格安L字プレートは使えるのか?
ソニーのフルサイズミラーレス、α7、α9シリーズは小型軽量がウリなわけですが、その副作用としてグリップが小さくなってしまったために、手が大きめの人だとホールド時に小指の居場所がなくなってしまう「小指あまり」が問題になります。
この小指あまりの不満や解決方法やは以前書いたエントリー詳しく書いてあるのでそちらを参考にして頂くとして、今回はAmazonで売ってたα9、α7RIII用の格安のL字プレートってどうなの?ってところを実際に買って試してみましたのでレビューしてみることにします!
追記:α7 IIIも底面形状はα7R IIIと同じでバッテリーグリップやグリップエクステンションも共用ですので同じプレートが使えると思います(実機では未検証)
2600円のL字プレートを買ってみた
前回、α9の小指あまり解消のためにRRSのL字プレートを買ってレビューしました。あれからずっと使っていますが、非常に快適。やっとα9が私の手に馴染んできました。
ただ、問題はRRSのプレートは高価なこと。米国から買っても送料など入れて25,000円くらい。国内で買うと35,000円くらいします。買ってみた感想としてはそれに見合うくらい快適になったのでとても満足しているのですが、今月末にα7RIIIも手元に届く予定ということなのでお試しでAmazonでも流通し始めた格安L字プレートを試してみることにしました。
α9用がこちら。2600円(執筆時)。RRSの1/10くらいの値段です。これは心が揺れますw
で、なぜか発売前なのにα7RIII用(LLX-A7R III-01G11)も登場してるw
両者の写真を良く見るとロゴだけ変えているだけのようなので、α9、α7RIIIのどっちにも付くんだろうと考えてα7RIII用を注文してみました。Amazon登録後すぐに見つけたのでたぶん日本最速で買ったと思うw
(α9用もおそらく同じ形だと思うけど未検証。とりあえずα7RIII用はα9にピッタリ収まる)
追記:今回のよりもう少し良さげな格安L字プレートも出ました
今回紹介しているものよりフィット感が良さそうなプレートも出たようなので最後に追記してみました!
追追記:SmallRigから決定版?が出たかもしれません
SmallRigからそこそこ安くて、しっかり握れるL字プレートの決定版が出たかもしれません。早速試してみたのでこちらも終わりの方に追記しておきます。
いざ開梱
約1週間で届きました。発送元は中国です。
箱を開けたらこんな感じで入ってました。本体と六角レンチのみ。説明書などは見当たりません。クリーニングクロスがおまけで入ってます。中華系商品はいつもクリーニングクロスをおまけに入れたがるよねw
RRSのα9用プレートと並べてみました。左が激安プレート、右がRRS(以後も同じ順番)。底面プレートの厚みがRRSより3mmほど薄いです。
もちろんプレート形状はアルカスイス互換ね。そのまま雲台につきます。
上から。下が激安プレート、上がRRS。電池蓋まわり穴のサイズがぜんぜん違う。六角レンチは収納出来ない。
斜めから。バッテリー室の切り欠きが特徴的。
底から。側面プレートの取り付け方が大きく違う。三脚ネジ穴は別途用意してあるが光軸からはズレる。ネジは六角レンチの他にマイナスドライバー(コイン)も使えるのはGood。
側面から。ここもかなり違う。縦構図で三脚に取り付けられる部分が少ししかない。
全体的にRRSと比べると肉薄なので、重量は78gと超軽量(RRSは142g。六角レンチ含む)。めちゃ軽いです。
カメラに付けてみた
カメラに付けてみるとこんな感じです。α9へのフィット感はとても良く、ガタつきなどはないです(α7RIII用なんだけどw)。ただ、赤丸で囲ったバッテリー室下の切り欠きがちょうど小指の収まるべき場所と重なるのが痛い。せめて斜めになっていれば。。
なんで切り欠きがあるのかというと、これがないとバッテリー室の蓋が開かないから。
閉まった状態。
開けた状態
この切り欠きがないと干渉しちゃうのよね。RRSのプレートはプレート側に本体の蓋を付ける構造でこの問題を見事にクリアしているので切り欠きがないのです。詳しくは以前の記事をどうぞ。
大事なグリップまわり。穴を広げて電池蓋の干渉を防いでいるのでボディからプレートがはみ出ちゃっている。。
側面はストラップホールなど干渉しないようにちゃんと作られてます。
側面端子も全ポート使えるが、いくつか微妙なところがある(このあと詳しく)。
では、実際にカメラに取り付けてみて、良かったところ、悪かったところを具体的に挙げていきます。
ここが良い、ここが悪い
格安L字プレートの良い所
まずは良かったところから。
圧倒的に安価。RRSの1/10。
何を置いてもこれでしょう。執筆時で2,600円という安さ。
それでいて、カメラに取り付けたところフィット感もなかなか良く、変なガタつきもないですし、よほど重量のあるシステムで無ければL字プレートとしての機能は十分に果たせるかと思います。そのまま側面端子も使えるなど、カメラの機能を制限することもありません。
この後細かなダメ出しをしていきますが、この価格にしてはかなり良く出来ていると思う。
非常に軽量
プレートの厚みも薄く、肉薄構造なのでRRSのプレートよりずっと軽いです。
プレート本体の重量は重量は78gと純正グリップエクステンション GP-X1EM(73g)に迫る軽さ。側面プレートを外せば53gです。(RRSは142g。六角レンチ含む)
システムを少しでも軽くしたいならRRSプレートよりずっと優れていますね。
コインでも脱着できる
RRSはプレートの脱着は六角レンチが必須でしたが、このプレートはマイナスドライバー、コインでも回せます。現場で六角レンチが無いと慌てる心配はなさそう。
(RRSプレートは本体に六角レンチが収納出来る構造なので死角はないのだけど)
ただし、側面プレートの脱着は六角レンチ必須なので注意!
