1つだけ持っていくとしたらレンズペンを持っていく
カメラのレンズの汚れは撮影画像の画質低下を招くだけでなく、レンズ表面についた異物を放っておくことでキズの原因にもなったりします。特に一眼レフのレンズなんかはレンズ自体が大きく高級なものですから、汚れが付きやすく、キズが入ってしまえば大損害です。。
レンズの汚れは「放っておかない、汚れたらすぐにキレイにする」が基本です。
そのためのアイテムとして最も有効だと思うのがハクバから発売されている「レンズペン」です。かれこれ8年近く使い続けていますが、私にとっては撮影時の必携アイテムの一つ。
もしロケ先にクリーニングアイテムを1つだけしか持って行けない状況になったのなら私はきっとレンズペンを持っていきます。
そんなレンズペンの魅力を6つの項目に分けて存分に語ってみたいと思います。
レンズクリーニング3種の神器
レンズの汚れには大きく3つの汚れがあります。1つ目はチリや砂粒といった比較的大きめな不溶性の汚れ、2つめは指紋など皮脂に由来する脂溶性の汚れ、3つめは雨粒が乾いた水垢や潮などの水溶性の汚れ です。
それぞれタイプが違いますし、汚れの強度も違うため汚れに合ったクリーニングアイテムを使うことが重要で、現場のどんな汚れにも対応できるアイテムが以下に紹介するレンズクリーニング3種の神器です。(私が勝手にそう思っているだけですが)
この3種の神器(具体的にはレンズペン、クリーニングティッシュ、ブロワー)については過去の記事に詳しくまとめているので気になる方は是非下記記事を読んで頂きたいのですが、その中でももっとも有用だと思ってるのがレンズペンなのです。
レンズペンにも得意、不得意な汚れはありますが、よほどひどい汚れでなければこれ1本でだいたい対処可能なのです。
どんな時も持ち歩くべし!
私はメインで使っているすべてのカメラバッグにレンズペン入れてます。とりあえず、これがあれば現場でどうにか対処できる心強いアイテム。
現在手元にある私のレンズペンコレクションを広告ビジュアルっぽく撮ってみましたw 全部集めたら7本もあった。(追記:2020年現在なんだかんだで10本超えてると思いますw)
私がレンズペンを使う6つの理由
タイトルにもあるように、2008年にレンズペンを使い始めたので今年(2020年)でもう12年です。10年超えてしまいました。もちろん、他のクリーニングアイテムも併用しながらの使用ですがロケ先ではレンズペンの使用頻度が最も高いです。
その理由をもう少し詳しく6つに分けて紹介してみましょう。別にこの記事、ハクバさんから何か貰ってるわけではない私のレンズペンに対する偏愛文章ですw
軽量コンパクトなペン形状
私がレンズペンを最もよく使うのはロケ先の現場です。なぜロケ先での頻度が高いかと言えば本体が非常にコンパクトでペン形状だからです。
胸ポケットやカバンの隙間にスッキリ収まり、使うときもまさにペンでなぞるようにレンズを清掃できます。もちろん片手で。
多くのクリーニングアイテムは使用時に両手が必要だったり、かさばったりと現場でササッ行うことができません。レンズペンならどんなところにでも持って行けて、撮影のテンポを崩さずにクリーニング可能です。
形状もスタイリッシュでお気に入り。こちら現行品のレンズペン3 レンズフィルター用。
クリーニングチップで頑固な汚れを除去
レンズペンは平らなペン先のような形状のセーム革(やわらかい革)でレンズ表面を拭くように擦って汚れを除去します。
このセーム革のクリーニングチップには汚れを吸着するカーボンパウダーがついており、ただのセーム革より汚れを落としやすい仕組みになっていて、これはハクバの特許。
うっかりついた指紋程度の汚れなら一瞬で優しく拭き取れます。
使うときはフチに溜まった異物を巻き込まないように中央から外側へ円を描くように拭き取っていきます。
吸着剤のついていない類似品も一部売られていますが、Amazonの評価とかみてもあんまりイケてる感じじゃないですね。。(以前Amazonオリジナルでも類似品出てましたが今見たら消えてた)
ハケがブロワー代わりになる
柔らかなセーム革のチップを使っているとは言え、レンズの表面を物理的に擦って汚れを落とすので、清掃前に砂粒など硬いゴミがレンズ面についているとそれが原因でレンズにキズがつく恐れがあります。
