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ASUSTOR DRIVESTOR 4 Pro (AS3304T)レビュー!コスパ抜群の2.5GbE対応NAS

投稿日: by 中原 一雄

ASUSTOR AS3304Tレビュー

データをコスパ良く安全に保管するASUSTORのNAS

写真や動画撮影をしているときに気になるのが大容量データの保管方法ですよね。1TBを超えるような大量のデータ管理は効率的なデータの保管(コスパも)と、大事なデータを守り切る安全性がポイント。

これら2つの要素を叶えるストレージとしてここ数年、カメラマンやビデオグラファーに注目されているのがNASによるデータ管理です。今回は高性能かつコスパ抜群な4ベイNAS、ASUSTOR DRIVESTOR 4 Pro (AS3304T) をレビューしていきます!

*この記事はASUSUTORさんとのタイアップです

ASUSTORのNASってどう?

ここ数年、急激に利用者が増えたNASによる写真や動画の管理ですが、悩ましいのがどのメーカのNASを使うかと言うことですよね。NASというのはデータ管理専用のパソコンみたいなものなのでメーカーごとにOSが異なるので最初のメーカー選びがワリと重要なのです。

現在、日本でよく使われている高機能なNASは海外メーカー製が多くSynology社やQNAP社が有名どころですが、今回紹介するASUSTORは最近国内で頭角を現してきたNASメーカーなのです。

あのASUSの子会社

ASUSTORという名前でピンと来た人も多いと思いますが、ASUSTORはあの世界的なPCメーカーであるASUSの子会社になります。ASUSのノートPCやWiFiルーターを使っている読者も多いのではと思います。自作PC派にとってもASUSはおなじみのブランドですよね。私のメインマシンに使っているマザーボードもグラフィックカードもASUS製。

ハードウェアにめちゃくちゃ強い世界的な大企業ASUSのNAS部門がASUSTORというイメージです。国内での知名度はまだそこまで高くないかなぁという印象ではありますが、2012年からNASの製品展開を行っており10年近い歴史をもっています。あと、ASUSTORのCEOはSynology、QNAPでの経験もありNAS業界に精通している人物のようです。

ちなみに、ASUSTORは「Adobe official video and audio partners」にも入っており、クリエイティブ業界にも力を入れているようですね。

DRIVESTOR 4 Pro (AS3304T)とは

ASUSTOR AS3304Tレビュー

さて、今回紹介するDRIVESTOR 4 Pro (AS3304T)はASUTORのNASの中ではASUSTORの中では個人・家庭向けカテゴリに位置する製品で、大容量データでも安心な4ベイのモデルです。

2.5倍速い転送速度&充実のハード性能

注目すべきはエントリー向けカテゴリ製品なのに2.5GbEの高速通信に対応しているという点。エントリーに限らず中~上位機種でも1GbE対応ポートしか持たないNASもある中で2.5倍高速な2.5GbEに対応しているのはかなりのメリットです。

1GbEの機種だと実測では110MB/s前後の速度しか出ず、普通の外付けHDDより遅い転送速度になるのですが、2.5GbEなら外付けHDDよりも高速で重いRAWデータや動画編集もサクサク出来ちゃいます。手元の個体でも実測してみましたが、2.5GbEで接続すると約2倍速い転送速度が出ました。写真や動画など大容量データを扱っている人ならこの差は日々のデータ管理で大きく差を体感出来ると思われます。
*2.5GbE対応させるにはPCやWiFiルーター(またはスイッチ)などネットワーク全体を2.5GbE対応必要させる必要があります。

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AS3304Tを1GbEで接続したとこと規格の上限ギリギリの速度が出てきました。これだけでも優秀。2.5GbE接続時では2.5倍まではいかなかったもののリード222MB/sと十分な速度。この速度なら4Kの動画編集も問題なくこなせるはずです。ちなみにケーブは付属のCat5eでもほぼ同じ速度出ました

ノートPCなどパソコン本体に2.5GbE対応のLANポートがない場合はASUSTOR純正のAS-U2.5G2というアダプターも用意されています。USB3.2 Gen1 Type-C接続かつ小型なのでノートPCでも2.5GbEの恩恵を十分得られるのがポイント。価格も5,000円台とリーズナブルです。

