前回、写真と「明るさ」の関係について簡単にご紹介しましたが、今回は写真と「色」の関係についてご紹介します。「明るさ」をコントロールするのは、絞り、シャッタースピード、感度の3つでしたが、「色」をコントロールするのは何でしょう??
まず最初に覚えるべきは1つだけです!カンタンです。
写真は「明るさ」と「色」に分けて考える
前回のエントリーでは写真は”光”を記録したものです!とご紹介しました。そして、「明るさ」に着目していろいろ考えてみたわけですが、”光”って「明るさ」だけじゃないですよね?もう一つ、「色」という大事な要素があります。
モノクロの写真を撮るなら「明るさ」だけでもいいのですが、多くの人はカラーで写真を撮るはずなので、「色」について考えて見ることも大事な気がしますね。まずは、カメラが色を記録する仕組みをみてみましょう!
より実践的なホワイトバランスの活用法はこちらの記事で紹介しています!
- ホワイトバランスの超基本!出したかったあの色に近づく設定の方法 [初心者向け]
- 自分だけの色を作る、見つけるためのホワイトバランス設定法![WB補正]
カメラが「色」を記録する仕組み
今回も”光”をクルマに見立ててざっくりとしたイメージでお伝えしますね(初めての方はまずはココから読むのがおすすめ)。 実は色はなかなか奥が深いので、コレだけ!ってことが言いにくいのですが、初心者がまずは覚えておくべきことに絞ってお伝えします。
カメラが「色」を記録する時に重要なのは「イメージセンサー(光の駐車場)」です。下の絵のように、レンズから入った様々な色を持った光は特に交通整理されずに、直接イメージセンサーまで到達します。そして、ここで初めて色が交通整理されてバラバラに分けられるのです。
実はイメージセンサーには「赤いクルマ専用の駐車場」「緑のクルマ専用の駐車場」「青のクルマ専用の駐車場」とクルマの色別に駐車スペースが分けられています。色には黄色とか紫とかもっとたくさんの種類はあるのですが、そんなにたくさんの駐車場を作ることは出来ないため、すべてのクルマ(光)はしかたなく上の3種類の駐車スペースのどれかに仕分けされます。
たった3色で大丈夫なの??と思うかもしれませんが、赤、緑、青は「光の三原色」でしたね。この3色を混ぜ合わせればすべての色が作り出せるので問題ないのです。あなたがこうやって画面越しに見ているこの色だって、ディスプレイから赤、緑、青の3色の光が出ていて混ぜ合わさった色を見ているのですよ!
さらに、この「色の仕分け方」は私たちが勝手に設定することはできません。。「絞り」や「感度」は私たちが設定しなければなりませんでしたが、「色の仕分け」の設定はメーカーや機種ごとに決まっちゃっているので、カメラに全部お任せなんです。
これがカメラが「色」を記録する仕組みです。設定はお任せだったので簡単でしたね!
「色」は何で設定する??
カメラが「色」を記録するところはすべて「カメラにお任せ設定」でした。では写真の「色」はどうやって設定するのでしょう?
色の「復元」がポイント
カメラに記録された「色」は赤、緑、青の3種類なので人間が見るには適していません。なので、人間が見る「写真」にする時にもう一度この3色を混ぜ合わせて色を「復元」しているのです。色を変えるにはこの「復元」にヒントがありそうですね!
この「復元」の設定のことをカメラの世界では「ホワイトバランス(WB)」といいます。人間の目に見やすいように赤、緑、青をどういう割合で混ぜたらいいかな?という設定です。”ホワイト”とあるように「白」を基準に決めます。
人間の目は優秀(というかいい加減?)なので、蛍光灯の部屋の中で白い紙を見ても、太陽の光で白い紙を見ても、だいたい同じ「白」と感じるのですが、実は蛍光灯の部屋の中の「白」と太陽の光で見る「白」はぜんぜん違う色だったりします。カメラは正直なのです。だから、カメラに”ここで人間が白って感じる設定はコレですよ”と教えてあげる必要があるのですね。また、このホワイトバランスをわざと、ぜんぜん違う方向にズラせば独特の変わった雰囲気の写真にすることも可能です!