本来砂粒のようなゴミを除去するのはブロワーの役割なのですが、レンズペンにはクリーニングチップの反対側にスライド収納式のハケが常備されています。使用前はこのハケでササッと大きなゴミを除去してからチップで清掃することで安全にクリーニングできるのです。
ブロワーはかさばるのでなかなか現場に持っていくのは億劫ですが、ブロワーがなくともハケで代替することが可能。ホコリだけがついているならハケのみでササッと払うだけの用途にも使えます。1本で2機能というわけ。
繰り返し使える
一般的なレンズクリーナーは紙とクリーニング液が別になっていたり、クリーニング液がついた紙個包装されていたりしますが、当然ながらこれらは一回使うと使えません。使うのも手間ですし、現場で3回使うなら3つ持っていかないといけないのです。足りなくなったらそこで終わり。もちろん使った数だけゴミも出ます。
その点、レンズペンは同じクリーニングチップを繰り返し使えるので何も考えず1本だけ持っていけばOK。もちろんゴミも出ません。
一応、クリーニングチップにも寿命がありますが、よほどひどい汚れに使わなければ半年は余裕で持ちます。私は複数のレンズペンを平行して使ってるのでもっと持ちます。
ひどい汚れの時はクリーニングティッシュと併用しているので1年くらい使ってても平気な感じです。クリーニングティッシュも今メインで使ってるのはハクバのやつですね。アルコールタイプで拭き残りが少ないのが良い感じです(ハクバの回し者ではありません。。)
リフィル式で経済的
クリーニングチップ自体の寿命が長いレンズペンですが、チップにいよいよ寿命が来たら(汚れが落ちにくくなったら)先端のクリーニングチップだけ交換すればOK。リフィル式なので経済的です。
通常の単体販売のレンズペンは最初からリフィルが1つついてくるので、それだけで1年は余裕で使えるはず。週末だけとか撮る頻度が少なければ1セットで2~3年はいけるんじゃないでしょうか。
1セット1,500~2,000円程度しますが、これだけ長く使えるならそんなに悪い出費ではありませんね。
後述しますが旧型のレンズペン2に現行のレンズペン3のリフィルを付けることも可能。
形状に合わせてベストなものを使える
レンズの前玉(一番前のレンズ)は通常緩やかな曲面になっています。ところが、多くの人が使っているレンズの保護フィルターは平面です。
保護フィルター付けている人は形状に注意
レンズフィルター(保護フィルター)付ける派の人には平面チップの「レンズフィルター用」、フィルター付けない派の人には「レンズ用」とベストな形状が分かれたラインナップがされています。結構先端形状の違いによる使い心地の差は大きいです。
なにより形状の合わないチップで清掃するとセーム革の一部が極端に酷使されたり、効率が落ちるなどあまり良い事にはなりません(緊急的に使う程度なら全然問題なし)。Amazonなどで検索すると「レンズ用」が上位に来ることが多いので保護フィルター付けている人は形状に注意して選びましょう。
小さなチップがついたビューファインダー用なるレンズペンもあります。一眼レフなどのファインダーをキレイにできるアイテム。意外とあそこ清掃しづらいんですよね。その他、液晶モニタ用、コンデジ用なんかもあります。
レンズ用、レンズフィルター用、ビューファインダー用が3本セットになったお得なプロキットというのもあります。替えチップは別売り(今はレンズ用リフィルがセットになってますね!)になりますが単体で3本揃えるよりだいぶお得です。チップは結構長持ちするのでとりあえず一気にこれを揃えるというのもアリです。もちろん私も1セット持ってますよ(旧レンズペン2のやつ)。
レンズペン3とレンズペン2の違い
私は初代レンズペンの時から使っているのですが、その後現在のスタイリッシュな形状のレンズペン2が発売され、現在市場に出ているのは「レンズペン3」になります。
レンズペン3が出たときに、これは買わねば!と思ったわけですが、調べてみるとレンズペン2から見た目も機能も全然変わってなくて公式サイトでも進化ポイントについて特に言及無しだったので購入見送っておりました。
が、今回レビュー記事書くに当たって現行品が手元にないのもイケてないなぁと言うことで買ってみました。結論から言えばやっぱりほとんど違いはなかったです(笑)
上がレンズペン2、下がレンズペン3。色が変わっただけで形は全く一緒。
チップのセーム革が厚くなった?