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USB TypeA変換アダプターも付属。これがあればPC内部に拡張カードを増設することなく挿すだけで2.5GbEに対応できる(Wi-Fiルーターやスイッチを使っている場合はそこも2.5GbE化しておきましょう)

メモリも2GB搭載しており動きもサクサク(同価格帯のNASだとメモリ1GBが一般的)。最近のNASはエントリーでもこんなに高機能になったのか。。と驚くスペックとコスパです。

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今回ASUSTORのNASを触るのは初めてだったのですが、今まで多くのNASを使ってきた私の視点でASUSTOR AS3304Tの便利な機能や使用感などについて詳しくまとめていこうと思います!

廉価なのに高いレベルの基本機能

まずはAS3304Tの外観やセットアップから見ていきましょう。HDDが4本入る構造なのでよくある四角い箱のような形状の本体でフロントはツヤっとしたデザイン。「asustor」のロゴはローズゴールドで悪目立ちせず落ち着いた色合いです。

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端子類はフロントにUSB 3.2 Gen 1 が1つと背面に2つ。LANポートは2.5GbE対応のものが1つ付いていますね。フロントパネルはマグネットで付いているので着脱も簡単です。

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HDDの入れ替えはすべて工具不要。専用パーツにセットしてパチパチ手ではめていくだけでOKです。HDDの代わりにSATA SSDを使用することもできます(こちらは要ネジ止め)。ホットスワップ対応なのでHDD交換時に電源を切る必要がありません。NASを稼働したままHDDの抜き差しが可能です。

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付属品はLANケーブル、ACアダプター、2.5インチ用ネジ、クイックセットアップガイドとシンプルです。付属LANケーブルはCat 5eの普通のやつですが、2.5GHz接続時でも手持ちのCat6aのケーブルと変わらない速度が出ていましたよ。

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初期セットアップは短時間で完了

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AS3304Tの隣に置いてあるのはA4スキャナーのScanSnap iX500。デスク周りに置いても全く違和感のないデザインですね。

今回はSeagateのNAS向けHDD、IronWolf 4TBを4本入れてセットアップしてみました。パソコンからだけでなく、スマホからでもセットアップ可能なようです。今回はパソコンからセットアップしてみました。

もちろんセットアップ時はLANケーブルをWiFiルーターやスイッチに接続しておく必要があるのでお忘れなく!

acc.asustor.comにアクセスすればOK

パソコンからセットアップする場合は電源オンしてしばらく待った後、アドレスバーにacc.asustor.comと入れてアクセスしましょう。すると「ASUSTOR Control Center」というアプリのダウンロード画面が出てくるのでお使いのOSに応じてインストールします。

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ASUSTOR Control Center | ASUSTOR NAS より

ASUSTOR Control Center(ACC)をインストールする手間はかかるものの、このアプリは初期設定外にもNASの共有フォルダをパソコンにマウントさせたり、NASの状態確認などが簡単にできる必須アプリなので最初に入れておいて損は無いです。

ASUSTOR Control Centerを立ち上げるとAS3304Tが自動検出されます。ステータス欄の「初期化されていません」の部分をクリックすると初期セットアップ画面に移行します。

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付属の説明書には『「acc.asustor.com」にアクセスしてね』までしか書いていなかったのでACC画面からどうやってセットアップ画面に移行するのかちょっと迷った。。唯一この導線だけは初心者に厳しいかも(他はかなり分かりやすい)

あとは画面の指示に従うだけ

あとは画面の指示に従ってセットアップしていくだけです。はじめにADM(Asustor Data Master)というNAS用OSのアップデートを行った後、初期セットアップ画面に移行します。

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ここからは画面の指示に従って設定していけばOK

セットアップ方法は簡単な「ワンクリックセットアップ」と詳細に設定できる「カスタムセットアップ」の2つがあります。ネットワークやNASに詳しい人はカスタムでも良いですが、普通のユーザーなら簡単なワンクリックセットアップで十分な印象。

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NAS初心者は「ワンクリックセットアップ」を選択すればOK。詳しく設定したい人や後で紹介するMyArchive機能を使いたい人はカスタムセットアップしましょう

