2015年3月に発売したNikon(以下、ニコン)のアウトドアカメラ「COOLPIX AW130(以下、AW130)」。2016年11月に新しくブラックとイエローのボディカラーが登場しました。そんなAW130の実写レポートをお届けします。
開封の儀:スペック紹介
今回筆者は、新しく登場したカラー2種類のうち、ブラックを購入。AW130を購入した理由は、豪雨や豪雪の時の撮影に備えて。そして南国の楽園ビーチでの取材を夢見てです。魚群とか撮りたいっす。
ということで。
某大手カメラ店で購入したAW130をさっそく開封。カメラボディ、ストラップ、バッテリー(1個)、ACアダプター、USBケーブル、ブラシなどが揃っています。
これに説明書や保証書が付いて全てです。ちなみにブラシは、防水パッキン清掃用のもの。砂浜などでの撮影で異物が入った時に重宝しそうです。
カメラ沼にどっぷりハマりつつある身としては、やはり一眼でもコンデジでも何でも、新しいカメラボディを入手する行為はワクワクしますね。ですがこのままの調子でいきますと、10年後には機材に大金を注ぎ込む姿が目に浮かぶようで、未来の自分が心配になります、はい。
とりあえず、今は全てを忘れてAW130を見ていきます。
レンズ裏面にはプレビュー画面・各種操作ボタンなど。普段ニコンのカメラを使っている方なら迷わず使えそうです。
ボディの重さは、公表で約221g(電池、メモリーカード含む)。実感としては、おおよそスマートフォン2台分くらいの重さです。サイズは公称約110.4×66.0×26.8mm。ジーンズのポケットに入ります。
各種ボタン。一番下のアクションボタンを駆使すれば、カメラの設定を手で振って切り替え可能。寒い冬に手袋をはめながら(小さいボタンを押しにくい)撮影をする時などに役立ちそうです。
こちらはバッテリーおよびSDカードの挿入口。中央の丸ボタンを押しながらダイヤルを回すとフタを開け閉めできます。防水パッキンが施されているため、フタは奥までギュッと詰め込まないと閉められません。水深30mまでOKの防水性なのでここは仕方ないところでしょうか。ちなみにボタンまわりも防水が施されているはずですが、他コンデジや一眼レフカメラと比べて押しにくさは感じません。
充電バッテリーは基本的に外しません。代わりにバッテリー下に専用のケーブルをクイッと差し込んで充電します。
レンズにフタはなし。キズがつかないか心配になり、下記ケース(ソフトケースCS-NH47 ブラック)も後日購入。税込み2,320円。
ここで一旦、AW130のスペックをサラッと紹介します。
AW130のスペック
カメラ種類:コンパクトデジタルカメラ
有効画素数:1605万画素
レンズ:光学5倍ズーム、NIKKORレンズ
焦点距離:24〜120mm相当(35mm判換算)。レンズ前1cmまで近づけるマクロ撮影も可。
電子ズーム倍率:4倍(35mm判換算で480mm相当)
開放F値:F2.8〜F4.9
ISO感度:125~1600。オート撮影モード時に3200および6400を設定可能。
手ブレ補正:有り。レンズシフト方式と電子式の併用で補正効果3.0段(CIPA規格準拠。最望遠側で測定)
使用可能なメモリー:SD/SDHC/SDXCメモリーカード
その他、「防水30m+耐衝撃2.1m+耐寒-10℃+防じん性能」のタフさも謳われています。
Wi-Fi機能(無線LAN。スマートデバイスでGoogle PlayやApp Storeなどに接続してソフトウェア「Wireless Mobile Utility」をインストールする必要あり)や位置情報機能、動画撮影機能も付いています。
一つ残念だったのは、マニュアル撮影モードがないこと(ただし露出はマニュアルで変更できます)。オート撮影モードでは色合い(ホワイトバランス)・鮮やかさ・露出・ISO感度・フォーカス設定をある程度任意に設定できます。ただしシャッタースピードとF値はほとんど選べません。「マニュアルモードさえあれば他の撮影モード一切いらないのにな……」と心の内でボヤきつつも、色々試し撮りしてみました。
カラバリも豊富
AW130は元々2015年に発売のモデルですが、2016年11月にニコンカラーのブラックとイエローを追加。カラバリも豊富で、カモフラやオレンジ、ブルーもあります(すべて性能は同じ)。
