NASは最初の設定がとても大事!
QNAPのエントリーNAS TS-230の連載レビュー、前回は初期セットアップまで終わりましたが今回はNASを「実際に使える状態」に持って行き、外付けHDDと同じような感覚で使う方法と写真アプリの活用について紹介します。
特に序盤に紹介するデータを保存する領域(ボリューム)を設定する方法は初心者にはちょっと難しめの用語が出てきたりするので大変かも知れませんが、QNAPのNASを使う上で結構肝になる部分です。
このあたりを上手くかみ砕きながら紹介していきますのでNAS初めてのかたは頑張ってついてきてくださいね。この記事を読み切ればTS-230を外付けHDD感覚でバリバリ使えるようになるはずです。
前回の記事をまだ読んでいない方はぜひこちらを先にご覧下さい!
*この記事はQNAPさん提供です
最初の難関、TS-230のボリュームを設定しよう
前回の記事では初期セットアップをしてNAS(TS-230)の管理画面をブラウザから見られるところまで行いましたが、これだけではデータを保存することはできません。TS-230の中にデータを保存する場所を作ってあげなければいけないのですね。買ったばかりのハードディスクをパソコンにつないでも初期化しないとデータを保存できないというやつに似ています。
聞き慣れない用語が出てくるので「???」となってしまうかもしれませんが設定自体はとても簡単です。この設定は後から変えるのが大変な場合があるので始めにキチンと設定するのが大事。基本的にはメーカーのオススメ通りにホイホイ進めて行けばいいのですが、ここでは設定の意味も簡単に解説しながら進めて行きます。
大事な所なので1ステップずつ解説していますが、この辺りの内容がすでに分かっているよという方は適宜飛ばしながら読んで頂ければと思います。
「ディスク」「ストレージプール」「ボリューム」
TS-230のデータ保存領域の設定をする上で必ず出てくるのが「ディスク」、「ストレージプール」、「ボリューム」という用語です。これらは他社のNASでも出てくるものですが、NASビギナーにはちょっと意味が分からなくてびっくりすると思います。「ストレージプール」なんて普通の生活をしてたらまずお目にかかりませんよね。でも大事なのです。
ざっくりで良いのでこの3つの用語の意味をイメージ出来るとこの後のNASライフが快適になると思いますよ!
3階建ての入れ物をイメージしよう
「ディスク」、「ストレージプール」、「ボリューム」をという用語を理解するためには、データ保存領域は3階建て構造になっているというったイメージをするのが良いかと思います。
まず最初にざっくりとした概念図を見てみましょう。普通の人はこんなイメージをしておくのが良いと思います。専門家の人から見るとツッコミどころがあるかも知れませんがあくまで概念図です。
上の図を見れば分かるように、「ディスク」というのはNASに入れているHDDのこと。今回使用したのは14TBのHDD2本なので合計28TB分のディスク容量になります。構成によってSSDにしてもOK。これがベースになる1階部分。ここはイメージしやすいはず。
RAIDになっているのはストレージプール
NASの場合、この合計のディスク容量(28TB)の上に1つの大きな入れ物を作ります。これを「ストレージプール」といいます。1階のHDDをどのように使って二階を作るのかというところです。
14+14TBの容量を全力で使って28TBのストレージプールを作ってもOKですが、その場合、HDDが1本でも壊れるとデータが全滅してしまうため2ベイのNASでは2本のHDDに同じデータを分散して保存するのが一般的。RAID1というやつですね。この場合のストレージプール容量は28TBの半分、14TBとなります(残りの14TBはコピー)。
この「ストレージプール」というのが初めてNASを使う人にとって「???」となる部分だと思いますが、データの冗長性を持たせる上で大事なもの。この部分がRAIDになっている所です。
とはいえ、一般家庭で2ベイのNASを使うときは1つのストレージプールを使ってRAID1を構築するのが王道なのでTS-230を使うなら設定時にRAID1にしておけばOKです(後述)。
応用的な使い方をしたい人なら2本のHDDにそれぞれストレージプールを割り当てて、2つのストレージプールを作るということもできます。
実際に使うのはボリューム
さらにストレージプール(14TB)の中に作るデータ保存領域の事を「ボリューム」といいます。三階部分ですね。ストレージプールの容量以内であれば好きな容量で、好きな個数*、ボリュームを作る事ができます。皆さんが実際にデータを入れる場所はボリュームの中ということになります。
*この後のボリュームの設定にもよる
TS-230では使えませんが、4bayのNASでRAID5を使えばこんな3階建てイメージです。
他社を含め多くのエントリー2bay NASは初期設定のウィザードで勝手に「ストレージプール容量=ボリューム容量」となってしまうのですが、QNAPのTS-230はこのボリュームの作り方もきっちり自分で細かく設定する事になります。
