カメラを買ったらピント確認をしてみよう
おそらく今カメラを使っている方のほとんどはピント合わせにAF(オートフォーカス)を使っていると思いますが、カメラが決めたピントって正しいのかな?と思ったことはありませんか?
カメラやレンズはは非常に高精度な機械ではありますが、どうしても個体差や相性が生じます。ですから、AFで決めたピントが少しズレていた。。という場合もあったりします。
この場合、初期値がズレているので基本的にはAFで撮ったすべての写真がちょっとピンボケになるという悲しい事態になります。。
そこで今回は自分のカメラのAFは正しいのかどうかを簡単にチェックする方法を紹介します!
AFって意外とズレてます。。
例えば、後で紹介するテストチャートをピントの初期値がズレているカメラ(or レンズ)で撮った写真はこちら。(等倍近くまで拡大してます)
白黒の模様の面にAFでピントを合わせて、カメラはピピッ!と鳴った(合焦した)のに実際の写真をみると結構手前にピントが来ていることが分かりますね。。
*ズレているといっても明らかにピンボケとなるほどのものではありませんので初級者の方はあまり気にしなくてもいいかもしれません。AFで明らかにピンボケする場合は設定がおかしいか、ボディやレンズの不良です。。
そこで今回は、簡易テストチャートを自作し、それを使ったAF精度の確認方法をご紹介します!
また、次回になると思いますが、この結果から自分でピントを調整する方法(AFマイクロアジャストメント、AF微調整)にも繋げたいと思っています。
自分で出来る!カメラのピントを微調整する方法。[AFマイクロアジャストメント]
ただし、あくまで簡易的な方法であるため、過度な期待は禁物でお願いします^^
ミラーレス機は必要ないよ
最近増えてきたミラーレス機は原理的にAF時のピントズレが起きづらいので今回のAF微調整はほとんど必要ないです。というかカメラにAF微調整する項目がありません(一部除く)。
一眼レフはピントを測る測距センサーと実際に写真を記録するイメージセンサーが別々なのでこの2つの微妙な精度の違いがAFズレに繋がっているのですが、ミラーレス機(像面位相差AFタイプ)では測距センサーがイメージセンサーに埋め込まれているので原理的に差が生じないのです。
ここからの話は主に一眼レフを使っている人向けの話です。
簡易ピントテストチャートを作ってみる!
ピントのズレを調べるにはズレを計測する物差しが必要ですね。専用の計測器は市販もされているのですが、基本的にはプロ向けなので高価です。。
もっと簡単に、その辺の物にピントを合わせて確かめてみるという方法もあるのですが、定量的な測定ができないので個人差や測定誤差が大きくなります。
そこで今回は家庭にあるものを使いつつ、できるだけ定量的にブレを測定するために、簡易テストチャートを作ってみました!AFテストチャートの基本的な作りはAFターゲットとメモリ(定規)の組み合わせですので、今回の簡易的なシステムでも結構詳しく調べられます。
本チャートを使ったAF微調整の方法は下記エントリーからどうぞ!