出てくる用語も難しいものはなく、ある程度初心者でも初見でサクサク設定していけると思います。このあたりの導線の良さはなかなか良いと思いました。

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ワンクリックセットアップする場合はアカウントをユーザー指定のものに変えておきましょう。これで攻撃されやすいAdminアカウントは無効に出来ます。目的は「実効容量と耐障害性を両立」(RAID5)がおすすめ。「耐障害性を強化」は容量がHDD2本分になるのでRAID6構成になる? RAID?なにそれ美味しいの?という人でもセットアップ出来ます

ADMアップデート、初期セットアップはそれぞれ3~4分で終わる感じ。今までいろいろなNASのセットアップをしてきましたがAS3304Tはかなり速い部類です。

ちなみに途中で「NASの登録」としてASUSTOR IDを登録しませんか?という画面が出てくると思いますが、ここでIDを作っておくとインターネットから安全にNASにアクセスするのがとても簡単になります(EZ-Connect)。

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親近感を持てるタブレット風UI

初期セットアップが終わったら自分で決めたID、パスワードでログインしてみましょう。ログイン画面はブラウザにブックマークしておくと次から簡単にアクセスできます。もし分からなくなったらASUSTOR Control Centerから接続してもOKです。

ログイン後の画面は初期インストールされているアプリのアイコンが並ぶタブレット風のUI。ここから必要に応じて設定やアプリを使っていくイメージです。

はじめに「ストレージマネージャー」を見てみましょう。ワンクリックセットアップで「実効容量と耐障害性を両立したい」を選んだのでボリュームの構成はRAID5になっています。ファイルシステムはEXT4です。

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セットアップ直後はバックグラウンドでRAID構成を作っているのでステータスが「同期化中」となります。この状態でもファイルの保存などは可能ですが、この後紹介する「Photo Gallery 3」の機能などは一部制限を受けます。フルパワーで使いたい場合は一晩くらい放置しておけばOK。

ディスクの項目を見てみると挿入されているディスクの健康状態も監視してくれていることが分かります。今回はSeagateのIronWolfを使っているので専用アプリのIronWolf Health Managementをインストールするとデータさらに詳しいHDDの状態も把握することが可能で精神衛生上とてもよろしいです。

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IronWolf以外のHDDでも普通の健康状態がキチンと表示されるので安心

各アプリの導線は良く出来ていて、海外製品にありがちな不自然な日本語訳も少ないので、普段パソコンやタブレットを使っている人なら直感的に使っていけるのではないかと思います。

Googleフォト有料化でも怖くない充実のメディア管理機能

これを読んでいる人の中にはGoogleフォトの無制限アップロードが終了してしまったので新たな写真の保存先を探して辿り着いた人もいるかも知れませんね。そう、2021年6月からGoogleフォトに無料で写真をアップロードできるのは15GBまでとなってしまい、一部では「Googleフォト難民」なんて声も聞こえてきました。

そこで今までGoogleフォトを使ってきた人におすすめしたい代替手段がNASの写真アルバム機能の活用です。ASUSTORのNASでは「Photo Gallery 3」という専用の写真管理アプリが使え、これによりGoogleフォトのような「写真保管&自動アルバム」機能が使えるようになります。もちろん月額料金はかかりません

大量の写真をクラウドに預けている人にとっては有効な解決策の一つとなるでしょう。

直感的に使えるシンプルなUI

Photo Gallery 3を使うにはデスクトップの「App Central」からインストールします。スマホにアプリを追加するイメージで簡単にインストール可能。もちろん無料です。

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Googleフォトのように直感的に使えるUIになっており、「写真」「アルバム」「フォルダ」の3つのタブから写真の表示方法を変えられます。

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手持ちの写真を適当に入れてみましたがきちんと撮影日順に表示してくれました

特定のフォルダに写真を入れるだけでOK

Photo Gallery 3に写真をアップロードするには画面上部の「アップロード」から行うこともできますが、NAS内の「Home/MyPhoto」フォルダに写真を入れるだけでもOK。このフォルダは任意のフォルダに変更することも出来ます。

