ミクロの世界を撮ってみよう!マクロ撮影で注意したい2つのポイントとその対策

カテゴリー:カメラ使いこなし / 写真のコツ / 寄稿記事
マクロレンズは普通のレンズではピントが合わずにボケてしまうような近距離でもしっかりピントが合い、大きく撮ることの出来るちょっと特殊なレンズです。普段とは違った世界を撮れるため写真のバリエーションを広げたいときにもピッタリのレンズです。今回はそんなマクロレンズを使うときの注意点とその対策についてご紹介します。

マクロレンズについて解説します

一眼レフカメラのレンズの中でも、被写体にひときわ近づいて撮影できるマクロレンズ。普段目に見える世界とは、異なる世界をのぞくことができます。今回は、そんなマクロレンズの魅力を解説します。

本日のコンテンツ

  • マクロレンズとは?
  • マクロ撮影で押さえるべきポイント2点
  • ミクロの世界をのぞこう!
  • ポートレイト&スナップ撮影にも使える!
スポンサーリンク

マクロレンズとは?

マクロレンズは、微小な世界を楽しめるレンズです。被写体を普通のレンズではピントが合わないような至近距離で捉えることができ、花びらにつく水滴やてんとう虫の顔といった小さな被写体を大きく撮ることができます。

広角や標準、望遠のレンズを一通り揃えて「新しい表現ができるレンズ欲しいな……」と思い始めた時に手を伸ばしたい一品です。

ニコンはマイクロレンズ

マクロレンズは、メーカーによって呼び名が異なります。

Canonなど多くのメーカーではでは「マクロ(Macro)レンズ」という呼称ですが、Nikonでは同じものが「マイクロ(Micro)レンズ」となります。

※Nikonでは、マクロレンズは「等倍以上のサイズに拡大するレンズ」、マイクロレンズは、原則として「等倍サイズで撮影できるレンズ」であると区別しています。他メーカーでは、この「等倍サイズで撮影できるレンズ」も「マクロレンズ」と呼ぶことがあります。

マクロとマイクロでは意味が逆のようにも感じますが同じものです。「あれ? マクロレンズが全然ないや……」と混乱しないようにご注意を。今回はできるだけ「マクロ」と統一した呼び名を使っていきます。

マクロ撮影で押さえるべきポイント2点

それではさっそく、マクロレンズを用いたマクロ撮影(近影撮影、接写)について考えていきましょう。同撮影は、他のレンズに比べて被写体に近づいて撮影する分、押さえるべきポイントが、大きく2点あります。

1. 写真がブレやすい

マクロ撮影の注意点の一つは、ブレです。撮影した被写体がブレて、キレイに撮るのが難しいです。

例えば今回撮影に用いたレンズ「AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED」は、Nikon公式には最短撮影距離が0.185mです。つまり被写体に18.5cmまで近づくことができます。

この18.5cmはレンズ先端からの距離ではなく、イメージセンサーからの距離なため、ギリギリまで寄って撮影するとレンズに被写体がくっつきそうなほど近づけることになります。

同じNikonの標準ズームレンズ「AF-S NIKKOR 24-85mm f/3.5-4.5G ED VR」は、最短撮影距離が38cm(ズーム全域)です。単純比較すると、「AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED」は同ズームレンズに比べて、約49%近づいて撮影できる計算です。こうした(同じ焦点距離で比べたときの)最短撮影距離の短さが、マクロ撮影を実現します。

ただし、被写体に近づける分、一般的な撮影とは異なる問題が生じます。何が起こるかと言いますと……、まず一つは被写体のちょっとした揺れ、カメラの動きが写真に影響しやすくなります。つまり写真がブレやすくなります

被写体を大きく撮ることが出来るということは、ブレも大きくなると言うことです。

▲1/80秒で撮影。同じシャッタースピードでも……。
▲被写体から離れて撮っていた時には気にならなかったブレの影響が強くなります。特にマクロ撮影の対象の一つとなる植物は軽く、風に揺れてすぐ動きます。

上の写真の中央を拡大して見ると結構ブレていることがわかります。

マクロのブレ

解決策1:シャッタースピードを上げる

解決策の一つは、シャッタースピードをより速くすること。シャッタースピードを速くすれば手ブレや被写体の動き(被写体ブレ)が気になりにくくなるため、ブレのないカッチリした写真が見込めるでしょう。

ただし、シャッタースピードを上げれば、カメラが光を取り込む時間が少なくなって写真が暗くなるので、他の絞り値(F値)やISO感度を調整して写真を明るくする必要が生じます。

