては?
今から勉強しても十分間に合うと思いますよ。
このエントリーを書きつつ、私も今もう一度1級受けたら受かるかどうか不安になってきたので、少し勉強し直してみようかと思っている次第です^^;