ここがTS-230の良いところでもあり、躓きやすいポイントでもあります。なぜかは実例を見ながら紹介していきましょう。
実際にやってみよう
では実際にTS-230のデータ保存領域(ボリューム)を設定してみましょう。ちょっと難しい話をしましたが設定自体は数分で終わります。ここまでの話が難しい。。と感じた人は以下で説明するのと同じように設定していけば通常の利用で困ることはありません(笑)
まずはストレージプールを作る
ブラウザでNASにログインして出てくるデスクトップに「ストレージ&スナップショット」というアイコンがあるのでそれをクリック。UI的にもタブレットを操作している感覚ですね。
初回はいろいろ案内が出てくると思いますがいったんスキップして、右側のストレージプールの項目に着目。初回なので「ストレージプールなし」となっています。ここをクリックして新規ストレージプールを作りましょう。
クリックするとストレージプール作成ウィザードが出てきます。難しい用語が並んで事前知識なしだとノックダウンされそうですが、ここはただの解説文なのでスルーでもOK。
続いてストレージプールを作るためのディスクを選択。普通は2本とも選んでRAIDタイプをRAID1にします。これでディスクが1本壊れてもデータは保たれます。(JBOBやRAID0は冗長性がないので分かっている人だけ選択)
ここでRAIDタイプさえ設定してしまえば後は特に設定する部分はありません。このあとアラートの閾値の設定なども出てきますが、これはQNAPのおすすめの設定なのでそのままでOK。最後に作成を押せば自動的にRAID1のボリュームを作ってくれます。
ボリュームには三つの種類がある
つづいて今作ったストレージプールの中にボリュームを作ってみましょう。「ストレージ&スナップショット」の最初の画面の下に「ボリュームがありません」とあるのでクリック。ボリューム作成ウィザードが立ち上がります。
ここも基本的に初期設定のままでOKなのですが「静的ボリューム」「シックボリューム」「シンボリューム」という見慣れない言葉が出てきます。
シックボリュームがおすすめ
結論から言えばここは「シックボリューム」がQNAPの様々な機能を使えるのでおすすめ。
ざっくり違いを説明すると、「静的ボリューム」というのはストレージプールの容量を全部使って1つのボリュームになるモード。「ストレージプール=ボリューム」となり非常にシンプルでランダムアクセス性能も高いのですが、スナップショットなど高度な機能が使えなくなります。また、後で容量を変えることも出来ません(より大容量のディスクに交換すれば可能)。ボリュームを複数作る事もできません。一般的なNASで良く採用されている方式ですね。
私が使っているSynologyのNASでもこの静的ボリュームを使っています(シックとかシンボリュームを設定する画面は出てこなかった気がする。。)
「シックボリューム」は英語で書くとThick(厚い) Volumeです。これはストレージプールの容量内で自由に好きな用量のボリュームを作れるモード。スナップショットなど高度な機能も使えます。今回の14TBのストレージプールの中に14TBのボリュームを作っても良いし、はじめは5TBにしておき、あとから10TBへ拡張してもOKだし、3TBと5TBと6TBの3つのボリュームを作ってもOKという自由度が高い方式です。
ただし、静的ボリュームに比べるとランダムアクセス性能がやや低下するようです。ただし、写真や動画など大きなファイルを家庭内で扱うのであればランダムアクセス性能はそれほど気にしなくてもOKかと思います(後述のベンチマークも参照)。
最後の「シンボリューム」はThin(薄い)Volumeです。これはやや上級者向けなのでスルーでもOKなのですが、ストレージプールの容量以上の割当てを出来てしまう変わったボリューム。容量の割当ては一応するのだけど、ストレージプールを実際に使う容量は、実際に使った分だけというモードです。例えば、14TBのストレージプールに20TBのシンボリュームを作る事も可能。もちろん、実際のファイル容量が14TBを超えればエラーになってしまうので常にストレージプールの容量監視が必要になります。最も柔軟にボリュームを使えるのですが注意が必要というモードになります。
シックとシンは後から変えられる
ちなみに、シックボリュームはボリューム単体の大きさを自由に変えられるだけでなく、シックボリュームからシンボリュームにあとから変更することもできるようです。シンボリュームからシックボリュームに変更することも可能。
ということで程よく柔軟性があるシックボリュームがおすすめというわけです。
---
やや脱線しましたがここではボリュームを作るときにシックボリュームで進めます。次の構成画面でボリュームの容量を決めましょう。ここはさっき言ったとおり後から容量を拡張出来るのではじめは小さめでもOK。今回は控えめに2.5TBに設定してみました(小さいと初期化が早く終わります)。