HomeフォルダをASUSTOR Control Centerでパソコンにマウントして、パソコンから開けるようにしておけば、PhotoshopやLightroomなど普段の写真編集の書き出し先に「Home/MyPhoto」に直接写真を書き出して、アルバム化することも出来ますね。これは便利。

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アップロードした写真からカメラの設定なども確認出来るほか、GPSデータが付いていれば地図上に示すことも出来る。ちなみに、RAWデータを入れても色は崩れるもののサムネイルは表示できました(.arw, .cr2, .ce3で確認)

シェアも簡単

設定 > EZ-ConnectからEZ-Connectサービスを有効にしておけば、インターネットを通じて家族や友人と写真をシェアすることも簡単です。有効期限やパスワードを付ける事ももちろん可能。

もちろんスマホとの連携もOK

Photo Gallery 3はもちろんスマホとの連携も可能です。Photo Gallery 3のスマホ版は「AIFoto 3」という名前で、iPhone、Androidで利用できます。

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PC版とスマホ版で名称が異なるためちょっと分かりづらいですが、ほぼ同一のものだと思っておいてOKかと思います。スマホのAIFoto 3ならスマホで撮影した写真を自動でAS3304Tにアップロード(バックアップ)してくれる機能も搭載されています。

もちろんスマホから写真のシェアをすることもできますよ!

サムネイルの生成が遅いのが玉に瑕

シンプルで使いやすいPhoto Gallery 3ですが、使っていてちょっと不満だったのがサムネイル生成の遅さ。エントリークラスのNASなのである程度時間がかかるのは仕方がないにしても、写真をアップロードしてからサムネイル完成まで(ブラウザの画面に表示されるまで)1枚あたり10秒くらいの時間がかかってしまいます。

サムネイル作成の進行具合も確認する事ができないため、急いでいる時などは精神衛生上良くない感じです。1日20~30枚くらいのライトな使い方ならあまり問題になりませんが、一気に数百枚や数千枚の写真をアップロードする場合はタイミングに注意した方が良いかも。

ピークタイム設定をして回避することもできる

バックグラウンドでサムネイルを生成しているときはCPU利用率が高くなってしまいますが、設定 > スケジュール設定 > サムネイル から任意の時間を選んでバックグラウンド操作を停止させることができます

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こうしておけば夜間や早朝のNASを使用しない時間帯にまとめてサムネイル作成ができるので便利ですね。

サムネイル生成以外は気持ちよく動きます

ちなみに、遅いのはサムネイル生成部分だけで、アップロードは2.5GbEで一瞬で終わりますし、サムネイル完成後の操作はストレスなく動かせます。Photo Gallery 3以外の機能は全体的にサクサク動いているだけにここが目立つ形となりました。大量の写真をPhoto Gallery 3にアップロードするときは寝る前とかに済ませておくといいですね。

搭載されているハードウェアはしっかりしているので今後、アプリのアップデートなどで高速化を期待したいところです( 中の人に個人的な改善リクエストしたのですが、より使いやすくなるよう改善を進めると言っていました!)。

動画や音楽の再生も可能

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今回あまり詳しく触ってはいませんが、AS3304Tには写真の管理以外にも、動画用アプリの「LooksGood」、音楽専用アプリの「SoundsGood」といったマルチメディア系のアプリもきちんと搭載されています。ハードウェアレベルで10ビット4K H.265 メディアをトランスコーディングできるそうなので、NASに保存した高画質な動画もスマホでサクサク見ることができるようです。

アプリを追加してDLNAサーバーとすることもできるようなのでテレビなどに映像をストリーミングすることもできますね。

大事なデータをしっかり守る充実のバックアップ機能&セキュリティ

大事なデータを保管する時に最も大事なことはバックアップをとることです。大事なデータは必ず2重、3重のデータを持っておかなければなりません。

AS3304Tは普通のセットアップをすれば何もしなくとも、使用中HDDが1本故障してもデータは失われないという冗長性をもった構成になります(すぐにHDDの入れ替えは必要)。これだけでも普通の外付けHDD(バックアップ無し)よりは圧倒的に安全性は高いのですが、100%安全であるとは言えません。