格安L字プレートのイマイチな所
続いてイマイチなところ。主にRRSのプレートと比べての評価です。(値段10倍のものと比べてるので酷ですが。。)
小指の収まりが悪い。。ホールド時にやや不快
実際に持ったところ。わざと小指を引っ込めているのだけど、普通に握ると尖った切り欠き部分が小指にあたってしまう。。。
RRSのプレートは切り欠きが無く単純にグリップが延長した形なのでとても快適にホールドできるのだけど、このプレートはホールド時に不快感がある。。せめて角を丸めるか、斜めにカットしてくれればよかったのに。
試しに黒のパーマセルを巻いて尖った角の部分を埋めてみたらだいぶ快適になった。このくらいなら許容できるかなーといった感じ。
いやー、それにしてもパーマセルは万能ですなぁw
それと全体的に角張っているので小指以外のアタリもあまり良くはない。。異物を付けている感じ。プレート付けっぱなしにするならプレートとボディ本体にパーマセル巻き付けて溝を埋めればもっとマシになりそう。
*下の方に切りがないタイプも追記しておきました
底面プレートが薄い
RRSのプレートより3mmほど薄いです。私はL字プレートをグリップ拡張アイテムとしても見ているので、グリップ拡張度合いが少ないのはイマイチ。RRSのプレートでさえあと3mmくらい厚ければなぁと思っているので。
手が小さい人なら薄いのは歓迎なのかもしれない。
縦位置の時にちょっと不安
側面端子アクセスのクリアランスのため、格安プレートはかなり大胆に側面プレートが削られています。
雲台側のクランプに固定できる部分は14mmほどしかありません。。実際に三脚に取り付けてみるとグラつくことは無かったですが、重いレンズなど付けていると少したわみが出るかも。
それと、クランプに安定して取り付けようとすると光軸からズレたところに固定することになってしまいます。
端子カバーが一方向にしか出せない
側面端子はすべて問題なくアクセス可能なのですが、LANポートとシンクロ端子のカバーを前面に出すことはできず、写真の様に背面側に出すことになります。ほとんどの場合問題ないかと思いますが、USB、HDMI、シンクロ端子を全部使おうとすると干渉するかも。
RRSのプレートは前面にも逃がせる良く出来た構造
側面プレートをずらしにくい
RRSのプレートはネジを緩めるとスライドさせることが出来ましたが、格安プレートはスライド出来ないので単純にネジをゴリゴリ緩めるしかありません。
で、何が問題かというと、RRSプレートもそうなのですが、カメラ側面端子のシンクロポートカバーがプレート付けたままだと開けにくいので、側面プレートをずらす必要があるんですよね。
このとき、RRSはワリと簡単にずらせるので楽ちん。利用頻度は高くないカバーなのでそんなに気にはなりませんが。
追記:切り欠きがないINPON製のプレートも出ましたね!
α7II、α7RII用の切り欠きが無い格安プレートを出していたINPONからα9、α7R III用のL字プレートが出ましたね!(α9専用と書いているけど、α9とα7RⅢは底部のデザインほぼ同じなのでα7R IIIでも使えるはず)
バッテリー蓋開閉のスペースを確保するためRRSのようにジャストサイズではないものの、小指の引っかかりは今回の安プレートよりも良さそうです。縦位置で使用する時の安定性も良さそう。
今回のモノよりちょっとだけ高いですが、INPON製の方が手へのフィット感は良いかもしれません(RRSはもっと良いけどね!)
追追記:SmallRigから決定版?が出たかもしれません
SmallRigからそこそこ安くて、しっかり握れるL字プレートの決定版?が出たかもしれません。
上記の格安L字プレートやRRSのものよりしっかり厚みがあり、造りも良いです。手が大きめの人ならRRS製より握りやすいかも。
ただ、バッテリー室周りはRRSのように一体型ではなく、格安プレートと同じく一回り大きな穴が空いているだけなのでやや不格好になる感じは否めません。スタイル重視する方や手のサイズが標準~小型ならRRS製プレートの方が快適なはずです(高いけど!)
他の欠点としては、付属の六角レンチが底面にマグネットで付いているだけということ。普通の使用で落ちそうな気配はないですが、どこかにぶつけるなどしたタイミングで落下する可能性は十分あります(六角レンチがないと取り外しできない)。緊急時用と割り切ってパーマセルなどで塞いだ方が安全かも。
RRSの方はプレートとボディの間に六角レンチを収納するのでまず落ちることはないのですが。
お値段は執筆時で約6600円と格安プレートよりは高いですが、RRSの1/4~1/5のお値段なのでコスパまで含めるとかなりいい感じの製品だと思いますよ。
まとめ
こうしてRRSのプレートと比べてみると、やはりRRSプレートの作りが圧倒的に優れているとことが改めて分かってしまう結果になりましたが、何度も言うように10倍の価格差を考えれば格安プレートもだいぶ健闘していると言えます。
個人的には常用するメインカメラなら高くてもRRSプレートを付けたいなと思いますが、小指の切り欠き部分をごまかせればこのプレートで妥協することを考えるレベルかと思います。
パーマセルなどでアタリをマイルドにすれば少なくとも、プレートが無い状態よりもホールド性は増しますし。次に発売されるα7RIIIでも小指あまりの問題は何も解決されなかったのでしばらくはこのようなアイテムで凌ぐ必要がありそうです。
小指の安住の地を探し求める人の役に立てれば幸いでございます。
個人的には手が大きめの人にはSmallRig製が良いかなと思いますよ。
RRSプレートの詳細レビューはこちらから!