余った部分は後で紹介するスナップショットの保存領域に使う事ができます。スナップショットを使うなら赤い線(閾値)を越えないレベルで容量を調整するのがいいようです。
ファイルシステムオプションのアイノード別バイト数はデフォルトの32KでOKです。
そんな感じで設定を終えるとこのようになります。初期化が終わるまで5~10分くらいかかったでしょうか(2.5TBの場合)。これで無事ボリュームができました。
これでボリュームの設定は終了。後で容量を増やしたければボリュームのサイズを拡張してもいいし、ボリュームをもう一つ増やすこともできます(静的ボリューム以外)。
共有フォルダを作成してパソコンで認識できるようにする
めでたくボリュームが作れたらボリュームの中にデータを入れるためのフォルダを作っていきましょう。ここからは普段のフォルダとファイルのイメージにかなり近くなるので理解しやすいです。
フォルダやファイルを使うには「File Station」というアプリを使います。Windowsでいうエクスプローラー、MacのFinderみたいなイメージです。
はじめは「Public」というTS-230にアクセスした全員が見られるフォルダしかないので、まずは今作ったボリュームの中に自分用の「共有フォルダ」という親になるフォルダを作成します。
共有フォルダを作る方法はいくつかあるのですが、ここでは直感的に理解しやすそうなFile Stationから作ってみます。File Stationをクリックして、作ったボリューム(DataVol1)の縦三点リーダーをクリック。「共有フォルダの作成」を選択しましょう。
最低限、フォルダー名だけ入力しておけばOK。ここでは写真用のフォルダを作りたかったので「MyPicture」にしてみました(名前は自由に付けてOK)。他のユーザーにも 見せる/見せない などフォルダの権限を設定する事も可能(後から変える事もできます)。
めでたく、写真用のフォルダができました!あとはこの中に写真をじゃんじゃん保存すればOKです。親となる共有フォルダだけはこのようにちょっと特殊な方法で作らなければいけないのですが、その下に作るフォルダはパソコンと同じく、右クリック > 新規 >フォルダ というような流れで自由に作っていけます。
もちろん用途別に動画用、音楽用、文章用など分けて共有フォルダを複数作ってしまって管理するのもよいです(おすすめ)。私はLightroomですべての写真を管理しているので「Lr_Pictures」のようにLightroom専用の共有フォルダをNASに作ってオリジナルデータを保存しています。
パソコンから共有フォルダを見られるようにする
TS-230に写真などデータを保存(アップロード)する一番簡単な方法はFile Stationを開いて、ブラウザでファイルをドラッグ&ドロップすることですが、ファイルを保存するのにいちいちNASにログインして、File Stationを立ち上げてドラッグ&ドロップして・・・とやっていては面倒ですよね。
PhotoshopとかLightroomの書き出し先をNASにするにはどうするの??という事にもなります。
そこでこの共有フォルダをパソコンのエクスプローラーからみられるようにしましょう。そうすればNASを普通の外付けHDDと同じように運用することが出来ます。後もう少し頑張りましょう。(ここではWindows10向けに解説していますがMacでもマウント出来ます)
Qfinder Proからマウントすると簡単
NASの共有フォルダをパソコンから見られるようにすることを「マウントする」といいます。一番簡単にやるには最初に使ったQfinder Proを使いましょう(前回記事参照)。
Qfinder ProでTS-230を検出したら、「ネットワークドライブ」を選択。「マウント(自分のNAS名)」と出てきたらOKでと進みます。
NASのユーザー名(何もしてなければadmin)とログインパスワード(初期設定時に決めたやつ)を入力。自分のPCなら「資格情報を記録する」にもチェックを入れておくと次回から入力を省けて便利。
これでエクスプローラーからさっき作った共有フォルダの「MyPicture」が見えました!複数の共有フォルダがあるならここに複数見えているはずです。これでエクスプローラーを使ってファイルをコピーしたりフォルダを作る事ができます(NASと連動します)。
ドライブ名を付けていつでも使えるようにする
ただし、このままだとパソコンを再起動したときに毎回Qfinder Proからマウントしないといけないので不便です。そこで共有フォルダ(MyPicture)を右クリックして「ネットワークドライブの割り当て」を選びましょう。
で、好きなドライブレターを指定し、「サインイン時に再接続する」をチェックしておけば毎回パソコンを立ち上げるだけでこのフォルダはPドライブとして認識されます。めちゃ便利です。