おススメの設定方法
ホワイトバランスの設定は”どんな光の環境で写真を撮っているか?”がポイントなので、カメラの設定画面でもそれを示すアイコンが並んでいますね。基本的には自分が写真を撮っている環境に合わせればOKです。蛍光灯の部屋で撮ってるなら、蛍光灯モード、晴れた日に撮ってるなら晴れの日モード・・・といった具合です。
でも、色の感じ方や好みは「明るさ」以上に個人差があると思うのであくまで目安です。例えば私は「暖色系」の写真に仕上げることが好きなのでカメラで設定したホワイトバランスだとちょっと青っぽいな。。と感じることが多いです。そんな時に、どうやって設定したら自分好みの色(例えばもっと暖色系にとか)になるのかぜんぜん分からないという人も多いでしょう。
詳しい設定方法はまたの機会にご紹介しますが、まずはコレだけ覚えればOKという設定だけ簡単にご紹介します。
とりあえず太陽光モード
人間は大昔から太陽の光の下で生活してきました。だから太陽の光の下で見える色が一番自然に見えます。だから、基本のホワイトバランスは太陽光モードがおすすめ。良くわからなければ、とりあえず”太陽光モード”で撮ってみましょう。
それで撮った写真を見て、ちょっと色が赤すぎるな~(青くしたい)と思ったら”蛍光灯モード”へ。ちょっと青いかなー(赤くしたい)と思ったら”曇りモード”へ。
たったこれだけ。ますは”太陽光モード”で撮ってみて、もっと青くしたいなら”蛍光灯”、赤くしたいなら”曇り”たったコレだけでも自分好みの色に近づけるはずです。簡単ですね!
それすら面倒。。という人はホワイトバランスにもオート設定があるのでそれでもいいでしょう。
RAWで撮ればWBは関係ないというワケ
なにやら聞き慣れない単語が出てきましたね。。初心者の方はこの項目は読み飛ばしても大丈夫です。写真を始めてしばらく経った人のために、ちょうどいい機会なので書いておこうと思います。(RAWについては初心者の人にも分かりやすいようにいつかまとめようと思います)
RAWというのは読んで字のごとく、写真の生(raw)データ。イメージセンサーで記録したままのデータの事です。よく、RAWで撮ればホワイトバランスの設定は後からいくらでも好きなように設定できるから関係ない。といわれてますがそれはどういう理由だからでしょうか?
実はすべての答えはこの記事の中にあります。もうお気づきの方も多いと思いますが、ホワイトバランスはイメージセンサーで記録した色の「復元」の事でしたね。つまり、どんなホワイトバランスを選択しようと、元のデータ(RAWデータ)は一緒なワケです。だから、このRAWデータさえ記録して残しておけば、色の復元は家に帰ってパソコンで”自由に、画質を損なう事なく”設定し直す事ができるのですね!(あくまでRAWデータで残してあればです。。JPEGはRAWデータではないので後で”自由”に変更する事は出来ません。)
ところが、「明るさ」はそうは行きません。なぜなら「明るさ」は絞り、シャッタースピード、感度で決まります。これはすべてイメージセンサーに記録される”前”の設定。だからこれらはRAWで撮ったからといって、後で変更する事は絶対にできません。(*注:”変更できない”のは絞りやシャッタースピードそのものの値のことです。ある程度の明るさは後でも変更できますが、”自由に、画質を損なう事なく”変更する事はできません。また、例えば絞りの特別な機能だった”ボケ”の具合は絞りの値を後で変更できないので、当然撮った後に変更は不可能です。)
もし写真に慣れてきてRAWで撮るようになっても、絞り、シャッタースピード、感度には注意して撮りましょう。
まとめ
では今回のまとめです!
- 写真は「明るさ」と「色」に分けて考える
- 写真の「色」は”ホワイトバランス”で設定する
- ホワイトバランスは色の復元設定のこと
- まずは”太陽光モード”で撮ってみる
- 赤くしたければ”曇りモード”、青くしたければ”蛍光灯モード”
前回と今回で、カメラが光を記録する基本的な仕組みをまとめました。そして、もっとも重要な設定が分かりましたね。「絞り」「シャッタースピード」「感度」「ホワイトバランス」の4つです。ここまで読み進めて、内容を理解できれば知識的にはもう初心者レベルは卒業!そのくらい大事な内容です。(実はもう一つ、カメラの仕組みには関係ないですが、「構図」というとても重要な要素があります。。)
あとは、これらの設定をいかに使いこなせていけるか。が問題です。次回以降は実際にこれらの設定を使いこなしていくコツをご紹介していこうと思います。