これで大丈夫!超広角レンズのパースの仕組みと使いこなし。

種々ある交換レンズの中で最も使いこなしが難しい、苦手と思われているレンズの一つは恐らく超広角レンズでしょう。通常より広い範囲を写す事ができる一方、独特のゆがみ(パース、パースペクティブ)が出るなかなかクセの強いレンズです。今回はそんな超広角レンズのクセについてちょっとだけ掘り下げてみようと思います。

超広角レンズのクセを楽しもう

一般の方と写真の話をしたり、写真を教えたりしているときに良く聞くのが、「広角が難しい。。」という悩み。

広角レンズとは一般的に35mm(フルサイズ)換算で、焦点距離が35mm以下の領域。24mm以下になると超広角域と言われる事もあります。
*広角、超広角の厳密な定義は無いので人によってその基準は多少異なります。

APS-Cサイズのセンサーを搭載した普通の一眼レフなら約24mm以下が広角、16mm以下が超広角、フォーサーズなら約18mm以下が広角、12mm以下が超広角です。

35mm(フルサイズ)換算って何?という方は下記エントリーもご参照下さい

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広角レンズには”広い範囲を写せる”という特徴の他に、“強烈なパース*(遠近感)が得られる”という特徴(クセ)もあります。
*正しくはパースペクティブと言いますが、省略してパースと言うことが多いです。

この”クセ”を理解する事こそが、広角レンズの使いこなしで最も大事な事なのでは無いかと思いますので、今回は「広角レンズのクセ」について少しだけ掘り下げてみようと思います。

本日のコンテンツ

  • (超)広角レンズにはクセがある
  • 広角のクセを味方にする2つのポイント
  • こんな場面に有効!具体例を見てみる
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(超)広角レンズにはクセがある

なんとなく、「広角は難しい」 と考えている人が多い気がします。難しいと考えている多くの人は「たくさんのものが映り込んで構図の処理が難しい」と口を揃えるのですが、この人たちは恐らく、

広角レンズ = 広い範囲を写せるレンズ

という認識にとらわれているからなのでは無いかと思うのです。

確かに「広角レンズ = 広い範囲を写せるレンズ」というのは正しいのですが、それは広角レンズ一つの側面に過ぎません。

広角レンズのもう一つの特徴は、写真に遠近感を伴う”ゆがみ”が生じやすい事です。パースとかパースペクティブって言ったりもしますね。
*パースについての詳細はWikipedia先生をご参照下さい

この”ゆがみ”とうクセを上手に使う事ができるようになると、広角レンズはグッと魅力的なレンズに感じられるようになるはずです。

広角レンズはどこかに収束する

広角レンズのクセであるパースは、詳しく知るなら「遠近法」という図法を学ばなければなりませんが、写真で広角レンズを使うならそこまで詳しく知る必要は(初めは)ありません。

まず覚えておくべきことは「写真はどこかに収束する」ということ。

例えばこの写真、ただの廊下を超広角レンズ(16mm)で撮ってみました。廊下の先が中央にギューッとすぼまるように収束していますよね。

広角レンズ使いこなし

広角レンズではない普通のレンズでもこのような収束は見られますが、この”すぼまり具合”は広角になればなるほど顕著です。

この”すぼまり具合(パース)”を上手に使いこなす事が、広角レンズ攻略の第一歩となります。

広角のクセを味方にする2つの法則

では、広角レンズで収束していく先はいったいどこなのでしょう?

まずは、「広角レンズで撮ると写真はどこか1点に収束していく」と考えておきましょう。収束していく点を「消失点」なんて言ったりもします。

*正確には2点に収束したり、3点に収束する場合も考えるべきですが、まずは1点に収束していくと考えれば事足りることが多いです。詳しくは「遠近法」をググってみてください。ここでは正しい遠近法は議論せず、撮影の手助けになりそうな「なんちゃって遠近法」で話を進めます。

上に出した廊下の写真は分かりやすく中央一点に写真が収束していきましたが、この収束先は中央になるとは限りません。右になったり、上になったり、画面の外に外れる事だってあります。

でもあまり難しく考える必要はありません。写真を撮るなら次の2つのポイントを考えるだけでまずはOKです!

  • 被写体は画面の端から内側へ収束する
  • 端のものは大きく、中心のものは小さく収束する

それぞれ具体例をみながら広角のクセを実感していきましょう。

広角レンズを買わなくても体感できる?