ペンの形状は見た目からは判別できないほどそっくりでたぶん同じ寸法です。唯一変わったのはクリーニングチップ先端のセーム革の厚み。レンズペン3になってやや厚くなったようです。
手元にあったレンズペン2(旧式、左)とレンズペン3(現行品、右)のチップを並べたのがこちら。どちらも未使用のチップです。
右がレンズペン3のものですが、ちょっと厚みが増しています。これによって洗浄力がどう変わるのかは分かりませんが、悪くなっているものでは無さそう。改善と見て良いのではないでしょうか。
レンズペン2と3のチップは互換性あり
もう一つ気になっていたレンズペン2と3の替えチップの互換性ですが、3のチップを手元の2に付けて見たところ特に問題なく装着できました。チップの形状も見た目は同じなので大丈夫でしょう。
現在レンズペン2を使っていて、リフィルが必要になった場合は3のリフィルだけ購入してもOKです。本体を買う必要は無いですね。
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レンズペン3ではフィルター用がグレー、レンズ用はブラックとシックな配色になっていますが、個人的に外観は機能別に黄色、緑と分かれていたレンズペン2の方が好み。単純にカラバリだけ増やせば良かったのになんで名称を変えたんでしょうね。。
レンズペンのデメリット、苦手な汚れ
レンズペン最高じゃん!って感じで書いてきましたが、もちろん欠点もあります。私が使ってていくつか感じたデメリットについてまとめてみます。
強い汚れには向かない
直径1センチちょいのセーム革チップで汚れを拭き取る機構ですから、たとえば焼き肉テーブルの横に置いてしまって脂ベタベタになったレンズとか、子供に遊ばれてよだれや指紋ベタベタになったというようなひどい汚れの状況には使わない方が無難です。
クリーニングできないことはないと思いますが、一発でチップがダメになると思います。そういう場合は面倒でも一度使い捨てのクリーニングティッシュなどで大きな汚れを拭き取ってからレンズペンで仕上げをしましょう。
レンズペンの守備範囲はうっかりついてしまった軽微な汚れです
水に弱い
繰り返し使うチップなので雨や結露で水分たっぷりのときに使ってしまうとセーム革チップが濡れてしまい、汚れた水を引き延ばすだけになってしまう恐れがあります。
濡れている場合はかるく水分を拭き取ってから使いましょう。私は普通のティッシュで優しく水分を吸い取って(ゴシゴシ拭かない)から使うようにしてます。
困ってしまうのが結露の時ですね。。この場合は拭いてもすぐに曇ってしまうのでおとなしく待つか、クリーニングティッシュの出番になります。
カーボンパウダーがレンズ面に残る
クリーニングチップには洗浄力を高めるためにカーボンパウダーが付着しているのですが、クリーニング後は一部のパウダーがレンズ面に残ります(特に新品チップは多め)。残るといっても目視で確認するのは困難なレベルですが。
真っ黒な微粒子でこれが残っていたから撮影結果に悪影響があったことは今まで一度も無いですが、神経質な人にとってはあまり気持ちいいものでは無いかも知れませんね。
この粉は清掃後に反対側のハケでほろうことで簡単に除去できるので気になる方は仕上げにもう一度軽くハケを使うと良いと思います。ちなみに私は仕上げのハケはほとんど使いませんw
レンズペン エリートはイマイチ。。
ここまで褒めちぎってきて個別の製品ディスるのもどうなのかという感じですが、現行品にはレンズペン エリートというホワイトのレンズペンがあります。恐らく女性を狙った商品だと思うのですが実際に使ってみるとちょっとイマイチ。
レンズペン エリートではチップに付属のカーボンパウダーも特殊な白色(というかグレー)のものを使っています。これが前述カーボンパウダー残りの時にかなり目立つんですよね。明るい色だから。
展示会の際、ハクバの中の人に聞いたら洗浄力などは通常のレンズペンと同じのようですが、明らかに粉が見えてしまうとちょっとなぁ。。という気がしてしまいます。こちらも最後にハケを使えば良いだけの話なのですが。
明らかに目に見えるということは強い逆光時などにゴーストの原因になりそうでちょっと怖いです(体感したことはないですが)中身同じで外装だけ白くすればよかったのにぃーと思ってます。
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あと、クリーニングチップのキャップがスクリュー式で外すと転がってどっかにいってしまいそうなのが弱点でしょうか。キャップがなくならないギミックを次期レンズペンには期待します。
まとめ:レンズペンはいいぞ!
ということで、レンズペンだけで原稿用紙15枚ぶんくらいの感想文を書いてしまいました。
とりあえず、私が言いたいことは「使ったことがなかったらとりあえず買っとけ!」ってことです。ほよど劣悪な環境で使う人やめちゃくちゃ神経質な人以外であれば満足できると思いますよ。
あと、何度も言うようですがレンズペンの守備範囲は軽微な汚れですから、カメラバッグの中には最低でもクリーニングティッシュは忍ばせておきましょう。(できればブロアーもあれば良いけど)
ロケ先では基本レンズペン、手に負えない時だけクリーニングティッシュ+レンズペンといった感じで使うと完璧です。
ちなみに室内でしっかりクリーニングしたい方にはこちらの記事もオススメですよ!(やや上級者向き)