話題の「青と黒のドレス」騒動を写真的にアプローチしてみたら意外と面白かった!

カテゴリー:RAW現像、レタッチ / 写真のコツ
海外発でかなり話題になっているドレスの色騒動。私は最初から青と黒にしか見えなかったのですが、白と金に見える人もいるようで興味深かったので、写真やカメラの特性からアプローチしてみました。なかなか面白い結果になりましたよ!

カメラの特性からドレスの色にアプローチ

なんだか海外発信で話題になっているドレスの色問題。

ニュースでも見た人がいると思いますが問題はこのドレスです。

http://swiked.tumblr.com/post/112073818575/guys-please-help-me-is-this-dress-white-and

どうもこのドレスの色が、「青と黒」に見える人と「白と金」に見える人がいて大論争になっているようです。

– 「白と金」「いや青と黒だ」あなたはどっちに見える? 1枚の写真をめぐりネットで激論(外部サイト)

結論から言ってしまえば、このドレスの元の色は「青と黒」でして、どうやらこれは人間の目の錯覚によるものらしいのですが、早速詳しくまとめてくれた方がいました。

– なぜドレスの色の錯覚はおきたか?-色の恒常性-(外部サイト)

私は別に視覚や脳の専門家というわけではないですが、良い機会なので ”カメラで撮った” という視点で元の色は何色なのか、なぜ白と金に見える人がいるのかについてざっくりと考えてみようと思います。

いつもはLightroomを使ってますがたまにはPhotoshopを使ってゴリゴリいじってみようと思います!

写真をやっている人やRAW現像をやっている人にとっては非常に良い教材になるんじゃ無いかと思います。私もあれこれいじってみて非常に楽しかったです。

本日のコンテンツ

  • 原因1:強い逆光による影響
  • 原因2:ホワイトバランスが狂ってる
  • なぜ「白と金」に見えたのか
  • 私なりの結論
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原因1:強い逆光による影響

元の写真をちょっとお借りしました。

まずはこの写真を撮った状況について想像してみましょう。

上の写真を見てみると、おそらくココはお店の中かなにかで、ドレスの奥に強い光があります。ど逆光状態です。通常は外の明るさに引っ張られてドレスが暗く沈むシーンですが撮るときに無理矢理明るくして撮ったのかもしれません。露出オーバーな感じです。

強い逆光によるフレアの発生

スマホのカメラは強い逆光に耐性のないものが多いため、レンズ内で光が反射するフレアという現象が起こります。

フレアが起こってしまうと写真のコントラストが急激に低下し、全体にモヤッとした印象になります。特に黒はグレーっぽい感じになり締まりの無い絵になってしまいます。

まさにこの絵はフレアが起こっている状況です。
(または単純に露出オーバーにしすぎて暗部の締まりが無くなっているだけかもね^^;)

フレアをPhotoshopで補正する

このフレアをPhotoshopを使って改善してみましょう。(Lightroomでも良いけどこういう単発ものはPhotoshopの方が使いやすいですね)

Photoshopで写真を補正する際に便利なツールはCameraRAWフィルター。RAW以外の画像にもCameraRAWと同じ感覚で調整ができる便利フィルターです。普段RAW現像しているカメラ好きな方はトーンカーブいじるよりこっちの方が取っつきやすいはず。今回はCameraRAWフィルターをつかって補正していきます。

失われたコントラストを取り戻す

フレア(or 大幅な露出オーバー)によって暗部のコントラストが大きく失われているため、暗部を正常な状態に戻してみましょう。

黒レベルスライダーを-100まで落とします(暗部を暗くする)。さらに、フレアによって生じた解像感の低下を明瞭度スライダーで回復させます。とりあえず+20にしてみました。