超広角レンズは買うとなるとそれなりに投資しなければなりませんが、持っていないなくても買ったときに付いていた標準ズームレンズの広角端を使うだけでもそれなりに広角のクセを体感できます。

一般的に標準ズームの広角端(ワイド端)は35mm(フルサイズ)換算で24~28mmくらいですので、十分広角です。まずはこの辺で楽しんでみるのも良いですね。

もちろん24mmと超広角域の16mm等ではパースの付き方が全く違うので、より広角のクセを楽しむなら将来的には超広角レンズの購入もお勧めします^^
このページの最後に超広角レンズのオススメにも軽く触れていますよ。

1.被写体は画面の端から内側へ収束する

まず大事なのはこれ。

広角を使うと被写体は画面の端から、その内側へ収束していきます。
(広角でなくても収束しますがその程度は小さくなります)

広角レンズ使いこなし

画面の下から出ている被写体なら上に向かってすぼみます。左から出ているなら右方向へ、角から出ている被写体も同様です。

広角レンズ使いこなし

例えば、上のスカイツリーなら下からにょきっと生えているので、上に向かってすぼまります。

「そんなの当然じゃん!」と思った方もいるかも知れませんが、撮るときにこれを意識してファインダーを見れていますか?

「ファインダーを見てみたらすぼまっていた」 ではなく、「こんな感じですぼませる!」って考えてファインダーを覗けるようになるとステキです。

次の電車の写真は画面左から出ているので右方向にすぼまっていきます。

広角レンズ使いこなし

より正確には、カメラに近い側から遠くに向けて収束していくと考えた方が良いかも知れませんが、構図を考えながら撮るなら、端から出ているものはその内側に向けて収束すると覚えておく方が理解しやすいかと思います。

2.端のものは大きく、中心のものは小さく収束する

1.の法則は無意識に体感している人も多いと思いますが、こちらはどうでしょう?

広角レンズで画面の端にあるものは大きなパースがつき、中心に近いものはあまりパースはつきません

広角レンズ使いこなし

例えばマンハッタンの高層ビルの中で撮った写真がこちら。ビルの近くから見上げるように撮ったので、ビルは画面の下端から出ています。だから、下から上に向けて強めのパースが付いていますよね。

いかにも広角レンズで撮ったぞ!といった感じです。

広角レンズ使いこなし

一方、海上から遠く離れたマンハッタンを撮った写真がこちら

同じビルでも今回は画面中心近くにあるため、あまり強いパースは付いていませんよね。

広角レンズ使いこなし

ただ、良く見ると手前の海や空はそれぞれ画面の下端、上端にあるので、結構強めのパースが付いています

遠近法をしっかり学んだ方から見れば突っ込みどころ満載な法則ではありますが、とりあえずこの2つの法則を理解し、組み合わせる事ができれば「広角レンズの”クセ”」をうまく味方に付ける事ができるはず!

次は実際に、様々な広角で撮影した写真を見ながら、広角の”クセ”を良く見てみましょう。

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こんな場面に有効!具体例を見てみる

ではいくつかの具体例を見ながら広角のクセを見ていきましょう。

強烈なインパクトを楽しむ

広角のクセを存分に楽しむのであれば、ナナメから被写体に近づいてみましょう。近づいて、被写体が画面からはみ出てしまえば、その被写体は画面の端から出ていることになるので、強めのパースがつきます。

広角レンズ使いこなし 川崎工場

川崎の工場夜景。普通なら邪魔者のフェンスですが広角レンズ(23mm)で思い切り近づいてみました。レンズとフェンスの距離はほぼゼロです。

近くにあるフェンスには強烈にパースが付いて威圧感すら感じます。一方、遠く画面中央付近にある工場はそれほど強いパースを感じませんよね。

広角レンズ使いこなし

オイスターバーで出てきたお皿を撮ってみました(16mm)。これも手前の貝にレンズが当たりそうなくらい近づいています。手前から奥に向けてパースが付いてお皿に広がりが出ました。