エクスプローラーにはこんな感じで表示されます。これで、TS-230はパソコンで外付けHDDとほぼ同じ感覚で使えるようになりました!TS-230にファイルを保存したければPドライブのMyPictureを選択すればOKです。
Lightroomを使っている人なら、撮ってきた写真はぜんぶNASに突っ込んで、NASにある写真を読み込むようにして設定しても良いでしょう(ただしカタログはNAS内に作れない)。NASに動画データを入れたままPremiereProで動画編集することもできます。
こうしておくと普段のファイル操作でFile Stationを使う事はほぼ無くなるはず。
TS-230の転送速度ベンチマーク
こうやってパソコンに普通のドライブとして認識させれば転送速度のベンチマークも簡単にとることができます。
定番のCrystal Disk Mark(ver8.0.0)でTS-230の転送速度を計測したのがこちら。
この中で写真や動画を保存するときに効いてくるのは一番上のシーケンシャル(連続)読み書き性能ですが、こちらはRead、Writeそれぞれ100MB/sを余裕で超えていて、1GbE(1000BASE-T)接続のNASとしては上限に近い値です。
外付けHDD(150MB/s前後)に比べるとやや遅いですが、例えばLightroomでRAW現像するとか、100Mbps程度の4K動画編集ならこの速度で不足するということはないはず。今まで1GbEのNASを使って遅くて使えない。。と思ったことはないので十分でしょう。
普段使っているSynologyのNASでも1GbEで接続しているとシーケンシャルはほぼ同じくらいの速度。最近のNASは入門機も上位機も1GbEならこのくらいの速度が出てくるので、家庭用として使うなら十分だと思います。
シックボリュームにすると静的ボリュームよりランダムアクセス性能(下2段)がやや犠牲になるようですが、普通のHDDに比べて10倍以上早い結果が出たのでメモリを使ったキャッシュを使っているのだと思います。普通に使うなら問題ないのでは。
実際のファイル転送速度は?
実際のファイル転送速度についても計測してみました。SSDに入れたα7R IV(約6000万画素)のRAWファイル50枚、2.87GBをTS-230へファイルコピー(Write)とTS-230からSSDへのコピー(Read)をそれぞれ計測。
その結果、TS-230への書き込み(Write)は30秒、書き出し(Read)は42秒で完了。それぞれ実効速度は91MB/s(Write)、69MB/s(Read)となりました。ファイル転送時の挙動は以下の通り。
Write時はかなり安定して100MB/sを維持していますが、Read時は50~80MB/sをフラフラしている感じでベンチマークほどの速度は出ませんでした。ただし、最低でも50MB/s(400Mbps)程度は出ているので一般的な動画編集程度なら問題なく使えそうです(普通のカメラのFHD動画ビットレートは50Mbps、4Kでも100~200Mbps程度)。
自動で写真管理してくれるQuMagie
TS-230が普通の外付けHDD的に使えるようになったらぜひ試してみて欲しいのが写真の自動整理をしてくれるQuMagieというアプリ。
例えば、Googleフォトなどクラウドストレージに付随した写真サービスを使うと、クラウドにアップロードした写真が自動的に日付ごとのオンラインアルバムになってくれたり、人物やモノなど被写体によって自動で分類してくれるやつがありますよね。TS-230でも同じような機能が使えるのです。それが「QuMagie」。AI搭載アプリなので、画像認識で自動分類してくれます。
QuMagieを使えばTS-230の特定フォルダに写真データを入れるだけでAIが画像認識で写真を自動分類してくれて、アルバムも作ってくれます。もちろんEXIFによる日付別のほかフォルダベースでのアルバム作成も可能。しかもスマホ用アプリとも連動してくれるので、スマホで撮った写真をTS-230へ自動バックアップしながら管理することが出来ます。これは便利。
WEBベースのアルバムなのでできたアルバムは簡単に家族や友人と共有が可能です。パスワードや公開期限を指定して共有もできるので、仕事で撮影した写真をアルバムで納品するのも良いと思います。七五三など家族写真系の撮影ならリンクだけで家族、親族が写真にアクセスできますし、元画像をダウンロードしてもらう事もできます。
Googleフォトは今年(2021年)5月末で写真の無制限アップロードを停止する予定で、無料で使えるのは15GBまでとなってしまいますが、TS-230なら搭載したHDDの容量だけ無料で同じような機能を使えてしまうのです。
QuMagieの使い方
QuMagieの使い方は簡単。QNAPが提供する公式アプリなので「App Center」からアプリをインストールするだけ。ストレージプールとか難しい言葉も出てこないので安心して下さい(笑)
まずはデスクトップの「App Center」からQuMagieをインストール(一緒にQuMagie Coreもインストールされます)。
