忘れがちな電子接点のお手入れ
精密機器であるカメラ、レンズは日頃のお手入れが欠かせません。定期的にメンテナンスをしているかどうかで、カメラを快適に使えるかどうかが左右されます。
ではカメラ、レンズのお手入れといえば。。というと通常はレンズの前玉やボディの清掃という人が殆どだと思いますが、意外と忘れがちな電子接点のお手入れも重要です。
カメラは電子部品の塊ですから、通電が妨げられると途端にエラーとなってしまいます。大事な撮影時に通信エラーが発生してシャッターチャンスを逃してしまう。。という場合も良くある話です。
今回はカメラの電子接点をお手入れして、快適なデジカメライフを送る方法についてご紹介してみようと思います。
カメラの基本的はお手入れは下記エントリーを参照してみて下さいね!
お手入れに必要なもの
さて、電子接点のお手入れに必要なものは、特に特殊なものは必要ありません。基本のお手入れセットを持っていればOKです。
KING レンズクリーニングティッシュ
まずは接点を拭くためのクリーニングペーパーを。studio9でちょくちょくご紹介しているKING レンズクリーニングティッシュがおすすめ。
レンズやボディなど基本のお手入れでも大活躍のクリーニングペーパーなので、手元に置いてあると便利です。ただし、これは非アルコール系なので乾きは遅め。レンズのガラス面など拭き跡を残したくないならアルコール系のペーパーも併用するとより良いでしょう。
私は最近レンズのガラス面を拭くときはハクバのクリーニングティッシュ使う事が多いです。
爪楊枝 or 竹串
細かい部分を清掃するので爪楊枝か竹串があると便利。基本は爪楊枝だけでOKですが、電池の端子を掃除したい場合は長い竹串が便利。
1~2本あれば十分です。
接点改質剤 (ナノカーボンペン)
これは絶対と言うわけではありませんがあると心強いです。接点は使用する内に摩耗して上手く噛み合わない(通電しにくい)状態になったりします。
接点を掃除した後にこれをキュキュっと塗っておくと接点での抵抗が低減され良好な状態を保てます。レンズやストロボの通電エラーにお悩みの方は試してみると良いかもしれません。
カメラ用品を良く出しているエツミからナノカーボンペンとして発売されているもので、アマゾンオリジナル版だと簡易パッケージに入って800円くらいで買えます。
ブロアー
空気でシュシュっとするあれです。掃除中はレンズの後玉やミラーボックスが暴露することになるので、ホコリが付く可能性があります。掃除が終わったらこれでホコリを飛ばしてしまいましょう。
レンズを外す前にボディについている埃を飛ばすのも重要です。意外と忘れがちですが、これをやらないとカメラ内部に埃が侵入するリスクが高まります。。
経時劣化で内部からゴミが出にくいシリコンゴムタイプのものがおすすめ。
お掃除に必要なのはこんなもんです。
電子接点のメンテナンスのポイント
正直なところ電子接点のお手入れの方法なんてのは、ただクリーニングペーパーで拭くだけなので大して難しくありません。。
”どうやって掃除するか”よりは”どこを掃除するか”が大事です。
掃除用の極小マツイ棒を作る
まずは、細かな接点を掃除するための極小マツイ棒を作りましょう。作り方はカンタンです。
まずは爪楊枝の先端を1~2mm折ります。折らずに使うと先端がペーパーを突き抜けてカメラにキズを付ける恐れがあるので注意。折り曲げる量を変えることで、先端の太さを調整することができます。
クリーニングペーパーはそのままでは大きすぎるので、ハサミで小さく切って使います。下のサイズでもチョッと大きいくらい。クリーニングペーパーは乾燥しやすいので余った部分は入っていたケース(小分け袋)に入れておきましょう。
あとは爪楊枝の先端が出ないようにクルクル巻きつけるだけ。なるべくキツめに巻けるといいでしょう。
完成したらこれで細かな電子接点をキュキュッとお手入れします。
レンズの電子接点のお手入れ
最近のカメラはレンズを電子制御しているので、この接点が汚れてしまうとレンズ通信エラーが発生したり、最悪の場合カメラがレンズを認識しなくなる可能性があります。
意外と汚れやすいレンズの接点
一眼レフのレンズは回して装着するので、しばらく使っていると金メッキ部分(たぶん)が接点の外にこびりつくような形で汚れてきます。
拡大してみるとこんな感じ。
メッキの粉のようなものが関係ないところまでこびり付いていますよね。酷くなれば隣の接点とショートしてしまう可能性もありそうなので定期的にお掃除したいところ。
特にキヤノンのレンズ接点は赤枠で囲った左側の一段低くなっている部分が汚れやすい感じがします。
拭くだけでOK
これを先ほど作った極小マツイ棒で拭き拭きします。意外と簡単に汚れが取れます。
キレイになったのがコチラ。
これで安心です。
できれば接点改質剤も
ただ、こびり付いていた金色の汚れはおそらく通電性を良くするための金メッキで、これが一部はみ出ていたということは端子部分の金メッキは薄くなっている(通電性が低下している)状態なので、最初にご紹介した接点改質剤を塗っておきます。
ちなみに、ナノカーボンペンはとっても小さくてカメラの電池(LP-E6)とほぼ同じ長さです。なくさないようにしましょう。コレ一本で200cm2を塗ることが出来るそうです。
説明書には一度塗ると半年間効果があると書いてありましたが、お掃除のたびに塗ってあげれば良いかと思います。
端子からはみ出ないようにペンで塗っていきます。特に色が付くわけでは無いのでなんだか塗れている感じがしませんが大丈夫です^^;
これで終了!