とはいえ晴天の屋外であれば光が十分ありますので、日中ならシャッタースピードを上げるだけでブレの問題はおおよそ解決できるでしょう。

▲晴天の屋外なら、十分な光量が見込めるため、シャッタースピードを上げやすいです。

解決策2:三脚やリモコンシャッターで手ブレ解消

「いや私は屋内で、絞りやISO感度を優先して、シャッタースピードを落として撮りたいんだ」という方は、手ブレを防止するという観点からブレ対策を考える必要があります。

そんな手ブレの影響が強いマクロ撮影では、三脚が重宝します。三脚でボディ・レンズをガチッと固定して、手ブレを防ぎましょう。「荷物が増えて重たくなるのがイヤ」という方には一脚がオススメです。

ただし、三脚や一脚を使ったとしても被写体ブレ(花が風に揺れるなど)は防げないので注意しましょう。被写体ブレを防ぐにはシャッタースピードを上げるしかありません。

また「三脚だけでは足りない! シャッターを押す指の振動も気になる!」という方は、外付けのリモコンシャッターを一度試してみてください。

2. 写真がボケやすく、ピント合わせがシビア

マクロ撮影で、ブレともう一つ注意したいのがボケやすさです。言いかえますと、被写界深度がスゴく浅いのです。

▲ピント外の部分がすぐボケてしまいがち。

被写界深度とは、ピントがキリッと合っている範囲を指し、F値(絞り値)、レンズの焦点距離、被写体とカメラ(イメージセンサー)の距離の関係おおよその値が決まります。

具体的にはF値が小さいほど、焦点距離が大きいほど、被写体とカメラの距離が小さいほど被写界深度(ピントが合う範囲)は小さくなります。

ここでは「被写体とレンズの距離」のみ考えてみましょう。例えば被写体とレンズの距離が、空飛ぶ飛行機を撮る時のように遠く離れていれば被写界深度が深くなりピントが合っている範囲が広くなります。一方、蝶々などのマクロ撮影は、被写体との距離がすこぶる近いため、被写界深度がとても浅くなります

すると、後者では何が起きるのか。ピントを合わせた位置からちょっとでもズレると、すぐ写真がボケてしまいます

マクロ撮影は、実際やってみると、ピントが合いづらくて本当に厄介です。

もしも、風に揺れる花を撮りたい、虫が両手を合わせてスリスリ動かしている場面を撮りたい……となると、ピント合わせが非常に重要です。

解決策:主題を明確にする or F値を絞って被写界深度を深くする

花一つにしても花びらを撮りたいのか、中央の花弁を撮りたいのか、茎を撮りたいのか。あるいは葉っぱを撮りたいのか。昆虫なら目にピントを合わせるのも一案です。撮りたい主題はどこなのか、じっくり考えてピントを合わせましょう。

オートフォーカスでピント合わせが困難な場合は、自分の指を使ってマニュアルフォーカスで調整するのも一つの手です。

もう一つの解決策は、F値をF5.6、F8、F11……と絞ってクッキリ写る部分を広げる(=被写界深度を深くする)ことです。より確実にチャンスを捉えることができます。

▲F値3.2で、1円玉を5枚重ねて撮影。ピントは1番上の1円玉に合わせました。被写界深度が浅いため、わずか1cm弱の差にもかかわらず、下の新聞の文字がボケています。

▲F値8.0で撮影。被写界深度が広がり、クッキリ写る部分が拡大。ここまでくると、新聞の文字も大分ハッキリと認識できます。

▲こちらはF36.0で撮影。文字がほぼ完全にクッキリ写っています。

ただしF値を絞ると写真が暗くなり、ISO感度を上げるか、あるいはシャッタースピードを遅くする必要が生じます。シャッタースピードを遅くする際は、やはり三脚か一脚を用いなければならないでしょう。また、昆虫など気配を察知して逃げてしまいそうなものを撮る時は、望遠のマクロレンズを使うと良いでしょう。

ブレとボケ。マクロ撮影は、この2点に気を配って撮影しましょう。

スポンサーリンク

ミクロの世界をのぞこう!