インストールが終わったら、デスクトップにQuMagieのアイコンができていると思うのでクリックして起動。それだけです。はじめはサンプル写真がいくつか出てくるはずです。表示が英語になっている時は画面右上の縦三点リーダーから「Language」に進めば日本語を選択出来ます。
あとは写真をじゃんじゃんアップロードしていけばQuMagieが良い感じに処理してくれますが、はじめにQuMagieが使うフォルダを指定しておくとその後の管理がグッと楽になります。画面右上の縦三点リーダーから設定 > コンテンツ管理 > コンテンツソース > 編集 で設定可能。
始めはQuMagieをインストールしたときにできる「Multimedia」という共有フォルダがQuMagieで使うフォルダとして指定されていますが、自分で作った共有フォルダ(例えばMyPicture)や、その中の子に任意で作った子フォルダ(例えばQuMagie)を指定してあげる事も可能。
ここで指定したフォルダはQuMagieによって常に監視されており、ここに写真が入ってきたら自動的にアルバムやAI画像認識による分類が開始されるという仕組みです。我々がやるのは指定したフォルダに写真をじゃんじゃん放り込むだけです。便利でしょ。
QuMagieの便利機能
手持ちの写真を適当に600枚くらい自分で指定した「QuMagie」フォルダに入れてみたのがこちら。ちゃんとWEBアルバムっぽくなってます。プライベートな写真も入れてみたので生活感が出てきました(笑)
左カラム2段目がQuMagieのアルバムページ。ここはAIによる自動仕分けやキーワード(タグ)や写真に付いているGPSデータに基づいて写真が自動的に分類できます。他のアプリで付けたキーワードもここで拾ってくれますね。
私はLightroomでキーワードをゴリゴリ付けて管理しているので、キーワード付きで書き出した写真はQuMagieがすべてキーワードごとにまとめてくれました。スマホの写真などGPSデータ付きで管理している写真は地図上にピン付きで表示してくれますよ。
AIの精度はどんな感じ?
QuMagieの目玉であるAIによる自動振り分けを見てみるとこんな感じ。人物認識は結構細かい写真も拾ってくれます。同じ写真に3~4人写っている程度の写真ならちゃんと認識してくれるはず。
当然QuMagieはウチの子の名前は知らないので、はじめは似たような顔を集めて「これは誰ですか?」と聞いてきます。ここで名前を入力してあげると正しい名前として登録される仕組みです。ザッと使って見た感じ、兄弟の顔の誤判定などはちょこちょこあるので超高精度というわけではありませんが普通に使えそうです。
モノの自動判別はこんな感じ。「植物」「動物」「車両」といった大分類他に、木、ひまわり、魚、鳥、車、熱気球・・・と中、小分類まで認識してくれます。
例えば「動物」として認識された画像はこんな感じ。何枚か動物ではないものも入っていますが、結構ちゃんと認識してくれています。十分使える精度と言って良いのでは。
写真をたくさん撮る人にとって、写真の分類はかなり大変な作業ですが、QuMagieならとりあえず写真をNASに突っ込んでおけばざっくりとでも写真をまとめてもらえるのが嬉しいところですね。
フォルダベースでもアルバム作れるよ
外付けHDDで写真を管理していた人なら日付別のフォルダを作って写真を管理している人も多いでしょう。QuMagieの場合、指定したフォルダ内に日付別のフォルダを作ればそれがそのままアルバムになってブラウザで見られます。
つまり、これまで通りのフォルダ管理と同じ事をしていても、QuMagieの便利機能が使えてしまうということですね。上で紹介したAIによる自動分類はここのフォルダに関係なく、最初に指定したコンテンツソースのフォルダにあるすべての写真が対象になるので、同じ写真で自分で決めたフォルダベースのアルバムとQuMagieが判別したAIベースのアルバムをダブルで使えるというわけです。
スマホとも連動でちゃう
QuMagieはスマホアプリとも連携可能です。iPhone, Android共にQNAP公式のQuMagieというアプリを無料で使えます。
これを使えばパソコンから見えるQuMagieと同じものがスマホからも見えます。もちろん、新しくアルバムを作る事もできます。パソコンからの操作とほぼ同じ事ができますよ。
撮った写真を自動でバックアップしてくれる
QuMagieアプリを使うとスマホで撮影した写真をすべてTS-230へ自動アップロードすることもできます(屋外からインターネット経由でアクセスするには初期設定で出てきたmyQNAPcloudへの登録が必要なはず)。
スマホ写真のバックアップ用にGoogleドライブやiCloudを有料で契約している人もいると思いますが、TS-230ならその必要がなくなります。アプリを立ち上げれば自動で写真を吸い出してくれるのがステキです。
QuMagieのおすすめの使い方は?