1本あたり1~2分で終わる簡単な作業です。ブロアーでホコリを吹き飛ばして完了です。
マウント側もチェック
マウント(ボディ)側の接点もチェックしておきましょう。こちらは細かな突起状の接点が並んでいるため掃除しづらいです。
マウント内となるため、深追いはせず表面をささっと拭う程度で十分かと思います。必要に応じてナノカーボンペンで先端をちょっと触ってあげる程度でOK。
クリーニングペーパーの紙埃でマウント内を汚染しないように手短に済ませましょう。こちらも最後にブロアーで埃を吹き飛ばしたら完了です。
アクセサリーシューのお手入れ
さて、レンズの接点が終わったらアクセサリーシュー(ホットシュー)の接点も掃除しておきましょう。カメラのてっぺんに着いている外付けストロボ(フラッシュ)などを装着できるアレです。
一番汚れやすい電子接点
アクセサリーシュー(ホットシュー)は外部に露出している端子(メーカーによっては保護カバーが付いているものも)なので、カメラの中では最も汚れやすい電子接点です。外部ストロボ(フラッシュ)やアクセサリーを接続した場合に不調となる場合は、故障では無く接点不良が原因なことも多いです。
私も何度か外部ストロボを接続している時に異常発光するといったことを経験していますが、ここの汚れが原因でした。
アクセサリーシューは人によっては全く使わないよ!と言う人がいるかもしれませんが、そのままにしておくとかなり汚れが溜まりやすい部分でもあります。全く使わないとしても、気分的にもカメラ的にも良くないですし、何かの都合でアクセサリーシューを使う場面に認識しない。。といったトラブルに見舞われるかもしれません。
掃除はカンタン
お掃除方法はカンタンです。レンズの時と同じように極小マツイ棒で端子回りを掃除するだけ。
接点を見極める
ただし、細かな部品なのであまりゴシゴシやりすぎて、クリーニングペーパーを誤って奥に詰めてしまわないように注意しましょう。メーカーによって端子は様々ですが、キヤノンの場合、重要なのは図にある5つの丸い金属端子だけです。無理に奥まで清掃しなくてもOK。
キヤノン以外のカメラも同じように真ん中に大きな端子と回りにいくつかの小さめの端子が付いていると思います(ソニーのカメラは形状が特殊です。。)。
接点改質剤を持っている方はそこの端子部分だけ塗り塗りしておきましょう。
外部ストロボなどオス側のアクセサリー端子も同じようにキレイにしておきます。
使わなければカバーを
メーカーによっては標準で端子カバーが付いてくるカメラもありますが、アクセサリーシューを殆ど使わない場合は普段から端子カバーを付けておくのも良いかと思います。(ただし保護カバーを付けているとキヤノンのカメラは内蔵ストロボが使えないので都度外す必要あり)
ちなみに、以前アクセサリーシューが故障して交換したことがあるのですが、交換すると1万円くらいの出費となります。。(EOS 7Dの場合)
普通のカバーじゃヤダ!っていう人はオリジナルの名入れホットシューを使うのも良いですよ!
電池の接点のお手入れ
電子接点と言えば忘れてはならない電池です。
ここの接点も汚れたままだと抵抗が大きくなり電池の消耗が早くなったりする恐れがあります。ただ、メーカーによって端子形状が異なるので掃除しやすい、しにくといった事があると思います。
例えばキヤノンの中級機種以上に採用されているLP-E6というバッテリーでは、メイン端子("+", "-")がほぼ隠れた位置にあり非常に清掃しづらい構造です。無理にペーパーを突っ込んで中で詰まってしまうとかえって悪影響になると思いますので、清掃しづらい場合はそのままでも大丈夫(不調がなければ)かと思います。
LP-E6の場合、どうしても気になる場合は新しいコピー用紙や画用紙など油やインクが付いていない固めの紙を端子部分に何度か通してあげると良いかと思います(中で紙がちぎれて挟まらないように注意)。
補助端子がある場合も
ちなみに、LP-E6の場合メイン端子の他に"T", "C"と書いてある端子もあります。ここは外部に分かりやすく露出しているためこれがメイン端子だと勘違いしている人も多いですが、こちらは補助端子。おそらく電池残量確認や充電時の電池保護用に使用されている端子だと思います。
もちろんココも汚れていれば何かしらの悪影響を及ぼすことが考えられるのでキレイにしておくべきですが、ここを完璧にキレイにしたからといって電池の持ちが良くなるということは無いんじゃ無いかと思います^^;
カメラ本体側の電池端子は奥の届きにくいところにあるため、ここも何か異常が無い限りは無理して清掃しなくても良いかと思います。清掃したい場合は、爪楊枝よりも長い竹串などを使うと良いですね。
乾電池も接点改質
ストロボやバッテリーグリップで乾電池を使っている人は乾電池の端子もキレイにして、接点改質剤(ナノカーボンペン)を塗り塗りしておくと万全ですね!
充電電池の場合、何度も繰り返し使うので端子に汚れが蓄積しやすいのです。
特に外部ストロボは電池端子の状態でバッテリーの持ち具合が体感的に違う気がしています。改質剤が無くても定期的に端子部分をクリーニングペーパーで拭いておくだけでも違います。
まとめ
以上、忘れがちなカメラ、レンズの電子接点のお手入れについてご紹介しました。
重要な接点は「レンズ接点」「アクセサリーシュー」「電池接点」の3カ所です。ここさえお手入れしておけばOK。
外部端子をよく使う人なら、USBやHDMI、レリーズ端子が汚れる場合もありますが、この辺はそんなに汚れるものでもないので定期的な清掃は必要ないかと思います。(汚れないように普段からカバーを付けておく)
ボディのお手入れのついでにやればそれほど時間もかかりませんので、ぜひ端子をお掃除して快適デジカメライフをお送り下さい。
ボディなど基本のお手入れは下記エントリーを参考にしてくださいね!