マクロレンズの醍醐味:至近距離で撮影できる

マクロレンズの醍醐味は、何と言っても至近距離からの撮影です。実際に撮影してみると、普段見慣れた景色や物が、思いがけない表情を見せてくれます。

ということで、さっそくマクロレンズを用いて撮影した写真を色々見てましょう。まずは、普段ラーメンなどにかける七味唐辛子を試しに撮ってみました。肉眼ではなかなか区別できない薬味や香辛料がハッキリに見分けられます。

▲七味唐辛子をマクロ撮影。数々の薬味や香辛料が見分けられます。F値は14.0。

撮影対象は氷の表面やケーキの切断面、ホカホカの白米、角砂糖、炭山飲料、お風呂のジェットバスの泡など様々。アイデア次第で面白い写真を色々撮影できるでしょう。

▲オリーブオイルにラー油を数滴垂らしてみました。
▲近づいて撮ってみると……不思議な世界を捉えることができました。このように、カメラマン自らのアイデアで撮影物を生み出せるのもマクロ撮影ならでは。

屋外でもマクロ撮影の対象になる面白いものがいっぱいあります。町の至るところにあるコンクリートや樹木、植物も、マクロ撮影を行なうと違った表情が浮かび上がってきます。

▲町中にあるコンクリートの壁。一般のレンズでは、これ以上寄るとピントが合わせられません。

▲しかしマクロレンズはこのとおり、被写体にググッと寄って撮影できます。

▲樹木も、マクロ撮影では面白い対象の一つ。

▲上記の樹木をマクロ撮影。通りすがりに見ていた樹木の新しい一面を発見できます。

▲植物の葉っぱを撮ると、細かな葉脈まで写すことも可能。

マクロレンズにハマると、ついつい被写体に接近しがちです。夢中になって近づきすぎて、レンズを傷つけたり汚したりしないようにご注意を。

ポートレイト&スナップ撮影にも使える!

撮影距離の幅が魅力!マクロレンズは使い勝手良し!

マクロレンズは、意外(と言ったら失礼ですが)にも使い勝手の良いレンズです。ついつい最短撮影距離に目がいってしまいがちですが、距離をとれば、一般の単焦点レンズとしても使うことが可能。今回使用した「AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED」のように、開放値が比較的浅い傾向があり、ボケ味も十分楽しめます。

▲マクロレンズは、スナップ撮影でも活用できます。

▲解像感は一般の単焦点レンズにも引けをとりません。

▲もちろん近づいて撮影するのもカンタン。

ポートレイト撮影では目まで近寄れる!

くり返しになりますが、マクロレンズが一般の単焦点レンズより優位な点は最短焦点距離が短いことです。例えばポートレイト撮影を行なった際、後ろに下がればモデルの全体を写真に収めることができますし、前に進めばどこまでも近づいて撮影が可能です。極端な話、目まで近づいてもピントが合います。

ということで作例です。マクロレンズ1本を使ってポートレイトを撮影し、バストアップから徐々に近づいてみました。撮影時の設定はF5.6、シャッタースピードは1/320秒です。

腰から上、上半身を捉えたところからさらに2歩ほど被写体に近づき……

顔をよりアップで撮影。近づいたことで、小物のディティールもよく見えます。さらにここから近づきましょう。

ここまで近づきました。目の陰影もハッキリ捉えています。ただし歯や顔の輪郭は若干ボケています。やろうと思えば、これ以上近づくこともできますが、相当距離を詰めるので、必ずモデルさんの許可をとってからにしましょう。

もう一つ作例です。アーミーなお兄さんを撮りました。撮影の設定は同じです。

まずはカメラマンの筆者が、お兄さんの全身が入るように後ろに下がりました。全身がバッチリ写っています。

今度は3本ほど前に進んでみました。膝から上を捉えています。ピント外の銃口がかなりボケてきました。

マクロレンズはさらに接近できます。レンズを銃口スレスレまで近づけて撮ると、このようになりました。今度は、フォーカス部分を銃口に変えてみましょう。

すると、銃口をクッキリ写し出してくれました。銃口の縁のキズまでしっかり捉えています。もちろん、お兄さんの顔に近づいて同じように接写することも可能です。まさに、ポートレイト撮影の幅も広げてくれるレンズなのです。

マクロレンズで新しい世界観を見つけよう

いかがでしたでしょうか。今回の解説は以上です。

▲肉眼で分からないからこそ、積極的に撮影する意識が大切。

マクロ撮影は、数多くあるレンズの中でも、ひときわ新しい世界観をのぞくことができるアイテムです。新しい発見を得るには、カメラマンの観察力やアイデア、想像力が必要です。「これ、寄って撮ったら面白いんじゃないか?」と思ったらバシバシ撮ってみましょう!

スポンサーリンク
この記事を書いた人
桜井 恒二 / 専門ライター
記者・ライター。撮影もします。エンタメ芸能系を中心に活動中。 桜井 恒二のプロフィールページ
© 2018 studio9. All rights reserved. [more info.]

studio9の本が発売!

studio9が本になった「写真のことが全部わかる本」が3/16に発売になるのでちょっと中身を紹介します!

サイト内検索

YouTubeチャンネル

Twitterフォロー