HDDが連続して故障するといった事態以外にも、雷によるサージ電流で運悪く複数のHDDが故障するとか、火事で家ごと燃えてしまう、未知のランサムウェアからの攻撃、自分の重大な操作ミスなど人生どんなトラブルが起こるかは分からないのです。

さまざまなバックアップに対応

ASUSTORのNASのバックアップはさまざまな方式に対応しています。NASから外付けHDD、NAS同士、NASからクラウドなど自分の用途に合った方式のバックアップが使えます

低コストなNAS→外付けHDD

NAS内に保存した大量のデータを最も低コストにバックアップするなら普通の外付けHDDを使うのが最適ですね。AS3304Tの場合、本体のUSBポートに外付けHDDを接続すると外部機器として認識されるので、そこへバックアップするのが最も単純な手法です。

USB接続の外部機器にバックアップする場合は「バックアップと復元」というアプリの外部バックアップを使えばOK。日時を決めたスケジュールバックアップや増分バックアップにも対応しています。量販店で買える普通の外付けHDDを使うだけでもデータの安全性は飛躍的に高まりますね。

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USBに刺さればいいので、ポータブルSSDやUSBメモリにバックアップすることもできる。バックアップするデータはフォルダ単位で任意に選べる

NAS同士やクラウドへのバックアップも可能

その他、NAS同士のバックアップにも対応しています。ASUSTORのNASはもちろん、rsyncをサポートしているものなら他社のNASをバックアップ先に指定することもできます。もう使っていないお古のNASが手元にある場合は検討してみるのも良いでしょう。

バックアップ先としてDropboxやGoogleドライブなどクラウドストレージを指定することも可能です。この場合は「DataSync Center」というアプリをインストールして使えばOKです。

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NASの内蔵HDDを外付けHDD化できる「MyArchive」が面白い

NASから外付けHDDやクラウドへのバックアップ機能は他社のNASでも実装されているものが多いのでASUSTORのNASだけがスゴいというわけではないのですが、「MyArchive」という機能は私が知る限り他社にない機能で面白いです。今回ASUSTORのNASを使っていて最もグッときた機能です。

MyArchiveというのはざっくり言えばNAS内のHDDの一部をいつでも交換可能なストレージとして使えるようにする機能です。「内蔵外付けHDD」みたいな感じです(余計混乱しますかね・・・)。

4本のHDDのうち、1本を抜き差し可能なアーカイブにする

4ベイのAS3304Tは大多数の人が4本のHDDをひとまとめにしてRAID5構成で使うと思います。この場合、データは4本のHDDに分散して保存されるため、常に4本をセットで運用しなければなりません(1本に障害が起きても大丈夫だけど、すぐに4本体勢に戻さなければいけない)。

でも、「MyArchive」を使う場合は、4本のHDDのうち3本1セットでRAID5ボリュームを作り、残った1つをMyArchive用HDDとしていつでも抜き差しできるストレージに設定する事ができるんです。

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AS3304TでMyArchiveを作ったところ

例えば、4TB×3本で実容量8TBのRAID5を作り、直近2年間の撮影データ(2020年、2021年)を保存。MyArchiveとなった残り1本のHDDには古い2019年のデータを保存するという運用が可能になります。

MyArchiveとなっているHDDはいつでも抜き差し可能なので、来年2022年になったら、2019年MyArchiveはNASから抜いて防湿庫などで保存。2020年のデータを新たなMyArchive用HDDへ移動し、使用頻度の高い直近2年間の撮影データ(2021年、2022年)をRAID5ボリュームで運用といった機動的な運用が可能になります。もし、2019年のデータが必要になった場合は2020年のMyArchiveディスクと交換すればOKというわけ。

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ASUSTOR公式サイトより。MyArchiveドライブは本体のOS(ADM)のバージョンが作成時と異なっていても問題なく使う事ができるのもポイント

NASの内蔵ベイを使って外付けHDD的な運用ができるんですね。こうしておけばNASにありがちな将来のストレージ容量不足に悩まされる心配が減ります(ただし、MyArchive自体のバックアップは必要)。