パース ≒ 広がり と考えてみる

広角レンズでパースを付けると写真により広がりを感じます。お花撮影など何かが群生している場所で広角レンズを使えば、実際の見た目よりも広がりを感じる写真になります。

広角レンズ使いこなし

たとえばこれ。なんだかお花畑で撮った感じですが、公園にあった奥行き30~40cmくらいのプランターです。24mmでお花ギリギリまで近づいて撮りました。

続いてこちら。これも広角(16mm)でお花に近づいて撮ってみました。手前から奥に向けてしっかりパースが付いてお花畑が広がっている感じです。

広角レンズ使いこなし

ちなみに引きで見たらこんな感じの場所↓。

実はこれも同じ焦点距離(16mm)で立ち上がって撮ってみたのですが、全然印象が違いますよね。公園全体の様子は分かりますが、何を撮りたいんだかハッキリしません。。

広角レンズ使いこなし

レンズは同じ。お花に近づいたか、近づいていないかの違いだけです。

これからの桜の時期、ぜひ広角で思い切りお花に近づいてみるのもいいですね(24mm)。

広角レンズ使いこなし

空に広がりを持たせる

広角レンズで雲が出ている空を撮ると、大きく広がった印象になります。なぜなら画面上端から下に向けてパースが付くから。

快晴の場合は比較対象が無いためなかなか分かりませんが、きれいな雲が出ているなら積極的に空を入れて上げても良いかもしれません。

広角レンズ使いこなし

船の上から夕焼けのみなとみらいを撮影(24mm)。

雲の様子がキレイなら目一杯広角にして、空をたくさん入れてみましょう。地平線を三分割ラインに置く必要はありません。

広角レンズ使いこなし

アメリカ、ニューメキシコあたりの風景(16mm)。空がめちゃくちゃ広いです。

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広角はローポジションが面白い

手前にある被写体に強いパースが付く広角レンズはローポジション撮影が面白いです。低い位置から撮影すれば必然的に地面が近くなるため、地面の広がりが楽しめます。

広角レンズ使いこなし

ちなみに、ローアングルとローポジションは別物です。ローアングルとは下から上に煽るように撮る方法で角度の話(反対はハイアングル)、ローポジションとは単純に体の下の位置にカメラがある状態。

上の写真の場合は、低い位置にカメラがあるけど、そこからさらに地面を見下ろすように撮っているので、ローポジション、ハイアングルです。

広角レンズ使いこなし

カメラを地面に置いて撮ってみました(16mm)。床に広がりが出ましたよね。

ただし、ローポジションで撮る場合はあらぬ疑いを掛けられないように、周囲の状況をよく見ながら撮影しましょう。特に、街中でローポジション、ローアングル撮影する場合は近くに人がいない事をよく確かめる事。

足を長く見せる、スタイルを良く見せる

広角の強烈なパースを生かして、足を長く見せる事も可能です。

例えばこの写真のように立っている子供の足元からローアングルで撮ってみると、画面の端にある足からパースが付き、顔は小さく見えるので実際よりも大きく見えます。

広角レンズ使いこなし

この時注意したいのは顔の部分はあまり外周部に持っていかない事。なぜなら顔に余計なゆがみが出てしまうから。

画面中央付近はあまりパースが付かないので、本来の姿のまま写したい場合はその部分を画面中央付近に持ってくる必要があります。

ポートレートでスタイルを良く見せるために使われたりもしますね。

まとめとちょっとした注意

ということで、広角レンズの使いこなしについて、「広角の”クセ”」に着目してまとめてみました。

なんとなく誤魔化した部分もあったりしますが、上手にパースと向き合えると広角が非常に楽しくなると思います。

ちなみに私が普段使っているのはEF16-35mm F2.8L II USM。最近出たEF16-35mm F4L USMの方が画質的には上とのもっぱらの評判ですが、個人的には太陽や夜景の街灯から美しい光芒が出るこのレンズがとても気に入ってます。

明るいので星撮りにも使えます。

ニコン、キヤノンのフルサイズ以外のカメラは注意

ニコン、キヤノン、ソニーでフルサイズでないカメラ(APS-Cなど)の場合は必ずそのセンサーサイズに合った広角レンズを選びましょう。

例えば、APS-Cサイズのセンサーを積んだ一眼レフにフルサイズ用の超広角レンズを付けても、見かけの焦点距離が約1.5倍されてしまうため、広角ではなくなります。。

キヤノンならEF-Sレンズ、ニコンならDXフォーマット用の広角レンズを使う事。

もちろん、オリンパス、パナソニックなどのミラーレス向けの広角レンズもありますし、ペンタックスも現状フルサイズのラインナップは無いので、間違う事は無いかと思います^^

キヤノンの場合、EF16-35mm F4Lと同時に出たEF-S10-18mm F4.5-5.6 IS STMあたりは非常に使いやすそう。純正でありながら非常にコスパの高いレンズです。他のキヤノン純正に比べたらめちゃ安い。

あまり関係ないですが、このレンズ私の中高の後輩が開発に関わっていた事を先日知ってなんとなく応援してあげたいレンズでもあります(笑)

これからのお花の季節、広角レンズを持ってお出かけしてみてはいかがでしょう?

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この記事を書いた人
中原 一雄
中原 一雄 / studio9管理人
studio9(すたじお・きゅう)の管理、運営をしています。中の人です。 「写真をもっと、あなたのそばに」をテーマに、カメラに使われるのではなく、カメラと友達になる方法を広めるために活動中のフォトグラファー。 中原 一雄のプロフィールページ

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