そしたらこんな感じ。ちょっと露出オーバー気味なので露光量を多少下げてみても良かったかも。

ドレスの色騒動

黒の締まりが出て、元の写真よりドレスがキリッとしましたね。

ここまで色は全く変えていないですが、この時点でかなり青と黒に見えます。

続いて色の問題について掘り下げてみましょう。

原因2:ホワイトバランスが狂ってる

フレアの影響をなんとなく修正できたところで、次に色を考えてみます。

何時に撮った写真なのかは分からないですが、外の強い光的に夕方の西日が射している状況っぽい感じがします。窓や床の明るい部分も少し暖色っぽいし。

また、お店の中は洋服を売っているちょっと洒落た店内だと白熱灯など暖色系のライトを使っている所も多いですよね。

つまりこのドレスにはオレンジ色の光が強く当たっているため、普段よりもオレンジが強く見えている状況だと推測できます。

人間とカメラの色の感じ方は違う

人間の目(脳)は外光の色が多少変化しても、色の違いはあまり分からないようにできているのですが(色の恒常性)、カメラは正直なのでオレンジ色の光の環境で撮ればオレンジ色に見えるのです。

そのため、カメラはホワイトバランスという項目でこのような色を自然に(人間が見たように)見えるようにキャンセルしてくれる事が多いのですが、レンズに強い光が入っているため正常に働かなかったのかもしれませんし、もしかしたら撮影した人が誤ったホワイトバランスの設定で撮っていたのかも知れません。

とにかく、この写真は外光の影響で暖色に偏っているため元の自然に見える色に戻してみましょう。

色温度の項目を窓や床の白がちゃんと白っぽくなるように寒色方向へ補正しました。

ドレスの色騒動

するとどうでしょう、ドレスは「青と黒」になりましたよね!

これなら誰が見ても「青と黒」ですw

**追記:まだ白と金にみえる!?**

なんだかこれでも白と金に見えるんだけど。。というコメントが流れてきたので、お露出オーバー気味の効果を露光量を下げて補正してみました。上の写真から露光量を-0.6してみましたよ。
*ホワイトバランスも少し下がってました。。^^;

ドレスの色騒動

これでも白と金に見えるのかなぁ。。

かくなる上は!ということで周りの背景を切り抜いて白くしてみました。

ドレスの色騒動

これで、青と黒、だよね??

ちなみに、一番最初の補正前の画像の背景を白く潰したらこうです。

ドレスの色騒動

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どうして白と金に見えたのか

元は青と黒なのにどうして白と金に見えたのか。これもPhotoshopの力を借りて人工的に「白と金」にしてみましょう。

人工的にフレアと外光の色を変える

青と黒の画像を用意してみました。ここから今回の撮影の状況と同じような環境をPhotoshop上で作ってみようと思います。分かりやすい様に極端に変化させます。

ドレスの色騒動

ホワイトバランスで暖色光を再現

まずは、ホワイトバランス。外の西日または店内の暖色系の光に照らされたドレスの色を再現します。

ホワイトバランスを暖色系へ極端に振ってみます。+100にしました。

ドレスの色騒動

全体的に黄色っぽい感じになりましたね。

コントラストでフレアを再現

次に、強い逆光によるフレアを発生させ、とカメラの露出(明るさの設定)をプラスにします(元の写真は通常よりも明るく撮っているため)。

露光量を+3.0で明るくして、フレアによる暗部のコントラストの低下を再現するためシャドウと黒レベルを+50(暗部を明るく)、解像感をなくすため明瞭度を-30としました。
*黒レベルとシャドウの違いは割愛しますがどちらも暗部の明るさをコントロールする項目です。

するとどうでしょう!

ドレスの色騒動

白と金になりましたよね!

元の色はこれですよ。

ドレスの色騒動

撮影時の状況に近づけて見る

かなり激しく調整した結果だったので、もう少しマイルドに、上記の設定値を半分に設定するとどうでしょう。

ドレスの色騒動

元の写真のドレスの色に近くなりましたよね!