*ただし、ブラック、イエロー以外は生産終了しており公式サイトでも「旧製品」の扱い。Amazonなどの店舗では他の色もまだ新品が手に入りますね。
試し撮り クローズアップ撮影が好印象
とにかくまず、色々試し撮りしてみました。
撮影モードは多種多様です。オート撮影モード・シーンモード(ポートレートや水中、夜景など18種類)・おまかせシーンモード・スペシャルエフェクトモード(画像に効果を付けて撮影)・ベストフェイスモード(メイクアップ効果を付けて撮影。笑顔自動シャッターやセルフコラージュ機能もあり)・ショートムービーショーモードがあります。
撮影時は、撮影ボタンを半押しすると、プレビュー画面に開放値とシャッタースピードが表示されます。スポーツモードにすれば、より早いシャッタースピードで撮影できます(連写も可能)。
今回はオート撮影モードを主に使って撮影していきました。明暗やボケ、色味の変化をチェックしてみてください。
AW130でパシャパシャ撮っていたら、最近は画素数3000万、4000万の一眼レフカメラが当たり前になってきましたが「1600万あれば十分」ということを思い出しました。2009年に発売されたニコンのD3なんて、1200万画素でしたからね(※最終的な画質は、画像処理エンジン等との兼ね合いで決まります)。
色々AW130を試していて好印象だったのがクロースアップ(マクロ)での撮影モード。被写体の1cm手前まで近づいて撮影ができます。ここまでは期待していなかったので(失礼)、意外な副産物でした。一眼レフカメラでマクロレンズを持っていない時に重宝しそうです。
下記写真も、手すりにグググッと数センチ手前まで近づいて撮りました。
望遠は画質に難ありか
望遠ズームもお試ししました。
まずは光学ズームの広角(24mm)から。徐々にズームを伸ばしていき……
これが光学ズームの最大望遠(120mm相当)。広角域と画質差は少ないです。次の写真からはダイナミックファインズームの領域に。
300mm前後。若干荒れてます。ダイナミックファインズーム、俗に言うデジタルズーム(電子ズーム)は、レンズを動かしてズームする光学ズームと異なり、画像センサーの一部を切り出して拡大するズーム方法です。いわば撮影した写真を拡大ズームして見るようなもの。画質はもちろん落ちます。
480mm相当の写真です。ダイナミックファインズームは、ズームすればするほど画質の劣化が顕著です。
望遠撮影で気になるのは画質ともう一つ、手ブレです。もちろん手ブレ補正は内臓していますが、マニュアルモードがない分、シャッタースピードを細かく設定できないのがやや不安。本格的に望遠で撮影する際は、コンデジ向けの簡易三脚を用意して「どんなシャッタスピードでもいいぞ!」と余裕のある状態にしたほうが良いでしょう(三脚使用の場合は、AW130のメニュー内セットアップの「静止画手ブレ補正」をOFFにしましょう)。
暗所撮影:画質は期待NG AFの食いつきも難あり
AW130は、オートモードで撮影すれば、ISO感度を最高6400まで引き上げられます。そこでD810のISO感度6400時の写真と比較しました(カメラの性能も値段も全く違うので参考程度に)。
暗めの照明で撮った写真を引き合わせ、Photoshopでさらに明るくしました。左がニコンのD810のjpegデータ(FINE)、右がAW130のjpegデータ(16M・高画質)です。
AW130の感度設定は分かりにくい。。
AW130のISO感度を6400に設定する方法は、説明書にはほとんど書いていません。オート撮影で「撮影状況や撮影意図に合わせて設定を変更できます」と記載があるのみです(文句を言っているわけではありません。悪しからず)。ということで以下、設定方法をご説明します。
- 撮影モードをオートモードにする(緑色のカメラマークを押して、一番下の撮影モードを選択)。
- MENUボタンを押して、設定メニューを表示。すると他の撮影モードでは表示されない連写やISO感度設定のメニューが表示されます(ゲームの隠しメニューを見つけた気分になります)。
- 連写設定のところで、「単写」「連写H」あるいは「連写L」を設定。すると下記のISO感度設定を任意で選べるようになります。
