撮影後の写真、正しい色で見えていますか?
一眼レフやミラーレスでRAW撮影して、家に帰ってからRAW現像して写真を仕上げるというワークフローはかつてはプロやハイアマチュア向けでしたが、最近ではちょっとこだわって写真を楽しみたいという人にとってかなり一般的なアプローチとなりました。
PCの性能も普通のものでも十分動くし(快適に作業するならそれなりのスペックは必要だけど)、ソフトウェアも無料で使えるメーカー純正のものからAdobe Lightroomなどサードパーティー製のものまで多くの選択肢があり、RAW現像導入のハードルはかなり低くなっています。
ただ、ここにひとつ落とし穴があるんですね。
目の前の色が正しいと思い込んでしまう
データをPCに入れるだけで簡単に画像をいじれてしまうし、最近のPCは昔のように絶望的にディスプレイの性能が悪いと言うわけでもないので、みんな目の前のディスプレイに見えている写真が自分が撮ってきた色だと何の疑いも無く思い込んで作業をしてしまうんですね。
そんなわけで、撮影後に編集するディスプレイの色をしっかり規定していつも同じ条件で、正しく編集できるように環境を整えると良いですよということをお伝えしようということでリアルなセミナーを開催しました。
セミナーにディスプレイを持ち込んでアレコレするには私個人だけでは対処できないため、今回はディスプレイメーカーのBenQさんにもご協力いただきながらの開催です。BenQさんとは今年3回目のセミナー。
数年前から本格カラーマネジメントディスプレイを展開しているメーカーなのです。
http://www.benq.co.jp/product/monitor/color-management/
分かっているようで分からない、それがカラーマネジメント
今回は平日の昼間という、会社勤めの方にはかなり厳しい時間帯での開催でしたが満席のご予約をいただき17名の方に集まって頂きました。
申込時に簡単なアンケートをいただいたのですが、今回参加を希望いただいた方の属性はこんな感じです。
これから勉強したいという方も大勢いらっしゃったのですが、半数以上の方がカラーマネジメントについてなんとなく意識しているものの正しく運用できているか自信が無いということでした。
それなりに普段からRAW現像をやっていれば「カラーマネジメント」がなにやら大事な事らしいと耳にする機会は多いと思いますが、いざ勉強しようと思ってもなかなか良い教材がないのが辛いところですよね。
写真の撮り方の教材は書籍でもWEBサイトでも最近ではYouTubeでもたくさんヒットしますが、カラーマネジメントの教材はなかなか身近なものがないんです。
studio9でもカラマネの第一歩として基礎的な記事をいくつか書いているのですが、作業環境は人によっても大きく異なりますし、ディスプレイや照明の色については実際に見てみないとなんともいえないといった問題もあり、この手の話をすこし突っ込んでやろうとした場合は対面で実機を使いながらのリアルなセミナーが一番効果的なのかと思っています。
もう一つ、今使っているディスプレイも聞いてみたのですが、ここでは意外と多くの方がハードウェアキャリブレーション対応のカラーマネジメントディスプレイを使ってらっしゃるようでした。
買ってはみたものの、正しく運用出来ているかどうか自信が無いという人が大勢いらっしゃるようです。
当日の様子
会場は渋谷ヒカリエのセミナールームで行いましたがこんな感じ。ちょうど良いサイズ感です。
今回の参加者は開催時間の関係もあったかも知れませんが全員男性でした。私が開催するLightroomのセミナーだと多い時には半数くらいが女性だったりするのですが、カラーマネジメントへの関心は男性の方が高いのかも知れません。(女性も大歓迎ですよ!)
前半にBenQさんのカラーマネジメントディスプレイの特徴をざっと説明。いままで導入のハードルが高かったカラーマネジメントディスプレイを一般の人にも手が届く価格まで下げてくれた点でBenQのフォトグラファー(プロアマ問わず)への貢献は計り知れないものがあると思ってます。
色とはなんぞやみたいな基礎と言うよりは、実践で使えるカラーマネジメントの基本を紹介していきたかったのでできるだけ写真と絡めつつ、グラフなんかも使いながら。
途中、実際にディスプレイのキャリブレーションをデモしてみたり。キャリブレーション自体は簡単なのですが、どんなパラメータを使えば良いのかという所が結構多くの方が困ってた印象でした。
あと、一家に一台キャリブレーターね。良いディスプレイを手に入れてもキャリブレーターが無ければディスプレイを使いこなせません。カメラ買ったのにレンズがないというのと同じこと。
ディスプレイの話だけでなく、照明の話も結構時間を割いて紹介しました。
今が旬の蛍光灯を使うべきか、LEDを使うべきか問題とか。良いLED照明を選ぶのは良いディスプレイを選ぶより大変かもしれないw
そんな感じで120分ノンストップで喋りまくって、終了後にBenQディスプレイの実機を見てもらう時間も設けてみなさんに触っていただきました。
会場にはおまけで私が普段使ってるLEDや蛍光灯の照明たちも数台展示してみました(鑑賞ボックスなどは用意できなかったのであくまで参考までにという感じでしたが)。
終わってみて
BenQさんとのセミナーは今年3回目ですが、毎回すこしずつ中身を変えながら今回は結構実践寄りに。
カラーマネジメントディスプレイとキャリブレーター、演色性の高い照明とこの3つを揃えることができればそれほど難しくないし、結構自分でもできるのでは?と思っていただけたのかなと感じています。会場の時間的にタッチアンドトライの時間が十分にとれなかった点はちょっと申し訳なかったかなと。
出来る事なら終わった後に持ち込んだRAWデータで何枚か現像してもらうくらいのたっぷりした時間が取れると良かったかも。
開催後の任意参加のアンケートでは満足度が10点満点中8.6。
プリントとの比較も見てみたいという声もあったり、平日昼間という日程的に来られなかったという人もいたかと思いますのでこの辺も次回以降の課題ということで、次は9点台に乗るように頑張りたいと思います。
カラーマネジメントは機材さえあれば色のコミュニケーションが取れるようになるのでそんなに難しくないのですよ。
http://www.benq.co.jp/product/monitor/color-management/