ドレスの色騒動

私なりの結論

ということで、このドレスの色は、フレアによる暗部のコントラスト低下と暖色系のライトで照らされた色の変化を脳内でキャンセルして見ようとした人は「青と黒」のドレスに。

フレアによる暗部のコントラスト低下と暖色系のライトで照らされた色の変化を脳内でさらに増幅させて見ようとした人には「白と金」のドレスに見えたのではないかと思います。

あくまで写真的なアプローチで、脳とか視覚の専門的なことは分からないので合ってるかどうかは分からないですがね。。^^;

いやぁ、楽しかった(夜中の3時)。

さらに追記: 青かぶり説はどうなの?

なにやら今朝から大変多くの方に読んでいただいているようで、夜中に急遽書いた甲斐がありました(笑)

Twitterなどから流れてきたコメントにお答えする感じで補足をしてみます。

白と金のドレスが青かぶりしているだけでは?

確かに理屈は分かったけど、白と金のドレスが青かぶりしているという事はないの? というコメントが比較的多かったのですが、その確率は極めて低いと思います。

確かに、白と金の柄をホワイトバランスで寒色系に振り(青かぶりさせる)り、少し暗くすると元の写真の色に近くなります。

例えば、この画像をPhotoshopで青かぶりさせてみます。

ドレスの色騒動

ホワイトバランスを大幅に寒色方向に振り(-50)、露光量を-1ほど下げる(暗くする)とどうでしょうか。

ドレスの色騒動

元のドレスの色に近くなりましたよね!

「暗い場所で白と金のドレスを見ているみたいな感じ」というコメントが多く寄せられているのはこういうことかと思います。

ここから暗部の明るさを落とし、シャドウを締めてあげればほぼ青と黒になります。

最初に紹介した流れの逆をやっただけなので、理屈的には「白と金」は「青と黒」にも見えうるということなのですが、今回の場合は環境的にほぼあり得ない状況です。

室内で青かぶりする状況とは?

なぜ今回は室内で、白と金のドレスが青かぶりする状況があり得ないのか?

それは外の光と室内の光の”差”に着目すると理解できそうです。

光の色の差を考える

元の写真を見ると、外の光(背後の窓のあたり)はオレンジがかった色、室内の光の色は(青かぶりしているとすれば)青い光です。

カメラのホワイトバランスを変更する事で、単色だけをみれば暖色だろうが寒色だろうがある程度好きなように見え方を変える事はできますが、「光の色の差」を変える事は出来ません。

ホワイトバランスが大きく狂っていれば、”室内の光と外の光の色の差”を保ったまま色がズレる事になります。

元の写真を見れば外の光の色は割と正常に見えるので、そうなれば、室内の光の色は「青色」でなければ説明が付きません。

青色の照明を使うような洋服屋さんは通常ありえないので、今回の場合は外の光の色との”差”を考えれば、白と金のドレスに青かぶりが起きているという状況は非常に考えにくいのです。

写真をやっている方なら似たような経験がいくらでもあると思います^^

晴天、屋外で撮影されたならありえるかも

ちなみに、このドレスの写真が、快晴の日の夕方、屋外、逆光条件で、日陰の中で撮影されていたのなら、白と金のドレスの青かぶり説はあり得そうです。

ここまでの内容が良く理解できてる方ならピンときたかもしれませんね。

夕方ということで、外の光はオレンジです。しかし、ドレスは日陰にあるのでオレンジ色の太陽光線は浴びません。ドレスが浴びるのは青空で太陽の光が散乱した青い光です。

よって、外の光はオレンジ、中の光は青となり、青かぶり条件に近くなりますよね。

日陰にある物体が青く見えるのはこれが原因で、「日陰=青く見える」というのは、太古の昔から私たちのDNAに刻み込まれているのかもしれません。

そう考えると、このドレスが白と金に見えるというのもなんとなく納得できるかなぁと思う次第です。(私は未だに青と黒にしか見えないですが。。)

いかがでしょうか?

**追記終わり**

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この記事を書いた人
中原 一雄
中原 一雄 / studio9管理人
studio9(すたじお・きゅう)の管理、運営をしています。中の人です。 「写真をもっと、あなたのそばに」をテーマに、カメラに使われるのではなく、カメラと友達になる方法を広めるために活動中のフォトグラファー。 中原 一雄のプロフィールページ

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