用意するもの
テストチャート自作にあたって準備するのはこちらです。
- studio9簡易ピント補正チャート組み立てキット
今回特別に簡易チャートを作成しました!下記よりダウンロードしていただき、A4用紙にプリントしてお使いください^^
- 段ボール(A5サイズ程度)
なるべく平らで綺麗なものがいいです。amazonの箱の底に敷かれてるやつがおススメです(笑)平らである程度丈夫なら段ボール以外でもOK。
- 適当な箱
チャートを立て掛けるのに使います。ソフトバンクじゃなくても大丈夫です。
- 定規、カッター、糊(または両面テープ)
糊を入れるの忘れました。。両面テープの方が綺麗に仕上がるかも。カッターマットもあるといいですね。
作り方
1.ダウンロードした簡易チャートをプリントする
家庭用の普通のプリンターで大丈夫ですが、滲みが出ないようにちょっとだけ良い用紙に印刷します。500枚398円的な安いコピー用紙はインクジェットでプリントすると、ボケなのか滲みなのかよくわからなくなるのでおススメしません。
今回は100枚500円くらいの表面コーティングがされた用紙を使ってみました。写真用の光沢紙はテスト時にチャートが照明でテカっちゃう可能性があるので、マット系の紙の方がおススメです。
2.目盛とAFターゲットを切り取る
そんなに厳密に切り取らなくてもOKです。
3.台紙(段ボール)を切り取る。
サイズはダウンロードした組み立てキットに書いています。今回はこんな感じに切り取りました。
4.目盛部と台紙を張り付ける
これでブレ量がある程度、定量的に測定できます。
浮きが出ないようにしっかり貼り付けましょう。両面テープやぶよぶよしないスティックタイプののりが良いかと思います。個人的にはトンボの消えいろピットが好きです。コクヨのプリットはぶよぶよして苦手^^;
5.AFターゲット部を台紙に貼り付ける
目盛の台紙の厚さ(今回は3mm)ぶん、ターゲットの右中央(マークあり)を角からズラします。
6.AFターゲットを垂直に設置する
箱を立てて側面に張り付けるくらいでOKです。ティッシュボックスとかがいいかな?壁でもOK。
もちろん、箱を設置する机は傾いてたらダメです。
7.AFターゲットと目盛のマークを合わせるように設置する
設置といってもポンと置くだけです。触ったりしなければズレないはず。
はい、これで完成です。
段ボールということでいささか不安もあるかもしれませんが、物凄く厳密にやろうとしなければこの程度でも±1㎜くらいの精度はあるはず。多くの場合は、この誤差よりも測定誤差や読み取り誤差の方が大きいと思います。
材料費ほぼタダで、1万円近くするピント測定装置ができました☆
ピントのズレを測定してみる!
ピント測定ツールが完成したら実際に測定してみましょう。
カメラの設定
まずはカメラの設定。とくに難しいことはありません。
1.AF測距点を1点(スポット)にする
カメラのAFエリアをかならず1点やスポットなど小さな範囲で決められるモードにします。自動選択やゾーンAFなど複数のAFポイントを使うモードはダメです。
測距点は基本的に中央を使います。
2.絞りは開放で
絞りは開放(F値を一番小さく)にします。開放なら被写界深度(ピントの合う範囲)は狭くなるので、ピントが来ている場所が分かりやすいです。逆に、絞ってしまうと被写界深度が広がるので、どこがジャスピンかわからなくなります。。
ただし、開放だと描写が甘すぎる(ぼやけてしまう)場合は仕方ないので1段ほど絞るといいかも。
3.初めは望遠が分かりやすい
望遠にすれば被写界深度が狭くなるので、ピントの合っている範囲が分かりやすいです。ズームレンズの場合は望遠側でテストするのがいいです。
ただ、ズームレンズは広角側と望遠側でピントのズレ量が変わったりすることがあるので、慣れてきたら広角側も見てみるといいかも。
4.できればマニュアルモードで
普段使っているAv(A)モードなんかでも全然OKなのですが、露出が安定した方がチェックしやすいので、Mモードが使える方はこちらがおススメです。
AF精度の測定方法
続きまして測定方法。できれば三脚を使った方が精度よくチェックできます。
1.テストチャートから1~2メートル離れる
基本的には普段よく撮影する距離から撮るのが一番なのですが、遠すぎるとチャートが小さすぎて見えなくなるし、ピントのズレが気になるのは被写界深度の浅い近接撮影が多いと思うので1メートル程度でいいかと思います。
広角では1メートルでも遠いので50センチくらい近づくことも。逆に望遠なら2~3メートル離れてもいいですね。
画面にチャートがこのくらいのサイズで写る感じがいいです。
2.チャートに平行に構えて撮る!