もちろん、4本のうち2本をRAID1(ミラーリング)として、残り2本をMyArchiveとすることも可能です。

内部でNAS全体のバックアップを行う用途にも

もう一つ便利な使い方はNAS内データのバックアップをMyArchiveで行う方法です。例えば4TB×3本で実容量8TBのRAID5を作ったあと、MyArchive用に8TBのHDDを1本使い、RAIDボリューム内のデータ(8TB)をMyArchive(8TB)にバックアップするといった使い方。

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「バックアップと復元」の内部バックアップでMyArchiveをバックアップ先に指定できる

ASUSTORのNASでRAIDを作るにはすべて同じ容量のHDDが必要ですが、MyArchiveはそこから独立しているので容量を揃える必要はないのですね。SATAを介して内部でバックアップをとるのでUSB接続の外付けHDDよりも高速にバックアップ&復旧できるというメリットもあります。

他のNASやPCに直接挿せる

さらにこのMyArchiveはファイルシステムをNTFS(Windows)、HFS+(Mac)、exFAT(Win/Mac)など任意に選べるので、お使いのPCに合わせたファイルシステムで作成しておけば万が一の時にPCで直接データを読み込む事も可能。

さらに、MyArchive内にはASUSTORのNAS用設定が書き込まれているので、別のASUSTOR NASに挿入しても使えるようです。東京のAさんから大阪のBさんまで8TBのデータを送るとき、最速のソリューションはネットで送るのではなく、8TBのMyArchiveディスクを抜き、新幹線に乗ってBさんのNASの空きベイぶち込むという力技も使えてしまうのです。

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ASUSTOR公式サイトより。超大容量データはネット経由より物理的に運んだ方が速い

ただし、初期設定に注意

そんな面白いMyArchive機能ですが、この機能を使う場合は初期設定時に4本すべてでRAIDボリュームを作ってはいけません。2本または3本のHDDでボリュームを作り、MyArchive用のHDD(ベイ)を残しておくことが大事です。

すでに4本構成でボリュームを作っている場合は一旦ボリュームを削除(データも初期化)しなければいけないので利用するハードルが上がってしまいます。そこは注意しておきましょう。

PC内データのバックアップも可能

ここまで紹介したのはNASに入れたデータを他の場所にバックアップする方法でしたが、パソコンの中に保存してあるデータをNASにバックアップするという使い方もできます。

Dropbox的に使えるEZ Sync

EZ Syncという機能を使えば、DropboxやGoogleドライブで使えるようなPC内の特定のフォルダをNASとリアルタイムで同期しながら使う事ができます。ローカルで編集しているデータをリアルタイムでNASに同期(バックアップ)することができるので便利です。

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PC内の同期フォルダは任意の場所を指定できる。NAS内の同期フォルダは共有フォルダではなくユーザーごとに用意された「EZ-Sync」フォルダに限定される独特の仕様だが、多のユーザーから見られることはないというメリットもある。使えるのは一般的なファイル同期機能でファイルオンデマンド機能は実装されていない。

ただし、今のところMac用のクライアントソフトがないのが残念です。今後のリリースに期待したいところです。

タイムマシンの保存先にも

EZ Syncが使えないMacですが、Time Machineの保存先にAS3304Tを使う事も可能です。MacbookなんかではTime Machineの保存先に外付けHDDを使っているとUSBの抜き差しが面倒だったりしますが、Wi-FiでNASと繋げてしまえばコードレスでTime Machineが使えて便利ですね。

セキュリティ対策もちゃんとしてます

大事なデータの保存先とするならセキュリティ対策も重要ですよね。最近はNASを狙ったサイバー攻撃の話題を目にすることも多いですが、ASUSUTORでは新たな脆弱性が発見された場合は24時間以内に対策を行う態勢が敷かれているとのこと。旧モデルのセキュリティパッチも配布しています。

セキュリティ関係ではないですが、私が1ヶ月ほど使っている間にPhoto Gallery 3のシェア機能に関する不具合に遭遇したのでASUSTORの中の人に報告したところすぐにバグの原因を突き止めてもらい、近日中にバグ対策したアップデート版を配布するという連絡をいただきました。とってもスピーディー。