- ISO感度設定をAUTOから任意に数値へ変更。ここで6400を選びます。するとISO感度が6400で固定されたまま撮影できるようになります(本当に今、ゲームの攻略法を説明している気分です)。
写真を並べてみました。左がD810、右がAW130。比較すると、当然ではありますがAW130の画像のほうが荒れているのが分かります。ただ、WEB用など画像を小さく使う分には酷く荒れてる感じはしません。
分かりにくいので中央のダイスを拡大して見ます。
ここまで来ると違いは明らかで、写真を大きく見せたい時にはちょっと厳しいかもなという状況です。。
またAW130は、暗所で撮影する場合はオートフォーカス補助光が必須です。オフの状態で撮影するとオートフォーカス機能が反応しにくくなって、ピントが非常に合いにくいです(補助光ありの状態でもブレやすいです)。高速連写モードならシャッタースピードを上げることも可能ですが、暗所では露出をめいいっぱい上げても(+2.0)写真が暗すぎて使い物にはなりません。
暗所など厳しい場所で撮影する場合、普段一眼レフを使っている人にとってはオートしか使えないカメラはなにかと不自由です(RAW記録もできない)。
ただし、よほど暗い場所での撮影でなければ、そして画質に深くこだわらければAW130でもソコソコ撮れそうです(ただし光学ズームに限る)。メモ代わりの撮影ならなんとか使えるでしょう。
フラッシュ設定にも注意
ここまで様々な撮影例をお見せしてきました。色々なモードで撮影していて「厄介だな」と思ったのがフラッシュ発光です。マニュアル撮影モードがないことはお伝えしましたが、撮影モードを切り替えるとフラッシュの発光設定もリセットされるようです。フラッシュ発光するつもりなかったのに思いっきり光って周りに迷惑かける……なんてことにならないようにご注意。撮影モードを切り替える度にフラッシュの設定は都度確認したほうが良さそうです。
防水性はバッチリ 水深30m対応はダテじゃない
AW130を筆者が購入した理由の一つが、水深30mでも撮影できるという高い防水性です。大雨や大雪の日など、一眼レフを長時間使っていたらエライことになるかもしれない撮影環境を想定してAW130を購入したので、謳い文句の高い防水機能は一番魅力でした。
適正使用温度は、陸上でマイナス10度から40度、そして水中では0度から40度。
ということで、いかほどの防水性なのか試してみました。
お湯を張ったお風呂で撮影。湯船にお湯を張ったお風呂に突入して撮りました。左はお風呂に入った直後。右は15分後に撮影したものです。
最初は湯気でレンズが曇るものの(他カメラと一緒でレンズがすぐ曇ります)、カメラボディが気温に慣れるとすぐに撮れるようになります。また早業として、カメラ本体をお湯に直接ザブンと浸ければOKでした。ただし説明書では「温泉では使用できません」と断言しています。40度以上のお湯では使用に注意が必要。
今度は小川でレンズ半分を水中、半分を外に出して撮影してみました。小川の水は泥で曇っているのがやや残念。透き通った水ならキレイに撮れそうです。
こちらは別の場所で撮った水中写真。レンズは完全に水の中です。水の揺らめきに合わせて写真上部もぐんにゃり。
下記写真はシャワーを浴びながらフラッシュ撮影。白い玉は、フラッシュの光に反射した水滴です。
こんな写真も撮れます。シャワー口を撮影。通常の一眼レフカメラでは絶対ムリ。
シャワーが常に降り注ぐ分、焦点が合わせにくいようですが、ここまで水にさらされてもカメラボディに問題はありませんでした。防水性が高いことは間違いなさそうです。工夫すれば面白い写真が撮れそうな予感がします。
濡れた後はフタを開けない!
注意点は濡れた後の扱い。濡れた状態でバッテリーのフタを開けないことくらいでしょうか。もし海やプールで使用した後は、真水に浸けることも必要です(説明書ではカバーを閉じたまま10分間浸け置きを推奨しています)。
まとめ
とにかくAW130の防水性は、購入前の予想どおりの結果で満足。これなら緊急事態でいつでもどこでも使えそうで嬉しい限りです。いや、何より撮影の幅が広がったことが嬉しいです。本当に海中撮影したいので早く夏が来てほしいっす。
雪上でも海中でも、オールシーズン活躍するAW130。これから遊び倒していこうと思います。