あとは撮るだけです。できれば三脚を使いましょう。後のAF微調整もやりやすいですし、精度も出ます。持って無い方は手持ちでもいいですが、室内は意外と暗いので手ブレには気を付けて。
ピンボケなのか手ブレなのかわからくなります。。
3.ピントを合わせる場所はできるだけ原点近く
ピントを合わせる場所はできるだけ目盛のゼロ点近くの方が精度が高いです。ただし、目盛にAF測距点がかからないこと。ターゲットではなく、手前の目盛にピントが合ってしまうかもしれません。。
AFでピントを合わせる時は全然ピントが合っていない状態から一気に合わせます。ピントリングを回してもいいし、適当な場所にピントを持って行ってから合わせましょう。無限遠とマクロ側の両端からそれぞれ合わせてみるとさらに良いです。
ほぼピントが合っている状態からAFをすると正しく測距されないことがあります。
当然ながら、MFでピントを合わせるのはダメです。AFの調整するのにMF使ったら全然意味がありませんから(笑)
三脚を使っているのでライブビューでピント合わせ。。というのもダメです。一眼レフのAFはファインダー撮影時とライブビュー撮影時で動作原理が異なります(一部機種のぞく)。
普段の撮影時に気になるAFの方式で試します。
4.カメラの再生ボタンの最大倍率で見てみる
可能ならパソコンの画面で等倍(100%表示)が一番わかりやすいです。
カメラでチェックする場合はできるだけ拡大して見てみます。レンズによっては全く同じ操作をしても少しずつピント位置が変わるものもあります(ピントのズレとは別に、AFが安定しないレンズ)。できれば同じ条件で3枚くらい撮って同じ位置にピントが来ているかどうかも確かめましょう。
こんな感じで、ピントの中央が目盛のゼロ付近にきていれば問題ありません(写真をクリックすると拡大します)。カメラとレンズの相性はバッチリです☆
一方で、最初に出したような感じでズレていれば、あなたのカメラ(or レンズ)のピントは残念ながらズレています。。 -3.5くらいのところにピントが来ているので結構な前ピンですね。。
以上で一通りのチェックは終わりです。できれば撮影距離を変えてみて結果が再現できるかもチェックできるとなお良いですね!
ピントが合っていてホッとした人も、ズレていてがっかりした人もいるはずですが1枚だけの結果で判断してはいけません。どんな試験でも結果には必ず誤差が含まれます。かならず複数枚の結果を見て判断しましょう。
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では、果たしてどの程度ズレてたら良くないのか?といいますとそれはもう人それぞれです。撮り方にもよります。
開放で接写をバンバン撮るとかであれば、できる限りピントは追い込んだ方がいいですし、F4とかF5.6くらいでスナップがメインの方なら±1くらいズレてても全然問題ないかも。要は自分か気になるかどうかですね。
ピントがズレている場合はどうするか?
残念ながらピントがズレている場合はサービスセンターに持ち込む方法と、自分で調整する方法があります。
前者はメーカーのプロがやるので確実で正確です。ただし、ボディとレンズを持ち込まなければならず、レンズ1本あたり1,000円くらいの技術料がかかります。(カメラ、ボディともに保障期間内なら無償でやってくれるはず。キヤノンの場合)
このとき、ボディとレンズは一緒に持って行って調整してもらうのが大事です。単体で持ち込んで、メーカーの基準機に合わせる方法もあるのですが、経験上、かなりイマイチな結果に仕上がります。。
一方、後者は自分で調整できるのでお手軽で、今回のチャートを使えばそこそこの精度も出ます♪もちろん過度な期待は禁物ですが。
今回のテストを正しく実施してもピントが目盛内に収まらない(大幅な前ピン、後ピン)の場合はカメラやレンズの不良も考えられます。自分で直すことはほぼ無理なはずなのでメーカーに相談しましょう。
ただし、自分で出来るのはピント調整機能がある中級機以上のカメラに限られます。残念ながら入門機では調節できないものが大半なので、メーカーに持ち込むほかありません。。
キヤノンの場合、AFマイクロアジャストメント、ニコンならAF微調整とかいうメニューがあるはず。お手持ちのかめらにこの機能がついていれば、自分でAFの微調整が可能になります。
調整方法はこちらのエントリーをどうぞ!
まとめ
例のごとくちょっと長くなってきてしまったので、AFの微調整は次回のエントリーにしようと思います^^;
キヤノンのAFマイクロアジャストメントというメニュー機能を使って調整していきますが、ニコンやその他のメーカーでも同じような方法で調整が可能です。
測定して「えっ、私のレンズってこんなにズレてたの??」と思った人もいるかも知れませんね。まぁ今まで気づかずに使ってきたならそんなに神経質にならなくてもいい気もしますが、やはりピシッとピントが合った写真は気持ちの良いものです。
テストチャートを作ってお待ちください^^