過去のリリースノートを遡って見るとOS(ADM)のアップデートだけでも過去1年に10回と高頻度でアップデートがありますね(新機能追加も含む)。

新バージョンの通知や自動アップデートオプションも用意されているため、提供されたアップデートを忘れず適用しておけば脆弱性に対してはかなり安心できそうです。

2段階認証、ファイヤーウォールなども使える

NASへのログインには2段階認証も使えます。重要データを保存しておくならぜひ有効にしておきたいところ。ファイヤーウォールで特定の国からのアクセスをブロックするような運用も可能です。

ASUSTOR NAS用のウイルス対策アプリ(ClamAV)も無償提供されています。

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ヘビーユーザーに嬉しい簡単なシステム移行

将来、別の新しいNASに乗り換えるということを想定した場合もASUSUTORのNASは簡単です。ベイ数が同じかそれより多いNASに移行する場合は、旧NASから新NASにHDDを差し替えるだけでOKとのこと(もちろん別にバックアップは持っておきましょう)

他社のNASだとHDD差し替えでOKな機種は限られるなど細かな制約があったり、煩雑な手順となるものも多いのですが、AS3304Tなら別のASUSTOR NASに差し替えるだけでよいので超簡単です*。長い目で見た時にここは大きなメリットになりそうですね。
*ただしbtrfsドライブをbtrfs非対応機種に差し替えることはできない。AS3304TはEXT4専用なので気にしなくてOK

HDDの増設手順も分かりやすい

NAS本体を変えずに、中のHDDだけをかえて容量を拡張したい場合もあると思いますが、この導線も分かりやすいと感じました。「ストレージマネージャ」からボリューム > 管理とすすんで画面の指示に従うだけ。

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HDD4本のRAID5構成の場合、容量拡張するには4本の新しいHDDを用意しなければならず、1本ずつ順番に交換していく手間はありますが、手順自体はそれほど難しいものではありません。

まとめ:初心者からハイアマチュアまでにおすすめできる万能NAS

ということでDRIVESTOR 4 Pro (AS3304T)について実際に使用した感想を交えながらレビューしてきました。1ヶ月程度の仕様だったので細かなところまでバリバリ使った訳ではないものの、全体的にNASに必要な機能はきちんと揃っていると感じました。

特筆すべきは冒頭にも言ったようにエントリー機にもかかわらず2.5GbE標準搭載&2GBメモリというハードウェアのスペックと他社製品より優れたコストパフォーマンスです。特にデータ転送速度は1GbEと2.5GbEでは体感でも大きく異なるので写真や動画を扱う人ならその恩恵はかなり大きいと思います(PCやWiFiルーターなども2.5GbE対応しておく必要あり)。低コストで2.5GbE対応NASを導入したい人には筆頭候補となると思います。

また、実際に使って見て感じた良さはNAS初心者にもやさしいシンプルなUIで。難しい用語が少なく、私がこれまで使ったNASの中では最も直感的に操作することができたと思います。

一方でそのシンプルさゆえ、アプリの機能もあっさりしており、NASに詳しい上級ユーザーだともっと細かな設定をいろいろ試したいと思うシーンは出てくるかも知れません。ほとんどの一般ユーザーにとっては十分な機能を搭載しているNASだと思いますが。

Photo Gallery 3のサムネイル作成の遅さもそうですが、シンプルで分かりやすいUIを維持しながら、よりアプリの高機能化が進めばかなり強いNASになると思いました。

公式のテクニカルサポートとは日本語でやりとりできる体勢は整っているものの、ネット上の情報量少なめなのでちょっと寂しいなという印象(海外の情報は結構ある)。ぜひ日本でのマーケティングをさらに盛り上げてもらいたいところですね。

ASUSTORのエントリーNASは今回の4ベイモデルの他に2ベイのDRIVESTOR 2 Pro(AS3302T)もラインナップされているので、コスパが良い高速NASを探している人はぜひチェックしてみるのがおすすめですよ!

提供、取材協力:ASUSTOR Inc. / Seagate Technology LLC

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この記事を書いた人
中原 一雄 / カメラマン・中の人
普段はカメラマンとして活動しながらstudio9(すたじお・きゅう)の管理、運営をしています。「写真をもっと、あなたのそばに」をテーマに、カメラに使われるのではなく、カメラと友達になる方法を広めるために活動中のフォトグラファー。 中原 一雄のプロフィールページ

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