QuMagieの使い方は人それぞれで、とりあえず指定したフォルダ内に写真をじゃんじゃん入れていけばiPhoneのカメラロールのように良い感じに写真をまとめてくれるのですが、年間で1万枚を超えるような大量の写真を撮る人だと無計画に写真を入れると後が大変になると思います。
QuMagie内でもレーティングやキーワード付けなど通常のセレクト作業は可能ですが、大量の写真をセレクトするならLightroomなど専用のアプリを使った方がサクサク出来るはず。
オリジナルデータとは分けて管理するのがおすすめ
Lightroomなど専用アプリを使っている人なら、TS-230内にLightroomで使うオリジナルデータを入れる専用共有フォルダを作り、メインの作業はそちらで実施し、別にQuMagie用の共有フォルダを作って現像後の作品をどんどん書き出してアルバムを作って行くのが良いと思います。
LightroomとQuMagie用のフォルダを共有して作業しても良いのですが、Lightroomは非破壊現像を行うため、Lightroom内で行った現像結果はJPEGなどに書き出さないと外部からは見えないのでQuMagieと併用するメリットが薄れてしまいます。Lightroomでセレクト&現像済みの写真をQuMagie用に書き出して別に保管しておくと、QuMagieが自分の作品集にもなりますし、万が一のバックアップとして機能してくれるかも知れません。
急に「どんな写真を撮ってるの?」なんて聞かれたときでも現像済みの写真を普段からQuMagieに入れておけば、出先でもすぐに自分のお気に入り写真をスマホやタブレットで見せる事ができちゃいます。仕事で写真を撮っている人なら自分のポートフォリオをQuMagieにまとめておいても良いでしょう。
他にも便利なアプリがいっぱいある
studio9は写真向けサイトなのでQuMagieを中心に紹介しましたが、他にも音楽、ビデオストリーミングなどができる専用アプリもラインナップされているので色々試してみると良いと思います!全部説明しようと思ったらあと3本くらい記事を書かないといけないくらいです。
QNAPのマルチメディア系機能の説明は以下のページなどを見てみると良いと思います。
まとめ:パソコンにマウントさえ出来てしまえば何でも出来るよ!
ということで今回はTS-230を導入するうえで最も大事なストレージプールとボリュームの作り方と、便利な写真アプリQuMagieの使い方について紹介してみました。
私もシンボリューム、シックボリュームを使った経験があまりないので、いろいろ調べながら設定しましたが、仕組みが分かってしまえば特に難しい事はない印象。ただ、いろいろググってみてもQNAPさん公式のヘルプに初心者向けの分かりやすい説明が少なかったのがちょっと大変でした。
個人のQNAPユーザーが色々情報発信してくれていたりするので調べれば大抵の事は解決出来ると思いますが、もうちょっと公式の情報が初心者に寄り添ってくれると嬉しいですね。
次回はバックアップの話です!
最終回となる次回は大事なデータをTS-230を使って安全に管理するための方法について紹介する予定です。RAID1構成で使っていればそれだけでもかなり安全性は高いのですが、洪水や火災などの災害やランサムウェアによる外部からの攻撃、うっかりした人為ミスにHDDの連続障害など、身の回りにはデータをダメにする要素が色々隠れています。
これらの原因について色々対策出来る機能がTS-230には備わっていますのでその辺りを詳しく紹介していく予定ですよ!
TS-230レビュー、1回目の記事も合わせてどうぞ
提供、取材協力:QNAP